ANANDA・Cafe

独善的偏向偏執的毒舌紅茶&カフェのブログ 真実は香り高く甘くそして…渋い 良い紅茶のようにね

神戸 萩原珈琲

2010年07月28日 | 珈琲
西に来るまで
知らなかったことの多さに驚く

同じ日本なのに
この情報化社会にもかかわらず
東と西の違いを知らずにいられる

思えばいまやそれは
贅沢で楽しい
実際に生身で足を踏み入れなければわからないことが
楽しい


…そんなこんなで
早稲田の茜屋に通っていながらにして

萩原珈琲を知らなかった

というのは
いかにも関東人らしい情報の偏りで
…まあ、珈琲が苦手だからしょうがない
私の喫茶に打ち込むエネルギーは
ほぼ紅茶(及び中国茶)に集中していたので
茜屋でたぶん私はコーヒーを頼んだことがない!

マニアの偏狂の証(笑)



三宮から灘のあたりは彼と私の散歩エリアだが
我が家からそう遠くはないところに
コーヒー屋のビルがあった
「ここの珈琲おいしいのかなー?」
と言い合いながら
来る日も来る日もスルー
一年近くスルー

そしてDANKEのバターブレンドコーヒーに出会い
そういえば…ということになった
あのよく散歩の途中で見かけるコーヒー屋のビルは
いったいなんだろう?
看板には萩原珈琲とあるが
(経緯を書いていて恥ずかしいものがあるね)

と調べてびっくりした
世界でも画期的な炭焼きコーヒーを考案
日本における炭焼きコーヒーの原点…

…ごめんなさーい!
知らなかったあたしたちがバカでした
そして神戸茜屋珈琲店の船越氏の話で
orz

どれだけ茜屋通ったんだよ
更に追い打ち吉祥寺武蔵野珈琲店
口コミ情報サイトでヒット
「炭火焙煎で有名な神戸・萩原珈琲店の豆を使用。
ネル・ドリップで煎れられる珈琲は濃厚で美味。」

orz

…私の吉祥寺南口の巣があぁ~

というわけで
知らないってすごーい!を連発して調査を終了した


当たり前だが即萩原に珈琲買いに行く
そこでまたしても変化球が好きな彼は
ジャワ・ロブスタとベトナム・ロブスタを購入
…ふつうハウス・ブレンドで味見だろぉ?
だって一番苦いのはロブスタって書いてあるし
酸っぱい珈琲がこよなく苦手な彼はそう言った

というわけで
アラビカを買わずに帰ってきて
とりあえず30g/2杯立てで淹れる
ピッキングの豆が10粒前後?
異常な事態だ
挽いてるそばからあまりにもうるわしいアロマが…

こんな美味いロブスタが飲めるとは~
深い苦みと香り
アラビカじゃなっくってもこんなに良い香りなんだ
そしてお楽しみのミルクたっぷりカフェオレ
砂糖入れなくても甘みが!

炭焼きコーヒーの実力を体感
そして
萩原珈琲の炭焼きは胃に優しい!
DANKEの豆同様
おかわりができるかも?


後に、ある喫茶店のママさんから萩原珈琲2代目
萩原恒雄さんの回顧録を貸して頂いた
大正13年に食料品店として創業し
昭和3年にコーヒー業界に参入され
戦後炭焼きコーヒーを始めいまにいたるまでの間の
様々な苦境が印象的だった
戦前にあったという神戸水害、太平洋戦争、市場の火災で店舗の全焼
そして阪神大震災…

この回顧録の終わりの方に
「ピンチをチャンスに」という一文がある
全てをなくすほどのそれらの災害や戦火を機に
萩原珈琲は独自性と業務の簡潔さへの脱皮を繰り返して今に至っている
その苦労を再生と創造の糧にして
たぶん並大抵の苦労ではなかったと思うが
萩原氏は「そのお陰で」と語る

支えたい
届けたい
という心のこもった美味しい珈琲という商材を
作り続けた萩原珈琲の思いに
そしてその珈琲のおおくのファンに

この回顧録を読んで
なんだかうるっときた


さて我々は後日ちゃんと
マンデリンやらホンジュラスやら
苦いアラビカを味見しまくり
私はさすがにカフェインの急性中毒を起こし
心臓がばくばくに(笑)
一日一杯にします

元町 ダンケ ~バターブレンドコーヒーは絶品だった~

2010年07月22日 | 珈琲
ひょんなことから
神戸が本拠地となり1年

ここは
カフェの街だ

なにしろ紅茶の年間消費量が
日本一の街である

こちらに来て初めてわかったことも多い

UCCは神戸の会社だとは知らなかったし
モロゾフ・ユーハイム・ゴンチャロフ・アンテノール・本高砂屋…
みな神戸本店の超有名店ではないか!

