How many miles to Babylon
How many miles is it to Babylon?
Threescore miles and ten.
Can I get there by candle-light?
Yes, and back again!
If your heels are nimble and light,
You may get there by candle-light.
バビロンまではなんマイル
60プラス10マイル
ロウソクともしてゆけるかな
いってかえってこられるさ
あしがはやくてかるければ
ロウソクともしてゆけるとも
『マザーグース』 谷川俊太郎・訳
ええっと
ご無沙汰しております
月日の経つのは早いモノでもう明日には師走という
年末です
最大瞬間風速のまさかのランキング入りで
「もう何も思い残すことはない」(←完全なフラグ)
と人生はすでに日暮れているのに
前々回の実家で紅茶難民化した記事のラストを
引っ張って終わったような気がしてなりません
(覚えてろよな)
『…というわけで難民はめでたく救助された
さて、だがしかし
ウエストのリーフパイのために淹れた紅茶は
実はこれ(ハロッズNo.12)ではない
(な…なんだと?)
彼女の抱えてきた紙袋の中には
この変人3人組の再会を祝うべく
実は大変なレア物が隠されていたのである』
それでようやくタイトルに戻る
『それはマリアージュフレールの2011年フレンチサマーティ
“バビロニア”』であった
彼女は紙袋から大事そうに画像のガラスビンを取り出した
…彼女って詳しくは11月6日の記事参照
それは磨りガラスの大変上品な夏空色をしたガラスビンで
蓋も同じ磨りガラスを使っていた
フロストガラスっていうらしい
彼女は言った「自分へのご褒美なんです」
確かに彼女の仕事関係の難関を乗り越えた艱難辛苦にふさわしいご褒美である
(そういうことがあったのです…人生は苦難の連続)
「これ飲みましょう!」
将に再会の祝杯にふさわしい紅茶だ
多分私は二度と飲めないだろう紅茶である
だって1本4200円/160gなんだもん
「そりゃ私だって思いきりましたよ~」
と彼女も言う
「これをコレクションしている人もいるんですよね」
「こんなお茶があったのか…さすがマリアージュフレールだ」
私はM・Fのお茶にはなぜかあまり縁がない
多分…高いからだろう(多分じゃないって)
従ってここのお茶についてはあまり情報を入れたことがない
マルコポーロは好きで喫茶店では良く注文するが…
…あ、忘れてた。去年の8月20日の記事で《EROS》を紹介してた
(『黒執事Ⅱ第7話でドルイット子爵が紅茶の感想をスルーしたので替わりに解説する』)
知らないことは沢山あるもんだ
「これ1年に1本ずつ発売されるんです。もう13本くらいあります。
このコレクションのために専用の棚を作っている人もいますよ…見せて
貰いましたけど」
確かにこのビンはコレクションのとして成り立つ美しさだ
折角なので、虎の子のロモノーソフのポットを出す(画像の後方のポット)
池袋のマリアージュフレールでこのポット26000円してたな
実際はここだけの話…全セット80$だったんだが(←暴露話)
ロシアに行ったのは1998年
あのころはドルが下がっていたがまだ110円台だった
今の78円とは大違いだし、なんせ本国のルーブルは信用が無く
モスクワの闇市で使えなくて、ドル換金して買い物に行ったのだ
さて久々のロモノーソフにバビロニアを投入する
ザクロを含む赤いフルーツと柑橘フルーツ、
さらにオレンジピール、ベリーそして青い矢車菊
赤・黄・青がきれいな茶葉である
このビンは蓋がティーメジャーになっていて
すり切りで10gという便利な仕様である
実家の父親も飲みたいというので4人分を10gで淹れた
湯量は150ml×4
ちょうどロモノーソフのポットの最大湯量くらいである
浸出時間を長目に4分くらい取り
フルーツやピールなどもふやけた頃合いを見計らって
カップに注ぎ分ける
オレンジペコで水色は軽いオレンジ色
香りは爽やかな柑橘とベリー系
ベルガモットが隠れてるところがエディアールブレンドの要素もあるかな
マルコポーロに少々似ているがもっと軽く酸味もあり
そこがエロスぽい
サマーティーだけあって甘さがまったりしていない
酸味が強すぎるエロスはあまり好きではないが
この僅かな酸味は爽やかで好感度が高い
茶葉に何使ってるのかどこにも情報がないのが残念
大きな撚りの発酵控えめな甘い渋みの出にくい茶葉を使っていると思われる
水色の薄いところはマレーシアのハイランドに似てる
もしくは台湾系紅茶かジャワティーの感じ
フレーバーなのでわかりにくいが
フレーバーを邪魔しないように作っているのだろうから当たり前だな
アイスにしたらもっととろっとしていて
ベリーとベルガモットで甘く香るんだろうな…
などとその時は何も思わず
みんなでウェストのリーフパイをおかずに
「うまーい!良い香りだー!」と騒いでいたのだった
…と、バビロンまで40と5日前の記憶を思い出しながら書いてる
ちなみにバビロンとは『バビリム Bab-ilim』が語源で
“神の門”を表す言葉である
現在のイラクである、メソポタミアの南部をバビロニアと言った
一方旧約聖書創世記ではバベルと表記され
バベルの塔の伝承にて混乱(バラル)を語源とすると伝える
このサマーティーのシリーズは《旅》がテーマとなっているらしい
ナイルやサハラ、モロッコ、メソポタミアなどいかにもフランス人が行きそうな旅だ
アルチュール・ランボーも砂漠の商人となった
フランス人をいつも魅了するオリエンタリズムである
イラクのバクダットと例のサマワの間にバビロンは位置している
神の門はいまや本当にバベルの塔となっている
名前とは恐ろしいものだ
だがフランスの武器商人なら行くだろうな
ミラージュ…とか、エグゾゼ…とか紅茶の名前にすればいいのに
硝煙フレーバー・ティー
スモーキーとかいわれるんだ
*BGM:偉大なるフランスの作曲家ベルリオーズ
『幻想交響曲』第1楽章「夢、情熱」
(ただしアヘン服毒自殺者の狂気の夢)