ぶらぶら★アフリック

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PPPは打ち出の小槌か?(1)〜理想と現実

2019-01-22 16:00:34 | アフリカビジネス
アフリカの各国は、その国の開発の方向性や優先課題を定めた、いわゆる「国家開発計画」を有している。もちろんそれぞれの国の事情を反映したものとはいえ、国際社会の潮流の中で大きなトレンドを共有している。

例えば2000年頃はどこもかしこも「貧困削減」、開発計画もPRSP(貧困削減ペーパー)などと呼ばれた。しかし経済発展なくして社会の開発なし。ほどなく「成長」のが加わり、その後若年層が課題となると「雇用」の文字も加えられた。

そして2010年代半ば頃から、考え方のベースは、民間主導、民間資金動員、そして官民パートナーシップ(PPP)に取って代わられた。

いまやPPPの大合唱である。例えばわがコートジボワール。現行の国家開発計画(PND2026-2020)では、必要資金600億ドルの、実に半分以上、375億万ドルのを民間資金動員で賄うこととしている。あまりに意欲的計画だ。

(戦後復興で建設されたコートジボワール・アビジャン第三橋(アンリ・コナン・ベディエ橋)。ラギューンに囲まれたアビジャンには欠かせない橋となった。仏ブイググループとのPPPで建設されたが、政府補助金で採算を確保している。)


外国企業の投資意欲旺盛なコートジボワールやガボンはまだいい。いまやニジェールやマリ、トーゴといった国まで、PPPを掲げている。

アプローチとして間違っていない。膨大な開発ニーズを公的資金だけで賄うことはできない。もはや、アフリカの開発資金の半分以上は、民間資金によるものとなっているくらいだ。

しかし現実はそう甘くはない。PPPとして計画された事業、実際運営フェーズに入ってみると、採算が取れない。そこで政府は補助金を出して穴埋めをし、あるいは採算に見合わないコストで事業を買い支えることとなる。あるいは、PPPと称して商業ベースの利率で資金を調達し、あとでリボ払いで返済する。これではもはや投資とは言えない。人呼んで「なんちゃってPPP」。

公共性の高い事業であればある程度仕方がない面もあるが、度が過ぎれば国庫、財政を痛める大きな要因。IMFや世銀はこのリスクを指摘する。


他方、PPPには投資家の投資意欲、事業関心、そしてリターンへの相応の期待値がなければならない。しかしこれらをクリアする事業は、アフリカ側の期待ほど多くない。するとPPPと称して、単なる民間資金借り入れによる政府案件がこれに取って代わることになる。中には、民間事業者が来ないからと、前提のゆるい中国などの新興国による譲許性の低い資金(つまり利率の高い融資など)に手を出し、大きな債務を背負う国も出てくる。

民間資金動員による開発の推進。理想は高く、アプローチとして間違ってはいないが、現実はなかなか厳しい。

(つづく)

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