さて前回からご紹介している「仏語圏諸国機構」(Organisation Internationale de la Francofonie: OIF、一般にはフランコフォニー国際機関と訳される)について、もう少しお話を進めてみたい。
アフリカの公用語とフランス語(8)〜仏語圏諸国機構(OIF)
2年に一回のペースで開催されるOIFサミット、第16回の首脳会議が11月27日、マダガスカルの首都、アンタナナリボで開催された。
(Jeune Afriqueウェブサイトより)
今回のサミットでは公式メンバー国家51のうち、国家元首の出席は13、首相が7と限定的であった。前回セネガルサミットでは23国家元首、10の副大統領・首相が出席していたこのに比べれば、いささか寂しさが否めない。フランスのオランド大統領も出席したが、総会への参加もそぞろに退席したと報じられる。モロッコのモハメッド6世国王は26日までアンタナナリボに滞在しながらサミットには出席せず、帰国の途についた。しかしOIFのミシャエル・ジャン事務局長は、これをもって「求心力の低下を意味しない」と述べた。
サミットの主要テーマは「成長成果の共有と責任ある開発」(croissance partagée et développement responsable)。テロとの戦い、若年層の過激化の未然防止、ジェンダーなどに議論の主眼が置かれた。背景には暴力的過激主義の拡大、ブレグジット、トランプ新政権、COP21などの世界規模での潮流が意識されていたたという。またアフリカ諸国を中心に離脱の動きが見られる国際刑事裁判所についても議論が及んだそうだ。
国際刑事裁判所、アフリカ諸国の脱退ドミノ?〜アフリカの犯罪をアフリカで裁けるか?(7)
今回のサミットではOIFの運営に関する審議も行われた。まず加盟を求めていた5つのメンバー候補についての扱いが議論された。5つの国とは、韓国、アルゼンチン、ニューカレドニア、カナダ・オンタリオ州、サウジアラビアである。前四者の加盟については承認されたが、サウジアラビアについては議論が別れた。結局調整魅了のため、次回2018年の大会で継続審議されることとなった。
また次回の2018年の第17の回サミット、次次回の2020年の第18回サミットの会場が、それぞれアルメニア、チュニジアになったと発表された。候補の一角であったニジェールは残念ながら落選となった。
プロセスを拝見するに、世界の幅広い問題を議論し、仏語圏としてのポジションを一つに共有して、国際社会に打ち込もうとするデマルシェにも見える。OIFは、表の説明からすれば、アフリカなどの仏語圏が呼びかけて設立されたとされ、フランスは「いかにも」のアプローチに、当初距離を保っていたと説明される。これが真実かどうかは別にして、全て仏語圏がフランスの元に結束する必要はないし、世界がアングロ・サクソンの言語と論理で席巻されていいとも思わない。そういう意味で、OIFのユルいつながりは、相変わらずなかなか興味深い。
(おわり)
アフリカの公用語とフランス語(8)〜仏語圏諸国機構(OIF)
2年に一回のペースで開催されるOIFサミット、第16回の首脳会議が11月27日、マダガスカルの首都、アンタナナリボで開催された。
(Jeune Afriqueウェブサイトより)
今回のサミットでは公式メンバー国家51のうち、国家元首の出席は13、首相が7と限定的であった。前回セネガルサミットでは23国家元首、10の副大統領・首相が出席していたこのに比べれば、いささか寂しさが否めない。フランスのオランド大統領も出席したが、総会への参加もそぞろに退席したと報じられる。モロッコのモハメッド6世国王は26日までアンタナナリボに滞在しながらサミットには出席せず、帰国の途についた。しかしOIFのミシャエル・ジャン事務局長は、これをもって「求心力の低下を意味しない」と述べた。
サミットの主要テーマは「成長成果の共有と責任ある開発」(croissance partagée et développement responsable)。テロとの戦い、若年層の過激化の未然防止、ジェンダーなどに議論の主眼が置かれた。背景には暴力的過激主義の拡大、ブレグジット、トランプ新政権、COP21などの世界規模での潮流が意識されていたたという。またアフリカ諸国を中心に離脱の動きが見られる国際刑事裁判所についても議論が及んだそうだ。
国際刑事裁判所、アフリカ諸国の脱退ドミノ?〜アフリカの犯罪をアフリカで裁けるか?(7)
今回のサミットではOIFの運営に関する審議も行われた。まず加盟を求めていた5つのメンバー候補についての扱いが議論された。5つの国とは、韓国、アルゼンチン、ニューカレドニア、カナダ・オンタリオ州、サウジアラビアである。前四者の加盟については承認されたが、サウジアラビアについては議論が別れた。結局調整魅了のため、次回2018年の大会で継続審議されることとなった。
また次回の2018年の第17の回サミット、次次回の2020年の第18回サミットの会場が、それぞれアルメニア、チュニジアになったと発表された。候補の一角であったニジェールは残念ながら落選となった。
プロセスを拝見するに、世界の幅広い問題を議論し、仏語圏としてのポジションを一つに共有して、国際社会に打ち込もうとするデマルシェにも見える。OIFは、表の説明からすれば、アフリカなどの仏語圏が呼びかけて設立されたとされ、フランスは「いかにも」のアプローチに、当初距離を保っていたと説明される。これが真実かどうかは別にして、全て仏語圏がフランスの元に結束する必要はないし、世界がアングロ・サクソンの言語と論理で席巻されていいとも思わない。そういう意味で、OIFのユルいつながりは、相変わらずなかなか興味深い。
(おわり)