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公用語の英語を廃止?!~ガンビアという国(3)

2014-03-17 07:30:09 | アフリカ情勢
先日、「ガンビアという国」と題した記事を二回シリーズでお届けした(第一話「迷走国家」第二話「二つのチャームポイント」)。突然台湾との外交関係を断って中国との外交関係を結んだと思えば、英連邦(コモンウェルス)を脱退。そして極めつけは、先日3月11日付のAFP通信のニュースだ。

ガンビア、公用語の英語を廃止?

(こちらはRFIの記事↓)



AFP記事はこう伝える。

ガンビア、ヤヒヤ・ジャメ大統領は、現在の公用語である英語を廃止し、国民言語を公用語化することを発表した。スケジュールやどのローカル言語を公用語とするかは明らかにしなかった。

ジャメ大統領はこの方針を、司法界トップの就任式における、英語の長い演説の中で述べた。ガンビアを植民地にした英国は、ガンビア、またアフリカの植民地を、アフリカの開発のためではなく、自国の富のために搾取したと批判。

「英国人がやったこと、それは略奪だけだ!略奪、略奪、そして略奪!残念ながらたった一つ、英語だけが残された。われわれは、われわれの言語を取り戻すために、まもなく英語を捨て去ることとした。一政府が、外国語で話さなければならないなどということを、これ以上許容できない。」

ジャメ大統領はスケジュールやどのローカル言語を公用語とするかなど、詳細には言及しなかった。

人口約180万人の旧英領ガンビア。マンデング、ウォロフ、ジョラなど多数のローカル言語が話されている。ジャメ大統領自身はジョラ族の出だ。


ガンビアは2013年10月、英語圏の「植民地化装置」だとして、英連邦(コモンウェルス)からの即時脱退を決定した。

「最も危険なアフリカの病理、それは無知、無関心である」ヤヒヤ・ジャメ大統領は続ける。民主主義、ガバナンス、人権・・・英国が強いてきた全ての国家権力を正当化する観念を否定しつつ。(これらに背く形で)過去、アフリカを植民地化したのは誰だったのか。


セネガルに三方を囲まれた小さな囲繞地(いにょうち)を国土とするガンビア。君臨するヤヒヤ・ジャメ大統領、48歳。1994年のクーデターにより政権を奪取。1996年、選挙により正式に大統領に就任。2001、2006年、2011年と再任された。2002年には憲法を改正し、大統領任期の再任回数の制限を撤廃した。そして暴政は人権団体から頻繁な批判の的となっている。



どこまでマジめ?ジャメ大統領?!

グローバリゼーションが進行する中、英語を国語教育に、あるいは外国語教育として力を入れる国が増える中、まったく逆行する形で、公用語としての英語を廃止するという政策を取るとすれば、かなりユニークだ。というより、ジャメ政権のこれまでの所作に照らせば、ちょっと大丈夫か?!という感じもする。

ましてや狭い国土の中で複数の異なる言語が話される国。いずれの言語も文字の文化を持たなかったことから、行政言語としても難しさがあるだろう。


他方。こちらの記事でも述べたとおり、英語・仏語など旧植民地によりもたらされた言語と現地語。アフリカの独立性、アフリカ文化への回帰、脱植民地。議論の中で、国語教育はいつでも議論としては頭をもたげてくるお話だ。その点では一笑に付すだけの話ではないのかもしれない。


今回の迷走ガンビアの宣言。ジャメ大統領おなじみのパフォーマンスか、それともアフリカ人性を取り戻すための歴史的宣言か?今後の動向に、とりあえず目を配せておこう。

(おわり)

◆あわせて読む・連載「アフリカの公用語とフランス語」
第一話「仏語大陸アフリカ」
第二話「フランコフォン、アフロフォン」
第三話「グローバリズムとリージョナリズム」
第四話「第二外国語の栄枯盛衰?!フランス語教育を強化すべきこれだけの理由
第五話「フランコフォン、アフロフォン(予期せぬ続編)」
第六話「仏族のオキテ(前編)」
第七話「仏族のオキテ(後編)」

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