崖っぷちロー

チラ裏的ブログ。ここは「崖っぷち」シリーズ・あん○ーそん様とは関係ありません。レイアウト変更でいろいろ崩れ中

「狼と香辛料」第10巻読了

2009-04-11 23:16:30 | 小説・本
支倉凍砂「狼と香辛料」第10巻。
最初は全く考えもしなかったが、気付けば既刊を全て読んでしまっていた。

さて、この第10巻。
読んでいて、「今回は難産だったのだろうか?」となんとなく思ってしまった。
所々読みにくいと感じたのは、私の読解力が足りないせいだろうか?

とはいえ、それは不満につながるほどのものではないし、
十分に満足できる水準にあったように思う。

それに、(自覚的な)引き延ばしの為のエピソードでありながら、
物語の結末に向かうという姿勢は決して忘れていない(ように見える)というのも良い。

第6巻や第10巻が示唆するようなハッピーエンドというのは安易すぎるだろうが、
それでも一読者として安心できることは否定できません。


***
今回も、いろいろとニヤニヤできる小ネタが散りばめられている。
そして、それ以上に私には分からないネタも散在しているのだろう。

小ネタというには大きすぎるが、
例えば中世ヨーロッパにおける入植・新都市の建設の様子などは、
詳しい文献が読みたくなってくるネタである。

ローマ帝国以来の都市が発展して~という話は意識しなくとも読むことができますが、
無からの発展というのはなかなか……

***
時折「コル不要論」を見掛けますが、
私にはコルの存在が物語に厚みを持たしているように思えるし、
飽きさせないための装置になっているようにも思えます。

***
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2009年春アニメ「けいおん!」の舞台2

2009-04-10 06:34:47 | その他・趣味
先日のエントリの続き。2009年春アニメ「けいおん!」の舞台
どうも、この小学校へ聖地巡礼に行ってよいのか?という議論があるようです。

法を犯さない、周辺住民の方に迷惑を掛ける行動をしないというのは前提として、
この小学校の場合、紛争を巡るいざこざの影響が尾を引いているらしく、
見物人が訪れる事自体がそもそも好まれないのではないか?ということらしい。
 『けいおん!』の聖地(豊郷小学校)巡礼に関する議論

建物等を毀損するなどの行為によって荒らすことなどは論外ですが、そうでなければ、
保存運動(全体)という長期的な観点からは見物人が訪れることはプラスだと思うのですが、
どうも事はそう単純な話ではないのかも知れません。

現地に行くことに問題があると考えるならば、写真で味わうというのもありでしょう。

***
こういった事情を考えるならば、豊郷小学校を管理しているであろう町役場と、
周辺住民の代表としての「豊郷小学校の歴史と未来を考える会」との両方に意見を聞いた方がいいのでしょう。

まぁ、そこで見学ないし現地への訪問に難色が示されなかったとしても、
それをもって直ちに周辺住民が見物人の訪問を許容したということにはならないのですが、
なにも準備をしないよりはマシでしょう。


***
ちなみに、日本に散在しているその他の近代建築物についても、
子孫の方が住んでおられたり、私企業が管理していると言った理由により
非公開とされているものが相当数あるようです。

例えば、藤森照信・増田彰久「歴史遺産 日本の洋館 第一巻明治篇Ⅰ」(講談社)
に掲載されている建築物13件のうち、
なんらかの理由により非公開となっているものは7件もあります。

阿部謹也「中世を旅する人びと」読了

2009-04-10 05:27:42 | 小説・本
阿部謹也「中世を旅する人びと ヨーロッパ庶民生活点描」ちくま学芸文庫。1200円。

どうも最近こういう本ばかり読んでいる気がする。
そんな暇があるなら法律の本を読むべきなのだが。

本書は、著名な歴史学者が書いた、いわゆる「名著」の文庫版(らしい)。
初版が1978年だから、もう30年も前の本ということになる。

中世ヨーロッパ世界における農民、浴場主、居酒屋の主人、羊飼い、ジプシー等々の庶民の生活を描いている。
どうも雑誌に連載していた記事を集めたものが主体らしく、
<歴史学の学術書>というよりは、<読み物>に近い。