もともと関東圏の出身であるため
西には疎い
歴史的発見と
東西のいろいろな文化の違いに
毎日わくわくの日々である


           *


ある日元町の鯉川筋をダーリンと二人でぶらぶら
そんなとき彼の美味いものGPSが何かをキャッチ

そこにあったのは珈琲専門カフェ

DANKE

とある

…そういえば
神戸のカフェ・スイーツ本にあったな…
たしか「バターブレンドコーヒー」
神戸の老舗といってたなぁ

しかし珈琲はなにしろ
「飲めない・苦手」ときている
彼もどちらかといえば紅茶党
だが、彼はどうしても「ここは美味しいと直感が告げている」
といってきかない

…せっかくだから入るか
私が残したら替わりに飲んでね
などと言いつつドアを開ける

う…
この香り
美味い珈琲屋のオーラが…

カウンターでは渋いマスターが黙々と
流れるようなリズムと鮮やかな手つきで

いや実際あれは流麗とでもいうしかない
あのドリップをカウンターで観覧するだけでも
あそこに行く価値があるんじゃないか?
茶の湯の「お手前」を見るような

ひとつのエンターテイメント

一杯立てのペーパードリップ
である
しかしあの粉の量は20g以上
これは…

大倉のホワイトマスターピース
から立ちのぼる香り
バター…確かにバターだが
このえもいわれぬマイルドな感じはなんだろう
しかもいっさいバターの油が表面に浮かない
不思議だ…

そして、ひとくち

あ~
これはほんものだ
いろものじゃない
なんでバターをブレンドしようなんて思いついたんだろう?
この味わいも香りも完全に珈琲と融合している
まろやかで優雅なコクと香り…絶品だ

豆はビター
酸味はほとんどない
私も彼も酸味のある珈琲は飲めないし嫌いなので
このベースの豆のブレンド自体がとても好みだ
(うわ~これは…!)
というような顔で彼がこちらを見る
同じようなことを感じているんだろう

そして
すぐわかるこの感じ

胃に来な~い!

実際おかわりできるかも
と思ったほど
胃に軽かった
たぶんバターのおかげだろう
バターは胃腸の熱を取る働きがある
これはインドのアーユルヴェーダで薬として使われるくらいだ
(その場合はギーといってバターの油脂分だけを取りだしたものを使う)


創業1977年 これは御影本店
元町店は2006年オープン
こちらはお兄さんがマスター
実はまだ御影の本店に行っていない
楽しみは取っておこうってことかしら~


ちなみにこちらどのスイーツも美味しい
特にコーヒーゼリーはこれまた絶品


そしてそれ以来
我が家の神戸における珈琲探訪が始まる

コーヒーが苦手な私がコーヒーを淹れる

2010年07月21日 | 珈琲
え~
念のために言っておくが(←偉そう)
私はコーヒーのドリップについては
一応駆け出しのプロ程度の技術はある

20代のころ、コーヒーとカレーが美味しいあるカフェ・レストランで
ネルドリップの修業をしたことがあるからである

当然上手く淹れられたか否かの味や香りの評価
豆が新しいかとか
わからなければカウンター業務は任せてもらえない
基本の基本はすべてそこで学んだ

そこのマスターもママさんも吉祥寺の老舗のカフェを経営していたが
そこはスタッフに任せて
山手線の内側で新たにカフェ・レストランをオープンした
その二人と知り合いだったのでバイトに来ないかとお誘いがあり
憧れの“カフェの女給”になることが出来た
今から20年ぐらい前の話だ

問題は
私がコーヒーがからっきし苦手であるという
コーヒーの美味い店に勤めるには大変不利な条件…
言っちゃナンだが「アホ」である

しかし、人間その気になればなんでもできるもんで
一生使わないと思っていたネルのドリッパーを持たされて
最初は「味もない…香りもない」とマスターから笑われた私が
1ヶ月の見習い期間を過ぎた頃には
マスターから「客に出せる」許可を頂き
毎回スプーン1杯の味見で
美味いかまずいかの判断が出来るようになってしまった

