晴耕雨読とか

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里山探索記vol.3

2015年04月08日 | 
集落の畑の脇を降りると、藪に覆われた小さな墓地があって、その横を降ります。

が、いきなりすごいササ藪。アズマネザサが密生して、かなりしんどい道です。
でも、ビニテが木に結わえられていて、確かにこれが道のようです。
さっきのルートとはいきなり違いますね。



ようやく沢に出ました。
最初の沢の下流と言うことで、さすがに水量も少し増えました。


道は沢沿いを通っているようですが、一部ササもひどいので、沢を下ります。
ときおりゴミが落ちていたり、スギの倒木が沢をふさいだり、やや荒れています。
しかも、石に藻類が密生していて、かなり水が富栄養化している感じです。




んー、さっきはそんなことなかったのに、これは上の集落の影響かな?
やっぱり畑から有機塩類がじゃんじゃん流れ込んでいるのでしょうか?

こんな感じだと、カジカガエルもいそうにないなあ…。





ヒトリシズカが咲いていました。




んー、エイザンスミレかな。




これはナガバノスミレサイシンかな。



ずんずん沢を降りて行きます。



沢沿いに人工林の斜面が崩れているところが何カ所かありました。




見上げると芽吹き始めた木々が儚げな感じです。


沢の溜まりでようやく魚を見つけました。



カワムツでしょうか?



沢を降り、少し大きめの川と合流するあたりで少し迷いました。
GPSで現在地を確認しながら、雑木林を抜けるといきなり断崖絶壁…。

おおー、反対の沢を降り斜面を登り切ると、今度は細いリッジで、またその先は断崖。
んんー、地形図では読み取れなかったのですが、かなりえぐれた地形になっています。

リッジを慎重に上がると今度はササ地獄!



道はあるはずなのですが…。

ササの海を一歩一歩かき分けていくと、ぽんっと、登山道にでました。
いやー、ちょっとコースを外れていたのかな…。

そこから人工林を抜け、川に出ました。



じつは、地形図上のルートはこのあたりで終わっていて、
でも、まぁ、繋がってるんだろうと思ったのですが、
いきなり小さいけれど滝があり、左右は崖になっています。

さて、どうしたもんかと思ったところで、周りを見回すと、
どうも対岸に道があるようで、浅瀬を渡ると、ビンゴ! 荒れた作業道が続いています。


しばらく上ると車道にでて、今回の里山探索は終わりました。
ちょっとほっとしましたね。
ここから1時間ほど歩いて車に戻りました。


 *


たった3時間程度の探索でしたが、なかなか手強くて楽しいものでした。
そして、いろいろ考えさせられる探索でもありました。

この地区はすてきな山里だけど、沢は荒れていて、水もきれいではありませんでした。
沢には不法投棄も散見され、それでいて人の気配がなく、生き物の気配も薄めです。


人が住んでいる山の中腹から上は、なかなか整備されていたけれど、
その下は、「水に流す」悪しき日本人の姿を感じる、
まぁ、その意味でも典型的な日本の里山なのかもしれません。

一般に里山の問題、あるいは里山での取り組みというと、
突き詰めれば地域と森林の関係に集約されることが多く、
人の暮らし、農のありかた、森との関係性の問題です。


でも、この里山を歩いて思ったのは、忘れられた「川」のことでした。

急峻な地形で、標高200~300mを流れる小渓流は、
釣りの対象となる渓流魚が生息していないため、
「釣り」という関係すらなく、人との関わりはほとんどないように見えます。

この場所のような川を見ると、「里山資本主義」も「森は海の恋人」も
まったく関係がない世界のように思えてしまいます。




そして、ここはリニアの残土処理のために買収が進んでいるという噂があります。



数年後には、膨大な土砂に埋もれてしまうかもしれないのです。



確かにたいした自然ではありません。
だからこそ、こんな話が水面下でうごめき始めているのでしょう。


でも、貴重の生物がいるからとか、人との関わりが深いとか、
そういうことがなければ、ただのゴミ捨て場になってしまっていいのか…
というと、そうではないと思います。


理念的にも、論理的にも、なにかが足りないですね。


また、この場所を歩こうと思っています。


(終わり)











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