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マリ映画’Koussaw - Tempête de sable(砂の嵐)’を見てきました〜

2019-01-12 15:00:00 | アフリカ映画
先日、映画「Koussaw - Tempête de sable(砂の嵐)」を鑑賞する機会に恵まれた。



Koussaw - Tempête de sable
73分、2015年、マリ、フランス語(英語字幕あり)
ドラマ、フィクション
監督 イブラヒマ・トゥーレ
出演 モハメド・シセ、アブソ・F・カンテ
制作 CNCM / Orange Studio


(あらすじ)
映画の舞台はドンブクトゥ。主人公バロウはドゴンの出身、ドンブクトゥ出身の妻ビビ、10歳の娘と5歳の息子とともに幸せな暮らしを送っていた。

しかしある日、武装勢力の襲撃により息子が殺害される。その日から、バロウのもとに、息子は亡霊となって姿を現し、意味ありげなメッセージを伝えようとする。周囲はバロウが悲しみのあまり、気が触れたと決めつける。

ある時、バロウは息子が自分の子ではないのではないかとの疑心暗鬼に苛まれていく。そして妻ビビに不貞の疑念を向ける。娘や母たちを前に繰り広げられる家族の分裂。

バロウの近親はこう忠告した。「トンブクトゥは謎に包まれた街。それぞれの世帯には、それぞれの秘密がある。そしてここでは、過ちは許されるべきなのだ。」

「真実に生きる男」を自称するバロウは聞き入れることができず、ビビとの離縁を心を決める。しかしそこで待っていたまさかのトラップ、結末はあまりのどんでん返しだった・・・。


(予告編 YouTube)



標題'Kowssaw'は、ソンガイ族の言葉で、副題の'Tempête de sable'、「砂の嵐」を意味する。映画の撮影は、2015年10月〜11月のトンブクトゥ。映画の中でも、時代背景としてジハーディストが登場する場面も随所に登場する。しかしストーリーはそちらのほうには行かず。マリ北部に脈々と続く伝統社会と、現代アフリカのヒッチに焦点。ドンブクトゥの歴史ある街並みと美しい砂漠の大自然、マリ北部の伝統音楽をバックに、土地の掟、生活の営み、コミュニティ、イスラーム、家族と夫婦のリアリティが描かれる。亡き息子の不可思議な亡霊のメッセージが、なおさら世界観を謎めかせる。

映画の中で一貫して登場してくるのが「オアシスの小枝」。アフリカでは歯磨きがわりによく使われ、映画でも女たちが常に口にするシーンが描かれる。効用の源は枝が持つ毒素、牛や羊もこれを口にすると急死する。映画の中では、このオアシスの枝が一貫して現れてくる。というのも、この作品の原作が、ンド・A・シセ氏の小説'Les cure-dents de Tombouctou'(ドンブクトゥの歯磨き棒)に基づいているからだそうだ。

制作費わずか三億フランCFA(6千万円)の長編、作り込まれた欧米や日本の映画にはない粗い作りが、一層砂漠の街の生活の営みを、素朴に描写する。

(おわり)


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