つれづれに 

老いてゆく日々、興味ある出来事に私見を添えた、オールドレディーの雑記帳です。

たった3人の野球部の尽きぬ情熱、・・・

2009-07-13 | いい話ですね
 そろそろ全国各地で、夏の高校野球の地区大会が始まった。悲しい事故のニュースもあったが、ほのぼのとしたニュースもあった。10日のスポーツニュースにあった、『たった3人の野球部…始球式で終わる「夏」』という記事である。
 秋田県の県立米内沢高校は、野球部員が女性マネジャー含め3年生3人だけ、新チーム結成から1年間、一度も試合ができなかった。昨夏の初戦では、柔道部とバドミントン部から1人ずつ借りた11人で、4強入りした新屋高校と対戦。敗れはしたが4対6の接戦を演じ、周囲を驚かせたそうである。だが、その試合を最後に先輩6人が引退、同級生1人も野球部を去り、2人だけの練習が始まったという。
 お堅い県高野連も粋なことをやるものである。「毎日練習してきた努力をたたえたい」という異例の計らいで、11日に開幕する夏の高校野球秋田県大会で、開幕戦の始球式に出場することになったという。彼らの驚きと喜びは想像するまでもない。

 これによく似た話がわが岡山県にもあった。7月2日、ローカル紙の「地域スポーツ」欄に掲載された、『尽きぬ情熱 矢掛』と題した高校野球関連の記事である。(原文のまま)
 『「さあ、いこうで」「オッケー、ナイスボール」。矢掛運動公園野球場(岡山県矢掛町矢掛)に声が響く。キャッチボールをするのは矢掛3年生の藤井将大、石井祐充、高下勲。野球部としては少々寂しい人数だが、表情も、動きも、実に生き生きとしている。
 2004年、矢掛商との統合を機にスタートした矢掛の硬式野球部。生徒数の減少で、もともとあった軟式野球部との併存が難しくなり、昨春から部員の募集をやめた。昨年の夏の大会は藤井ら3人と上級生4人、他部からの助っ人を合わせた10人で出場、1回戦で敗れた。
 上級生は部活動を引退。藤井らだけが残った。たった3人の野球部。その後について考え、話し合った。軟式に移ることもできたが、藤井と石井は「大学でも硬式をやりたい」、高下は「続けてきたものを最後までやり遂げたい」と活動の継続を決めた。
 当然ながら試合はできない。放課後約2時間と土日に練習を繰り返すだけ。だが、好きで選んだ道。決してだらけてはいない。「何なら、そのグローブの並べ方は」。中江秀樹監督の大声に直立不動の3人。道具を粗末にしない、大きな声であいさつをする―。高校球児の基本が徹底され、伝統校顔負けのきびきびとした雰囲気を保つ。
 それぞれが目標を持っている。投手の藤井は「大学に入るまでにシュートなど変化球を覚える」と自宅でもトレーニングを積む。「走攻守すべてのレベルを上げる」と石井。高下は「球場のフェンスを越える打球を放つ」。3人が野球を続ける原動力になっている。
 5月初旬、実戦で腕を試す機会が訪れた。中江監督の働き掛けで、部発足以来のOB約30人が集まり、同球場で試合を行った。左翼線二塁打を放った高下は「久々に試合ができて心の底からうれしかった」。他の2人も野球ができる喜びをかみしめた。
 藤井らはこの夏の大会を機に引退し、部活動に区切りをつける。卒業すれば部もなくなる。最後の夏を前に、思わぬ“プレゼント”が届いた。全国選手権岡山大会の開会式(7月15日・マスカットスタジアム)の入場行進で国旗を持って歩くよう要請があった。3人の頑張りを耳にした県高野連の粋な計らいだった。
 「最後にユニホームを着てマスカット球場を歩けるなんて…。多くの人の支えのおかげ。精いっぱい歩く」と藤井。試合には出られなくとも、他の選手たちと同じ舞台に立てる幸せを感じている。白球への尽きぬ情熱を燃やし続けてきた3人。いよいよ高校野球生活をまっとうする』。

 この2つの記事は何だかドラマにありそうな話だが、やはり高校球児は純真でひたむきなところがいい。日々努力していれば、いつかは誰かが認めてくれるという教訓そのもののような話だが、なかなかこんなふうに気に留めてくれる大人は少ない。何年か前に話題になった特待生問題では、融通の利かない高野連の判断に野球の道を閉ざされかけた生徒もいた。また、監督・コーチの不祥事などもあり、とかく批判の多かった高野連だが、こんな粋な計らいをする高野連もあるのだとうれしくなった。子ども達の成長する過程にはこうした大人たちの愛情と理解が大いに影響するのである。この2高校の選手たちにとって忘れられない最高の夏となったことであろう。
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2 コメント

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野球 (おくだっち)
2009-07-13 09:42:11
小学生にソフトボールを教えていて、少子化でチームが無くなっていく中で学校の連合チームを結成し、更に市全域の底辺の拡大のため、ジュニアソフトボール連盟を立ち上げ、今50のチームが連盟に参加しています。
地域だけで子供が揃わない所は、クラブチームを作ってもらったり、技術向上を望む子のために連盟の選抜選手による活動も行っていますが、高校も他の学校との連合やクラブチームを高野連が認めてくれれば、子供は張り合いが出るでしょうね。

私の教え子達は、あちこちの高校に散らばりましたが、その活躍を目にするのも楽しい事です。
夏の地方大会が始まりましたので大忙しです。
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Unknown (オールドレディー)
2009-07-13 13:43:53
♠おくだっちさま
少子化の影響は思わぬところにも出始めたようですね。
強豪と言われる学校には他県からも生徒が集まってきますが、弱小校ともなれば選手がいなくて廃部に追い込まれてゆく。でも最後まで諦めずに練習してきたこの子達は立派ですね。。


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