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ガンビアがまたセネガルとの国境通過封鎖。でも解けました~ガンビアという国(8)

2016-05-31 07:30:59 | アフリカ情勢
ンボテのブログでも一部のフォロワーさんに絶大なる支持(?)を得ているシリーズ、「ガンビアという国」。マイナー国情報にもかかわらず、なぜかいつも一定のアクセス数が続く。情報があまりに少ないから?


初めてこのブログで取り上げたのが2014年の2月18日、この国の独立記念日だ。風光明媚な景色、穏やかな国民性、穴場スポット観光地・・・などにももちろん惹かれるのだが、なにを差し置いても話題となるのが、国の迷走ぶり。
ガンビアという国(1)~迷走国家

とくに悪政ヤヒヤ・ジャメの独裁。すでに20年を超えた。
ガンビアという国(6)~ヤヒヤ・ジャメ体制20周年


突然、イスラム国家を宣言したり、
突然ですがイスラームの国を宣言しました~ガンビアという国(8)

公用語の英語を廃止すると宣言したり、
公用語の英語を廃止?!~ガンビアという国(3)

台湾との外交を破棄して中国と国交を結ぶと宣言したり。とにかくお騒がせなのだ。そして偶然だが昨日発売の'Jeune Afrique'2890号では「独裁者、それは誇り」とのタイトルで表紙にもなっている。


さてこの国、いろいろ難しい問題を抱えているが、その一つは隣国セネガルとの関係だ。隣国というのだろうか、とにかく三方をセネガルで囲われている。まるでセネガルに突き刺さる盲腸のような国土。日本の民法では「囲繞地」(いにょうち)というらしい。
(Jeune Afriqueウェブサイトより)



なんでこんな国土の形になったのかといえば、その昔、19世紀にガンビア川の航行権を英国が支配したことに端を発する。

ガンビアから見れば、北もセネガル、南もセネガルである。逆に、セネガルから見れば、北の首都ダカールから、南のカザマンス地方に行くのに、最短距離はガンビアを突っ切るルートということになる。ここがブロックされると、セネガル領内陸のタンバクンダを経由、500キロを大回りしてカザマンスを目指すこととなる。

セネガル南北の人やものの移動はきわめて活発だ。そのため、ガンビア川にはまだ一つも橋がかかっていないが、三箇所の渡し舟にはいつもセネガルナンバーの車両が織りなす長い列が絶えない。

(ファラフェニの渡し舟、Senegalbrackrainbow.comより。)


また2002年には海路で首都ダカールと南部カザマンス、ジガンショールを結ぶ船「ジョラ号」が沈没し、1,953 人が死亡。世界最悪の海難事故となった。


さて、ガンビアにとってはただ通過されるだけでは面白くない。セネガルとガンビアは歴史上、「セネガンビア連邦」を形成していたことがあるが、今は昔。両国間で微妙な関係が続いている。両国間では、これまで何度となくガンビアによる国境閉鎖、高額の通過料課金、セネガル側の反発・・ということが繰り返されてきた。たとえば2014年の事例↓
ガンビア、セネガル国境を封鎖?
ガンビア、セネガル国境封鎖を解除?!


そして再び。ガンビア政府は今年の2月15日頃から、またもや国土を横切って反対側のセネガル領に渡ろうとする交通を事実上遮断する措置に出た。トラックの通行料を通常の4,000フラン(約800円)から、40万セーファー(約8万円)に段階的に引き上げた。またセネガルからの反発を受け、国境を封鎖。


両国にとって問題をさらに複雑化させているのが、ガンビア川中下流域にかかろうとしているファラフェニ橋の建設計画だ。唯一の橋として建設が計画され、長く時間が経つが、未だに完成を見ていない。一つにはこの橋が誰のものになるのか、という問題をはらんでいるからだ。セネガル人のための橋をガンビアの負担で作るのか。できた橋は一体誰のものか?通行料は?維持管理は?両国では資金借り入れの利率も異なる。

この手の話は、コンゴ民主共和国南東部のカタンガ州でも長く争点になってきた。ザンビア領への囲繞地であるカタンガ。'botte de Katanga'(カタンガの長靴)とも言われる。その昔、英国女王からベルギー国王にプレゼントとして送られたという話も聞いたことがあるが、銅やコバルトの宝庫、ベルギーと英・ローデシアの間ではもっと壮絶な国境画定紛争があったようだ。そして近現代でも、ザンビア人がここをショートカットするための道路の建設計画が持ち上がっては立ち消えになってきたという。


さてガンビアの国境封鎖の話に戻ろう。この封鎖措置、今回は実に3ヶ月も続いた。そしてようやく5月25日、3箇所の国境と渡河ルートがが再開されたという。しかし問題の根本、疑心暗鬼は解けていない。運輸交通、橋梁建設、法制度などの専門的見地を交えた両国間の協議は6月に再び開催されることとなった。


ビミョ~な両国の関係、交通の再開、さらに新しい架け橋で関係が改善することを期待したいのだが、、、。

(おわり)

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