ANANDA・Cafe

独善的偏向偏執的毒舌紅茶&カフェのブログ 真実は香り高く甘くそして…渋い 良い紅茶のようにね

R様ご依頼の件・その2:UKはロンドンだけでは無くてよ…《リントンズ・ティ EXTRA FLESH》

2013年05月20日 | 紅茶・ブレンド
GWのある日のことであった。
某乾物屋で100g・300円で購入したクソ安いニルギリをストレートで飲んで
“これは紙か?紙にしては美味い”とかマッタリ思っていると、我が家に郵便局から荷物が届いた。
開けてみるとそれは紅茶、紅茶、紅茶…。
差出人は…なんとあのR様である!

「前略、おいしい紅茶をお飲みでいらっしゃいますかしら?
クソ安い茶葉も、ブレンドの研究には欠かせないとは思いますが
今回はいろいろある中で、一つミッションを依頼致します。
先入観を無くすためにメーカーは敢えて伏せておきますが、
ほとんど日本では扱っていないものです。一応公式販売店はありますが。
これの〈EXTRA〉と〈デカフェ〉を今回UKから取り寄せましたので
思い切り誰憚ること無くこの無名のUKティをレビューして貰いたいのです。
外道な貴方の退路を断つために普通の紅茶とデカフェを両方用意しました。
がんばれ。なお、この手紙は1分後に消滅します♪【R】」

 ※R様すみません。頂いた手紙を正確にトレースする前に爆発してしまったので
  多少私の誇張的な表現が含まれ、正確さを欠いていると思って下さいませ。


華麗な謎をはらみつつ、R様のミッションは始まった。
いつもの「デカフェだけレビューしてあとはお茶を濁す…お茶だけに」が使えない
今回は絶たれた退路を遡上すべく、普通に正道を行くしかあるまい。
まずは“EXTRA”と書かれたTBのレビューにかかるか。
そしてなぜかクソ安いニルギリを飲んでいることがバレている
…超能力の類だろうか?(←“クソ安い”と頭に付けとけば大概透視と同じになる我が家の茶葉実態)


知らないものは「見て、嗅ぐ」ことから始まる。つまり野生動物の基本です。
目視では、このティーバッグはどう見てもスクエア…つまり四角形。

 

流行りのラウンド型ではないところが、クラシカルな感じを示している。
私が飲んだUK紅茶はほぼ丸型。しかし例外がヨークシャーティーとドーセットティーである。
この二社はスクエアTB…偶然かな? どっちも会社名に地名がついている。
双方ロンドンではないイングランドの1地方。
ということは、この紅茶もロンドンではない、どこかの田舎町のローカルティーである可能性がある。

さて、スクエアだろうがラウンドだろうが、会社の方針でしか避け得ない、TBの紙の「魚臭」はどうか。
これまでは四角いTBは漁港行きの片道切符だった。ではこの匿名紅茶はいかがだろうか?
うむ。少しその気はあるが、テトレーくらいの臭い。それほど魚臭さは気にならないようだ。

それでは、目視その2。
ティーバッグ破いて中身を出してみよう。

 

こっこれは細かい。この細かさは歴代3本の指に入るくらい細かい。
実物は写真より色が濃いし、黒い。白っぽいのは光の加減。赤みはこれほどではない。
艶があって、新鮮さがある。茶葉の香りは甘くグリニッシュなところも。
それほどケニアくさい感じはしない。
なぜか抹茶の香りに似ている。全体的に好印象。

さて、目視終わり。実際に淹れてみますかね。
いつもの通りのマグ・熱湯200ml・4分、TB付きで。

さて、蓋を開けると、少し赤みがかった水色。真っ黒ブラックティではない。

 

香りを嗅いでみると、おや? いい香り。UK紅茶らしからぬ。
これはケニアは半分、インド(アッサムかな)すこしセイロンぽい香りもあるような。
青臭さはさほどなく、少し甘目の花のような香りもわずかにする。いい感じ。
では飲んでみよう。

●ストレート

これは珍しく繊細な味がする。風味のバランスいいな。ものすごい濃さはないけれど、
ストレートでも飲めるような香りと濃さのバランス。
熱いとスルスルと良いのどごしだが、少し冷めると渋みが強くなってくる。
甘さはさほど無いが、キレがいい。ボディはミディアム。水っぽさはない。
これはPGtipsをほんの少し超えたか。

●ミルクティー

 

やはりミルクが美味しい。
ミディアムなのに、薄さを感じないキレはミルクで映えます。
わずかにグリニッシュさが出て、それが多少ヌワラエリアのミルクティに通じるものがある。
つまり、ボディーはそれほど強くないのに、香りと渋みでミルクを支えてなおかつ繊細さがあるってこと。
いいケニアを使ってるんじゃないかなぁ。このセイロンに似てるけどちょっと違う香り。
そして酸味が強くない。これはバランスのいい紅茶。あくまで私的な嗜好で。
多分私が飲んだご庶民UK紅茶の中で、香りと濃さが最もバランスが良いのでは?
値段がわからないので、これがご庶民向けかどうかは、R様の種明かし待ちですが!

●総評

とにかく茶葉の質が良い。新鮮でかび臭さが微塵もないのが良いね。
ミルクティーが美味しいのはもちろんのことだが、
ストレートで飲んだ時の風味は、PGを首の差抜いてトップ。
PGは味が軽い。赤ヨークシャーは濃いけど香りがいまいち。これの中間が欲しいと思っていた。
でも、中間のテトレーは個性がなくてケニアっぽいし、普通過ぎて案外パンチが無い。
セインズベリーはケニア過ぎて、好み的に普段飲みにはならない。
それに比べこのEXTRAはアッサム系の香りと味が強いので、
ケニアの酸味と土臭さがちょい苦手な私には好感度が高い。
ケニアは裏方に回っていて、甘みもあって、大変トラディショナルな安定感のある風味。
それと、紙の味があまりしないんで、それも良い。
がっつり濃いのが好みだったらヨークシャーを薦めるが。

とりあえずレビューをまとめてR様に送り、ミッションは終了。
あぁそう、デカフェのレビューもまとめて送りましたが、そちらは記事は後日。
一体どこの紅茶なんだろう? と答えを待つことに。


さてその後再び、R様から返信が届いた。

「前略、先日の名前を伏せた紅茶のメーカーを伝えます。
感想をお願いした例の紅茶は、UKの「Ringtons」のEXTRA FRESH&デカフェです。
今はメーカーの本拠地のニューキャッスル付近では
スーパーなどでも販売はしている様ですが、イギリス北部限定みたいで
Britstoreみたいなところには卸していないようです。
私もリントン社から直接ネットで購入しました。
そのリントンは日本でも福岡で扱ってる販売店がある様ですが
デカフェは扱ってないし、メーカーから取り寄せたのです…(後略)」


リントンズ…これはいままでまったく聞いたことのないメーカーですな…
これだけUK紅茶飲み漁ってたのに、おいらは一度も引っかからなかった
R様…どんな情報網持ってるんだ(笑)

というわけで早速リントンズを調べてみる。
アッサムとおとなし目のケニアっていう分析が合ってるのか、間違ってるのか…
うわぁ。やだなぁ~。答え合わせ!
だが、無慈悲に検索にヒットした福岡のリントンズ代理店。
《【英国RINGTONS社】公式 紅茶専門店 リントンズジャパン》
はああ…逃げ場はないぜ。
では仕方ない。EXTRA FRESHを見てみるか。

『リントンズのティーバッグ紅茶はブレンド紅茶が主流です。
100年以上の歴史の中で培ったレシピを基に、熟練の職人が妥協無くブレンドしています。
EXTRA FRESHはインド産のアッサム茶葉とケニア産のナンディヒルズの茶葉をブレンドしています。
茶葉についても通常ティーバッグには使われない様な、一番良いアッパーの部分だけを
贅沢に使用している非常にクオリティの高いティーバッグ紅茶です。』

おっと…なんとか首の皮一枚つながった感(笑)
詳しくは、EXTRA FRESHのリンク見ていただきたいんだが、やっぱり茶葉新鮮。
フレッシュいうだけのことあんねん。
お値段は、リントンズジャパン価格:300g/2000円…100gで666円だから日本価格にしてはコスパは良い。
では、現地のRINGTONS.UKのHPを見てみよう。100P(300g)/£3.09=482.15 円…100g/160円(←紛れもないご庶民ティ価格)
しかし、海外はデリバリーがかなり代金かかるんで、£3.09+£8.50(送料)=£11.59=1,808円
それでも、200円弱安いな。

創業は1907年。100年続く老舗パッカー。
ロンドンでもめったに見ないローカルティー。
ニューカッスル周辺以外の地域は、オンラインショップじゃないと買えないそうで。
しかもいまだにリントンズバンで紅茶を販売する伝統の宅配紅茶。昔は馬車だったとか。
日本には2011年に導入。「英国以外では世界初!弊社のみの取り扱い」だそうだ。
福岡の社長、頑張ったね。


そして、なおかつ調査は続く。なぜかというと、このニューカッスル(正しくはニューカッスル・アポン・タイン・Newcastle upon Tyne)、
北東イングランドに位置する人口30万の街だが(どおりでスクエアTB)、どうやら軟水の地域らしいのだ
裏を取るべくいろいろ漁り、見つけたのがこちらのブログ。
『英国人とのLovely生活 in Nanjing』 2012-01-14 「リントンティー」
こちらのご家族がニューカッスルに住んでいらっしゃるとのこと。
そして、どうやらイングランド北部は軟水地帯があるという。
「イングランドで、軟水用のブレンドとして代表的なのは、ニューカッスル生まれのRington(リントン)。」
ということが書いてあります。
スコットランドは軟水だっていうのは知ってたけど、イングランドにもあるというのは初めて知り、
これは日本で飲むには赤ヨークシャーティーとスコットランド以外にもリントンがイケルという新発見
すんばらしいですR様! 塩入れなくてもいいですよこれなら!