豆はコクテル堂の豆である
上手く淹れたら不味くなるわけがない
ハウスブレンドはキリマンジャロとマンデリンベースの
濃厚なフレンチ
それを毎日朝一で10~20杯立ての大きなネルのドリッパーで1000~2000ml一気に淹れる
失敗したら1リットルのコーヒーがパー
しかもマスターとママさんの味と揃えなければならない
コーヒーの苦手な私は同じ淹れ方でも
なぜかすこしマイルドに仕上がってしまう
意識的に蒸らしを長め
湯の落とし方をじっくり

注意が要る
パンチの効いた苦めのストロングが売りなので
ここははずせない、が
気を抜くとマイルドになる
不味くはない
しかし、店の味ではない
ここを調整するのに結構気を遣った

しかし、オールド・ビーンズは
ストロングなわりにはあまり胃には負担が無く
たまにはカップの半分くらいは飲んでも良いかな
という気になったので
コクテル堂の豆はそのころの私には
その程度でも“最も飲める豆”ではあった
そして私は仕事上の行きがかりで
「美味しいコーヒーと不味いコーヒー」
の区別がつくようになってしまったのである
コーヒー飲めないのに…


そうしてずいぶん後に
運命は私を日本におけるコーヒー発祥の地神戸へと
連れて行くのである…

(またしても…つづく~?!)



珈琲の悲喜コモゴモ

2010年07月17日 | 珈琲
生まれたときから手動のコーヒーミルと
5人点てのネルドリッパーがあった

父も母もいわゆる“喫茶店世代”であり
珈琲のある生活は彼らには当たり前ではあった

父はいつも休みの日には昼前にコーヒーを淹れ
タバコのにおいとコーヒーの香りがまざった独特の
「休日の昼前の匂い」としか言いようの無い匂いが
朝寝坊して布団の中でうだうだしている子供の私の鼻先をかすめ
それは、あー、そろそろ起きようかなー
というモジベーショナルな香りでもあった

というわけで
幼いニルヴァーナ・カフェは紅茶よりずっと先に
珈琲党の洗礼を受けたのである
たぶん4~5歳の頃からコーヒーの味見をさせられていた

んでもって
私はそのコーヒータイムの香りと雰囲気とをこよなく愛した…
にもかかわらず
困ったことに

コーヒーがまったく体に合わない

という決定的事実に何年かして気づかされた
小学校低学年のころだったと思われる

コーヒーは
おいしくなーい!

これが感覚から自覚的認識になり言葉に変換され出力されるまで
実に3~4年の時間を費やしたのだった
このタイムラグは、ひとえに
「コーヒータイムの香りと雰囲気とをこよなく愛した」
ことに由来する


コーヒーが体にあまり合わない人というのはいて
私もその一人なんだが
そういう方々がだいたい紅茶党になっているのは
カフェ的な時間を愛しているからなんだろう

コーヒーは膵臓に反応を起こす
膵液とは糖質・脂肪・たんぱく質を分解する大変重要な液体酵素
であるのだが
通常のおなかモードであれば
胃から十二指腸に食物が移行するときに
膵臓から膵管を通って
膵液が消化物の存在する十二指腸内に分泌される
という段取りになっているのだが

コーヒーを飲むと反射的に膵液の分泌が起きる

つまり十二指腸に食物があろうがなかろうが
無駄に消化酵素が分泌され
小腸に放出されるのである
膵臓が残業状態におちいる
ようは働かせすぎて疲労してしまうのである

そしてご存知のように
コーヒーのカフェインは胃粘膜を刺激して
胃酸の分泌を亢進して胃粘膜を刺激する
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の人にはコーヒーや紅茶は控えるよう
医者に必ず言われるゆえんである


胃と膵臓がもともとあまり丈夫じゃない私には
コーヒーの薬理作用はかなり強烈なのだ
胃がムカムカするのと
一切食欲を感じなくなる
焙煎の香りだけでも食欲中枢がきれいさっぱり抑制される


しかしコーヒーの肝臓・直腸がん抑制や
抗酸化物質が多く含まれていることなどから
体質に合った人が適量飲めば
そして食事の後のタイミングで飲むことで
消化を促進し抗酸化してくれるありがたい飲料にもなる


そして消化器が繊細な私でも
ダメージの少ない美味しく飲めるコーヒーがあることが判明する


それは神戸にあった…

(つづく~!)