AFP通信など外電情報によれば、24日、英国の重大不正捜査局(Serious Fraud Office)
が、英豪系鉱業コングロマリットのリオ・ティント社に対し、ギニアにおける汚職の嫌疑で捜査に踏み切ったことを発表した。
リオ・ティント社は、ギニアのシマンドゥにおける鉄鉱石鉱山の南鉱区開発を続けてきた。この鉱山ギニアの首都、コナクリから約800キロ東の奥地に位置する。22.5億トンの埋蔵量はアフリカ大陸最大級ともいわれ、リオ・ティント社は1996年から大規模開発に着手してきた。開発総額は300億ドルと見積もられ、その3分の2は鉄道輸送等のインフラ開発に当てられる計画だった。
この計画には世界銀行グループのIFCも少額ながら一部を出資、2012年頃から中国のChinalco社がここに食い込んできたとされる。ギニア政府を含めた共同開発会社Simfer社への出資では、リオ社は80%の株式を保有していた。
しかし2016年10月、保有利権の全てを中国のChinalco社に売却することを発表した。国際市況の低下と、鉄鋼の供給の過剰をその理由として上げている。IFCもこれに先立ち、投資からの引き上げを発表しており、Chinalco社がこれを引き受けた。
(コナクリ市内の鉄道駅)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/fa/f32f3c97e529cf06b9e38ac6f419cd3a.jpg)
独裁政権と貧困がはびこってきたギニア。しかしボーキサイトを乗せた貨車が黙々と走る。民間の鉱山開発と、政治の混乱、人々の生活が不連続に存在する世界。ギニアにはそんなイメージをもってきた。
そしてギニアと中国の関係。冷戦構造下で社会主義路線を歩んだギニアは、歴史的にも中国と深い関係がある。コナクリにはたくさんの中国人と中華料理店を見ることができる。
そういった中で、国際市況の落ち込みを買い時と食い込んでくる中国系企業。以前、ギニアの資源開発に関係したあるビジネスマンからは、「中国勢はジュラルミンケースの《実弾》をもった交渉団が高官に取り入っており、ルールもコンプライアンスもない。」と漏らしたことを思い出す。
他方、貧困のギニアにとって、シマンドゥは宝の山だ。ギニア政府にとって、国際市況にもかかわらず開発を進めてくれる、「信頼できる」パートナーはやはり中国、ということになるのだろうか。
一方のリオ・ティント社。上記の鉱山開発にかかる特別損失を巡り、今後、英国投資当局からの捜査が進められる。同社は世界規模で色々ニュースが絶えない。
同社は、モザンビークの石炭鉱山開発で、2013年に30億ドル(!)の損失を計上したが、このことが米投資市場監視当局の捜査対象となっていることを昨年2016年12月に公表している。この大規模損失に関し、同社はテテ鉱山のコークスの埋蔵量が、期待よりも大幅に少なかったことを上げているが、モザンビーク当局はそのことに疑義を唱えている。
そういえばリオ・ティントが当時、モザンビークのテテ州にある鉱山開発から一目散に撤退したことをンボテもリアルに記憶している。そういうことだったのと今さらながら思い出される。
同鉱山ではヴァーレ社と三井物産が大規模な石炭開発を進めており、本日も投資事業は続いている。
(モザンビーク、サバンナの夕日)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/9f/fb249a3ec1b0af6c4f73408d6f8906b5.jpg)
またリオ・ティント社は6月、オーストラリアの石炭鉱山を中国のYancoal社に26.9億ドルで売却することを発表したところ。世界のあちらこちらで歪みが発生している様子が報じられる。
資源開発とアフリカの成長、資源開発の罠、投資を巡る水面下の動き・・・リオ・ティント社のアフリカにおける大規模資源開発プロジェクトからの撤退と、それを巡る捜査。アフリカ経済にとっても、ビジネスのあり方においても、大きなインパクトと注目を集める。
(おわり)
が、英豪系鉱業コングロマリットのリオ・ティント社に対し、ギニアにおける汚職の嫌疑で捜査に踏み切ったことを発表した。
リオ・ティント社は、ギニアのシマンドゥにおける鉄鉱石鉱山の南鉱区開発を続けてきた。この鉱山ギニアの首都、コナクリから約800キロ東の奥地に位置する。22.5億トンの埋蔵量はアフリカ大陸最大級ともいわれ、リオ・ティント社は1996年から大規模開発に着手してきた。開発総額は300億ドルと見積もられ、その3分の2は鉄道輸送等のインフラ開発に当てられる計画だった。
この計画には世界銀行グループのIFCも少額ながら一部を出資、2012年頃から中国のChinalco社がここに食い込んできたとされる。ギニア政府を含めた共同開発会社Simfer社への出資では、リオ社は80%の株式を保有していた。
しかし2016年10月、保有利権の全てを中国のChinalco社に売却することを発表した。国際市況の低下と、鉄鋼の供給の過剰をその理由として上げている。IFCもこれに先立ち、投資からの引き上げを発表しており、Chinalco社がこれを引き受けた。
(コナクリ市内の鉄道駅)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/fa/f32f3c97e529cf06b9e38ac6f419cd3a.jpg)
独裁政権と貧困がはびこってきたギニア。しかしボーキサイトを乗せた貨車が黙々と走る。民間の鉱山開発と、政治の混乱、人々の生活が不連続に存在する世界。ギニアにはそんなイメージをもってきた。
そしてギニアと中国の関係。冷戦構造下で社会主義路線を歩んだギニアは、歴史的にも中国と深い関係がある。コナクリにはたくさんの中国人と中華料理店を見ることができる。
そういった中で、国際市況の落ち込みを買い時と食い込んでくる中国系企業。以前、ギニアの資源開発に関係したあるビジネスマンからは、「中国勢はジュラルミンケースの《実弾》をもった交渉団が高官に取り入っており、ルールもコンプライアンスもない。」と漏らしたことを思い出す。
他方、貧困のギニアにとって、シマンドゥは宝の山だ。ギニア政府にとって、国際市況にもかかわらず開発を進めてくれる、「信頼できる」パートナーはやはり中国、ということになるのだろうか。
一方のリオ・ティント社。上記の鉱山開発にかかる特別損失を巡り、今後、英国投資当局からの捜査が進められる。同社は世界規模で色々ニュースが絶えない。
同社は、モザンビークの石炭鉱山開発で、2013年に30億ドル(!)の損失を計上したが、このことが米投資市場監視当局の捜査対象となっていることを昨年2016年12月に公表している。この大規模損失に関し、同社はテテ鉱山のコークスの埋蔵量が、期待よりも大幅に少なかったことを上げているが、モザンビーク当局はそのことに疑義を唱えている。
そういえばリオ・ティントが当時、モザンビークのテテ州にある鉱山開発から一目散に撤退したことをンボテもリアルに記憶している。そういうことだったのと今さらながら思い出される。
同鉱山ではヴァーレ社と三井物産が大規模な石炭開発を進めており、本日も投資事業は続いている。
(モザンビーク、サバンナの夕日)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/9f/fb249a3ec1b0af6c4f73408d6f8906b5.jpg)
またリオ・ティント社は6月、オーストラリアの石炭鉱山を中国のYancoal社に26.9億ドルで売却することを発表したところ。世界のあちらこちらで歪みが発生している様子が報じられる。
資源開発とアフリカの成長、資源開発の罠、投資を巡る水面下の動き・・・リオ・ティント社のアフリカにおける大規模資源開発プロジェクトからの撤退と、それを巡る捜査。アフリカ経済にとっても、ビジネスのあり方においても、大きなインパクトと注目を集める。
(おわり)