甘酸っぱい日々

面白くても何ともならない世界で 何とかしようとする人達のために

「またいつか」なんて、ないと思った方がいい。

2013-02-16 02:09:21 | お笑い全般
「またいつか」なんて、ないと思った方がいい。


私が初めてさらば青春の光を見たのは、これもうしろさんと同じ番組、爆笑トライアウトだったと思います。
それまで名前だけは何度か聞いたことあったのですが、ネタを見るのは初めて。
短い時間の中でもきっちり面白くて、そしてちょっとくせになるような不条理な世界観。
なんだか気になる存在でした。
ちゃんと見る機会があったのは、それから2年も後のこと。
忘れもしない、本当に素敵なライブ。
うしろシティ×さらば青春の光「うしろさらばの前向きツーステ」。
この時の私は、実はどちらが森田さんでどちらが東口さんかもわかっていませんでした。このライブ中に覚えた。
二組とも本当に面白くて、もっと見て行きたいって思った。
だけど、もう今となっては言い訳になるんですが、
私はとにかくさらばとは、日程的な相性が本当に悪かった。
単独も、さらブレも、なんでこの日なの、どうしてもこの日は無理なのって。
前でも後でもいい、あと一日でもズレていたら行けるのにって、
そういう思いで、見る機会を逃してしまっていました。
「またいつか」ってずっと思ってた。
そしてやっと今回、単独に行けるはずだった。
2日間とも。昨日と今日。
「またいつか」なんて、ないと思った方がいいんだね。
来ると信じてたそのいつかが、必ず来るとは限らない。
私は結局、1度も角座でさらばの単独を見ることができませんでした。
好きなのに、ちゃんと見に行かなかったこと、本当に後悔してる。
今から思い返しても、どうにもならなかったんだけど、やっぱりどうにか行けなかったかと思ってしまう。
私は多分、このことをだいぶ引きずりそうだ。

これからも応援してほしいって。
そりゃしますよ、もちろんしますけども、
ちょっとそこに至るまでに、解せないことが多すぎる。
私はちゃんと見てきた人間じゃない。ちゃんと角座にお金を落としてきた人間じゃない。
さらばのこと何にも知らないも同然。
だから部外者が口を出すなと言われても仕方がないと思う。
何言っても説得力はないと思う。
でもちょっとだけ書かせてください。

まず、なんで単独は中止になっちゃったんでしょうか。
あのね、客に作り手の事情はわからないから、口を出すなという意見もあるかもしれない。
それは確かにそうだと思う。
裏の事情を全部説明してくれとはいえない。
でも、そんなこと言ったら、作り手にだってそれぞれの客の事情はわからない。
単独は、他のライブとは違うんだよ。
普段なかなかライブに行けないけれど、単独なら頑張って行こうって、
そう思って仕事お休みした方だっている。
遠くから行こうって決意して、新幹線や夜行バスやホテル取っていた方だっている。
何より、その日をずっと楽しみにしていたのに、
それが突然なくなってしまうのがどんなに残念か。
お金が返ってくればそれでいいってわけじゃないんだよ。
お金以上の、その場でしか味わえない気持ちを求めてチケット買ってるんだよ。
裏でどんな話があったかは知らないよ。
もしかしたら、表には出てこないけれど、さらばが事務所を怒らせるような悪いことしたのかもしれない。
それでも、せめて単独だけはやらせてあげてもよかったんじゃないですか?
事務所を移籍したりするときには、少し活動休止するのが通常の流れなのかもしれないけど、
完売した単独だけでもやっても、誰も文句言わないし目くじら立てないと思うんですけどね。
HPでの契約解除発表の文面も、まるで「私達は悪くありません」とでも言いたげで。
例えそうだとしても、きちんとした説明もなしに単独中止するなんて、
そんな事務所のこと、これから信用していけないよ。
どうせこれ以上何も教えてくれる気はないみたいですから、
もう、どうでもいいですけど。

