二銭銅貨

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ルル/MET15-16舞台撮影

2016-02-06 | オペラ
ルル/MET15-16舞台撮影

作曲:ベルク、指揮:ローター・ケーニクス
演出:ウィリアム・ケントリッジ
出演:ルル:マルリース・ペーターセン
   令嬢:スーザン・グラハム
   シェーン博士:ヨハン・ロイター
   アルヴァ:ダニエル・ブレンナ
   父:フランツ・グルントヘーバー

新聞紙あるいは雑誌記事の上に黒と赤の墨で描いた絵をプロジェクターで舞台上に映す趣向の美術。スライドショウ、あるいは動画で人物やものを動いているように見せる。最初から最後までこれをやっているので、作成された映像はかなりの長尺だ。舞台上の人物もそれに合わせた振付で動いているし、小物や衣装も新聞紙っぽいもので出来ているものを頻繁に使っていた。大きな手袋や頭にかぶる円筒形の筒など。黙役のダンサーっぽい男女の2人がほぼ出ずっぱりでマイムを演じていた。舞台上の物には色が付いているけれども墨の印象が強烈すぎて、全体にモノクロの雰囲気の中に時々鮮烈な赤が現れるという感じがした。

オペラのオリジナルもこのプロダクションも時代設定は恐慌前後の退廃したムードのヨーロッパを舞台にしたもののようだったが、プロダクションからは現代の殺伐無慈悲な印象が強く感じられた。滑らかに腐り墜ちて優美に熟成されたような部分もあるオペラだと感じたが、このプロダクションではそう言った甘い部分はあまり出さずに、ディジタルに世の中を切り裂く切り裂きジャックのような厳しい演出だった。

音は現代音楽なので良く分からない。デボラによる各歌手へのインタビューによると何度も聴いていると良さが分かるらしい。

ペーターセンは安定して良く声の出るソプラノで芝居が良い。スーザンは声が綺麗、安定している。沢山歌手が出て来ていたが、全般に皆さん声が綺麗だなと感じた。演出があまりにも殺伐としているので、ちょっと気付きにくかったがそう思った。

印象にのこるインパクトのある演出で、現代音楽の無調と良く合っていたけれど、それだけに刺激の強さも倍以上だった。

15.01.17 横浜ブルグ13

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