つれづれに 

老いてゆく日々、興味ある出来事に私見を添えた、オールドレディーの雑記帳です。

「灰」のお話・・・

2020-04-26 | 懐かしいです

 少し前のことだが、わが購読紙に連載中の『ふる里の風景』は「灰」のお話だった。(原文通り)
 カマド、火鉢、薪ストーブなどから出る灰が、昔は処分に困るほど多かったが、役立つことも少なくなかった。母は山菜のアク抜きに、祖父は畑の肥料やアブラムシなどの害虫駆除に使っていた。また早く解けるように、晴れ間になると積もった雪の上に撒いたりした。
 そして僕らも、掘り炬燵や焚き火の灰にサツマイモを埋めて焼き、灰をポンポンと払っただけで食べたものだった。草木を燃やした灰は無害だといわれていたからだ。しかし今は有毒であるダイオキシンの混じった灰が多く、禁物である。僕らが小学生のころは、どの学校にもあった焼却炉がなくなったのも同じ理由のようだ。
 そんな長所短所を併せ持った灰も、熱源はガス、電気、石油などにかわられ、今は灰そのものを見かけることも少ない。
 私が子どものころもそうだった。寒い朝、近所の大人たちがかき集めた落ち葉や小枝、稲わらを燃やして焼きいもを作ってくれて、私たちは手にした熱々の焼きいもをフーフーしながら食べたものだ。なぜか分からないが、焚き火で作った焼き芋は甘くて美味しかったなあ。
 そういえば昔、「い~しや~きいも~」という声が聞こえると、急いで外に飛び出して焼きいもを買っていた。が、その頃はリヤカーに専用の石釜を積んで売りにきていたから、急がなくても十分間に合ったのだ。いつごろからか車で売りに来るようになったが、それも最近はまったく見かけなくなった。たまにスーパーに行くと電気式焼き芋機で作った焼き芋が売られているが、意外と値段が高い。今では焼きいもはケーキ店の高級スイーツの一つにもなっているそうで、とても子どものおやつにはできないね。
 偶然だが、先日の購読紙に「焼きいもは、なぜ甘くなるの?」という質問があった。その答えは「サツマイモに含まれるアミラーゼという消化酵素がデンプンに働き、糖分子に分解する。70℃前後になるとこの分解が盛んになり、それを長時間持続すると、甘くておいしい焼きいもになる」ということだが、知らなかったなあ。

 また灰の話にもどるが、線香立ての灰は長い間には増えるけど、新しい線香立ての灰はどうするのかな? 昔は田んぼで稲わらやもみ殻を焼いて灰を作ったらしいが、昨今は、燃やした煙が目や喉を痛めるほか、視界不良を引き起こし、交通障害の原因になるというので今は野焼きも禁止されている。
 しかし、たかが灰、されど灰だ。仏壇の線香立ての灰は何の灰でもいいというわけにはいかないと思うのだが…。が、 昨今は線香立ての灰が通販で売られているそうだ。通販というとちょっと抵抗感があるが、仏具店の灰だってどうやって作った灰かは分からない。

 灰といえば有名な逸話がある。江戸時代、名奉行大岡越前守が、不貞を働いた男女の取り調べで、女性からの誘いに乗ってしまったとの男の釈明に納得がいかず、自分の母に、女性はいくつまで性行為が可能かを聞いた。すると母は、黙って火鉢の中の灰をいじって「灰になるまで」と伝えたという。
 昔の「人生50年」と言われた時代なら「灰になるまで」も納得できる。が、今の「人生100年」という時代だったら、越前の母はどうこたえただろうか、そう思ったらおかしくなった。さて、現代の女性はどうこたえるだろうね?

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