静まりかえった夜 私が時折訪れるこの館は
冬の嵐が吹き荒れた日以来 時が止まってしまった
春の扉の一つを開けると そこには満開の桜
振り仰げば 舞い落ちる花びら
夏の扉の一つは 雄大な夏山の峰々
刻々と色を変える 黎明の空
秋の扉の一つは 燃える紅葉
踏みしめる落ち葉
冬の扉の一つは 純白の雪
人を寄せ付けない冬山への畏れと憧れ
どの部屋にも
この館の主と訪れた客人との笑い声や称賛の声が木霊している
私には主の姿は見えないけれど
彼の愛情 夢 感動 苛立ち 失望がすぐそこに息づいているのを感じる
私の歩みは遅くて 開けていない扉はたくさんある
でも 今いる部屋で感じるのは いつもと違う 彼
その道は危険だと知らせる声も 彼には届かない
触れようとすれば すべてが揺らめきのなかに消えてしまう
見えない時間の壁が私たちを隔てている
急に疲れを覚え 扉をそっと閉める
私はゆっくりと一つ一つの部屋を見ていこう
最後の扉を 開きたくないから
何のことだろうと思われる方もいるでしょうね・・・
私がこのブログを作ったきっかけは、風さんの夜景撮影会に偶然に参加したことなのです。
初めてお会いした日から1ヶ月も経たないうちに、風さんは冬山で亡くなりました。
何も知らないでお会いしたのですが、その後、彼のブログを最初から少しずつ見せていただいています。
もちろん、写真は素晴らしいのですが、私の関心は風さん自身にもあります。
亡くなっても、ブログの中で、彼を感じることができるというのは不思議なことですね。
ちょうど、昨年の夏ごろの記事を見ていて、彼の中の変化を強く感じて、この文を書かずにいられなくなりました。