風邪をこじらせて嗅覚がほとんどなくなってはや1週間
これがデフォルトになったらこのブログ終わるな…
と、ブログ自体の存続の危機がひっそりと訪れていたんですが(笑)
だいぶ回復してきました
紅茶の繊細な香りが久々に鼻腔に届いてます
昨日あたりからですがははは
まあ、近況はこれくらいにして
前回のクリッパー・デカフェがNaturalでFairではあったが
&Deliciosではなかったという一件が、どうにも解せず
一方で、ありがたいことに参考になるコメントをいろいろ頂きまして
みかんさんの爆笑コントレックス・ティー・レポートとか
lakenunnuさんご紹介のクリッパーのUKブログやレビューサイトでの評判…等々
やはり、コメ返でも前のブログでも宣言しちゃったので、実行に移さねばならない日がやってきました
硬水実験です!みなさん!
買い物行ったらエビアン500mlが100円で売られてたんで決行(←高かったらやんなかったのか?)
ちなみにエビアンは硬度304mg。一方UKはロンドンの水道水は硬度220mg前後らしい
(ukiukiせっけんライフ
『世界の水の硬度』参照)
みかんさんにコメントで示唆して頂いたように、浄水を加えて硬度を300から200に薄めます
計算して100mlのエビアンに50mlの浄水で、ちょうど200前後
この比率でお湯を沸かしました
さて、使うのは最も魚臭かったデカフェティーバッグ2種
・クリッパーデカフェ(画像:上)
・ヨークシャーデカフェ(画像:下)
さて湯が沸いた。早速行ってみよう!
まずはデカフェ対照実験だ
淹れ方はUK庶民方式
2個のマグカップにクリッパーとヨークシャーTBを入れ熱湯をぶっかけ蓋をして4分
さあ、どうなるのか…
出た!出ました!クリッパーのカップに油膜みたいなのが浮いてます!
(みかんさん、これは日本ではなかなかお目にかかれませんよね~)
工事現場の水たまりに落ちた油が水面に膜張ってる…みたいな(食い物に使う比喩じゃねーよ)
おや…変だな。ヨークシャーのには油膜がかかってない!
確か、ヨークシャーでもデカフェには硬水用・軟水用の区別はないはず
この油膜みたいなのは硬水中のミネラルと紅茶のタンニンが結びついたもの
…てことは、タンニンの低い茶葉を使ってるのか?
さて、この時点ですでに違いが出ました
では飲んでみましょう
まずは香りから
ここがまず大事なポイント
この水で無漂白のTBのいりこだしパック臭が変化するのか否か?
ああああああ~
変わりませんよ~
クリッパー・ヨークシャー共に変わりませなんだ
特にクリッパーTBはこうやって改めてテイスティングすると…ヨークシャーTBの生臭さが子供に見える
考えてみりゃ当たり前か、アルカリは生臭いんだよもともと
こんにゃくが生臭いのは水酸化カルシウム(いわゆる消石灰)のせいだし
ピータンとかあくまき(南九州の郷土食品)とかもアルカリの匂いだ(両方好きだけど)
硬水はミネラルが多く、エビアンはPH7.2、いわゆる弱アルカリですな
この件については、
「ものごころついたころから英国人はTBはこういう味だと思ってるから気にしない」
としか言いようがないですな
では味です
とりあえずストレートで飲む
まずはクリッパー
あらっ?これはどういうこと?
腰が出てるじゃないですか!
軟水で入れたら腰がなかったのに、硬水ではコクと若干の渋みがある
甘さとまではいかないが、アッサム特有の重さが出ているぜ
ヨークシャーも同じく、軟水抽出では見られなかった渋みがあり
もともとコクがあった味わいに、キレが加味されている
これは両者ともミルクが期待できそう
というわけでミルク投入
クリッパーのあっさりシャバシャバした感じがなくなり、コクとまろやかさのあるミルクティーに
香りは依然として、こりゃないわ…の漁港臭だが、味が格段に改善されている
これは、ティーバッグから出してポットで淹れれば問題ないんじゃないか?
ヨークシャーのミルクティーは多少魚臭さはあるが、クリッパーに比べればマシに思える
もともとヨークシャーデカフェはコクは十分なので、硬水では更にパンチの効いたミルクティーになった
せっかくなんで、クリッパーのTBなしバージョンをポットで淹れる
TBの移り香はあるが気にしなけりゃ気にならない程度
もともとこのデカフェはわりと香りがあるので、コクさえあればそれなりのミルクティーになるのだ
ようやくオーガニックの素性の良さが好意的に味わえる
後味が良く、コクとそれなりに香りのある素直なミルクティーになった
これならなんとか消化試合にはならないです
というわけで、地元では皆さん、コクのあるクリッパーを飲んでいらっしゃるとわかった
だからといってティーバッグの匂いは硬水でも変わりはないこともわかった
「無漂白のティーバックは風味に影響ない」という英国人のレビューには今のところ確実に賛同できない
次からクリッパーを飲むときは、TBを取り除き、エビアンで淹れよう…
…というわけにはいきません
毎回クリッパーのためにエビアン買うっていう選択はない
コスパが聞いて呆れます
では、どうするのか?