何でやめようと思ったのかもわからないし、そこは深くつっこむところでもないのかもしれない。
ただ、以前からさらばのうしろに対するコンプレックスとか聞くこともよくあって、
まぁ、これが全ての理由ではなかっただろうけど、少しはあったのかなぁと……。
これは、相手がうしろシティでなくてもね。
あくまでも憶測ですけど、いつもうしろとさらばでセットみたいな感じにされて、
まだ一組でやるだけの力がない、って思われているような感覚があったのかなぁと。
でもね、本人達やその周りがどう思っていたのかは分からないですけど、少なくとも私はそんな感覚ではなかったよ。
売り出す側としては、0.5+0.5で、やっと一人前って思ってたのかもしれない。
でも私は、それぞれ十分に面白くて、それぞれ一組だけでも十分にやっていける力があって、
だけどその二組が一緒になったら、お互いの力を、2倍にも3倍にも、10倍にも100倍にも、200なゆた倍にも(?)
とにかく、何倍にも引きだし合う感じがするから、だから好きだったんだよ。
普段やいやい言い争ってる二組だけど、一緒にトークしたり、コントしたりする時にはびっくりするほど波長が合って、
それが見ていて楽しくてわくわくするから、だから好きだったんだよ。
前に、うしろシティのことを「出来すぎの青春マンガみたい」って書いたけど、それはうしろとさらばの関係にも言えることで。
仲良し二組といえば、私の中で不動なのはライスしずるだけど、この二組はまたそれとも違う。
ライスしずるは、二組ともシュールと言われて、考え方も系統も似ているけれど、この二組はきれいなまでの正反対。
うしろは東、さらばは西、
うしろはほんわかのんびり草食系、さらばはガツガツ攻める肉食系、
(個人的にはうしろはロールキャベツだと思ってるんだけどね)
うしろはさわやかポップなネタが多くて、さらばはしつこくてゲスいネタが多くて、
うしろはお行儀よい優等生で、さらばはいたずら好きなやんちゃ坊主って感じ。
それなのに、こんなに対照的な二組でも、どこか通じるところがある。
コントの肝となる部分を徐々に見せて行って、見ている側にこういうコントなんだとわからせる感じとか、
ボケとツッコミという分け方ではなく、振り回す側と振り回される側という分け方がしっくりくる感じとか。
同じ事務所で、同時期に注目され始めて、切磋琢磨しながら活躍してて、
仲良しだけどいつもベタベタしているわけではないし、
ライバルだけど口をきかないほどバチバチしているわけではない。
これがマンガだったら、出来すぎてて興ざめするところだけど、それが現実だから面白い。
そんな二組の絶妙な関係性自体に、惹かれていたところがあったんだよ。
お笑い界に新しい風を吹き込んでくれる二組だって、本気で思ってたんだよ。
私は、一組じゃ物足りないから二組が好きになったわけでもないし、
うしろのオマケでさらばが好きになったわけでもないんだよ。
こんなこと、わざわざ書くのも野暮だから今まで書いてこなかったけど、もう最後だから全部書いたよ。
全てのお客さんがこう思っていたわけではないだろうけど、
こういう人間がいたということだけでもわかってほしい。
本人達も、周りの社員さん達も、一体、どれほどわかってくれてたのだろうか。
うしろシティの目の前で、
「KOCではうしろとさらば、THE MANZAIではオジオズだったけど、本命はキンタロー。だ!」
って言っちゃう社員さんは、この気持ちわかってくれてたのだろうか。
私は回数は少ないけど、角座に行った時には、アンケートに毎回
「うしろとさらばの二組でコントライブやトークライブやってほしいです」って書き続けてきたんだけど、
それがどうしてか、一体わかってくれてたのだろうか。
こんなこと、言わなくても、わかってくれてると思ってたんだけどなぁ。
もっと言わなきゃダメだったのかなぁ。
……別に、言っても何も変わらなかったか。
今更何を言ったって、決まったことは決まったことだから、
もう、なんでもいいですけど。

