ANANDA・Cafe

独善的偏向偏執的毒舌紅茶&カフェのブログ 真実は香り高く甘くそして…渋い 良い紅茶のようにね

バビロンまでは何マイル? 行って帰ってこれるけど、二度と飲めないバビロニア!byマリアージュフレール

2011年11月30日 | 紅茶・フレーバー

How many miles to Babylon

  How many miles is it to Babylon?
  Threescore miles and ten.
  Can I get there by candle-light?
  Yes, and back again!
  If your heels are nimble and light,
  You may get there by candle-light.


バビロンまではなんマイル
60プラス10マイル
ロウソクともしてゆけるかな
いってかえってこられるさ
あしがはやくてかるければ
ロウソクともしてゆけるとも

   『マザーグース』 谷川俊太郎・訳



ええっと
ご無沙汰しております
月日の経つのは早いモノでもう明日には師走という
年末です

最大瞬間風速のまさかのランキング入りで
「もう何も思い残すことはない」(←完全なフラグ)
と人生はすでに日暮れているのに
前々回の実家で紅茶難民化した記事のラストを
引っ張って終わったような気がしてなりません
(覚えてろよな)


『…というわけで難民はめでたく救助された
 さて、だがしかし
 ウエストのリーフパイのために淹れた紅茶は
 実はこれ(ハロッズNo.12)ではない
 (な…なんだと?)

 彼女の抱えてきた紙袋の中には
 この変人3人組の再会を祝うべく
 実は大変なレア物が隠されていたのである』


それでようやくタイトルに戻る

『それはマリアージュフレールの2011年フレンチサマーティ
“バビロニア”』であった

彼女は紙袋から大事そうに画像のガラスビンを取り出した

…彼女って詳しくは11月6日の記事参照

それは磨りガラスの大変上品な夏空色をしたガラスビンで
蓋も同じ磨りガラスを使っていた
フロストガラスっていうらしい
彼女は言った「自分へのご褒美なんです」
確かに彼女の仕事関係の難関を乗り越えた艱難辛苦にふさわしいご褒美である
(そういうことがあったのです…人生は苦難の連続)
「これ飲みましょう!」
将に再会の祝杯にふさわしい紅茶だ

多分私は二度と飲めないだろう紅茶である
だって1本4200円/160gなんだもん
「そりゃ私だって思いきりましたよ~」
と彼女も言う
「これをコレクションしている人もいるんですよね」
「こんなお茶があったのか…さすがマリアージュフレールだ」
私はM・Fのお茶にはなぜかあまり縁がない
多分…高いからだろう(多分じゃないって)
従ってここのお茶についてはあまり情報を入れたことがない
マルコポーロは好きで喫茶店では良く注文するが…
…あ、忘れてた。去年の8月20日の記事で《EROS》を紹介してた
(『黒執事Ⅱ第7話でドルイット子爵が紅茶の感想をスルーしたので替わりに解説する』)
知らないことは沢山あるもんだ
「これ1年に1本ずつ発売されるんです。もう13本くらいあります。
このコレクションのために専用の棚を作っている人もいますよ…見せて
貰いましたけど」
確かにこのビンはコレクションのとして成り立つ美しさだ

折角なので、虎の子のロモノーソフのポットを出す(画像の後方のポット)
池袋のマリアージュフレールでこのポット26000円してたな
実際はここだけの話…全セット80$だったんだが(←暴露話)
ロシアに行ったのは1998年
あのころはドルが下がっていたがまだ110円台だった
今の78円とは大違いだし、なんせ本国のルーブルは信用が無く
モスクワの闇市で使えなくて、ドル換金して買い物に行ったのだ

さて久々のロモノーソフにバビロニアを投入する
ザクロを含む赤いフルーツと柑橘フルーツ、
さらにオレンジピール、ベリーそして青い矢車菊
赤・黄・青がきれいな茶葉である
このビンは蓋がティーメジャーになっていて
すり切りで10gという便利な仕様である
実家の父親も飲みたいというので4人分を10gで淹れた
湯量は150ml×4
ちょうどロモノーソフのポットの最大湯量くらいである

浸出時間を長目に4分くらい取り
フルーツやピールなどもふやけた頃合いを見計らって
カップに注ぎ分ける

オレンジペコで水色は軽いオレンジ色
香りは爽やかな柑橘とベリー系
ベルガモットが隠れてるところがエディアールブレンドの要素もあるかな
マルコポーロに少々似ているがもっと軽く酸味もあり
そこがエロスぽい
サマーティーだけあって甘さがまったりしていない
酸味が強すぎるエロスはあまり好きではないが
この僅かな酸味は爽やかで好感度が高い

