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西アフリカに新共通通貨「ECO」は誕生するか?(1)〜面従腹背のスローガン?

2017-11-02 07:30:01 | アフリカ情勢
少し前になるが10月24日、ニジェールの首都ニアメで西アフリカ経済共同体(ECOWAS、仏略CEDEAO)のミニサミットが開催された。出席したのはコートジボワールのアラサン・ワタラ大統領、ガーナのナナ・アクフォ・アド大統領、ナイジェリアのムハンマドゥ・ブハリ大統領、トーゴのフォール・ニャシンベ大統領、ホスト国ニジェールのマハマドゥ・イスフ大統領。そしてECOWAS委員会のマルセル・ソーザ委員長だ。

ミニサミット最大のテーマは「西アフリカ共通通貨」。ECOWAS加盟国は1990年、30年後の2020年までに地域の通貨統合を目標とすることを共通の目的としてきた。目標年を直前に、今回のサミットで、地域首脳がどのような結論を出すのか、注目されていた。


ECOWASは加盟15カ国。そのうち主にフランス語圏で構成する西アフリカ通貨同盟(UEMOA)の加盟8カ国では、共通通貨フランCFA(セーファー)をすでに有している。西アフリカ中央銀行(BCEAO)が発行するユーロ固定の通貨だ。詳しくは過去の集中講義8回シリーズで詳しく述べた。

集中講義「フランCFAのお話」(4)~新しい通貨は成立するか?

(西アフリカ8カ国で使用されるフランCFA通貨)


その他のECOWAS圏7カ国は、固有の通貨を有している。カーボベルデのカーボベルデ・エスクード、ガンビアのダラシ、ガーナのセディ、ギニアのギニア・フラン、リベリアのリベリア・ドル、ナイジェリアのナイラ、シエラレオネのレオンがそれにあたる。ちなみにカーボベルデを除く6カ国は、共通通貨に向けた「西アフリカ通貨圏」(ZMAO: Zone monétaire de l’Afrique de l’Ouest)を形成している。


今回のニアメプチサミットの総括は、ECOWASのソーザ委員長から行われた。「マクロ経済の統合に向けた前進は見られたが、弱い水準にとどまっている。したがって、2020年の統合は見送りせざるを得ない。」

ソーザ委員長は、共通通貨達成へのロードマップが加盟国に十分レスペクトされてこなかった、と指摘。マクロ経済統一化、通貨政策の調和化、中央銀行設立準備など、いずれも顕著な成果がなかったと総括した。


これに対し、ニジェールのイスフ大統領は、「通貨発行自体は準備が整っている」として、2020年に通貨発行、流通を開始させ、その後、段階的に加盟国を統合していく案を提案した。欧州連合がユーロを導入した際のアプローチに近い。「新たな統合時期を設定し、ロードマップを引き直していくことは、通貨統合のモメンタムを失い、リアリティを疑わしいものとしかねない。」



アフリカにおいて、アフリカ合衆国の実現と通貨統合は、究極の夢となってきた。アフリカ連合(AU)の全身、アフリカ統一機構(OAU)設立の基本精神のして確認されてきた。しかし一気にすべてを達成することは現実的ではない。そこでAUはアフリカを5つの地域機関(RECs)に分け、地域レベルでの統合から段階的に取り組むこととされた。西アフリカではECOWASがそれにあたる。通貨統合はその中でも大きなメルクマールである。

ECOWASは1990年、30年後の2020年に通貨統合を図ることで加盟国が同意した。現在、圏内の人口は3億人。2035年には5億人を超え、アフリカ最大の経済圏となるばかりか、欧州連合(EU)の人口も追い抜く。仮に「ECO(エコ)」と名付けられた通貨が誕生すれば、大経済圏として大きなアドバンテージが期待される。

そういった意味で、通貨統合への努力が、ECOWAS委員会のみならず、各国レベルでも進められた。・・はずであった。

しかし実際には大きな前進が見られなかった。これには各国が統合への努力を怠ってきたというより、共通通貨に向けたモメンタムに大きな要因があるように思われる。

(つづく)

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