キッチンで安くお手軽に硬水を手に入れるにはどうしたらよいのか?
即座に出た答えがこれ…
「塩を入れる」
これでおうちで即席硬水の出来上がりだ!
安い・早い・美味い!
三拍子揃ってまるで吉野屋のようではありませんか
いや…美味ければね
いや、美味しいはずなんですよ
塩をミルクティーに入れるってのはよく聞く裏技ではあります
特にチャイに入れてコクを出すというのはたまにやっていましたね
しかし、今回入れる理由は、塩味がコクを出す…のではなく、
硬水はミルクティーに合う、という理論からの推察であるわけで
(理由がどうであれ美味しくなりゃなんでもいいんだけどね)
カルシウムやマグネシウムの多い粗塩を使って、例の被膜が出ないかな~という実験も含めてね
というわけで、もう一つ実験
「塩の硬水ミルクティー」です
耳かき1杯くらいの粗塩を茶葉と一緒にポットに投入し、上から熱湯を注ぐ、というもの
また、クリッパーで実験だ
さて、長くなってきたのでざっくりつまむと
「被膜が出た!」
「塩味はそんなに気にならない」
「美味しいし、ミルクティーにコクが出る」
という良い結果が出た
これは後日、普通のセイロンティーで実験したが、やはりミルクティーはコクが出て美味しかった
硬水の実験中にサイトを検索していてヒットしたのがこれ
《Liyn-an Tea Club No.15 ミルクティー編・水の硬度と紅茶の美味しい関係》
コントレックスと硬度0の水を割って、6種類の硬度の水を作り、
ディンブラ・ダージリン・アッサムをその水で淹れて、ストレートとミルクでそれぞれ評価して
点数をつけて硬度と美味しさの関係を研究したものである
リンアンさんは科学的でいいなぁ
そしてみかんさんの言う通り、コントレックスの硬度1551のお茶は美味しくなかったと出てました
私のいい加減な実験でご不満な方は、ぜひこちらをご参照ください
さて、実験はいろいろしてみたが、ここで、重大な発見をご報告したい
塩でミルクティーを作ったあと、試みに自宅にあるアルカリ性の添加物で紅茶を淹れてみた
「重曹紅茶」である
重曹は炭酸水素ナトリウムといって、ナトリウムはミネラルである
塩は塩化ナトリウムなので、塩からさが多少出るが、重曹は塩素がないので塩味がしない
だから塩味のないミネラルを紅茶に添加したらどんな味になるのか、試してみようという魂胆
ポットに普通のセイロン茶葉に重曹を耳かき1杯入れ、上から熱湯をぶっかけるいつもの方式で淹れた
さあ、3分経ったというところでカップに注ぎ、まず香りを嗅いだその瞬間
衝撃が鼻腔を貫いた
「さ…魚臭い…!」
なんということだろうか
なんと、あの忌まわしいUK紅茶のいりこだしティーバッグの紙の臭いが如実に再現されているじゃないか!
衝撃冷めやらぬまま一口飲む
うっ…イギリスのTBの味が、ただのセイロン紅茶を台無しに…!
これはまじか?
UKティーバッグの合成香料を発見しちゃったじゃないか
これさえ入れれば、あの漁港臭を誰でも完璧に再現できるのだ
偶然とは恐ろしい。こんな風に青色ダイオードも発明されたに違いない!
思うに、パルプの製造工程で、木材から繊維を取り出すときに洗浄剤に苛性ソーダなどを使い
それを中和する工程で消石灰などを使う
私はパルプ製造なんか知識があるわけないのでググってみた程度のことしか分からないが
どこかで、炭酸水素ナトリウムが使われているか、使われた薬品が反応してそのようなものになるか
なんらかで、これ、または類似した生臭いアルカリ性の薬品が紙に残留しているとしか思えない
この後で、パルプの漂白の工程に移る。漂白の前にこの臭いがつくのは無漂白のTBのおかげでわかった
日本の工程では発生しないこの匂いが、英国のパルプ製造の製法の特徴なのか、
それとも水のせいなのかは、私の知識では判然としないのだが
誰か知ってる人がいたら、ぜひ教えてほしいものである
というわけで、私が言う「漁港臭」をぜひ経験してみたい方は
UKのTB(もちろんクリッパーかヨークシャー)を買うか、
最近は100均でも置いてある重曹をひとつまみ紅茶に入れて頂ければ、お分かりになるであろう
なにもかもが台無しになるので、その破壊力を味わっていただければと思います
茶渋落とすのには重宝なんですけどね!重曹!