…といいつつも、知らずにレビューしてるさなかに
「やはりUK紅茶には塩入れて硬水にしよう」と塩入りにしてミルク入れると、ボディは安定するんですよね
香りは弱くなるんですが。ミルクティーは若干の硬度は必要かな…と。
塩入れなくても美味しいんですけどね。
でも、このリントンをロンドンで飲んでもやっぱり美味しくないと、上記のブログには書いてありました。
ほんの少しだけ硬度を上げると良いかもですな。
スコットランドよりは、若干硬度は高めのようです。

調査中、良い資料を発見したので貼っておく。
テイラーズオブハロゲイトのUKのHPにあった画像
「Water’s always been important

 

知らないつーのは恐ろしいことだが、なんだよ…硬水の地域のほうが狭いじゃんUK!
ただし、ロンドンは圧倒的な人口があるんで(UK総人口6203万人に対して、ロンドン人口約817万人)
住んでいる人は硬水地帯の方が多いんでしょうかね。
ちなみにアイルランドも軟水だそうですので、アイリッシュティは日本でも美味しく飲めます。
実際ビューリーズはとても美味しい。


さて、リントンは私の想像上のUK紅茶のイメージ通りの紅茶だった。
どのUKのブランドよりも、私の歪んだヴァーチャルなはずのUK紅茶イメージ通りで多少驚いている。
明るくて陰影のない王道の風味。安心して何も考えずに飲める。これは大事。
こんなUK紅茶が欲しかった、と思わせるブレンド。リピートありかもな。
他のラインナップも飲んでみたいと思わせる今回の試飲だった。
リーフもあるので、そちらに興味津々です。
しかし今回のミッションには「UKの水質について理解を深めろ」
というR様の仕組んだ隠されたテーマがあったのかも知れない…違うかも知れない…

次回のレビューはここのデカフェの予定。
あくまでも予定ですがね(笑)



UKスタディ後、トワイニングの赤缶を再評価してみる TWINING並行輸入イングリッシュ・ブレックファスト

2013年04月29日 | 紅茶・ブレンド
ロンドン五輪…だったからというわけじゃないが、去年1年かけてやってきたUK紅茶研究。
デカフェという新たな分野の開拓も含めて、今までの紅茶観の、あるエポックとまで感じた経験だった。

UK紅茶はミルクティーのために存在する…およそ95%くらい。

…というわけで、Nirvana・cafeは過去に犯したひとつの間違いに気づく。
それは、神戸に来る前に飲んでいた並行輸入のトワイニングの赤缶、
つまりイングリッシュ・ブレックファストを間違った認識で飲んでいたことだ。

それはまったくもって日本人の紅茶飲みらしい誤謬である。
香りを重視し、ストレートを評価することが紅茶の良し悪しと思っていたあの頃。
そんなんじゃない、そうじゃないんだ!UK紅茶、しかもE.B.Fはミルク以外の選択はない!
こんなに大人になれるなんて…ある意味感動。
同じ並行輸入のオレンジ・ペコにあの日負けたと決めつけたイングリッシュ・ブレックファストを
悔しいが、ここで過ちを正し、新たな視点から再評価しなおすことにした。

僕が未熟だったんだ。待たせてごめん。今から行くから…(←きゃー!やめてー!背中がゾクゾクするー!)

と、UK紅茶のティーバッグのような臭いセリフで、一路安い赤缶を買い求めに走った(←ガチの徒歩です)。
某輸入食料品店、価格は200gで598円。なんとその日はそこから10%オフ!ラッキー!
で、539円なりの取引を終え、100g/269円という、もう納得のコスパ過ぎて、神々しささえ感じる価格。
もうこれでいいじゃん、PGとか通販する必要がどこにある?
そう、美味しければこれでいいじゃん。歩いて買いにいけることが至上なんだよ、結局!
コスパを維持する戦いは、常に送料との戦いなのだ。550円…650円…もういやだ。
パトラッシュ… 疲れたろ…僕も疲れたんだ。歩いて…買いに行こうよ…

ええ…言いたい放題弱音を吐かせていただいたので、さっそくレビューに移る。
以下、茶葉の画像



茶葉はセイロン&インド。
あれ、ケニアって入ってなかったっけ?
確かに茶葉の匂いを嗅ぐと、あの酸味と日向で焦げたようなケニヤっぽい香りはしない。
そういう意味では、今どきないクラシックなブレンドかもしれない。
(TWアイリッシュ・ブレックファストはインド・ケニア)
細かいBOP。CTCはかけらも入っていない。
黒い茶葉の間にチラホラと少し撚りの浅い茶色の茶葉が見える。
香りはある方だ。まあまあ新しいが、ほんのり埃っぽい香りもしないわけではない。
ああ、だが、この値段なら、分相応。

さあ、再評価の時は来た。淹れてみよう。
いつもの通り、3g・熱湯160ml・4分、でいく。



さて、久々の再会。印象は変わっているか?

●ストレート

香りはセイロン主導。
以前より香りを感じるのはご庶民UK紅茶をたくさん飲んだからだ。
つまり、ミルクを入れないと発動しない風味のご庶民UK紅茶。
だが、地元民からはPOSHと言われるだけのことはある。
ストレートのうちからまあまあ香りがある…前は気づかなかった。
つーか、これ程度で“香りがある”という評価なんか下さなかった。
PG並には香りがある。PGより香るくらいである。
でも、リプトンのブリスクでも、これくらいは香るよな…
さて、味はどうか?
熱いうちから渋味がある。多少喉に来る。
案外濃くない。そこもPGに似てる。
そんなに上品さは感じない。
ブリスクみたいな低級品さの中のバランスを感じる。
茶葉自体の甘味はない。
多少青臭く、ニルギリぽさがほんのり。

●ミルクティー



ミルクを入れると渋味がコクに変身。
香りが残るのでパンチより繊細さが映える。
ミルクの甘味でカバー。若干の酸味。
他のUK紅茶に比べると案外軽い感じである。
ケニアがないからだろう。
3gでは物足りないかも知れないから茶葉は少し多めで…
うん、茶葉多めじゃないと、意味がない。
だってこれイングリッシュブレックファストだろ?
ミルクに負けないのは4gくらいじゃないかな?

●総評

再会して思った。それなりに印象は変わっていた。
だがやっぱり同じ値段でトワイニング買うなら、オレンジペコ薦める(笑)
赤缶は値段通りの味。不味くはないが、オレンジペコのほうが、風味全てにわたってコスパの良さを感じる。
赤缶、ブリスクの感じに似てるなぁ~。ちょっと紙の味がするんだよね。
でも、頑張って通販で送料払ってPGとかテトレーとかのUKご庶民紅茶を買うなら、
赤缶でなにも問題はないような気がする。だって100gあたりならPGの半額前後で買えるんだぜ?
もういいじゃん、これで(笑)

せっかくなので、最大限に美味しさを引き出そうと試みた。
粗塩をほんのひとつまみ入れて硬水にして150mlでミルクティー淹れてみる。
うん、これは美味しい。香りは多少なくなるが、渋みが減り、コクが出て甘みが増す。
口に入れた時の香りの立体感が増す。
硬水用の茶葉。ガチで硬水じゃなきゃこれは真価が現れない。
まあ、それはどのイングランドの紅茶でもそうなんですが。
粗塩は必須です。入れすぎると塩味がうるさくなるので、量は加減して下さいね。

でも、オレンジペコのほうが美味しいと思う。


再会してみて、印象はそれなりに変わっていた。
それでもやっぱりリピはない。塩入れて美味しいと言っても、きっとリピートしないんだろな。
それはいま、もっとコスパのいい日東のブレンドを見つけたからなんですけどね。
日東は日本の水に合ってるんですよ。当たり前だけど。いずれレビューします。
いちいち塩添加するのもめんどーなんで、毎日のことなんで。
でも、トワイニングの並行輸入オレンジペコはリピートすると思う。これは軟水でもいけるんだな。

それでは最後に、Amazonのトワイニング赤缶の通販に寄せられた、身も蓋もない素敵なレビューがあったんで
これをコピペして筆を置くこととしよう。
この人はわかってるな(笑) 罵倒するツボが同じ気がする。

ではまた!


▼問われる存在意義
『値段を考えたら文句言うのもなんなんだけどもこのEBFは日本的な使い方では茶葉として同社のセイロンOPに優る点が
ほぼ皆無である。じゃあ何がEBFなのかと言えば、ドサドサ茶葉入れて呑気に蒸らして濃厚な汁にミルクを大量投入する
英国庶民イズム。この局面においてのみこの茶葉はセイロンOPに初めて雑味のなさで優るのではないか。そんな飲み方を
する方だけにお勧めの香り低い凡庸な雑味の出なさだけが光る茶葉、でも安いから★4つ。』


無銘の紅茶ハンター、謎のUKご庶民紅茶をゲットする…そしてUKご庶民紅茶マスター試験開始! Welma Blend

2012年12月30日 | 紅茶・ブレンド
無銘のセイロンハンターとは名付けてみたものの
なんか、ネズミを捕まえてくるニャンコ状態のうちの旦那です。
お散歩コースもだいぶ歩いたところにデカいドンキホーテがあるんですが、
そこの紅茶売り場で「ニャー」と鳴いたと思ったら、
見たこともない輸入紅茶の箱を前足でちょんちょんしてる

「125gで398円はお買い得じゃないか?」
「またですか!それはどこの馬の骨…じゃない…なんの紅茶なんだ?」
「うぇ…うぇるま~?」
「WELMA…確かにウェルマ…だろうな、この字からすると」

確かに125g・398はお値打ちだよ。だがな…それは美味い紅茶に限っての話だぞ?
よく見れば、外箱の裏に日本語で印刷が…この時点で怪しいよね(笑)
ほんとにイギリス紅茶なのかよ
某有名な“なんちゃっておフランス紅茶”もそれっぽくまかり通ってるくらいだからな
外箱のロンドンブリッジの写真がいよいよ怪しく見える

  

うわ~…普通、写り込んだ工事中のビルとかフォトショで消すだろーがよ
(右の写真(左の写真の部分拡大)…屋上にクレーン写ってるの見えます?)
弾頭のようなビルは「30セント・メリー・アクス」




「ウェルマティーはイギリスの伝統的なアフタヌーンブレンド。
 芳醇で力強い味わいはミルクティーに最適です。」

ブレンド国:イギリス
内容量:125g(40ティーポッド)
原材料名:ケニア・インド・スリランカ…

ちょっと待ったああっ!
どの口がアフタヌーンブレンドだって?
思いっっっきりイングリッシュ・ブレックファストだろーが!
この値段でこの「インド」がダージリンってか?
笑わせんじゃないですよ(笑)←もう笑ってる

…まあいい。本当に笑うのか謝るのかは飲んでからだ

こんなの買うの?…という私を尻目に
いいネタ見つかった♪とばかりにレジに急ぐ我が夫
あああ…また125gのどこの馬の骨味のTB紅茶が我が家にorz
「いいじゃん、俺が買うんだから」
「そうですね。諦めます」

そんでもって、帰宅
「早く淹れてくださいよ~」と旦那ワクワク
「うう…淹れますよ淹れりゃいいんでしょ」私は不安でドキドキだよ
これがクソ不味かったら全部飲んでもらうからな
では開封の儀でござる



こっ…これは…まるでPGtipsの40P仕様の外箱
キターーーー!外箱直入れー!箱の中ダストまみれ!
そして今流行りのラウンドTB
もしや、これはUK紅茶の証ともいえるいりこだしパックか?