普通の小説やエッセーを読むような感覚で読めるし、
おそらく、ライトノベルを読む感覚の延長で読んでも大丈夫だろう。
 (もちろん、それでは著者の意図を読み取り切れていないのかもしれないが、
  それでも十分ではないかと思う。芦部本を趣味で読むという感覚に近いか。)

文庫本としては決して安い方ではないが、内容との比較で言えばお買い得だといえるでしょし、
かなりお手軽であるといえる。
これで、「金と香辛料」の文庫版が出てくれればどんなにありがたいことだろうか。


***
もちろん、本書も「狼と香辛料」に関連づけて読んだという部分が無いではない。

第1節「村の道と街道」や第9節「牧人・羊飼い」の部分などは、
「狼と香辛料」第2巻に登場する羊飼いノーラとの関係で興味深く読める。
例えば、教会がノーラに対して「異教の魔術を使っているのではないかと疑っている」(265頁)
その背景に農耕文化と牧畜文化の衝突ないし交流を読み取ることもできるのかもしれない。

あるいは、第4節「居酒屋・旅籠」の部分は、村の居酒屋・旅籠について記述されているが、
そこで述べられている居酒屋の役割や旅籠の情景などは、
ホロとロレンスが行っている行商の旅のイメージを膨らませてくれるでしょう。
 (「狼と香辛料」第5巻で出てくる宿屋の価値などについても)

残念なのは、「旅をする人」としては決して少なくない割合が居たであろう「行商人」について、
ダイレクトに記述してくれていないということか。
「旅」という点では、特筆に値しないということなのかもしれないし、
あるいは雑誌の編集上の都合だったのかもしれないが……。


***
ちょこちょこと「狼と香辛料」の感想やレビューをあさっていたところ、
為になりそうなブログを発見。発売当初の記事でしょうか?
かわいい狼神ホロと若い行商人ロレンスの二人旅。支倉凍砂『狼と香辛料』第1巻の感想その1


「狼と香辛料」第9巻について

2009-04-07 21:39:10 | 小説・本
狼と香辛料第9巻は、スケール的にもかなり大きな話。
でも、私が気になったのはかなり小さな部分。
42頁の「黄色は金を思わせる高貴な色だ。」という部分。

私の頭の中では、高貴な色=紫だったので、
黄色が高貴というのは何かいわれでもあるのかと調べてみたくなった。

なので、先日購入した『中世ヨーロッパを生きる』(東京大学出版会)に収められている、
徳井淑子「衣服の色と文様が語る中世フランスの感性」を読んでみたが、
黒色と涙文についてのことくらいしか分からない。

さてどうしようかと思っていたところ、偶然にも大学の書店で、
同じ人が書いた『色で読む中世ヨーロッパ』(講談社選書メチエ)という本を発見、購入。

本文1ページ目から気になることが。
 黄色は、日本でも中国でも、東洋では高貴な色とされてきたが、
 ヨーロッパでは忌み嫌われた色としての長い歴史をもっている。


なんと。
ならば、日本人の私は、むしろ違和感を持つべきではなかったということかw

その後も色についての総論などを経て、各色ごとに各論が述べられており、
第五章が黄色について記述された部分となっている。

そこでは、黄色はこどもと道化・芸人しか着ないとか、ユダヤ人の色だとか、
黄褐色は疑念・欺瞞を意味するとか、薄黄色は悲しみという悪徳の色だとか、
そういう中世的感性が書かれている。

挙げ句の果てには、
 金色と黄色をすでに同じ範疇の色としてとらえていることがわかるが、
 通常は良い意味の場合は「金色」、悪い意味の場合は「黄色」ということばで使い分けられる。


とまで書かれており、これを踏まえると店番の少年の売り文句の意味もまた少し
違って読めるのかもしれない。


とはいえ、中世という長いスパンの中では感性も変化するらしく、
第八章「色の価値の転換」では、黄色(黄褐色)に対する評価の改善が徐々にされていった
といことが述べられている。