さらばが面白いなんていうのは、わざわざ説明する必要もないくらい明らかなことだし、
きっと二人なら、ちょっと遠回りしても、またすぐにお笑い界の中心に戻ってこれると思う。
辞めさえしなければね。
だからそこに関しては、そんなに心配していない。
でもやっぱり、他のコンビが事務所やめるのとは、ちょっと話が、違うよ……。
こんなに言うのは、色々と期待しちゃってたからなんです。
おととしの10月、QuickJapanに2組が見開き1ページのインタビューが載った時に、
あぁこの先、もっと大きいページで、二組のインタビューが見たいなって思ったし、
今回のDVD収録みたいなライブをどんどんやってほしかったし、
333みたいな番組を、うしろさらばでやってほしかったなぁなんて。
無謀というか、高すぎる望みかもしれない。
けど少なくとも、前よりは近い所まで来てたはずだ。
全部これからだったじゃん。
KOCとか演芸大賞で、二組とも決勝進出して、知名度も上がって、
こういうことができるの、まさに今からだったじゃん。
だからそうやって、私が見たかったものが、全部飛んじゃったんだって思ったら。
それが結構つらい。
叶うかどうかなんてわからないよ。
でももう少し、この二組に夢を見せてほしかった。
もしかしたら、こんなこと思ってたのは私だけだったのかもしれない。
4人は4人でくくられるのが嫌だったのかもしれない。
私が見たかった未来と、彼らが行きたかった未来は、違ってたのかもしれないって思ったら、
実はそれが、一番しんどいかもしれない。
でもさ、冷静に考えてみたら、そうだとしてもそれは当たり前と言えば当たり前のことだよね。
私はどうしても、ライブを見ると色々期待してしまう。
次はこういうライブが見たいとか、この人達にこうなってほしいとか。
与えられたものをそのまま享受するのだけでは物足りなくて、
どうしても色々期待してしまうし、求めてしまう。
好きな人のことは、たくさんの人に好きになってほしいなって思う。
でもさ、相手は人間な訳だし、何でも自分の思う通りにはならないよね。
仮に、こっちがこうしてほしいと言った道を選んだあとで、
本人があの時やっぱり違う道を選んでればよかったと思っても、責任は取れない。
これは別に、今回のことだけに限らず。
今まで他にも、神保町でいい作品に出会った時とか、ライスの単独とか、
再演して欲しい、地方でもやってほしいって思ったけど、
仮に人が入らなくて(入ると思うけど)、損失になった場合、責任取れるかって言われたら取れないし。
賞レースでふるわない結果で、この人達はもっと面白いはずなのに、もっと認められるべきなのにって、
もどかしい気持ちになったところで、結局運やタイミングもあるから、
だからどうするかと言われれば、こちらには出来ることなんてないし。
何かあった時に、私はいつも「ファンに出来ることなんて何もないのかな」って思っちゃうけど、
多分、ないんだよ。実際本当にないんだよ。
だって、結局その人の人生だし。
だからね、お笑いを楽しむには、「期待しないこと」が一番なんだって思うようになった。
期待するからつらくなる。
期待するからもどかしく思う。
だからもう、面白いものを見て、面白いって思えばそれだけでいいし、
それ以上のことを求めるのは、やめた方がいいんだと思う。
本格的にお笑いライブに通うようになって4年半くらい経つけど、このことにようやく気付いた。
ちょっと遅すぎました。


「またいつか」なんて、ないと思った方がいい。
それは今回本当によくわかった。痛いほどわかった。
客の思いが作り手に届かないことがあるってこともよくわかった。
勝手な期待を募らせてお笑いを見る私が悪いってことも、とてもよくわかりました。
だけど、それでも、淡い期待は持たせてください。
不可能に近いことはわかってるし、本人達がそれを望んでない可能性があることもわかってる。
だけど、またいつか、角座でうしろとさらば二組だけのライブが見たいです。
別々の道を歩むことを選んだ彼らが、その道の先でまたいつか、出会えたら、
それこそマンガっぽくてかっこいいじゃん。
大丈夫、もう過剰な期待はしないから。
期待通りにならなくても、今回みたいにぶつぶつ言わないから。
またいつか。