くんくん…

ひぇーやっぱり漁港にさらわれたー!!(←UK通常運転)

間違いない。UKご庶民紅茶だ。

まあ、125gを40Pに分けてある時点でわかってはいたんですがね(笑)
これは間違いないな
やっすいUKのブレンド紅茶だわ
輸入でこの値段はないわ~売れ残りをドンキが買い叩いて引き取ってきたのはほぼ勝手に確定
絶対にアフタヌーンティじゃないし(笑)
香りが無くて、ミルク入れないとスイッチ入んないアレだ

…あれ?なんなんだこの達成感は?
しかもまだ淹れてみてもねぇんだぞ
ここでワタクシ、ふと自分の判別力が格段に進歩していることに気づく
1年前はこの紅茶見ても、UKのデフォなご庶民ティだなんてわからなかったはず
スゲェ。ある意味すげぇ
学んでしまったのだ…この半年くらいの間に(キラッ)

…はっ!?
つまりなんだ、これってもしかすると
紅茶の神が与え給うた、UKご庶民紅茶マスターレベルの認定試験では?
いままで五官と情報を駆使して分析を繰り返してきたUK紅茶
この謎のWelma紅茶の出現は、その蓄積が実戦で応用段階に到達するフラグなのでは?(←なんのRPGだよ)
そう、HPもどんな攻撃系なのかも不明
その要素を戦う前に一目で見抜く…まさにそれは達人の技だ
そのマスタリーレベルに到達したのか、まだそれは幻想なのか?
そうだ、ここは引くべきじゃない。それを確かめに行くのだ
ネコよ、よくやった。君の捕まえたネズミはただのドブネズミじゃない!(←JUMP風に読んでね)
イギリスのドブネズミだ!(結局ほめちゃあいないなぁ)

淹れましょう…旦那お待ちかね

ありがたいことに、いりこパックはTetley程度(懸命な諸君ならこれがどんなグレードなのかお分かりのことだろう)

しかし、あの記事の順列がこの度更新されたので、一応書いておく

 _______________

《UK紅茶TBの紙臭=いりこ度》

旧:PG<<テトレー<M&S<<ヨークシャー<クリッパー
(『UK紅茶第2期の最後を飾る高級スーパーMARKS&SPENCER 自社ブランドM&Sデカフェ紅茶!』から抜粋)
         ⇓ ⇓ ⇓

新:セインスベリー<PG<<テトレー<M&S・TESCO<<ヨークシャー<クリッパー

 _______________

セインズベリーの素晴らしさ…いけない。脱線しそうだ


これは、とりあえずTBごと淹れてみよう
いつものようにマグ・熱湯200ml・4分

そして蓋を開けると



まっくろ
ブラック・ティです
いつものUKティそのもの
さて、香りはどうか

▼香り
意外にもわりと甘い香りがする
ケニア>セイロン、だが、ものすごくケニアの香りでもない
だが多少魚臭い…テトレーぐらい
どうひねっても、アフタヌーンブレンド的な香りじゃない
次にストレートで味見

▼ストレート
甘い口当たりだが、味が甘いわけじゃない
見た目濃いのに、コクがない。さっぱり
少し渋みがのど越しにくる。いい渋みではない。口に残る
安いケニアの青草っぽい感じの風味が最後に出てくるが
それほどひどくない

▼ミルク
コクがないがあっさりした甘さ
平面的。立体感なし
少し水っぽさを感じる
色は濃いのに、ミルクを入れると負けて風味が乏しくなる
テトレーのデカフェに雰囲気が似てる。デカフェじゃないのに…頑張れ

だが、ティーバッグの紙を外してリーフとしてポットで入れると
香りが倍になりコクの無さをカバーして割りと飲める風味になる
ミルクティーにするとバッグの有り無しは歴然と味に反映される

▼総評
過酷な試練を経て、とうとう紅茶アデプトからのマスター認定が下った!
今後も孤独な道だが、予想通りの結果に大満足である
UKスタンダードとは言えるが、香り味共にUK紅茶としてはグレードは低い
安いだけのことはある
すごく美味しくもなく、かといってさほど不味くもない無個性なUK紅茶だったが
日本の店頭で買えるUKご庶民紅茶は成城石井にあるPGtipsなんかで、40Pで690円する
だが約半額でこれなら、ティーバッグを外して飲むならまあまあいけると思う。
ポットで2杯分淹れるとミルクティーに限り更に美味しく飲める
そういう意味では、案外コスパは良いんじゃないかな?だって100gで318円だし。
ミルクティーなら、リプトンのイエローバッグなんかより絶対こっちをオススメするよ
ただ、アフタヌーンでは決してない(笑)
なんの冗談なんだ(笑)
笑ってやる(笑)

ここまで無個性だと、香りのいい茶葉をティースプーンに1/3くらい入れてやると
それなりのミルクティーにはなると思う
それこそ安いダージリンでも入れりゃ、名ばかりのアフタヌーンブレンドに少しは近づくんじゃないのかな?
条件はティーバッグの紙を外すことですがね
あの紙は安い茶葉殺しだわ
無個性だけに工夫次第で良くなります
ああ、まったく…ウチのハンターピンポイントで無個性な紅茶を撃ちぬいてくるよね
UK紅茶までやってくれるとは思わなかったよ
おかげで自称UKご庶民紅茶マスターの位を手に入れることができたんで、結果オーライですがね


さて、このWelmaブレンド
ググってもろくな情報がない
こんなリンクの少ない記事も久しぶりだ
プルミフィーユとかいうjanat取り扱ってるサイトがあるが、4ヶ月たっても未だに通販は準備中
あとはアメリカの商標登録の検索サイトくらい
イギリスのサイトただの一つもヒットしねーでやんの
誰かのツイッターに
「Janat国内販売の先駆けである紅茶の店Janatさん(http://t.co/jYsMX2Dp)が10周年を記念してプルミフィーユとしてリニューアル。今後はJanatだけでなく、日本で手に入らないブランド(Welma,Beau&Bon等)も輸入販売するそうです。」
いやいや、Welma手に入らないの日本だけじゃないって(笑)
逆に手に入るの日本だけだって
以前密かに行なっていたjanat調査とそっくりな展開で笑える
(ご興味ある方は、フランスグーグルで検索してみて下さい。又は下記リンクへどうぞ)
(http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2010/0101/285118.htm←単に読み物としても面白い!)

最初に検索したのは輸入者の「㈱BONTE JAPAN」さんでしたけどね
ウェルマ紅茶を購入した8月あたりにはこの社名でググってサーフしていくと
ウェルマブレンドの通販に行き当たったんですが、いまはなくなってしまいましたな
いま現在は例のドンキも売り切れて在庫は入る様子なし
どうやら幻の無銘UK紅茶になりそうです…
いろんな意味でGJ!無銘紅茶ハンター!

そういえば今日は晦日…こんなネタ記事で今年は終わるのか?
いや、どこ開いたってこんなネタ記事しかなかろう(笑)
だが少なくともまっとうなWelma Blendのレビューはきっと他には無いだろう
“1年経たずに実物が消えてしまう”に10ポンド賭けてもいいけどね
また世の中の役に立たぬ記事を書いてしまった…いい仕事だ


では皆様、良いお年をお迎え下さいませ♪



GJ!!!! セインズベリー! 漁港からの奇跡の生還…Sainsbury's "Red label"

2012年12月15日 | 紅茶・ブレンド
いやぁ~今回なにが嬉しいって
もう、なんつーか、UKにちゃんとした嗅覚の食品開発企画部があったってことが何より嬉しいです

恥ずかしながら、イングランドの漁港から帰って参りましたNirvana・Cafeです!

いえいえ、渡英してたなんて滅相もございません
こんなコスパしか語ってないような前世の没落英国貴族が
イギリス旅行なんかする資金もヒマもねっつーの(←それでも貴族とかだけは言う)

いや、もうバーチャルな渡英だけは回を重ねてきたのは事実です
んで、行く度に拉致されるのが毎回恒例のアレ
そう…イングランドのさびれた漁港ですよ!クソッ!
毎回のように魚臭い埠頭の水たまりに蹴り倒されて…
こっちは人違いだって言ってんだろーが。アジア人の顔は全部同じに見えるのはわかるけどなあっ!
(“チャイニーズ・マフィアと間違われてる”の小芝居状態ですすみません)


おいといて(←おいとくのか)
今回は前回のいい加減な予告で告知済みの、UK大手の快適スーパー《セインズベリー》のPB紅茶です
UKのご庶民スーパーでも最大手のひとつであるこのセインズベリー
テスコより品質がよく、M&SよりもPOSH(気取って)でない、
ビクトリア時代の創業、英国内でも老舗のスーパー、セインズベリーの伝統のブレンド紅茶

Sainsbury's Red Label Tea, Fairtrade 80P 250g
セインズベリー レッドラベル です

購入価格:250g・1550円 (UK現地価格:1.31ポンド→日本円で177円 70円/100g)

調査中に面白い記事を見つけたんで、ご紹介します
『英国スーパーマーケット総比べ』(英国ニュースダイジェスト 2007.2.15 より)
いままでご紹介したマークス&スペンサー、テスコ、そして今回ご紹介するセインズベリー、
(そしてまだ紹介する機会のないウェイトローズ)
この英国でもお馴染みのスーパー4社の比較情報がレポートされています
ご興味のある方はご一読下さい
行ったこともないUKがぐっと身近に(笑)

今回は特にこれ以上のトピックスを調査中に見つけられなかったのが功を奏し
一気にレビューに行きたいと思います
せいぜいが、M&SもTESCOもSainsburyもばりばりのユダヤ系の企業だった
というくらいで、お金持ちコミュで金はぐるぐる回ってるんだなぁ~という感慨がひとしおです
セインズベリーは金融(銀行とか消費者ローンとか)もやってるんですよね
さすが90年代まではスーパーの売上NO.1だっただけのことはあります
それに、一族に政治家が多い
元会長(現在は保守党上院議員)が2010年に大英博物館に32億円の寄付をしたりしてますね


さて、紅茶の話に行きましょう
なぜ今回これを選んだかというと、英国住みの日本人の皆さんのブログの中に
このセインズベリーのRed labelが美味しいという発言が見られたというのがその理由でしょう
前々回に書きましたが、これもEnglish Specialitiesさんでの注文だったんですが
なぜか私が注文して少ししてからこのRed labelが商品一覧から消えてしまったのです
他のセインズベリー商品はあるんですけどね
で、色々探したんですが、web上にはもう他の通販サイト見てもなぜか売っていないんですな
(見つけたら教えて下さい)
さて、そうするとRed labelはUKから直輸入しないと手に入らないシロモノになっているかも知れません
それでもレビューするんだよなぁ…このレビュー世間様の役に立つのかね
…という浅知恵はおいといて(←これもおいとくの)
さあ、見て参りましょう!


