令和4年11月13日
デジタル庁ーマイナンバー法改正で議論
利用事務範囲、政省令で規定も
デジタル庁でマイナンバー法改正に向けた検討が進んでいる。
同庁は有識者らでつくるワーキンググループ(WG)を設置。
マイナンバーの活用について、利活用の拡大や、従来の社会保障と税、災害対策の3分野から広げるかどうかが焦点だ。
同庁は情報連携を柔軟かつ迅速に行う観点から、利用事務の範囲を法律ではなく政省令で定める案をWGに提示した。
WGは年内をめどに取りまとめを行う予定。デジタル庁は出た意見も踏まえ、来年の通常国会に改正法案を提出する見通しだ。
◇新たな情報連携、迅速に
マイナンバーの利用や情報連携を行う主体、事務や情報項目は、現在3分野の範囲内でマイナンバー法の別表に示している。
別表1では約100項目に及ぶ利用事務を列挙。事務の実施主体のほか、根拠となる個別法なども明記している。
別表2は1を前提に、具体的な連携の対象とする情報項目を規定。情報の照会者や提供者、利用する情報などを定めている。
現在、マイナンバーを用いた情報連携を新たに行う場合は法改正する必要があり、システム改修などを含め最短でも2年程度必要になる。
デジタル庁は、別表などにある項目の一部は政省令で定めることで、マイナンバー利用事務を迅速に行えないか検討。
例えば別表1を念頭に、法律では「厚生労働大臣」など事務の実施主体を示すにとどめ、詳細は省令で定めるイメージを持っている。
また主体に加え、「医療保険に関する事務であって主務省令で定めるもの」などと分野・種類を挙げるイメージもWGに示している。
利用事務の詳細を法律でなく政省令で定めるようにすると迅速な情報連携が可能となるが、国会の審議を受けずに使途拡大が進む懸念もある。
WGの意見なども参考に、デジタル庁は慎重に制度設計を進める方針だ。
この他、デジタル庁はマイナンバーを利用できる行政事務の範囲を、現行の3分野から
▽引っ越しの際の自動車の登録変更手続き
▽在留外国人の手続き―などに広げる案も示している。
◇マイナ保険証、様式見直しも
政府は2024年秋をめどに健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に切り替える方針を打ち出している。
これを受け、デジタル庁は申請手続きやカードの様式などの見直しも進める。
現在、マイナカードでは顔写真の表示を義務付けているが、成長の早い乳幼児らは不要とする方向で調整している。
マイナ保険証に全面的に切り替えるなら、こうした課題もクリアする必要があり、デジタル庁は法改正に盛り込む事項を洗い出す。