有期刑で最も重い懲役３０年・・・

　先月１４日のこと、勤務先の小学校で女子児童らに性的暴行を繰り返した広島県の元教師の男に対し、広島地裁は有期刑で最も重い懲役３０年の判決を言い渡した。
　判決によると、広島県三原市の元教師森田直樹被告（４３）は、数年前、勤務先の小学校で１０人の女子児童らに性的暴行などを繰り返し、その行為をビデオカメラで撮影したという。判決は４６件の強姦罪や２５件の強制わいせつ罪など、あわせて９５件の罪を認定。「被告は、授業時間中や室外から他の児童の声が聞こえる状況でわいせつ行為に及んだ。被害児童らに対し、わいせつ写真をばらまくと脅迫したほか、同時に複数の児童への行為に及ぶことで秘密を共有させ、犯行の発覚を防いだ。」（広島地裁判決）
　裁判長は「鬼畜にも劣る浅ましい蛮行を繰り返した」と森田被告を糾弾し、「有期刑を超える刑を選択できない現在の法律の枠内では、その最高刑をもって臨むしかない」と判決文を締めくくったという。
　この事件は昨年、被害者の１人が被害を外部に打ち明けたことから事件が発覚したというが、これほど多くの犯行を重ねていながら誰も気づかなかったとは…。気付かなかった親や他の教師たちを怠慢とは言わないが、その気配を微塵も感じ取れなかったとは信じられないのである。それにしても、学校内で犯行を繰り返しながら、あまつさえ脅迫による口封じをしていたという卑劣さ、巧妙さには親ならずとも怒りを禁じえない。
　この他にも、今年１月２９日、平成１８年４月に札幌市で起きた連続女性暴行事件で、強盗強姦などの罪に問われた元消防士長（２９）に懲役３０年の刑が確定した。この場合は１審の無期懲役が破棄されての懲役３０年である。被害者が弱い女性や、自己防衛もできない幼い子ども達であることを思えば、この判決は至極妥当なものであり、こうした犯罪には厳しい量刑をもって償わせるのが当然である。

　昨今、とくに教師や地方公務員の、未成年に対するわいせつ犯罪事件が多発している。だが、被害者側の軽率な行動がなかったら起きなかったかもしれない犯罪もある。
　先月２９日のことだが、卒業直後の女子生徒ら２人にわいせつな行為をしたとして、静岡県立高校の男性教諭（３０）を懲戒免職処分にしたというニュースが目に付いた。だが、これは生徒側から教諭に「メールアドレスを教えてほしい」と働きかけ、教諭が進路などの相談に乗っているうちにわいせつ行為に及んだというのである。まあ、若い男性教諭が女生徒から個人的に接近してこられれば勘違いしてしまうこともあるだろうし、無防備に若い男性に接近していった女生徒側に非がなかったとも言い切れないのである。
　また同じ日、電車内で女性のスカートの中を盗撮したとして、千葉県警松戸署は会計検査院のキャリア官僚の男性（３３）を逮捕したという事件があった。この男性は盗撮でストレスを解消しようとしたらしいが、これでキャリア官僚の将来は閉ざされてしまうだろう。この女性がそうだとはいわないが、最近の女の子の服装は、お尻が見えそうなスカート丈、胸元が大きく開いた上着など、これで男性に見るなという方が無理である。盗撮は、男性を挑発するような服装をする女性側にも非があるのではないかと思うのである。
　その他にも、愛知県の郵便局長（４９）、社会福祉協議会職員（４７）などが児童買春で逮捕されているが、社会的地位もあるいい歳をした大人が、自分の子どもにどう言い訳をしたのか聞きたいものである。

　だが、わいせつ犯罪はなにも若者や男性特有のものではないようである。
　千葉県の高校３年の１７～１８歳の女子高生３人が携帯のカメラで自分の下半身を露出した画像を撮影し、出会い系サイトで知り合った男にメールで送信した。彼女らは「夏休みでお金がほしかった。楽しててっとり早く稼げると思った」と言っているそうだが、どうしてこういう短絡的な考え方をするのだろうか。千葉県警は最近、現金目的の出会い系サイトへの少女側からの書き込みなどが発端になる買春事件が目立つため、少女らに警鐘を鳴らすためにと摘発したというのである。
　そうかと思えば、こんなあきれた事件もあった。売春クラブを経営の６９歳の女性を中心に、６０～７０代の男女５人が組織的に売春を周旋していたとして、愛知県警に逮捕されたという。女性を待機させるため自宅を提供する者、路上で男性に声をかけて誘う「ポン引き」役、女性をホテルまで送る運転手役など、５人はそれぞれ役割を分担していたという。
　働きたいが高齢者には適当な職がないという現状はわかるが、なにもこういう仕事をしなくても…。手っ取り早く楽に金儲けができるなら何でもやるというのは若者と同じ感覚か。何だかもう、世も末という気がして情けなくなってくる。