開封した箱の中身です



うう…デジャブのようだ
しかも3回目のデジャブだ
面白いから比較として並べてみましょう

 

残念ながら同じアングルのM&Sの画像がないんですが、デザイン以外は全く同じです
スーパーのPB紅茶はこの規格にしないといけない法律…なんかないと思いますけどね

箱の側面にはこのレッドラベルの歴史と茶葉について書いてある
『最初のレッドラベル・ブレンドは1903年に創始者のジョン・ジェイムズ・セインズベリーが
選んだのが始まりです…』すごいね。歴史あるブレンドだ。PGみたいです
『ケニア・マラウィ・南インドの茶園からフェアトレードで茶葉を取り扱っている…』
ブレンドされた茶葉の情報が詳しく書いてあるのって、UKの紅茶ではわりと少なかったりする
このインフォメーションは優秀ですよ

ではティーバッグです



こちらも金太郎飴のようにラウンドTBです…ん?
あ…れ…?

ない

ないじゃないか…

ないじゃないかあああああ~!!!

魚の臭いが無い!!!!!
ありえん!
PGでさえわずかの魚臭があったのに
このRed labelのTBには片鱗すらない
これほんとにUK紅茶なのっ?

くっ…
こんな唐突に終わってしまうものなのか?
まるで百年の(魚市場での)幽閉から解放されたようなこの気持ち…
いや、まだ信じられない気分だ
セインズベリー、君のおかげで僕の心に自由と平和が訪れた
僕は永遠に君の名を言祝ぐよ
素晴らしい、パーフェクトだ…ありがとう…



…はっ
終わってしまうところだった
肝心の中身について語らねば…
いやもう、これが全てでしょ。もういいじゃん。これ以上めでたいことがあるのか?
TBの紙外して飲まなけりゃならないあのストレスから解放されただけで十分だろ?
違うのか?え?どうなんだ?

という心の声の誘惑を振りきって、レビューいきます
一応バッグ破いて中身出してみた



細かい黒い茶葉。この写真は臨場感あるな
しかし今回はTB付きでも構わない~♪
では淹れましょう!

ランラン楽しくTBごとマグに放り込む♪
熱湯ぶち込む♪
あとは蓋して4分待つ♪
なんて楽しいんだ♪ラララ~♪

さて浸出いたしましたRed label
こんな色です



テトレーなんかよりずっと赤い感じだね
では香りを嗅いでみます

▼香り
ストレートなのにわりと香りが強い
UK紅茶のミルクティー用はストレートではあまり香りがしないが
これは香りが比較的あるのがいい
上等なケニアの香り
青臭いがそれなりの華やかさ
上品ではないが、泥臭くもない
いりこだしパックの片鱗すらない
UK紅茶のティーバッグ付きとは思えない!

ではいつものように最初はストレートで味見

▼ストレート
甘い…あまーい!
飲むとすぐに感じるのは甘さだ
わずかに渋み。少し舌と喉に残るが、パンジェンシーってやつ。良い渋さ
温度が下がると渋みが増す
わりとまったりしたコクがある
ケニアの味が全面に出ている
TBの紙の味は無し!すごいね。感動だ

▼ミルクティー



ミルクを入れると香りが変わる
爽やかというか揮発性のある酸味のある草の香り
こくのある、まったりしたミルクティーである
若干のキャラメル風味
薄さはない
ケニア主体の風味だが見えないところに補強がある感じ
ミルク入れると少し酸味がしてくる
味のしっかりしたミルクティー
パンチとかストロングとか濃厚じゃなくて「しっかり・まったり」
酸味が渋みに加わり風味を複雑化しているのがまったりの原因かもね
もちろんTBの味無し!すんばらしい~


▼総評
ケニア好きなら迷わず美味しいミルクティーが飲める
繊細さや上品さはないが、ある意味ケニア主体のブレンドのミルクティーとしての洗練がある
一目置いてお付き合いできる、センスのある田舎の人…的な雰囲気(←また判りづらい例えを)
でも、ケニア嫌いなら多少考えた方がいい
独特のあの風味ですから、好みが分かれるかも知れません
美味しいケニアではあります。
旦那が飲んだとたんに「ココス~」と元気にのたまったのは当たってる
ルクリリに似てるが、ブレンドだから単品よりも風味がまとまってるし
(これとTESCOのデカフェを1:1でブレンドすると、まぁ美味い)

ですが、なにをさておいてもこの漁港臭からの奇跡的な解放が今回の目玉ですな!
なんで、あれをやめられたんだろう?
生まれつき蔓延している臭いを客観視するのは並のことではなかろう
それが不思議でなりません…


いや、ちょっと待て、つまりそれって…
うおおおお~!

なぜ漁港から解放された直後にレッドラベルの通販終わってんの!?(←ようやく繋がった)
陰謀?これ陰謀なの?嫌がらせなの?
もしかして、世話になってるにも関わらずしつこくぼったくり価格とか書いてるからか?
それじゃあこれは復讐なの?

…うーん
そうだとしたら、なんて私の弱点を見切った復讐なんだろうか
それはある意味賞賛に値するな
最高のセンスのある嫌がらせだな
少しだけなら反省してやってもいいぞ
ごめんなさい、もうしません(←珍しく低姿勢…でも全部妄想♪)









ようやくたどり着いたUKご庶民デフォルト紅茶  PGtips by Brookebond (ユニリーバ)

2012年10月22日 | 紅茶・ブレンド

PGtips…
それは英国で最も飲まれているといわれているブルックボンドのブレンド紅茶である
1930年「消化機能を助ける」というラテン語「Pre-Gest-Tee」という名前で売り出された。
やがて通称PGと呼ばれるようになり、後ろにtipsをつけて正式名となった。
毎日イギリスで3500万杯も飲まれていると言われている。
この紅茶はアーサー・ブルックが作ったらしい。
英国では庶民のみならず、エリザベス女王もPGを普段飲みしてるという話もある
(出典不明…誰か英国女王に尋いてくれ。ユニリーバのステマかも知れん)

以前の記事をお読み頂いている愛する酔狂な読者の皆さんはご存知のはずだが
私はオリジナルPGを飲まずに、この紅茶のデカフェを先に飲んでレビューするという
外道な記事を書くハメになっていた
…まあ、それは行きがかり上仕方のないこととは言える
(詳しくは『第2フェーズは英国ご庶民紅茶事情&デカフェの現状!』または
『いざヨークシャーティvs.PGtips デカフェ対決!』あたりをご参照下せぇ)
そして、そのデカフェは、リピートしても良いくらいのクオリティーであった

だってティーバッグが(ほとんど)魚臭くないんだもん!!
それってとっっっっっても大事なことだと思うの
何度さびれた漁港に連れていかれて、挙句の果てに漁船にまで乗せられて(←船の名前はクリッパー号…船だけに!)
生臭いミルクティーを私に…(ちょっとエロいかも♪)
ちがーう!!ここはオイスターバーじゃねぇぇぇぇんだぞ!!(ミルク入れると牡蠣風味になることもある)

と、UK紅茶の最大の罠(漁港に拉致られる)について熟知してしまったこの半年の経験値の中で
ただ1社だけティーバッグの紙臭について考慮してくれていたのが、あの宿敵ユニリーバのデカフェとは
人生皮肉に満ちてるなぁぁぁっ!と…


というわけで、本末転倒となりましたが
ようやく先日(もう過ぎ去った夏の日…遠い目)カフェイン入りの普通のPGtipsが手に入ったので、
(『あの地平線を目指せ! UKからの紅茶直送便3種類 PGtips・CLIPPERデカフェ・M&Sデカフェ』)
ようやくここまで来ました(この2ヶ月何してたんだ、とは言わないでね)
ほんとは夙川の成城石井で買おうと思ったんですが、なんか機会がなくて行きそびれたのですが
でも、前回行ったときに、新製品のPG・Strong One という、今UK全盛の“やたら濃い紅茶”が
置いてあったんで、それはいずれ買いに行こうじゃないの
そういえば、JR神戸駅にも成城石井が出来たんだよね
成城石井には、例のドーセット・ティーとヨークシャーティーも置いてある(もちろんTBですが)
漁港に拉致られたい物好きな方は是非お試しを(いやならTB外して飲めばいいだけですがね)
茶葉だけなら本当に美味しいし、コスパいいんだけどなぁ…

では、レビューです

淹れ方:いつもの英国ご庶民式。TBをマグカップに入れ、熱湯を200ml上からぶっかける。
    蓋をして待つこと4分。TBを絞り、その後おもむろに取り出す。

感想:香りがいい。当然PGデカフェよりも良いが、オリジナルの香りを嗅いでみて思うのは
   「PGデカフェ、大健闘じゃん!」ということである。
   香りにおいて6~70%の再現率という(主観的)評価。香りのあるデカフェは貴重。
   だが、オリジナルはさすがに繊細。
   セイロンはディンブラ系のオーソドックスな香りに、ほんのりとフルーティーさがある。
   このフルーティーさの修飾は残念ながらデカフェにはないかな。
   
   まず、ストレートで味見。
   味はしっかりしているが、濃厚過ぎないミディアムボディ。
   わりと甘さがあるのが驚き。
   程よい渋みのあるバランスのとれた味わいで、軽めに淹れたらストレートもOKな感じ。
   変わってるのは、玉露みたいな旨味があること。つまりアミノ酸の味。
   これは魚臭のするティーバッグのだしかも知れない。そうじゃないかも知れない。

   ミルクを入れる
   軽めのミルクティー。甘味のある比較的繊細な味。
   渋みが中和されてコクになっている。
   茶葉の香りもマイルドに楽しめる。日本人には馴染みのある風味のミルクティー。

いままで試してきたUK紅茶の中では、いちばん日本人好みですかね
とにかくティーバッグの臭いを気にしないで飲めるのが気持ち的に楽です
似てるところでは日東デイリークラブですかね
でも水色は全然違います。PGは濃厚なブラウン。日東は赤系
ブラックティーというより、ダークブラウンといったところ

でも、40bags(125g)で1000円は高い。100gで800円ですからね
デカフェじゃないし。そしたら並行輸入のトワイニング缶200g・700円で買うわ
しかし、UK地元価格は1.35ポンド! ただいま1ポンド=126.8円だから
40bags(125g)で171円…6倍弱でぼったくられた計算death。ありがとう
現地価格だったらコスパ最強です(しつこく毎回言うぜ!)