これが中世末期、だいたい15世紀頃の事らしいので、そうすると、
「狼と香辛料」もこの部分については中世末期を素材にして書かれたのかもしれないなと。

とはいえ、「狼と香辛料」の世界自体が、結構経済的に発展している感じなので、
作品全体について参照している時代自体が、そもそも中世末期以降なのかもしれませんね。


***
大学生協で面白そうな本を他にも何冊か見つけたのですが、
法律の基本書以上に高かったので、あきらめました。
ちなみに『色で読む中世ヨーロッパ』は1700円なので、
このジャンルの割にはお手軽価格な部類に入るのでしょう。

***
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北朝鮮ミサイル発射

2009-04-05 13:18:00 | その他・趣味

>政府は5日、北朝鮮が発射した長距離弾道ミサイルとみられる飛翔体について、
>発射時間は午前11時30分ごろと発表した。
>発射は1発で、発射方向は東。ブースターの一部は同37分ごろ、秋田沖の日本海に落下したとみられる。
政府、迎撃措置はなし 北ミサイルは東北上空を通過し太平洋へ


でおそらく計画通りに発射されたのでしょう。
とすると、当然、迎撃とか言う話にはならないはずですが……。

どうも、<迎撃しない/できない=日本の負け>見たいな考えをする人もいるようで。
そういう方には、是非とも防衛省の資料を見て欲しい。
「弾道ミサイル等に対する破壊措置の実施に関する自衛隊行動命令について」(平成21年3月27日)
というのが、資料の中に入っていますので。


***
反対に、迎撃準備をしてきたことが無駄だという人もいる。
しかし、今回の迎撃準備というのは万が一に備えたものなので、
実際に迎撃することがないというのが一番良い結果である。

それに、実際にSM3やPAC3を発射するかどうかという以前に、
情報収集等で十分に働いていますので、
その意味でも準備は無駄ではなかったといえるでしょう。


更に読み込んでみれば、こういう迎撃準備の態勢を見せること自体が、
大いに意義のある行為であると言える。

第1に、国民に対して「国防」問題を考えさせる契機になったと言えるだろう。
現実を直視し、ちょっと先の未来に想像力を及ぼせば、
我々がとるべき道筋というものが見えてくるはずである。

第2に、今回の迎撃準備自体が、実戦に極めて近い形での「訓練」になると言える。
これは何事にも代え難い、貴重な経験であり、
今回の経験をちゃんと分析して次につなげることが重要でしょう。


***
言ってしまえば、Em-Net(エムネット)の誤報(4日12時16分頃)ですら、
貴重な経験であると言えるでしょう。
我々は、乏しい実戦経験の中で、極めて貴重な教材を手に入れたことになるでしょう。

2009年春アニメ「けいおん!」の舞台

2009-04-04 18:04:58 | その他・趣味
年度が代わり、新しいアニメの放送が始まった。
今のところ、今期で最も人気がありそうなのは「けいおん!」でしょう。
「京都アニメーション」という有名製作会社(?)が作成しているらしく、
また、某掲示板での注目度もなかなかのようです。

で、その「けいおん!」ですが、どうやら京都周辺が舞台になっているらしく、
加えて、キャラクター達の通っている学校があの豊郷小学校をモデルにしているらしい。
TVアニメ『けいおん!』舞台探訪まとめサイト (聖地の詳細な情報を求めている方はこちらに行かれるといいでしょう)


で、この小学校ですが……
>1937年には、本校出身で伊藤忠商事・丸紅の前身にあたる伊藤忠兵衛商店専務の古川鉄次郎が、
>アメリカ人建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズ設計の校舎と講堂を建設・寄贈。
>当時としては珍しい鉄筋コンクリート構造の校舎は、今日に至るまで豊郷小学校のシンボルとなっている。
 (ウィキペディア)

