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どうなる?コンゴ民主共和国大統領選挙?〜野党、統一候補調整に失敗、漁夫の利は誰の手に?!

2018-11-13 08:00:00 | アフリカ情勢
このブログでもご紹介してきたコンゴ民主共和国大統領選挙の動向。
歴史から見るコンゴ民主共和国・大統領選挙2018の行方(5)〜結末は闇の奥・・・

野党勢力主要7巨頭は9日から、スイスのジュネーブで非公開会合を開催。来たる12月23日の大統領選挙に向けた野党候補一本化調整を行なっていた。

思えばアフリカの選挙、いつもパターンは同じ。野党側が統一候補調整に失敗、野党支持層の票が分散する。あるいは勝ち目がないと見て、ボイコットを決め込む。結果、与党に大きく利する事態を招く。

しかし、今回は大きな期待が寄せられた。「あのコンゴ」にあって、野党候補統一の話し合いが持たれることとなったからだ。ジャン・ピエール・ベンバ、モイーズ・カツンビの両超有力候補が選挙資格から離脱し、仲介の労を取ることができること、コフィ・アナン財団の米国人、アラン・ドス(彼はンボテがキャサにいる頃の国連コンゴ特別代表だった)による仲裁が行われることなど、舞台は整ったかに見えた。

野党巨頭会談ではまず7人の野党有力者が選出方法などを巡って議論。そして最終統一候補者は七人による投票を重ねることで選出されることとなった。11日、選ばれた統一候補は・・・最大野党IDPSのフェリックス・チセケディでも、東部出身で元国民議会議長、UNCのヴィタル・カメレでもなく、誰の予想も裏切ったマルタン・ファユル候補だった。

62歳、石油業界出身、政界デビューはモブツ時代の1990年。その後、市民社会寄りの政治路線を歩み、与党に言わせれば「妥協の余地のない男」、「過激主義者」との評も。しかし彼の名前はほとんど国民には知られていない。

ファユル候補は二回の投票の末選出された。UDPSチセケディ候補が「自分は民主主義者、何をおいても結果を受け入れ、支持する。」と述べると、UNCのジャン・ボードワン・モヨ事務局長も「野党の統一候補。野党勝利の可能性を最大化するため、戦っていく。」と同調。そして右2名を除く、5人の野党代表が先行して「ジュネーヴ合意」に署名した。※14日付記: その後の報道で7人全員が署名していたことがわかった。国際メディアは「コンゴで初の統一野党候補誕生」と大きく報じた。

(12日、野党統一候補合意を大きく伝えるフランス国際ラジオ放送(RFI)ウェブサイト)



そんなに簡単にことは運ぶのだろうか。長くコンゴを見てきたンボテとしては素直に受け入れることはできなかった。

と思ってた矢先、12日、事態は再び急展開した。まずUNCのカメレ候補が、つづいてチセケディ候補がジュネーヴ合意からの離脱を表明した。二人の言い分はほぼ同様のものであった。

チセケディ候補「UDPSの名において、署名枠組みから離脱することを決定した。党は支持者のものである。支持者の期待に背いて合意を行うわけにはいかない。」
カメレ候補「わたしは有権者のために存在する。その逆であってはならない。」


いい逃げ口上である。

実質的に野党は3派閥に分裂した。したがって選挙は与党のエマニュエル・ラマザニ・シャダリー候補を加えた5主要候補間での争いとなる(実際の公認候補は19名だが)。野党評、反与党票が割れ、与党を利することとなるのか。なんせコンゴは一発投票で、決選投票がない。一抜けが当選者と決まってしまうのだ。
歴史から見るコンゴ民主共和国・大統領選挙2018の行方(2)〜2011年、象牙ショックに揺れた選挙

しかし野党の2主要候補、チセケディとカメレにはその計算はないものと思われる。なぜなら・・・
アフリカの選挙と世論調査〜コンゴ民主共和国、与党は崖っぷち?

勝算があると読んでいるに違いないのだ。

この混沌とした状況、いったいどのような結末を迎えるのか。いま確かなのは、誰もシナリオが読めなくなった、ということだ。

※14日付記: さらに重大なことに、この同意には「離脱する場合には、政治生命を断つ」ことが約されていた。もしこのまま二人が立候補を取り消さないとした場合、彼らの態度はどう評価されるだろうか。SNSなどでは、野党支持者からも彼らの政治家の言について、責任を問うコメントが相次いでいる。このことでも票の行方はさらに見えにくくなった。

フランス語には、'Pêcher en eau trouble'、もしくは'Profiter du différend opposant deux concurrent'(漁夫の利を得る)という表現がある。漁夫の利は誰の手に?しかし伊東のハ●ヤの大漁苑ではないが、まだまだだれかの手の中に魚がおさまる気配がない。

(おわり)


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2 コメント

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Unknown (コンゴちゃん)
2018-11-14 15:59:15
アラン・ドスは英国人ですね。
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Re:Unknown (ンボテ)
2018-11-14 16:09:37
コンゴちゃんさん、ご指摘ありがとうございます。そのとおり!頭の中では英国人と書いていたつもりなのに、米国人と打っていました。前任のウィリアム・スイングこそが米国人、それからナンバーツーがロス・マウンテンで豪州人、さらにアラン・ドスの下にいたナンバースリーもリズ・グランデで米国人。仏語圏において、アングロサクソンが国連ポストを徹底的に固め、他方フランコフォンはEU、IMF、世銀などから対抗するという構図ができていました。時とともに変わっていきましたね。
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