ともかく“英国でいちばん飲まれてる紅茶”の意味がそれなりに納得できましたね
これは美味しいし、飽きのこないブレンドですよ

訂正をひとつ
いつからかは知りませんが、PGtipsはインド・セイロン・ケニアのブレンドだそうです
気にならなかったけど、ケニアが入ってましたね。UKのサイトまで行って調べてきましたよ。
成城石井のオンラインショップ・サイトには「原産国ケニア」とだけあるんですが
…この風味でケニアオンリーはないだろう?ちゃんと飲んで書いてんのかボケェ!
あとでお客様問い合わせにツッコミ入れましょう♪















      



1に牛乳2に牛乳、3・4がなくて5に牛乳 ヨークシャーティーとはミルクティーのためのお茶

2012年06月12日 | 紅茶・ブレンド
前回の記事で申し上げたとおり、イギリスのご庶民の紅茶デフォルトは
「ミルクティー」「マグカップ」「ティーバッグ」である
もともとは紅茶より先にあったコーヒーハウスでのミルク+シュガーの習慣が
紅茶の導入に持ち込まれたらしい

『英国ティーカウンシル(The United Kingdom Tea Council)によれば、
イギリスで一日に消費される紅茶は1億6500万杯。
日本人からすると意外かもしれないが、
実はそのうちの96%はティー・バッグを使っていれられている。』

『さて、そのティー・バッグをマグにひとつ入れ、電気ケトルで沸騰させたお湯を注ぎ
色がしっかりでるまで待って、ミルク(牛乳)を入れて飲む、
というのが最も典型的なイギリスの紅茶の飲み方だ。
前述のティーカウンシルのデータによれば、98%もの人が紅茶にミルクを入れるという。』

以上、asahi.comの記事『続発!観戦チケットめぐるトラブルと、英国流紅茶の飲み方』のコピペ
この記事は面白いからリンク飛んで読んで見てください
他にもいろいろ現地の紅茶事情が書かれています
(そういえば今年ってロンドン五輪だったっけ…この記事見るまで忘れてたわ)

とはいうものの、
テイラーズ・オブ・ハロゲイトのお初の茶葉がティーバッグというのは実力が量れないので
ヨークシャーティーは敢えてリーフにしてみた
軟水用である
250gしかなかったので、インフレに怯えながらも購入
トップの写真がそれである
レインフォレスト・アライアンスのカエルマーク入り
ううう…このマークが付いた紅茶もコーヒーも美味かった記憶が無い
胸騒ぎを覚えつつ開封する

中はこんな具合


こ…こまかい
ティーバッグの中身のようだ
細かいCTCと細かいBOPの砂礫のような茶葉である
香りは…ケニア系アフリカ茶が優勢で、低級アッサムがそれを追いかける感じ
少し埃っぽいが、カビの埃っぽさは無い…
1g=1円未満のお茶である
よしとしよう

原産国:ケニア、ルワンダ、ブルンジ、南アフリカ、インド、マラウイ、スリランカ、
    
なんつー身も蓋もないブレンドだ
安くて濃く出る茶葉を世界中からかき集めてある
なにしろ250g=242円なのだ
イオンTOPVALUのセイロン・ジャワTB、50P(90g)188円が高いお茶に見える

さあ、淹れてみよう
いつものとおりの3g/150mlでいく
細かいので蒸らしは3分ジャストで

注いだものがこれである


こ…濃い
これコーヒーかな?と見紛うばかりの濃さである
香りはない
ないわけじゃないが、なにかが香る、という香りは無い
現地の価格を知っているから驚かないが、日本価格の100g=700円だったら
間違いなくこれではなく、トワイニングのアイリッシュ・ブレックファストを飲むぞ
…と思いながらストレートで一口すする

いや~、これはないわ
渋くはないが、濃くて重くて風味がよくわからない
ココスのルクリリ系の感じだがルクリリより没個性じゃないか?
なぜこれをイギリス人は普通に飲んでるのか不思議になってくる
いや、不思議ではない。なんせ1g=1円未満のお茶なのだ。当たり前だ。
日東のDAY&DAYに文句を言っても無駄であるのといっしょ
日本人的に言えば、番茶を飲んでるのと変わらない感覚なのだ

実際ここでNirvana・Cafeは、もうがっかりしていた
しかし、ここで「ミルクを入れなければ始まらない」のがこのお茶だったのだ

ここで半ば諦めムードでミルクを投入する
だが、その色がすごかった


こ…この見事なゴールデンブラウンはなんだ?
もしや、まさか

あわてて飲んで衝撃が走る
う…美味い!
なんだこりゃ?
牛乳入れたら化けやがった
このキャラメルのような風味
香りまで甘くなってるってなんなのよ
なめらかでコクと甘味が一体となっている
ものすごくまとまりのあるブレンド
すべての風味に乖離がないのだ
まるで「ミルクティーという単体の物質」があるかのような感じ
この価格でこの味わいはないよな
すいません。私が間違ってました
ストレートで飲むのは法律違反でした
認識を改めますから許してください


ほんとに、日本人とイギリス人の紅茶の味覚の認識の違いを見せつけられた
ある意味、紅茶人生のなかの《事件》といってもいいくらいだ
(うん、ヨークシャー事件とでも名付けよう)
『98%の英国人が紅茶にミルクを入れて飲む』というティーカウンシルのデータが
今更ながらにリアルに迫ってくる
ヨークシャーティーをストレートで飲んだときの、絶望的な紅茶とも思えないような味を
英国人は誰も知らないのかもしれない、と思っちゃうくらいである
ミルクの、ミルクによる、ミルクのための紅茶!


「じゃあ、ミルクもイギリス式に《ノンホモ》《パス乳》でなければほんとの美味しさはわかんないんじゃないの?」


と、日本のマイナーな(神戸では有名な)『共進牛乳』を入れながら
そんなことをのたまうのは、もちろんうちの旦那であった

確かに日本の牛乳は外国人には不人気である
高温殺菌で焦げた味のする、脂肪分の均一なホモジナイズされた日本の牛乳は、
欧州では普通な低温殺菌(パスチャライズ)で、クリーム層のあるノンホモジナイズの牛乳よりまずいそうである
(資料:ホモジナイズとノンホモジナイズ)

では、イギリスの牛乳事情はどうなっているのか?

『イギリスでは、毎日飲むのは「パスチャライズド牛乳」で、
あまり買い物に行かない無精者や料理用に使う時だけの「高温殺菌牛乳」と分かれているのに、日本では毎日飲むのは「高温殺菌」、
高級な牛乳は「パスチュライズド(低温殺菌)牛乳」とぜんぜん違うんです。』
(BLOG:Rose Grove Notes ガルゲイトの花屋より)

で、そんな牛乳どこで売ってるの?
ということで旦那がネットで調べた結果
「木次ノンホモ牛乳」1000ml・368円
というものが阪急Oasisにて販売されているらしい

ノンホモでパス乳
まさにこれ…さすがに高いが
阪急Oasisは職場からどうにか歩いていけるらしいので、仕事帰りに寄ろうと思いきや
そういう日に限って、久しぶりの残業で寄り道の時間が無い
仕方ないので、いつも行くスーパーの牛乳コーナーを見ると
共進ジャージー牛乳4.6無調整」なるものが置いてある
たしか、ジャージー種ってイギリス産だったよな…というあやしい記憶を元に
異常に乳脂肪分の多い兵庫県産ジャージー乳をお買い求めした

さて、ノンホモでもパス乳でもないが、イギリスの牛の乳でミルクティーにしてみた

これがまあ、美味い
牛乳自体も美味いが、ジャージーのヨークシャーティーのミルクティーは格別だった
脂肪分が多いと香りが立つのだろう
香りの揮発成分は油性だからだ
普通の3.7牛乳より華やかな仕上がりになった
ジャージー乳を入れるとアッサムの香りとケニアの渾然とした感じになる
コクは申し分なし
(だが500mlで238円は高いぜ)

のちほど調査した結果、イギリスでもホルスタインの牛乳が92%で、ジャージー乳は2.3%らしい
『イギリス ジャージー事情』OHAYO乳業のサイト
イギリスではみなジャージー乳を飲んでる、というガセネタもあるが、そうではない
これはイギリスでも日本でも高級品なようだ
《ノンホモ》《パス乳》はデフォルトのようだが…
だが、英国人はそのよく言われる「ノンホモ牛乳のクリームライン」とやらを
ミルクティーに入れて飲んでるんだろうか
基本的にこれは攪拌して手動的にホモジナイズするんだろ?
そのためにあの取っ手付きのプラスチックボトルに入ってるような気がするのは私だけか?

住んだことのない国の日常を推し量るのは、並大抵のことではない
ミルクティーを飲むのに、牛乳を振るか、振らないか?
そんなことはググっても、正しい答えが書いてあるかないかなどわからないのだ

ちなみに、先ほどの「イギリスでははとんどがジャージー乳である」という誤情報は
『ミルクティーには、どんなミルクが合うのか 紅茶専門店 TEAS Liyn-an(ティーズリンアン)』
に、書かれている
この店はよい紅茶葉を扱っているわりと有名な優良店だから、信じる人も多いだろう
この実験記事自体は、とてもよいレポートなので参考になった
だが、ジャージー乳については間違ってる!
情報とは、ほんとにきわどいものである

ジャージー乳は、元来イギリス王室御用達の高級品で
ジャージー島は英国王室の属領であった
いわゆる“ロイヤル”ミルクというのはそういう意味らしい
じゃあ、ロイヤルミルクティーはジャージー乳じゃなきゃ成立しないのか!
(注:イギリスでは“ロイヤルミルクティー”なるものは存在しないらしい。和製英語とのこと。)


さて、阪急Oasisに行ってきた
残念ながら、ノンホモはなかったが、木次のパスチャライズ乳(1000ml・340円)があったので購入


実は私の実家は生活クラブの会員なので、実家暮らしのころは毎日ガラス瓶のパス乳だった
だから、美味しいのはよく分かっている
しかし、ヨークシャーティーに入れて飲んだことはない
いよいよレビューである

牛乳先入れで、上からヨークシャーティーを注ぐ
きれいなゴールデンブラウンは変わらず
香りはどうかな?
ジャージー乳の時よりケニアティーの香りが強く出る
味はすっきりさわやかで依然としてマイルド
牛乳の甘さがあり、それが紅茶の濃さとマッチしている
このさりげなさは、毎日飲むのに適している
ジャージー乳はコクと華やかさがあるがちょっとぜいたくな味だ。太りそうな(笑)
パス乳は落ち着いたまろやかさと後味がいい。高温殺菌の牛乳臭さがなく、舌に残らない
焦げた乳臭さが無いパス乳は、紅茶の香りをそのまま出すようだ
ケニアに代表されるアフリカ紅茶の独特の香りがお好みでないかたは、
美味しい高温殺菌の無調整牛乳をおすすめする


総評:この値段で、このミルクティーは、日本では破格に美味しい
   ストレートで飲む価値は考慮されていない。あくまでも、ミルクティーで飲むべき
   しかし250g=1780円(100g=712円)のお茶の価値はない
   その値段を払うなら、日本円で同じコスト(100g=700円)のトワイニングの
   アイリッシュブレックファストのミルクティーを飲んだ方が確実に良い
   ミルクはそれぞれの良さがあるので、好みによる 


私はチャイから紅茶に入ったのでミルクティーは大好きだが
美味しい日本茶で育ったために、ストレートの紅茶の香りは当たり前に重要だった
しかし、ほぼミルクティーしか飲まない国からの輸入品のレビューで
ストレートの紅茶の香りを云々するのは「お門違いである」ということを
このヨークシャーティーで学んだように思う
そして、明らかにわかったのは
「私は、ストレートでもミルクでも香りの良い紅茶を飲みたい」という自分の好みである
遅まきながらそれをはっきりと認識した
だが、しかし…


ちょっと紅茶の世界認識が変わったな…
いや…なんか固定観念がひとつ拭われた感じ
いくつになってもこういうことがあるのは人生の豊かさというものに相違ない
散財が報われるというもんだ





   









ついに並行輸入TWININGSプリンスオブウェールズ英国王子に出会う 見よ、この高貴なRacismを!