茶葉に何使ってるのかどこにも情報がないのが残念
大きな撚りの発酵控えめな甘い渋みの出にくい茶葉を使っていると思われる
水色の薄いところはマレーシアのハイランドに似てる
もしくは台湾系紅茶かジャワティーの感じ
フレーバーなのでわかりにくいが
フレーバーを邪魔しないように作っているのだろうから当たり前だな

アイスにしたらもっととろっとしていて
ベリーとベルガモットで甘く香るんだろうな…

などとその時は何も思わず
みんなでウェストのリーフパイをおかずに
「うまーい!良い香りだー!」と騒いでいたのだった


…と、バビロンまで40と5日前の記憶を思い出しながら書いてる
ちなみにバビロンとは『バビリム Bab-ilim』が語源で
“神の門”を表す言葉である
現在のイラクである、メソポタミアの南部をバビロニアと言った
一方旧約聖書創世記ではバベルと表記され
バベルの塔の伝承にて混乱(バラル)を語源とすると伝える

このサマーティーのシリーズは《旅》がテーマとなっているらしい
ナイルやサハラ、モロッコ、メソポタミアなどいかにもフランス人が行きそうな旅だ
アルチュール・ランボーも砂漠の商人となった
フランス人をいつも魅了するオリエンタリズムである
イラクのバクダットと例のサマワの間にバビロンは位置している
神の門はいまや本当にバベルの塔となっている
名前とは恐ろしいものだ

だがフランスの武器商人なら行くだろうな
ミラージュ…とか、エグゾゼ…とか紅茶の名前にすればいいのに

硝煙フレーバー・ティー
スモーキーとかいわれるんだ






*BGM:偉大なるフランスの作曲家ベルリオーズ
『幻想交響曲』第1楽章「夢、情熱」
(ただしアヘン服毒自殺者の狂気の夢)


























祝・ANANDA・Cafe最大瞬間風速! ブログランキング(10000位以内)に食い込む…それはハロッズのおかげです

2011年11月07日 | 茶話

ええ、もう思い残すことはありません
これでいつでも安らかに逝くことができます

こんな(気高く高貴な)罵詈讒謗と傍若無人な悪口雑言
人に喧嘩売ってる(デュエリストなのだ…貴様、剣を取れ!)としか思えない記事の数々を
根気よくご閲覧頂いた寛容なる読者様皆様BOT様…

おかげさまで初めてブログランキングに入ることが出来ました
ご存じのようにgooブログは10000位以内に入らないと
ランキングを表示して頂けない仕様になっているのです
11月6日 9985 位 / 1,651,283ブログ

本当にありがとうございます

きっとこれが最大瞬間風速です
きっともうこの剣…もといこの件で御礼申し上げることは
一生叶わないでしょう
というわけで最初で最後のブログランキング関連記事です
この場を借りて当ブログをお読み頂いた皆様に深く御礼申し上げます

だがよくよく考えれば
これは…

《ハロッズ No.16》の力だな

とNirvana・cafeは珍しく謙虚に分析するのであった
それ以外に勝因が見あたらぬ

というわけで
花鑢さんからこの前送ってもらった涙の詰め合わせセットの
レビューしていない
ハロッズ オランガジュリー・アッサム》を祝杯として頂こう!

このアッサムは「独断と偏見で語る美味い紅茶ランキング・第9位
にランクインしている優れもの
だが高い(もちろんお値段のことです)
このお値段のせいでこのお茶は“第9位”なのです
だってNo.30の倍ですのよ?
倍の意味は両方飲み比べたら分かりますけどねえ

だが美味しいアッサムの味を覚えたければ
私はハロッズのオランガジュリー・アッサムをおすすめする
それもハロッズのカフェで、だ
あそこのマニュアルは茶葉をケチらないからな(笑)
私はそこでアッサムとは何かを知ったように思う
しかし…ハロッズのティーサロン少ないな
池袋三越閉店しちゃったしな

ともかく一回でもちゃんとした味を知れば
おのずとどれが美味しくてどれがいまいちなのかがわかる
初期投資はこの世界大事なのです
コスパを語るにもそれがなければお話になりません


