食農ステイション

食と農に関するお話しを徒然なるままにいたしましょう。

その調査は何のためにするのか?

2007年08月01日 | 食と農
関東地方もやっと梅雨が明けたそうです。今年の梅雨は,なんかはっきりしない天気が多かった気がします。

大学は夏休みモードに突入です。私も講義から解放され,自由に使える時間が増えています。今日はD論研究会でした。D論研究会は月1回,私が指導する博士課程の院生と一緒に議論する研究会です。結構,毎回議論がおもしろいです。

今日は,先日ブログでも紹介したT農協の追加調査について議論しました。調査に参加する院生3名が質問項目について報告した後,私はT農協のTopに成り代わって,「なぜ,この調査は必要なのか,この調査や研究はT農協にどのような貢献があるのか?」という質問をしました。院生は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていました。

農業経済学の研究には,現地調査や農家調査が欠かせません。統計や行政資料から分析するやり方もありますが,現地から学ぶスタイルを踏襲する研究者のほうが多数を占めています。しかし,近年の農家・農村調査をめぐる環境は,年々厳しくなっています。収集した個人情報の保管,管理を厳重に行う必要がありますし,農協や役場は個人情報を安易に出すことは出来なくなっています。

さらに,年々職場の業務が多忙化している中で,ヒアリングに1時間から2時間付き合ってくれる余裕もないのが現状です。ちょっと前なら,お茶やお酒を飲みながら半日付き合ってくれる人は多かったのですが。

私は機関調査や農家調査をお願いするときには,その調査研究の目的を正確に伝え,調査結果が当該機関にどのような貢献が出来るのかについても事前に伝える必要があると思います。自分の知的好奇心を満足させるためや「研究のための研究」では,調査を引き受けていただけない状況になっているのです。

このことは農業経済学の学徒には普遍的な課題だと思っています。
さて,T農協は私たちの調査計画に同意してくれるといいのですが。