2012年04月04日 | 紅茶・ブレンド
もう題名がすべてを語っていると言っても過言ではない

こんにちは
TWININGSのストーカー、Nirvana・cafeです
コスパの良い、電車賃と送料のいらない美味しい紅茶を追って早や3年
そうです、ストーカーは徒歩圏内に限る!
しかも10分以内がベスト(←ストーカーなのに怠慢)

いやもうそういうことは語りつくしたのだ諸君
問題はポーランド王子を売っていた輸入食料品店に
先日、新商品が入荷していたことなのだ

トワイニング プリンスオブウェールズ 英国ブレンド 100g/378円 缶入り

とうとう来た、引いた
英国王子
本物のウェールズ王子である


ことは我が家の味にうるさい旦那が
「前に東京から引っ越すときに持ってきたオレンジペコのほうが、ポーランドのより美味かった」
と言ったのに端を発する
今年の1月に久々に買ったポーランドのものがとても香りがよく美味しかったので
その前の同じ缶に入ったセイロン・オレンジペコの味などすっかり忘れていたのである

だが、美味しいと言っているそばから
「うーん、あの前のセイロンのほうが美味しかったよ~、あれは英国ブレンドなんだよ~」
と言い続けるうちの旦那…
確かに美味しいから飲みかけを持ってきたのだが
実はこれには深いわけがある

基本的にデフォで紅茶と本とCDには金の糸目をつけない買い方をしてきた私は
東京に棲息していた時代100g/1000円前後の紅茶を飲んでいた
前にも書いたように思うが、神戸に来て紅茶生活で何が変わったかというと
「コストパフォーマンス」という概念の導入である

これは神戸生まれ神戸育ちの関西人の旦那の買い物の姿勢である
「高くて美味いのは当たり前だ、高くてまあまあにはだまされる。安くて美味いものこそが価値なのだ」
というものである
確かにある程度美味しい紅茶は飲んだ
だが安くて美味しい紅茶を意識的に探したことがあるかと言うと、否、である
その時代の最低ラインに並行輸入トワイニングのセイロン・オレンジペコ、ブレンドbyイギリスがあった
つまり、私にとってはその紅茶はワンカップ大関だったわけである

いまや私のデフォは50パック188円のトップバリュ紅茶TB…その周辺ランク
もしくは200gで400円の無銘の野良セイロン…その周辺ランク
その中での200g600円のトワイニング・ポーランドブレンドは
相対的にワンカップ大関ではなくなっている
1本800円のイタリアワインとでも言おうか
高級ではないが、それなりの…というやつである

旦那はプリンスオブウェールズのイギリス版も
たぶんポーランドより美味しいはずだとしつこく言い続ける
そんなさなかに件の輸入食料品店にそれがいつの間にか入荷していたのである
しかも、100g缶
見たこと無いんだけど、この仕様!
200gは買えないが100gならなんとかいける
まさに天のお導きといえるこの状況にカフェイン中毒の一件はどこへやら
いそいそと400円でおつりをもらってまたしても茶葉を買う…orz


いつものことだが
買い物から帰ると真っ先に湯を沸かす(笑)
そして、ドキドキの紅茶缶開封の儀である

茶葉を見たとたん、軽く衝撃が走った
ポーランド王子の茶葉の白くすすけた感じが無いのである
あの新鮮な茶葉の証、ツヤすらある
それならばと香りをかぐと…くそ~、なんなんだ!
古い茶葉の香りがあまりしないじゃないか
新鮮な茶葉の香りをあらわす、フルーティーさがある
プラムとか杏のような甘酸っぱいバラ科の例の香り
(みかんさんが“干し梅”と称したあれ。しかも干した香りが弱い)

少し、怒りがこみ上げてくる

とにかく淹れよう、ということで
3g・150mlで4分
いつものように淹れた

……ああ、そう
あなたがたはいつもこんなお茶を飲んでるのか
ポーランド人には賞味期限切れた少し古い茶葉を詰め替えたような
日本人には賞味期限切れたティーバッグをバラして低級な茶葉とブレンドしてカサ増ししたみたいな
しかももう一度焙煎掛けたみたいな、香ばしくて紙の味のする茶葉か

くっそー!!
この値段でキーマンかと思えるような繊細さがそれなりに味わえるじゃないか!
軽く、スモーキーさも控えめで、甘みさえ感じる
いやな味がしない
のど越しも滑らかで、立体的に香りが来る
濃い目に淹れればミルクティーにしても良く合ってまろやかで香りも負けない上品なあじわいだと?
そうだよ、そのとおりだよ!

さらに腹が立ってきた
バカにするのもいいかげんにしろ
これが100gで400円の雲南紅茶なのか
それともブレンドに低級ながら5~6級のキーマンを使っているのか

皆さんにも3茶葉を並べた画像をお見せしよう



これである
どれが片岡王子で、どれがポーランド王子
そしてどれが英国王子かおわかりになるだろうか?

右の茎の入ってるのが片岡王子
左上の黒くてツヤのあるのが英国王子
左下の白っぽいのがポーランド王子、である

ヒマと好奇心と多少の経費を厭わない方は、この記事が本当かどうか是非味わっていただきたい
日本向けの茶葉がどれだけ不味いか
そしてその不味い茶葉が並行輸入と比べて高く売られている現実を

これを“高貴なRacism”とでも申しましょうか?

美味しい紅茶を飲んで腹が立つというのも不憫な話だ
だが我が同胞よ
我々は辺境のイエローモンキーに過ぎないのだ
しかもTwiningsというブランドで日本向けの不味い紅茶を有難がって買い続ける

まあ、以前も言った通り、これは紳士の英国人的ウィットなのだ
いつこの人たちはこれがクソ不味いと気づくのか、と
いや、もしかしたらもうバレているのかもしれませんな
そうだとしたら、なんと奥ゆかしい民族なんだ
きっと我々英国人に気を遣っているに違いない
たとえば、我々が輸入する茶葉を間違えたとか?
我々の栄誉のためにそんなミスを黙ってくれているに違いない
日本人は素晴らしい!


えっと…
こういうのを現実逃避って言うんだっけ?
もちろん、私が?

えええい!
いまいましい!

















実はキーマンVSではなかったという驚愕の誤認 公式ウェールズ王子VS非公式ウェールズ王子は雲南VS?

2012年02月02日 | 紅茶・ブレンド
そもそもプリンスオブウェールズとはなにか?

いつものwikiコピペですが
『プリンス・オブ・ウェールズは、紅茶の銘柄。
スコーンとの相性がよいとされる。
中国安徽省産のキーマンやアッサム等をベースにしたブレンドで、
多くの商品にはクロスグリがアクセントとして加えられている。
茶葉の香りを楽しむ為に、最も適した飲み方はストレートとされる。
その香りと味から「紅茶のコニャック」とも呼ばれる。

イギリスのトワイニング社が発売しているブレンドが最も有名であり、
ランの花を思わせる独特の香りを特徴とするが、
2011年現在トワイニング社の英国内市場向け商品リストには含まれていない。
(これは下記の歴史でも触れているが1936年にエドワード8世として即位した際に
 リストから外されたものであるが、実際には各社より販売されている。)

片岡のHP「よくある質問」にもう少し詳しい経緯が書かれている
『「プリンス オブ ウェールズ」とは英国皇太子の称号ですが、
ジョージ5世(1910~1936)とマリー女王の長男である英国皇太子のパーソナル ブレンドで、
トワイニング社が、皇太子よりその名をブレンド名につける栄誉を賜りました。
その後、皇太子がエドワード8世になったとき(1936年)をもって、英国市場からこのブレンドは消えました。
しかし、海外ではこのブレンド名の使用が許されています。』

というわけである
このブレンド紅茶の銘柄はキーマンをブレンドしているものであることは間違いない
これはトワイニング日本公式サイトのHP
『ダージリン、ウバと並ぶ世界三大銘茶のひとつ「キーマン茶」のブレンド。
穏やかな渋みと優雅な香りが特長で、その高貴な香りは蘭の花にもたとえられています。
1921年にジョージ5世とマリー王女の長男である皇太子(のちのエドワード8世)
のために作られたパーソナル ブレンドで、トワイニング社が、
皇太子よりその名をブレンド名につける栄誉を賜りました。
1日をしめくくるイブニング ティーに最適のブレンド。』


さて一年ぶりくらいにプリンス オブ ウェールズを購入した
昔からキーマンは好きでよく飲んでいたが
ここ最近はセイロンにハマっていたのと、東方美人(青茶だが紅茶に近い)に似た日本紅茶のラッシュが続き
とんと買わずにいた
それと同時にうちの旦那がムジカのラプサンスーチョンにはまっていたために
キーマンを買う余地がなかったともいえる
福建省の「正山小種」(ラプサンスーチョン)を真似て作られたのがキーマンの発祥である
とはいうものの、すでにキーマンはラプサンスーチョンのまねという領域ではなく
キーマンとしての美味さを追求する茶葉となった
ダージリン・ウバと並び、世界の三大紅茶の一つとなったのである

中国の紅茶の有名な生産地は
ラプサンスーチョンの福建省
滇紅(テンコウ)と呼ばれる高級紅茶の産地、茶樹の起源といわれる雲南省
そして祁門キーマンのある安徽省である
もちろん生産地はこれだけではないが、我々が飲んでいる有名なものはここらだろう

キーマンについてはこのブログでも以前少々触れた
(2010.8.20『黒執事Ⅱ第7話でドルイット子爵が紅茶の感想をスルーしたので替わりに解説する』参照)
私のキーマン体験は3級止まりである
特級も飲まずにこのレビューも無かろうと思うが
3級は美味かったぞ
今は無きキームンジャパンの茶葉を、今は無き新潟『粉雪亭(konayukitei)』という優秀なティールームで飲んでいた
(新潟市にも何年か住んだことがある…港町にはなぜか縁があるらしい)
それからは特に決まった銘柄にハマることもなく
ルピシアのクイーンズホープだのムジカのキーマンをつまみ食い
しかしもともと中国茶が好きなのと、キーマンは他の紅茶より胃に優しいため
美味しそうなのが有ればカフェでよく飲んでいた
やはりアールグレイはキーマンベースが良い
エディアール・ブレンドはキーマンベースなのが好きな理由の一つだ