というわけで
ただいまオランガジュリー・アッサムを淹れて飲んでいる
画像でおわかりだろう
このゴールデンチップの量

重厚でいて品のある香り
重い木調だが
ポットに湯を注ぐそばから香り立つ赤紫蘇のアロマ
鋭いキレのある味わい
渋みとコクのバランス
ストレートで飲みきってしまいそうになる
ミルクを入れたとたんに軽さと華やかさを帯びる香り
クリーミーな味わいと濃厚すぎない上品な舌触り
後味に残る香りと甘さの快楽
2杯目はない
茶葉は終わってしまった…

だが久しぶりのオランガジュリー・アッサムは
期待を裏切らない美味しさだった



BGMはイーヴォ・ポゴレリチのモーツァルト
sonata KV 331 Andante grazioso
トルコ行進曲じゃないやつね

物心ついてから今日の12:20までモーツァルトを一度も良いと思ったことはなかった
だまされたと思って聴いたポゴレリチのモーツァルト
いままで大好きなグールドでもダメだった
ホロヴィッツもしかり

だがポゴレリチのモーツァルトは今日なぜか切なく聞こえる
不思議なことが起きたと言っても良い
アンチ・モーツァルトで有名だったからな
試しに内田光子のモーツァルトを聴いてみる
…聴ける
心境の変化なんだろうな
本日はいろんな驚くことがありますな







実家で紅茶難民化する! 起死回生のティーバッグ研究室…救援物資はハロッズNo.16 

2011年11月06日 | ティーバッグ研究室
以前書いたが
実家はとにかくコーヒー党である
ヤカンに湯を沸かし豆を挽くのが父の朝の楽しみである
家族は紅茶も好きなので
私が淹れればおかわりして飲むが
なぜか私がいないと紅茶は無いも同然となる

先月、久しぶりに法事で実家に帰った
2泊3日の初日到着すぐの夕方から紅茶を探すが
唯一まともな茶葉は
うちの母がたまたま買った
ルピシアのダージリン・ファーストフラッシュのティーバッグ
それも最後の一個
長旅の疲れを癒すダージリン
…このティーバッグ
確か1年以上前からあるよね
つまりそれから一切更新が無いのだった

このティーバッグを最後に
私は自分の実家で見事紅茶難民と相なった


その日は私の東京の仕事を引き継いでくれた偉い後輩が
久しぶりなので会いたいと実家に来てくれて
一緒に夕食を食べようという企画
後輩は実家の両親とも交流があり
家も近いので仲良くしてもらっている
後輩なのに世話になってるという
こちらのダメダメはどこにいても変わらない

そんな彼女は
なんと私と同じかそれ以上の紅茶マニアなのである
これは出会ってからかなり後に知った事実で
それ以来お互い紅茶をやり取りしてきた
類は友を呼ぶとは将にこの事である

さて久々の再会に旧交を温めつつ
食事は和やかに終わり
食後にお茶でも飲むか~というところで

…ろくな紅茶が無い

仕方ないのでほうじ茶を淹れて飲む
このほうじ茶は実家御用達の茎茶のほうじ茶で
加賀棒茶に近い味わいの狭山茶である
美味しいから良いのだが
後輩も加賀棒茶好きだから良いのだが

さて、状況は更に進む
我々の共通の友人であるヨガ行者が
この会合に参加するべく
こちらに向かっていると彼女の電話に連絡が来る
彼女とそのヨガ行者は職場の同僚で
また沖ヨガのインストラクター仲間として知り合ったと聞いている
その後私の仕事関係で二人と出会ったという経緯


そして彼はやって来た
お土産にウエストのリーフパイを携え…

ぐおーっ!
紅茶は無いのかーっ!
ウエストのリーフパイだぞ!

その時だった
「私、家から持ってきますよ紅茶!」
彼女の鶴の一声だった
この遭難に近い状況で
遠慮するなどという殊勝な私ではない
自転車で5分以内のお宅ということもあり
紅茶マニア同志の心意気とパイのためだ
彼女の持ってくる茶葉に間違いは無い!
「いいの?いいの?やった!頼む!」
鬼畜にもためらいの気持ちもなく送り出す
有り難いのは同好の徒である

そして戻ってきた彼女が
紙袋いっぱいに持って来てくれた
その中のひとつが画像のそれ

《ハロッズ No.16》である
彼女はこの缶をドンと置いて
「これ、中身がもう少ししかないので、どうぞ差し上げますよ」

うおーっ!
なんという幸運だろう
しかもハロッズのセイロンだぜ
これで後の2日実家で過ごせる!
地獄に仏
難民に救援物資
またしても世話してもらっているダメダメなNirvana・cafeであった