ということで、近代(西洋)建築好きにとってはかなり有名な小学校。
この校舎をどうするかという問題を巡ってかなり激しい紛争がありましたしね。


『けいおん!』の舞台になっている場所
このサイトでも紹介されているように、
あの有名な「兎と亀の階段」も劇中に出てきたようです。
 (参考:豊郷小学校 見学 その2)

個人的に、近代建築の面白さは玄関と階段・踊り場にあると思っていますので、
この「兎と亀の階段」が取り上げられたことが純粋に嬉しい。
 (まぁ私は、近代建築の中でも、主として<日本にある洋館(個人の邸宅)>が好きなのですが、
 見るポイントというのはこういう公共施設でも変わりません。)

昨今、アニメファンによるアニメの舞台巡り(いわゆる聖地巡礼)も注目を集めていることですので、
今作でも豊郷小学校等に興味を持ち、豊郷小学校を訪問するという方が居てくれれば嬉しい限りです。
そこから近代建築へ興味を持つ人が増えると更に嬉しいのですが。

それでファンの裾野が広がり、
政府の近代建築保護に対する取り組みがより積極的になれば最高ですね。
夢のような話ですが……。

続き>>2009年春アニメ「けいおん!」の舞台2


***
驚いたことに、この小学校を巡る紛争はまだ続いているようです。(問題は変わっていますが)
>平成21年3月27日、「豊郷小学校旧校舎群の耐震壁設置工事は不必要な工事であり、
>損害賠償を求める」という裁判の訴状を大津地裁に提出しました。
 豊郷小学校の歴史と未来を考える会

ミサイル迎撃反対運動について2

2009-04-04 02:27:27 | その他・趣味
何回目だよ。文章が消えるのは。

以前のエントリで言及したMD反対運動ですが。
ミサイル迎撃反対運動について

もう少しまともな反対理由はないのかと探していたところ、
どうやら杉原浩司という方が有力な反対論者の1人のようです。
MD反対ヨコスカ海上行動報告/杉原 浩司
「終わりなきミサイル防衛」に終止符を!

で、杉原氏の主張について、逐一反論というか疑問点を書いていたのですが……
消えてしまったので、簡略化して書こうかと。


*** 
>MDというと「防衛」のイメージに騙されがちですが、忘れてならないのは、
>イージス艦は何よりも先制攻撃マシーンだということです。
>イラク戦争でも、横須賀を母港とする巡洋艦カウペンスと駆逐艦マケインが開戦
>時にトマホークミサイル計70発を撃ち込みました。


いきなり論点をずらしていますね。「MD」から「イージス艦」へと。
イージスシステムを利用したミサイル防衛と、
そもそもの艦艇としての攻撃能力は別の問題でしょう。

あぁ、(一連の機能のみを集約した)ミサイル防衛専用艦を作ればいいのでしょうか?


>米海軍横須賀基地のイージス艦などには、500発を超える最新鋭の巡航ミサイル「タクティカル・トマホーク」が装備され、
>その約半数が中国や北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を標的とした発射態勢にあると言われています。
>日本列島が周辺国に対して史上最強とも言える先制攻撃力を保持していることを自覚すべきです。


中国が日本に照準を合わせている核ミサイルはどこにいったんですか?
核兵器と比較しても、巡航ミサイルの方が「史上最強とも言える先制攻撃力」にあたるんですか?

>それにプラスしてMDを備えることは、「反撃しても無駄」「いつでも先制攻撃できるぞ」と相手を威かくしているに等しいのです。
「攻撃しても無駄」というメッセージは発していないのでしょうか?
で、これらのメッセージによって抑止力があると言えるのならば、それでいいんじゃないですか?


>ロシア、中国、北朝鮮は当然ながら反発し、
>対抗して軍備強化を進めるという悪循環=「軍拡スパイラル」が始動しています。

どちらが先かというのはあまり意味の無いことでしょうけど。
 (軍拡スパイラルというのは、人間の歴史そのものであり、究極的には生物の歴史そのもの)
ミサイル開発の前に「ミサイル防衛」はないですよね。

で、ロシアが軍備強化しているのは、経済事情の改善が大きいのでは?
中国の異常なまでの軍拡もMDのせいなんですか?