その中でトワイニングのプリンスオブウェールズは、正確にはキーマンのブレンドだが
スーパーでも買える唯一のキーマン・ブレンドといっても良いだろう
主にティーバッグでの販売で、香りも味もボーダーラインはギリでクリアしている
基本的に私はトワイニングは並行輸入でしかリーフもティーバッグも買わないので
片岡のプリンスオブウェールズのリーフティーがどんな味なのか忘れている(何回か飲んでいる…はず)
そして並行輸入のリーフティーもまだ試したことがなかった

前々回のセイロン・オレンジペコVSで、片岡…つまり正規代理店ルートにもかかわらず
並行輸入品のクオリティーが明らかに高かったという逆転現象を目の当たりにし
急遽プリンスオブウェールズVSをしたくなった
だがプリンスオブウェールズはブレンドなので、キーマンVSというのはまちがいである
だからこれはあくまでもプリンスオブウェールズVSなのである(間違えてましたすみません)

それというのも前回オレンジペコを購入したユーロクラブで更に10%引きの紅茶のセールが…
これは買わねばということで先週迷わず購入、やはりポーランド(POL)もの
200g缶入り・629円…100g315円は破格だと思う

しかし思いもかけず難航したのが片岡プリンスオブウェールズの紙箱リーフティーだった

なんと…どこにもない…!
前回セイロンを買ったスーパーはプリンスオブウェールズだけ置いてない
アイリッシュブレックファストは置いてあるのに!なんて変な売り場なんだ!
仕方なくダイエーを何軒か回る…ダージリンとアールグレイのみ
COOPを何軒か回る…ダージリンのみ
もちろんどの店にもアソートの5種類ティーバッグセットは置いてある
だがティーバッグの味は比較対象にならないので買っても意味がない
なまじ紅茶に力を入れている店には片岡紙箱ラインは置いてない
さんざん探したあげく小さな単店舗の狭いスーパーでなぜか見つける
奇跡だ…しかも最後の1個
こちらは85g・548円…100g・644円
並行輸入のほぼ2倍
痛い出費だ(笑)


ようやくキャストがそろった
公式王子と非公式王子
片岡を捜すのにかなり時間が掛かったのでもう早速その日に飲み比べた

これがその茶葉である
 

どっちがどっちだかおわかりだろうか?

答えは、左が片岡、右が並行輸入POL、である
片岡の方が若干色が濃いしつやがある?
だが全体的に茎の量が多く撚りが均一じゃない
POLは茎が少なく撚りが均一

さて開封した葉の香りはどうか?
おや、今回はどちらもあまり変わらない…が
微妙に片岡の方が古い香りが強い
POLは少しだけ(みかんさん言うところの)干し梅香がする
片岡にはない
だがあまり特筆すべき差がないのはいいことだ
前回のVSがひどかったのがまだ記憶に新しいのだ

では淹れてみることにしよう
いつもの3g・150mlで全く同じカップ同じタイミングで淹れる
待つこと4分
蓋を開ける

・POL
ほんの少しだけ蘭のような香り
このグレードでは仕方ないしそんな期待は毛頭無い
全体的に穏やかで丸い香りだがすべてが若干弱い
甘みはほとんどない軽いスモーク臭

飲んでみる
輪郭の丸い柔らかい味
紹興酒に似ている
喉ごしはなめらかで、軽い甘さを感じる
渋みはぬるくなる最後までほとんどでない
時間経過による味の変化はあまりない
微かに渋くなるがひっかかるようなものではない

もうこの値段でこの味なら普段飲みで毎日気にせずに飲める
久しぶりの味だ
バカ美味いわけではないが評価は前と変わらず…ギリでボーダーライン越えである

・片岡
さて公式王子である
蓋を開けた香りはどうか
…香ばしい
蘭のような香りはあまり無い
そこらで売っている烏龍茶的な香りが若干
しかし激しくPOLと変わることはない
POLよりシャープで強い香りがするので
人によってはこちらの方が良いという人もいるだろう
ただし再焙煎の可能性がある

飲んでみる
おお…それほど変わりがない…が
味も多少シャープに感じる
熱いうちはあまりPOLと大差ないようだ
多少立体感に欠けるが
…が…だ

少しぬるくなってきた頃
味が変化し始める
紙…?
例のドーセットティーのような不味いティーバッグの紙味がしてくるじゃないか
そして渋みが出てくる
舌と喉を刺す渋さ
温度が下がると急に不味くなってくる
不味い烏龍茶の味というか
どんどん紙の味が強くなってくる
そして冷え切ると…その味もなくなる
不思議だ

また要らぬ電波な疑惑が首をもたげる
この片岡プリンスオブウェールズ
イギリスのティーバッグの売れ残りがブレンドしてあるんじゃないの?
日本のティーバッグは残念ながらこんな味はしない
イギリスのティーバッグの紙質についてはドーセットティーのところで書いたが
あのsoggyな魚の匂いのするティーバッグの紙臭がこの茶葉に吸収されている気がしてならない
と思うのは先入観と偏見に犯されている私の頭のせいか?
だれかこの猜疑心を否定出来るような正しい情報を下さい
お待ちしています


結論:片岡のプリンスオブウェールズは熱いうちに飲み干せ
   熱いうちはそれほど変わらない
   熱ければ風味の違いは好みの範囲だ
   だが冷えたときは…もう遅いと思え




さて、これから先は片岡とか並行輸入とか以前の話になる
実はキーマンVSではなかったという驚愕の誤認というのは
プリンスオブウェールズがブレンドだったから…というだけではないのだ


飲み比べてあーだこーだ思いながらブログに起こす資料をググっていたことから始まる
(え…ここから始まるのかよ…勘弁してくれよ)

イギリス本国のトワイニングのHPをリンクするべく探していたときのことだった
ほんとにプリンスオブウェールズはラインナップにないのかどうか?とか
自分で見て見なきゃ分からないのが情報というものだ
本国より先にトワイニングUSA…つまり北米トワイニングのHPを先に見つけた
クリックするとラインナップが日本より豊富で面白い
ラプサンスーチョンや白茶なんかも売っている
そこでプリンスオブウェールズのページを見てみた
そこにこんなことが書かれていた

Prince of Wales is a pure China black tea sourced from regions
including the Yunnan province and other southern regions of China.


Yunnan?これは雲南じゃないか
そして一言もキーマンという言葉が無いことに気づく

こういうときはGoogleのステキな翻訳に頼るべきだと思いこのページを翻訳した
それが下である

『プリンスオブウェールズは、雲南省と中国の他の南部地域を含む地域から供給純粋な中国黒茶です。』

…は?
雲南省と中国の他の南部地域を含む地域?
安徽省は?祁門はどこにいったの?
そこにはキーマンという言葉は一切無い
ただ純粋な中国紅茶であるとだけ

さきほどリンクしてあるトワイニングの日本公式HPにはこうある

『ダージリン、ウバと並ぶ世界三大銘茶のひとつ「キーマン茶」のブレンド。』

だが、片岡オンラインショップには
キーマンとはやはり一言も書いていない

『常に最高の品質を求めつづけているトワイニング紅茶。
プリンスオブウェールズは、英国皇太子の名を冠した気品あふれるブレンドです。
優雅な香りと芳醇な味わいがひとつになりました。』

キーマンをブレンド…くらい書ける余白があってこの記述である

さて探していたトワイニングUKのHPを見つけたので開いてみた
中国茶は結構いろいろあってさすが本国のラインナップと感心する
やはりwikiにあるように本国のHPにはプリンスオブウェールズはなかった
だが目に付くところにキーマンのブレンドも無い
雲南はある
アールグレイはキーマンベースらしいが
さがしたらロシアンキャラバンがキーマンのブレンドだった
(あとは見つけて下さい)


…もしかしてプリンスオブウェールズはもうとっくに
キーマンベースではなくなっているんじゃないだろうか?
最近は祁門の環境破壊が悪化していて後継者も少なく
茶業が縮小していて品質も落ちているという
雲南はまだ田舎で生産量も多く、品質もそこそこで安いのだろう
そちらの紅茶をメインにブレンドしてキーマンは申し訳程度…いや
もうブレンドすらされていないのかもしれない
だが、プリンスオブウェールズという名前でなくYunnanではいまさらは売れないだろう
トワイニングのプリンスオブウェールズは代表銘柄なのだから
その名前を捨てたら多分売り上げがかなり落ちるし
だいたい買う人が中身が分からなくなる
私はもう一度両方の箱書きを再確認したがどちらにもキーマンの文字はどこにもなかった
事実は片岡に電話でもして聞いてみるのが一番なんだろう
事実を言ってくれるかどうかは別として事情くらいはなにか分かるかも知れないが

今回は疑問で終わるが
ヒマと気力があれば片岡に凸電してみるかも知れない


私としてはブレンドのベースは何でも良いのだ
美味ければ
だからこの件でトワイニングを糾弾するということはない
むしろ問題はセイロン・オレンジペコである…あれは糾弾に値する
だがしばらく美味しくて高いキーマンを飲んでいないので
なんか買って味を思い出す必要はあるな…

だれかくれないかな…


























余がやむなくオリジナル・ブレンド・ティーを製作した件 白いキャンバス…のような驚きのセイロン

2011年07月08日 | 紅茶・ブレンド

しばらく買い控えていた日々のリバウンドのように
この3ヶ月ほどなんだか新しい紅茶を買ったり
はたまた貰ったりとしているうちに

気がつけば梅雨の湿気と例年にない異常な暑さ
これは茶葉には良くない環境負荷である

にもかかわらず
夏前だというのに異常なほどの紅茶の量と種類が…!
冷蔵庫のない我が家におけるスリルとサスペンスなサバイバル・シーズンが
本年もやってまいりました

夏を越すと、常温で保存していた茶葉は
たとえしっかり保管していたとしてもやはり風味が落ちる
開封前に冷凍保存という手もあるが
解凍時に結露するのはあまり好ましくない
夏のうちに飲んでしまうに限る
いや、夏前に下手に紅茶の在庫を抱えないのがいつもの今時なんだが

そこに追い打ちをかけるかのように5月の末頃
誰かさん(誓って余ではないぞ!)が興味本位で買った200g/400円のセイロン
しかも駅前のスーパーの日本茶売り場で…

んがああああっ!
興味本位でそんな鬼畜な量のどこの馬の骨ともわからんセイロン買うなーっ!
「まあ、いいから淹れてみようよ~。案外美味しいと思うよ~」
「…この量で案外とか、試しにとかはやめろ」
「え~だって安いじゃん」
「ああ…だめだこいつ…早くなんとかしないと」

とにかく淹れましたよ手を抜かずゴールデンルール
ティースプーン小盛り2杯に 湯300mlで

淹れたら…は?

