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蝶々夫人/カルロフェリーチェ2014

2014-03-24 | オペラ
蝶々夫人/カルロフェリーチェ2014

作曲:プッチーニ
指揮:Valerio Galli
演出:Daniela Dessi
美術:Beni Montresor
衣裳:Alice Montini
照明:Luciano Novelli
演奏:Teatro Carlo Felice
出演:
蝶々夫人:Maria Luigia Borsi
ピンカートン:Fabio Armiliato
シャープレス:Sergio Bologna
スズキ:Renata Lamanda
ゴロー:Enrico Salsi

蝶々さんとスズキが花を集めるあたり、「ある晴れた日に」のメロディ(多分)が使われて一瞬の休止があるところで、舞台下手半分で上からドサッとオレンジ系のカラフルな花びらのようなものが大量に舞い落ちてくる。演奏中にもかかわらず、これに観客が大拍手。

2幕目終わりの静かなコーラスと間奏曲のところでは、舞台の奥に蝶々さん、スズキ、子供の3人が静かに向こう向きに座っている。舞台は暗く、奥がやや濃い透明感のある青で静かに波打っている。小さな3人の像がシルエットになって、蝶々さんの打ちかけは巫女さん衣裳のように見える。SF映画の一場面によう。音楽に調和した静かな場面で、幕間の一瞬の休止のところの大拍手を挟んで同じ場面が続いた。全体に良い美術、演出、プロダクションだと思った。

腕を胸の前で組む中国風の所作や美術、衣裳、結髪にやや中国でも日本でもない幻の東洋の国風の所はあったが、全体に和風の雰囲気は良く出ていると思った。特に後半の舞台奥に映写される襖絵は中々良かった。金箔に黒の大きな梅風の枝に花。小物もある程度和風になっていて、全体にそれほど違和感は無く、良く日本のものを調べているなと感じた。着物を舞台上で着替えるという演出もあった。着物も帯もマジックテープのようなもので簡単に脱着できるようになっていて、スズキが素早く衣装替えを手伝っていた。

金箔の屏風絵の下手いっぱいいっぱいの所に「希望」と漢字が縦書きで大書されている。これが後、自害の場面では屏風の色が白く抜け落ちて「希望」の文字が「死」に変る。屏風の上手部分では小さな赤い多分花びらが膨れ上がり、日の丸のような赤い大きな丸になる。一方、蝶々さんは星条旗を床に広げてその上に座り、そして刃が頚動脈に突き刺さるその瞬間、全画面は真っ赤に染まる。「蝶々さん、蝶々さん」ピンカートンの声は虚しく、幕は閉じられる。

舞台は奥行きも幅も高さもあって大きな空間だった。大きな空間をセットで埋めるのは大変なので、映像をうまく使って大きさを出していた。声も拡散気味で、全体にやや声量不足な印象を受けた。ただ、スズキと蝶々さんは良く声が出ていて、短いけれども花を散らす場面あたりの二重唱は美しかった。スズキのRenata Lamandaは声に張りもあり歌も良く芝居も良かった。やや猫背で神経質そうな所作にちょっとウルサイ感じの年配女性の雰囲気が良く出ていた。蝶々さんのマリア・ルイジア・ボルシは特にその後半は気合が入って良い声になっていたように思う。メイクも和風で、それなりに日本人ぽく見えた。

演奏は元気良く勢いがあって観客からの拍手も盛大だった。

マリア・ルイジア・ボルシは新国立劇場でフィオルデリージとデズデーモナをやったことのある人。演出のダニエラ・デッシーは別の回のタイトルロールで有名なソプラノ。

14.03.01 カルロフェリーチェ

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