
(『情熱』若い頃の軽やかさです!)
「ゆかるひ」で1部とII部構成で、両方を一人でやり遂げるにはたいへんな集中力が必要かと感じました。歌は小浜 司さんの解説と他の方々のなさけ歌の披露がありました。
唄と舞の両方を一人でこなすことは、大変だというのが率直な感想である。唄なら唄に舞なら舞に集中した舞台の方が拡散されなくていいのではないのか、というのが正直な感想。しかし、彼女の並外れた感性は聴かせて見せてくれたが、プロの音声研究者の耳には40%のできばえだったとの厳しい評価でした。
唄者としてより、和枝さんが集中したかったのは創作舞踊ですね。『情熱』はこの間の彼女の人生の波を山を感じさせました。少女の時代から沖縄と東京を往復した華やかで厳しい鍛錬の時代があり、その後の人生の綾が色合いが黒い洋装で演じられていましたね。当初は軽やかなウチナーの少女の着物姿で、やがて日本の歌舞伎舞踊のような色合いに染まっていきますね。神戸栄一さんの声は良かったですね。氏の歌に合わせた少女時代の和枝さんです。成長してからの彼女の人生は黒のレースのついた衣裳で始まります。祈りの所作、フロアを転がる姿、地べたを這いずり回り必死に生きてきた一人の女の姿が浮かびます。愛憎が夜叉のごとく表情に表れます。誇りや屈辱、矜持、失望失墜、絶望、誰かを頼り、踏みつけ、かつ情熱を支えに生きてきた女の現在に至る道筋が演じられます。ボレロの曲にのせた躍りは激しさですね。ジプシーの躍りのような軽やかさもありましたね。
和枝さんの藁をもつかむ必死な生き様があったのだと想像させます。改悛、悔恨、恨み、羨望、華やかさ、堕落、誇り、嘘、ペテン、仮面、美しく、気高くと挑んだ人生の果実の少なさ、こんなものさ、と諦めきるにはその身体はまだまだ表現を求めています。酒、イドとエゴーがスーパーエゴーとして結実するか、まだまだ和枝さんは舞い、踊りつづけないといけないスクブンを生きているようです。「情熱」が良かったですね!狂言もどきの躍りは大城幸子さんのものだね。実の妹の幸子さんが笑いで閉めたに違いないですね。ちょっと幸子さんが登場しなくて残念な舞台でした。
和枝さんは『情熱』に集中するだけでよかったのかもしれませんね。歌は神戸さん、石川さんが主に担って和枝さんは創作ダンスがメインだと言えよう。ボレロにのせた躍りを始めて見ました。「アカペラの声がもっといい」と、音楽の専門の先生は話しています。和枝さんが実妹の幸子さんと共演すると面白い息抜きできる唄と舞になるでしょうね。
「ゆかるひ」に最大の40人ほどが集ったのですね。島袋さんがとても喝采していました。また「情熱」を見たいですね。仮面をとった夜叉の躍りにもみえました。「きれいはきたない、きたいないはきれい」ですね。Fair is Foul and Foul is Fair.醜は老いだけではないはずで、心の醜さがあります。それをどう表現するか、逆に崇高なまでの美しさをどう描くかですね。身体の美醜を越えた美とは?ある一瞬の表情の中に垣間見るもの、そのモメントを求めてみるには、全体が見えないステージでした。録画を見たいですね。
洋装の和枝さん、素の表情ですね!
小浜さん 神戸さん 富田さん【プロデュースと音楽】
お二人の「情熱」の成果ですね! 化粧をした和枝さんはとても美しい!