猫はよく出待ちをする。
人が動くと目で追い、トイレやお風呂に入っているとその前で待っている。
おかげで何度かドアにぶつかりそうになったり、蹴られそうになっていた。
いや、実際何度か被害に遭っていた気がする。
冬場のお風呂の出待ちは、寒いせいか洗濯機の上の籠の中の時もあった。
私はそこにバスタオルを置いていた。
ビショビショでお風呂から顔を出しタオルに手を伸ばすと、ぶにっと違う感触。
猫は丸まったまま、「なんやねん」という顔でこちらを見る。
「なんやねん」じゃないわっ。タオルのつもりが猫だった時の気持ちが分かるか?
濡れ手に粟、ではなく濡れ手に猫毛。相当気持ち悪いぞ。
でもなんとなく笑ってしまい、猫の下からタオルを引っ張り出す。
ありがたい事に、ホカホカにあったまっている。しかし猫が寝ていた部分は猫毛トッピングなので気を付けないと、濡れた体に貼り付く。
たまに間違えて顔なんて拭いちゃうと「ぺぺぺぺぺぇ~」ですよ。
だけど実際は、そんなに嫌じゃないのです。
乾けば落ちるし、何よりそんなとこで私を待っている彼女がかわいくて。
猫と暮らしている者にとって、毛なんてなんでもないっす。
弁当に猫の毛が入っていても、人に見られないように取り除いて平気で食べるっす。
なんて不潔な、と思われても猫バカなんてこんなもんです。
勘弁してくれよ~と言いたかったが、猫にしてみれば、「こんな夜中になんだよ。」だろうね。