ぶらぶら★アフリック

アフリカ・プロモーター、ンボテ★飯村がお送りする100%アフリカ仏族ぶらぶらトーク!

スト天国・アフリカ(1)〜抗議は続くよ

2018-11-24 08:00:00 | ぶらぶらアフリカ論
当地コートジボワール、今週に入って教職員組合がストに突入した。国内の3分の2の学校が閉鎖される事態となっている。

アフリカの日常、何も珍しいことではない。いや、当地ではストの話は、聞かない日がないくらいだ。農業省と関連機関のストはすでに1ヶ月近く。内務省や地方行政機関も長くストが続く。強硬な保健従事者組合のストはこれで2週間を超え、主導者が逮捕される事態となった。政府は、2017年のゼネストを契機に、各種労働組合と「停戦協定」(trêve)を結んでいた。しかしなしのつぶての当局の回答。労働者はなし崩し的にデモに突入しつつある。

(保健従事者によるスト、lepointsur.comウェブサイトより)



アフリカでは何かを主張するのにはストとデモが頻繁に用いられる。その元凶は賃上げ要求、遅配、手当・・・つまり労働者の待遇だ。学校や保健施設は、下手をすると年3〜4ヶ月、下手をすると半年近く動かないところがある。


学校では子供たちの教育にもちろん大きな影響がある。3ヶ月、4ヶ月も学校が動かなかったら、算数も理科も国語も、まともにその学年で学ぶことを学習できなくなる。子供達にとっても大きな不満だ。ということで、生徒もデモを行う。われわれは正当な教育を受ける権利がある、と。

(デモに学生も合流、abidjanet.comより)


大学では教師が労働条件を巡ってストを起こすと、学生もストを敢行。学費、寮費の値上げ、学生寮の改善、奨学金の遅配や増額、学食のメニューと質に至るまで、あらゆることがデモのターゲットとなる。アフリカで治安上気をつけるべき施設は、大学となる。

「いや新学期(rentrée scolaire、当地では9月)はまだいい。」という当地の人々。教育分野のストの絶好機会、それは高校卒業資格であるバカロレアのテストの時期(6月頃)だ。ストが行われれば、多数の若者たちの進路に大きな影響がある。「国が給料を払わないから、子供達の将来が脅かされる」と。教職員からすれば、有利な交渉を引き出す絶好の機会となると考えられている。


教育分野も非常に大きな問題だが、より深刻なのは保健分野だ。ストとなれば医療施設は閉鎖される。それでも患者や急病人が医療施設に運び込まれる。中には重篤な患者もいる。しかし、患者が苦しもうと、倒れていようと、「私たちはスト」と動じない。以前、保健施設を訪問中、ストの中、廊下に放置された病人や子供達が息をひきとる場面を実際目撃したことがある。リアルなアフリカの現実。

(Koaci.comウェブサイトより)


労働組合は政治化されていることが多く、政治的に利用されることも少なくない。野党が労働組合のサボタージュを扇動し、現政権の無策を追求する。選挙が近づくと、このようなシーンがさらに多く目につく。


ストは労働者の権利、奪われるべきものではない。しかしストが実質的に社会停滞の主な要因の一つであり、大きな社会的損失の源であることも否めない。上述のように人道的に問題なしとしない場面も散見される。アフリカはこれでいいのか??・・・でもアフリカの人はいう。「ストと汚職はヨーロッパがアフリカに教えたもの」。確かに、フランスはストの国だ。


ンボテがコンゴにいた頃。通りかかったデモの現場で、デモ隊どおしが激しく衝突を始めるシーンに遭遇した。「主催者と動員されたデモ参加者の衝突だよ。」と同行のコンゴ人。なんでも主催者が参加者に支払う動員手当を巡る衝突らしい。ストに反対するスト??もうなんだかよくわからない。


かくしてストは続くよ、いつまでも。

(おわり)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。