>本気で日本を防衛するとは考えていないと見るべきです。
>やはり「軍隊は民衆を守らない」のです。

PAC3の機能する範囲に関連しての主張。
近年は変わってきているとはいえ、基本的には、
軍隊は民衆を直接守るものではなく、間接的に守るものです。
ですので、PAC3で直接的に民衆を守れないとしても、なにも問題はない。
 てか、そもそもMDが「多層防衛」だってところを、ここでは都合良くわすれていませんかね?


>憲法第9条を守ろうというなら、このMDに反対しなければなりません。
う~ん、この章の既述はほとんど憲法9条とは関わりがない。

強いて憲法問題と言うなら、以下の部分か。
>MDはまた、「文民統制」原則を揺るがすものです。
>閣議をしていたら間に合わないとして、自衛隊法が改悪され、迎撃権限は現場指揮官に委任されることになりました。
>戦争権限が自衛隊に丸投げされたのです。


しかし、今回も自衛隊法に基づいて「命令」を出していますからね。
その枠内での現場対応が任されると言うだけです。
戦争権限の丸投げというなら、そもそも「命令」なしで迎撃できなければならないのでは?
 (まぁ、それも正当防衛の範囲内でなら問題ないと思いますが。)


>MDはいわゆる「矛と盾」の盾にあたるものであり、攻撃力を高めることにその本質があります。
シールドバッシュですね。わかります。

この論法は、パトリオットミサイル反対活動に対する反応で触れた、
市民団体の「何か専守防衛のもののように考えられがちですが、実際上は違います。」
という主張と同じ様なものでしょう。
おそらく、この論理を使えば、「防空壕」も攻撃力を高めるのが本質だと言い張れるでしょうねw

「中世ヨーロッパを生きる」を買ってみた

2009-04-02 00:25:35 | 小説・本
大学の生協で、なんとなく目に入ったので買ってみた。
まだ最初の方しか読んでいない。

甚野尚志・堀越宏一編「中世ヨーロッパを生きる」東京大学出版会

本書は、日本の研究者人が一般の読者に向けて書いたもの。
様々なテーマについての(平易な)小論文の集まりといった感じ。
テーマを適当にピックアップしてみると、
「水車は領主のものか?」「騎士の住む城、暖炉のある農家」「遺言にみる中世人の世界」
「職人兄弟団」「書簡とコミュニケーション」「写本絵画の物語叙述とコンテクスト」などなど。

私のような、学問として歴史を学んだことのない素人でも「読み物」として愉しめる。
それに、それぞれのテーマについてより深く知りたいと言う人の為には、
参考にすべき文献がコメント付で紹介されている。

「大聖堂」や「狼と香辛料」が好きな人ならば、興味をもって読むことができるのではないだろうか?


***
例えば、堀越宏一「水車は領主のものか? -ひとつの公共性の誕生」では、
中世のエネルギー事情から始まり、水車の技術的完成と普及の社会的制約の問題、
領主による水車の独占と農民への使用強制の問題、その背景などが述べられている。

そして、章末の参照文献においては、水車研究の論文や書籍が紹介されると共に、
本稿で述べられなかったものとして「粉挽き」についても言及している。

「粉挽きは、バナリテの水車の管理人であり、領主のエージェントであると同時に、
 村落共同体から離れて住む独立した存在だったために、しばしば村人の反感の対象になりました。」

などなど。

これなど、「狼と香辛料」第4巻に出てくる粉挽きのエヴァンの立ち位置に通じるものがあり、
なにやらニヤニヤしてしまうものがある。
(「狼と香辛料」はちゃんと資料を参照しているのだから当たり前といえばそうなのだが)

