人と本が出会う時、そこに何が生まれるのであろうか。
もちろん、人によってその情景は異なるであろうが、
少なくとも、自分自身に起こったことは書きとめておく必要がある。
僕自身の原初体験は本を嫌いになるところから始まっている。
小学生の時の読書感想文。
読書感想文を書かなければいけないという命題に対し、
僕は答えを持っていなかったし、また、その答えの無さを
隠す術も持ち合わせていなかった。
圧倒的に思える400字という量のマス目を、
その時ほど憎んだことはない。
そんな僕の心境とはお構いなしに、
国語の授業はやってくるし、感想を求められる。
正直、国語の授業も全く面白くなくて、
漢字や文法は正解が用意されているため、
順を追って覚えていけばいい。
算数の計算問題と同じで、特にストレスはなかった。
ただ、「その時の主人公の心境は?」と聞かれた時、
正直よく分からなくて、用意された答えを読んでも、
やっぱりよく分らなかった。
そんなことが実は高校3年になるまで続いていたものだから、
当時の年間読書数は数冊。しかも、読めよ言われた本のみ。
(漫画は読み漁っていたが)
そんな僕がまさか出版業界に勤め、毎週1~2冊本を読み、
本がなければ生きていけないという状況になるとは
思ってもみなかった。
(続く)