GR DIGITAL III
トラン・アン・ユン監督の「ノルウェイの森」を観ました。
もちろん、村上春樹の小説によって本の世界に引き込まれた僕は、
原作のイメージと対比しながら観ざるを得ない。
「ワタナベ」と呼ばれる主人公は、例によって、1969年という時代に
大学生でありながら、他の大学生とは一線を引いている。
時間によって洗練された本を読んで、
時々永沢さんに誘われて女の子を抱いて、
直子を想うことでバランスを取っている。
不安定でいて、確固たる世界を築いている
ワタナベの世界を、重たく、美しい映像で
見事に描き出している。
ストーリーは切り取られ、
象徴的なシーンのみ抽出され、
原作のイメージを持っていない方には
掴みどころがない作りになっているため、
たぶん、大ヒットはしないが、それでも、
原作を再度読み返したい想いに駆られるには
十分だ。
ということで、みなさん、原作を買ってください(笑)