《ハロッズ No.16》

セイロンの王道ディンブラのクオリティシーズンをシングルで使用
2月と8月の2シーズン
ハイグロウンとミドルグロウンをブレンド
元々のディンブラ生産地域の茶葉で
甘味の中にもほのかな渋みが美味しいセイロンブレンドである
(↑缶の後ろの英語をいい加減に意訳)

リーフなら125g/1050円
お手頃なセイロンである
今回はシンガポール経由の缶いりティーバッグというもの
125g/50P=2.5g/1Pである
中はかなり細かいBOP


早速レビューを以下に記す

●ティーバッグ有り
・香り
多少控えめだがオーソドックスなディンブラ
フラワリーな柔らかい香り
茶葉とティーバッグの紙質が良いので
香りがちゃんとティーバッグを越えて
こちらに来てくれている

・味
濃厚でなめらか(メルロー系)
最初はまったく渋みがない
クセが無いが後味が良い
口の中に香りが残る

冷めると次第に渋みが出て来る
それもアクセントとしては良いと感じる

●ティーバッグ無し

・紙の味見
酸味の少ない紙だ
ほのかな昆布風味(笑)
多少な酸臭で匂いが都こんぶに似てくる
(なぜイギリスのティーバッグはどれも海産物風味に?)
だがディンブラのフラワリーな香りが紙に染み付いている
これはバッグごと浸出しないと
香りがしない残念なパターンかも知れない

・香り
やはり
吸われた分返せ!と言いたくなるが
それでも茶葉が良質なせいか
比べなければ多分分かりにくいぐらいのレベル
がっかりはしない

・味
ティーバッグよりクセが出ている
鋭い感じが添加され
よりパンチの効いた味に
後味により甘味が強く残る
渋みがアクセントに


●ミルクティー
濃厚な水色はミルクできれいなゴールデン・ブラウンに
ミルクの臭みのない
美味しい濃厚なミルクティーになる
クセはないがパンチはある

●総評
飽きのこない普段飲みに適した感じ
ストレートでもミルクでもいけるが
個人的好みではミルクが美味しいかな?
紙のティーバッグだがハロッズは優秀だ
さすがである


…というわけで難民はめでたく救助された
さて、だがしかし
ウエストのリーフパイのために淹れた紅茶は
実はこれではない
(な…なんだと?)

彼女の抱えてきた紙袋の中には
この変人3人組の再会を祝うべく
実は大変なレア物が隠されていたのである

それは次回にレビューするとしよう…
(引っ張りますね最近)






日本紅茶協会が1983年(昭和58年)に11月1日を「紅茶の日」と定めた

2011年11月01日 | 茶話

私には毎日が紅茶の日なのだよ諸君


しかし、こういう時こそ
紅茶のプロパガンダとして
ネタに困ったテレビ局や新聞・雑誌などが
紅茶を世の中に情報発信してくれるのだ

だがこんなことであろうとも
美味しい紅茶が少なくとも世に出回り
誰かが本当に美味しい紅茶に出会うきっかけになる

きっかけなんてそんなもんだ

だからこんなとってつけたような日を
仇やおろそかにしてはならないのです


日本紅茶協会

10年ほど前に一時期本気で
ここのティーインストラクターを目指そうと画策したことがある

受講料:合計28万3500円(受講料27万円、消費税1万3500円 テキスト等教材費、実習資材費、参考図書代等を含む)

…じぶんでコツコツ自分流にやろ
と悩んだ末に思ったね
ずっとがっつり専門職の技術職だったので
今から転職だったらまだしもね
マニアの余技としては贅沢だし浪費になりかねんと
そういうとこだけえらく現実的なNirvana・cafeであった

今なら「権威は無いが毒舌ティーインストラクター養成コース」
くらいならやってやれんことはない
ただし大変偏ったセミナーにはなるだろうよ
言われなくてもわかりますか
そうですね…


ただ、神戸市内で紅茶教室をしている某ティールームで
思わぬひどい茶をずいぶんお高い値段で飲んだときは
「こんなくっそ不味い紅茶を教えてるとはお前ら犯罪者だなっ!」
と口走りそうになった
(あえてどことは言いません←言ったも同然)

先生なんてプロになれなかったヤツのなれの果てだな
…と小説教室の案内を見るたびに思うのだった
ひどい言われようだ(←自分で言ったんだろ)

それでもそれすら紅茶の旅のきっかけになりうるのだ
きっかけはなにぶんにも必要である
縁はいずこからも来る
それが素晴らしい