そこで触れられている参考文献に手を出したくもあり、
とはいえ、冷静に考えると手を出さずに踏みとどまるべきだとも思えてきて……。


ミサイル迎撃反対運動について

2009-04-01 23:24:06 | その他・趣味
またしても。といったところか。

「北ミサイルの迎撃中止を」=防衛省前で市民団体アピール
>北朝鮮の「人工衛星」名目での弾道ミサイル発射に備え、自衛隊が迎撃態勢を取っていることに対し、
>複数の市民団体が1日、防衛省(東京都新宿区)前で、迎撃中止を求めるアピールをした。

>約30人が「『迎撃』名目のミサイル防衛発動を許すな! 4・1防衛省行動実行委員会」などの呼び掛けで集まり、
>「迎撃名目の戦闘態勢だ」「地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)は、平和憲法の枠組みを超えており、市民生活を脅かす」などと訴えた。 

ここまでくると、もはや理解の限度を超える。
「論理が飛躍しているなぁ」ではすまされないレベル。

>「迎撃名目の戦闘態勢だ」
あたりまえのことを言っているが、これを訴えて意味あるのか?
「1に1を足すと2になる!」っていうのと同じレベル。
……それとも、なにか深遠な学術的謎でもあるのだろうか?

>「(PAC3)は、平和憲法の枠組みを超えており、市民生活を脅かす」
平和憲法の枠組みとやらについて、独自の見解をとられているようですね。
なお、市民生活を脅かしているのは何か?という主語について、
この方々は考えたことがあるのでしょうか?

まぁ、万が一迎撃した場合に破片が落ちて来るという意味で、でしょうか?
ならば、迎撃しない場合の方がより市民生活を脅かすことに気付くべき。

とはいえ、破片による危険はむろん避けるべきで、
①市民に対する即時の情報提供体制、
②市民の安全を確保する施設(シェルター等)の整備、
③有事に備えた避難訓練等による市民の落ち着いた行動
などなど、準備すべきことは多々あるのです。

それらについて、いままで「反対反対」で妨害してきたのはどういう方々だったでしょうか?
我々「国民」の手から、危険を逃れる術を奪い続けてきたのは「市民」の方々では?

***
なお、今回の日本の対応については、むしろ「アジアの人(々)」には理解されているようです。

ミサイル発射なら安保理付託=日本の「迎撃」容認-韓国大統領
>麻生太郎首相は1日午前(日本時間同日夕)、ロンドン市内のホテルで韓国の李明博大統領と会談した。
>政府が日本の領土・領海への「衛星」落下に備えて、
>ミサイル防衛(MD)システムによる迎撃準備を進めていることに関し、
>大統領は「日本は国民を守るためにいかなる措置も取れるし、韓国もそれを認めている」として、
>迎撃を容認する考えを明らかにした。


金正日総書記の長男・金正男氏、金総書記の激やせの理由について「激務のせい」
>北朝鮮の金正日総書記の長男・金正男氏が、ミサイル発射に関して、
>なぜこのタイミングで打ち上げを強行するのか、その理由を初めて語った。

>日本が迎撃への動きを進める中、金正男氏からは意外な答えが聞かれた。
>金正男氏は「(日本政府の対応は大げさですか?)日本政府の行動は、自衛のため当然だと思います」と話した。
>北朝鮮は3月9日、「ミサイルを迎撃することは、戦争を意味する」と警告を発した。
>それにもかかわらず、金正男氏は「日本政府の行動は当然」と語った。


反対運動をしている方々との対比が非常に面白い。
それにしても、またしても金正男氏はある種の「人気」を高めることができたようですw

***追記
今回の北朝鮮のミサイル発射問題については、
防衛省作成のこの資料が簡単にまとまっていて良いようです。
SM-3やPAC3のカタログスペックくらいは載せておいてくれても良いのに、とは思いますが。
http://www.mod.go.jp/j/library/bmd/pdf/090331.pdf

***09年4月4日追記
北ミサイル「飛来なら日本に撃墜の権利」―中国軍少将
>中国海軍の張召忠少将は1日付で、自らのブログに
>「北朝鮮が打ち上げるロケットが日本の領空に飛来した場合、日本には打ち落とす権利がある」と述べた。

アジアの人(々)の反応に追加。