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映画'Frontières'〜国境の不合理とアフリカ女性の強い生きざま

2017-10-23 07:30:54 | アフリカ映画
2017年ワガドゥグ・アフリカ映画祭(FESPACO)で話題になった映画'Frontières'(国境)が、当地コートジボワールでも一般上映となった。

国境の不合理とアフリカ女性の生きざまを描く衝撃的な作品。楽しみにしていた、というにはあまりに重い映画だが、公開とともにンボテも足を運んできた。



(あらすじ)
アジャラ、エンマ、サリ。三人の女性は、それぞれラゴスを目指していた。

アジャラは30代の美人なセネガル人女性。女性グループから託され、ラゴスで商品の調達を引き受け、初めての旅へ。

エンマは40代、コートジボワール人の未亡人。マリのバマコでバザンの記事を仕入れ、ラゴスで販売する。

サリ、25歳。ブルキナファソ人の女性。控えめで、ナイーブ。結婚を夢見る彼女は、必要な資金を調達するため、婚約者から託された荷物をラゴスに届ける。

バマコ、ワガドゥグ、コトヌ・・・三人は長いバスの旅の中で知り合っていく。大自然の西アフリカの大地を駆け抜ける旅、同時に路上のチェックポイント、バス故障による野宿、重大事故との遭遇、車中の盗難など、現実と戦う旅でもあった。

しかし最悪の悪夢は、いつも国境で訪れた。官憲による汚職、喝アゲ、暴力、そして婦女暴行。それはあまりに危険な旅だった。いつしか三人は運命の鎖で結ばれ、幾多の受難を助け合いながら乗り越えていく。

しかし旅の果ては楽園ではなかった。国境という名の不合理。そしてアフリカ女性として生きることの苦難。顛末はあまりに残酷な形で幕切れとなる・・・。



映画では旅にまつわるアフリカ現代社会の大きな問題と矛盾が描き出されている。国境ではカネと権力と暴力。出国側と入国側、常に一粒で二度辛酸を味わうこととなる。商材だけでなく、身の安全や命までも常に危険にさらされる、あまりにリスキーな冒険。

なぜ女性たちはこんな危険に身を置かれなければならないのか。なぜ女性ばかりが憂き犠牲に身を投じなければならないのか。ストーリーが進むごとに、リアルに、また痛烈に見るものに訴えかける。


監督はブルキナファソ人の女性、アポリーヌ・トラオレ。女性監督だから訴えられる大きなテーマと、鋭利な切り口。ラゴスにたどり着いたところで、旅は最後まで終わらない。映画終幕近いところでのナレーション。「神はアフリカの女性をかくも頑強に産み賜うた・・・。」いつまでも耳に響く。


日本での公開予定は、残念ながらいまのところない。しかし現代アフリカを理解する上で貴重な作品。いつか日本でも公開される機会があればと思う。


題名: 'Frontières'
監督: アポリーヌ・トラオレ
2017年
ブルキナファソ(マリ・ベナン・ナイジェリア)
90分、長編ドラマ(フィクション)、フランス語
出演: アメリ・ンバイ、ナキ・シ・サヴァンヌ、アディゼル・シディ、アンワナ・ウドバング、ほか

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