風の星
新宮晋 作・絵
福音館書店
あたたかい光の中で生まれた風が飛び出して旅に出る。
海へ 砂漠へ 草原へ ・・・
風と一緒に美しい地球を旅します。
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関東には「春一番」が吹いたそうです。
最大瞬間風速が15.9メートルだったとか。
午前中は暖かったのに 午後から冷たい強風がビュービュー
犬の散歩で歩いていると
木がザワ~ザワ~としていて しばらく、それを眺めていた。
風と木のハーモニー
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木は黙っているから好きだ
木は歩いたり走ったりしないから好きだ
木は愛とか正義とかわめかないから好きだ
ほんとうにそうか
ほんとうにそうなのか
見る人が見たら
木は囁いているのだ ゆったりと静かな声で
木は歩いているのだ 空に向かって
木は稲妻のごとく走っているのだ 地の下へ
木はたしかにわめかないが
木は愛そのものだ それでなかったら
小鳥が飛んできて 枝にとまるはずがない
若木 老木
ひとつとして同じ木がない
ひとつとして同じ星の光の中で
目ざめている木はない
木 ぼくは君のことが大好きだ
( 田村隆一 ・詩集 『 木 』より )