これは確かにセイロン
すごい
異常なほどの個性のなさ
良く言えばあまりのベーシックさに呆然とする
茶葉は古くない
香りもそれなりにある…素直な日東デイリークラブ系
味は渋みのない非常にクリアなすべての紅茶のベースにあるあの味
これにコクとフラワリーな香りを足したらディンブラだし
サリチル香と爽やかな渋みを添加してやればウバだろう

不味くない…不味くはないのだが
この、すべての銘柄や茶園や産地の特色をそぎおとした紅茶って…


これを飲んで思う
無意識にも意識的にも我々はある意味“お茶”というものの
「個性」を楽しんでいる、ということを

なぜ《世界の三大紅茶》が
ウバ・ダージリン・キーマンなのか
なぜそれが
ディンブラ・ニルギリ・アッサムではないのか

…なんとも不可解な体験であったな
こんな紅茶は初めてかも知れない
生まれる前の赤子のようじゃ
どうすればこんな味になるんだろう…?


さて、こんな紅茶が200g
1勝1敗1引き分けのセレクティーの茶葉がまだ3種合わせて100g以上
知覧紅茶のお返しにと買って味見と称して半分自分のものにした
ルピシアの2011年新茶のマハガストッテ・ヌワラエリアと、セイロン・ウバ(5012)
25g×2
トップバリュのセイロン・ジャワ・ティーバッグが30パック以上
知覧やぶきた紅茶90g
ちまちま大事に飲んでいるマカイバリ・ダージリンが50g
東インド会社アッサムは70gぐらい残っているし
トワイニングのアイリッシュ・ブレックファストもまだ半分の50gはある

合計600g以上
1杯分3gとしてだいたい200杯以上
(これでもフレーバーティーは除外してある)

6月半ばにはこんな状況であった

しばらく飲みまくってカフェイン中毒になりめまいが止まらず
しばらく1日おきのカフェイン抜き…とほほ
余は高貴な生まれ故、繊細なのじゃ

だがやはり、件のベーシックセイロンは飲む気にならないのである
むむむ
これでは残ってしまう
古くなればますます飲む気が失せよう

…というわけでオリジナル・ブレンドを作ることにした
いままでも茶葉はよくブレンドして飲む
気分に応じて、飲み方に応じて、だいたいポットの中で完成する
だが今回は一回づつが面倒なため、敢えて大量に作ろうという試みである
ベースとしてはこのセイロンは優秀だろう
言ってみれば白いキャンバスのようなものだ
“あなた色に染めて…”的な(笑)

とりあえず試作品を作った
ベース8
ウダプセラワ3
ストラスペイ5
シウプルアッサム2
セイロン・ジャワ・ティーバッグ3個分
アイリッシュ・ブレックファスト1
東インド会社アッサム1
ルピシア・ウバ1
(1単位=およそ3g)

だいたい70gくらいのものが出来た
空の紅茶缶に入れ軽く振って混ぜる
早速試飲してみた

香りはオーソドックスなセイロン寄り
だが輪郭はわりとある

味…甘っ!
これはマイルドでクセはなくコクが強く甘い!
そして旨味が強い
舌に訴える紅茶というべきか
ストラスペイの量とジャワの勝利だな
ストレートでもいける

だがこのブレンドはミルクで化ける

ミルクの脂肪と茶葉のコクと甘さが一体となり
香りがぐっと映える
これは隠しアッサムとウバ系の仕業だろう
甘さはへたらない
ストラスペイ茶園ディンブラの甘さは半端無いからだ

これは…いける!
毛利元就三本の矢の喩え
♪ひと~つひ~とつは~弱くと~も~
み~んなで~ち~から~を合わせ~れば~…とくりゃ
(そんな歌ありません)


というわけで
期待以上のできばえの
Ridgwaysの“H.M.B.”(ハー・マジェスティ・ブレンド)ならぬ
Nirvana・cafeオリジナル・ブレンドが完成した
…なんて名付けようかのう

“a Jewel in a Dunghill Blend”
曰く『掃き溜めに鶴ブレンド』(←直訳では『クソ山の宝石』)
だって200gで400円のセイロンがベースなんだぜ?


Nirvana・cafeの“J.D.B.”と呼べ!
(またそんな偉そうに)




 *ちなみにJ.D.B.をググったら
  1.日本デザイン事業協同組合
  2.jdb というJavaデバッガのこと
  3.日本開発銀行
  4.Justin Drew Bieber(ジャスティン・ビーバー)
   
   
 …みなさんすみません
 ベスト・キッドは良い映画だったぜ


ご近所のスーパーにおけるなぜかアイリッシュ・ブレックファスト 

2011年04月06日 | 紅茶・ブレンド
つい先日のある日のこと

職場の隣にある大安売りのスーパーの雑踏の中で
私はあらぬものを発見してしまった

見たことないトワイニングの緑色の缶である

缶には
《アイリッシュ・ブレックファスト》
とあった

え?
知らないですよ…これ
いつ発売されたんだ?
本国では普通のラインナップなのか?
しかもトワイニングなのにアイリッシュ
100g缶の《クオリティ》シリーズだ

…と天下のトワイニングなのに知らない商品が有ることに
少々悔しい気分
だがあまり出回ってはないに違いない
輸入食料品店でも見掛けたことないし
少なくともそこらのスーパーには陳列されないだろうな…


そのスーパーは普通のスーパーには珍しく
トワイニングの紙箱リーフティーがあり
あとは普通のトワイニングのティーバッグ
リプトンのイエローバッグ日東紅茶のデイリー
仕入れの誰かが多少なりとも紅茶好き?
思わず買って帰る
…しまった
給料日で気が大きくなってるぜ
久々に100g/700円の茶葉を買ってしまった
いや…先日のBOHの方が遥かに高い
30g/450円だぞ
100gに換算すると1500円だぞ
さすが幻のマレーシア紅茶
トワイニングのクオリティのラインナップが安く感じてくる


さて
アイルランドの紅茶に手を出したのは
15年くらい前に遡る
実家の近くのパルコ内の輸入雑貨店で偶然見つけた
アイルランドの某紅茶会社のブレックファストが皮切りであった
それまではあまりアイルランドの紅茶について知る由もなく
アイルランドが実は紅茶消費量が世界1位で
イギリスより多いというのは茶飲み話としては有名ではある

さすがにヨーロッパ人ではないのでね
しかも15年前の日本では
そんなには紅茶の情報が飛び交っているわけではなかった
まだ携帯がありませんでしたし
インターネットもその時代は触れ得ない領域…

しかし
いつからネットも携帯も出始めたんだっけ?
1997年頃、ツーカーの携帯を持ってた気がする
まだ画面が3行分しかなかったな
カタカナしかメールのやり取りが出来なかった
分厚くてアンテナがあって
小型トランシーバーみたいだったぞ


私がアイリッシュ・ティに遭遇したのは
その2~3年前の頃である



さて調べによると隠れたファンも多いらしい
このアイリッシュブレックファスト
アイルランド紅茶はだいたいアールグレイ以外は
ブレンドものはCTC…つまり濃く抽出出来る
つまりミルクティー用
それはアッサムがメインってことだな

缶の裏を見ると
茶葉はインド、ケニア
アッサムメイン、ケニアで色とコクの底上げと低価格化を図る
『アイルランドで好まれるタイプの紅茶でミルクとの相性は抜群です。濃厚でコクのある味わいは手鍋を使っていれるロイヤルミルクティーやチャイなどにもよくあいます。』
とある
その下に
《1杯分:茶葉3g、お湯140ml/浸出時間:約3分》
というおすすめの召し上がり方が記載されている
この書き方は丁寧だな
湯の量は大事だ
初心者がリーフティーを淹れる時に必要になる
ここでしくじると
「紅茶ってそれほど美味くないね」的な話になりうる


さて淹れてみよう
蓋を開けるとやはりCTC
内袋に入っている
では《おすすめの召し上がり方》通りに浸出してみよう

3分あまりが経過し浸出完了
当然ゴールデンルールです
が初めての茶葉は底の丸いマグカップを温め
そこに茶葉を投入し湯を分量入れる
敢えてティーポットでは淹れません
一杯分ですからね
リハの打ち合わせみたいなもんですな

さて香りです
これは中国茶式に浸出用のマグカップが聞香杯となる
おお
久々のアッサムの鋭く強い香りだ
だがアッサムだけではないな
このケニアは大変良いですよ
美味いディンブラのフラワリーな香りに似たものがあるね

ではまずストレートで

香りが良いし
渋味が極力押さえてあり
ベルベットテイスト
曰く滑らかな舌触り
ストレートでも美味しいではないか
やたら濃厚だけど…
色がギネスに近い?

これはティーポットで二杯分淹れて
3分で最初の一杯はストレートで堪能してから
後の一杯をミルクで楽しむべきだな
香りが良いからすぐにミルクを入れるのは少々もったいない
などとしばしストレートを味わう

さあ
おすすめのミルクティーだ
勿論牛乳は温めないで先にカップに入れる
その上から熱々の紅茶を注ぐと牛乳が煮える
ミルクの新鮮な香りを殺さず熱いミルクティーになるこうすると
私的な感覚としては後からミルクを入れるよりも
紅茶の香りとミルクの香りの両方が生きる
これが香り高いまろやかなミルクティーの秘訣だと
私は勝手に思うのだが…どうだろう?
ミルクを先に温めると臭みが出るしタンパク質は固まるし
よろしくないので牛乳は生・室温に限る

あぁーっとぉ
ミルクティーを語ってしまった
これ前にも言いましたっけ?
いやぁ記憶がボケ老人並みで…
良く言えば鷹揚って言うんですかね
育ちの良さがにじみ出てて

まぁだから敢えてガツガツ調べないのよね
(↑下の身分では横着者ともいうらしい)
こうやって偶然隠れた紅茶に巡り逢うのが人生の楽しみなのにぃ

そういう高貴な方はグラム単価などこだわらないってか

まあ良い
コンセプトが違うんだよ
研究だから!


話がズレた

一口頂く
甘い!
このミルクティあま~い
コクのへたらないのは美味しいミルクティーの条件として当たり前
その上に甘味は茶葉とミルク扱いの勝利
しかも茶葉のフラワリーな香りがフワッと残る
これがアッサムの仕業

赤缶のイングリッシュブレックファストより
香りが良いしコクとキレがある
セルティックの勝ちです(笑)
(値段が違うから比べても仕方ないですが)


やはりこのブレンドはティーポットに二杯出しで
ストレート分を先に頂いたあと
更に浸出すること3~4分
(湯の量は1杯分、茶葉の量はその時点で2杯分←ここ大事!)
ティーコジー必須
カップに生牛乳先入れで
一気に茶を注ぐ

これで完璧だろう


缶が緑色なのはアイルランドだからですね
いわゆる“シャムロックのグリーン”ってヤツでさあ


いずれ某アイルランド紅茶もご紹介致そう
つい先日のある日のこと
神戸のデパ地下にエディアールを探しに徘徊していると…

続く!(←それはつまり来月の給料日以降に)