「とん ことり」の音がして

暮らしの中で 絵本と私

いせひでこ展

2011-02-21 12:05:17 | 書籍・絵本


  

  旅する絵描き 「いせひでこ」展

   ルリユールおじさん、大きな木のような人、あの路をはじめとする
   創作絵本や宮沢賢治作品に取り組んだ「よだかの星」などで
   知られるいせひでこさんの展覧会に行った。
   (世田谷文学館・2/11~3/31)
   出迎えてくれたのは本に顔をうずめる少女、 
   わぁ、きっと これ、タイムスリップした いせさんね。
   

  

    私は いつもいつも 白い紙に顔をうずめてきたが
    それは 喋らなくてもすむ世界だったから
    絵が上手いとか好きとか以前に
    気持ちの言語化が ひどく苦手な子どもの
    生きる手段だったのだ。
                                記憶/ 再生より

   

   歩いて感じて
     思いめぐらし過ぎているうちに
     風景に次々と わき道に ひきずり込まれる
     より道の より道の果て
     スケッチ帖は 名前もわからない摘み草と予期せぬ風景で
     いっぱいになる
     時刻表や地図も全くあてにならない
                    記憶/再生より

    

      「七つめの絵の具」  いせひでこ 平凡社

      保育園のかたすみに誰も見向きもされなくなった
      ボロボロの絵本やキンダーブックやコドモノクニが
      もう本とはいえない形で積み重ねられていた。
      毎日そこにひとりで座り込むと
      一枚一枚ばらし好きな絵にはさみを入れ
      気に入った主人公たちをつなぎ合わせては
      勝手な物語をしたてて遊んだ。
      絵本はこわすものであり再構築するものだった。
                                   ( 書籍・本文より )

      原画の前に佇んでいると
      風景を感じ 風を感じ
      透明な時間の中にいるような錯覚を感じた。
      空の色や風の匂い
      なんの変哲のない、ごく普通の日常のシーンであっても
      すべての移ろいは1回限りのもの
      2度と同じことは戻らない。
      そんな時間の切なさを愛おしいほど いせさんの絵で思う。
      この空間に出会えて幸せだった。
      人の心を知ることは・・・人の心とは
      あなたのつぶやきが聞こえてくる


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