現金給付の対象要件・・・

　政府は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急経済対策で検討している「現金給付」の対象を、いずれも「所得・収入の大幅な減少」を要件に掲げた。公明党は「1人当たり10万円」と明記したという。 　
　リーマンショック後の2009年には国民1人当たり1万2000円ずつ配ったが、75％が貯金に回ったと言われている。麻生財務相も「二度と同じ失敗はしたくない」と言っているように、人気取りのばらまきは絶対反対だ。が、今回は現金給付の対象を「所得・収入の大幅な減少」を要件に掲げたのは納得できる。
　これについて、作家の百田尚樹氏が「生活保護の人に給付金を出すのは反対！　彼らは今回の騒動で1円も収入が減ってないのだから」と言っている。それを言うなら年金生活者も同様だ。このコロナ騒動で年金額が下がったわけでもなく、物価が上がって生活に困っているわけでもない。年金生活者の私も今のところ経済的な影響はない。もらえるものは何でももらいたいが、休業で収入が減った人たちや解雇され人たちに手厚い支援をするのであればまったく異論はない。
　この経済対策をめぐっては「消費減税を実施すべきだ」との声もあったという。私も当初は消費税減税がいいと思ったけど、「消費減税は高所得者ほど得をする仕組みで、経済対策としては望ましくない」という専門家の意見を聞いて納得。高所得者は高額商品を大量に買うほど減税になるから得する。が、コロナ騒動で収入が減った人や失業に追いこまれた人たちは、お金がないからこれまでより買い物を控えるようになる。だから現金給付が一番いいということだ。
　また1日、安倍首相は布製マスクを全国5000万余りの全世帯に2枚ずつ配布すると表明した。2枚ずつで400円×5000万世帯で計200億円、これにプラス配送料が必要となる。これって本当にグッドアイデアと言えるのだろうか。 
　私などほとんど外出しないし、ウオーキング時のマスクは使い捨てマスクに、折りたたんだ分厚いガーゼを重ねて、ガーゼだけを洗って使いまわしているから要らない。
　安倍さんのやることはおかしくないか？　不要不急の外出を控えるよう要請しながら、一方でマスクを配るというのは「マスクをしたら外出してもいい」ということなのか。今は外出を控えて人と接触しないことしかないと思うけど…。それにこの布マスクは不織布マスクより目が粗いという。これまでもマスク効果は「しないよりした方がいい」程度だと専門家も言っている。マスクは大都市圏の医療関係や施設など、本当に必要とされているところへ配ればいい。200億円以上もの大金を無駄にせず、感染拡大防止のためもっと賢い使い方をしてもらいたいものである。

　話は変わるが、この4月から公的年金は0.2％増額されるが、これはコロナ騒動が起きる前に法律の規定により決まっていたことである。が、公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人（GPIF）の1～3月期の運用は17兆円前後の赤字になるとみられるという。
　公的年金の給付には、年に約50兆円かかるが、大半は現役世代の保険料と税金でまかなえている。積立金には、少子高齢化で現役世代が減って受給者が増えるなか、足りない分を補う役割がある。そのため、仮に一時的に大きな損失が出ても、年金が払えなくなるわけではない。しかし年金積立金を運用しているわけで、想定の利益が出ないということになれば当然、年金の支払いに影響してくる。株価が急落してもすぐに年金支給額が減らされるわけではないが、心配なのは今回の新型コロナ危機がこれまでの経済危機と全く違うことだ。
　バブルが弾けたり、金融システムの破綻であれば、それが解消されれば経済は回復に向かう。ところが、新型コロナの被害が長引くと、人とモノの動きが止まってしまう。一部の企業はテレワークでしのげても、工場は社員が出社しなければ生産ラインが動かない。そうした負のスパイラルが続くことで、株価はどんどん下がり、GPIFの年金資産が失われていく。この先、日本はどうなるのか、年金はどうなるのか。私が心配して始まらないが、もう自分の生活は自分で守るほかないのかなあ。