18:54 (2 時間前)
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EACI News Weekly 第81号(7月29日号)
東アジア共同体研究所(East Asian Community Institute )
http://eaci.or.jp/
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【目次】
【1】《今週のニュース 7/23-7/29》
政治(3)、経済(2)、国際(2)、社会(2)
【2】《UIチャンネル放送予告 No.162》
第162回UIチャンネル放送 LIVE鼎談「沖縄の声を国会へ」
ゲスト:伊波洋一氏(参議院議員)
http://live.nicovideo.jp/watch/lv270805014
【3-1】《EACIレポート》
友愛ブックレット第5弾「習近平体制の真相に迫る」が発売開始!
www.amazon.co.jp/dp/4763407805
【3-2】《EACIレポート/再掲》
7月31日に高野孟氏が登壇「辺野古新基地建設断念を求める全国交流集会」
【4-1】《研究員コラム》
鳩山友紀夫(東アジア共同体研究所理事長)
「共生社会の実現に向けて」
【4-2】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「沖縄は朝敵か」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【1】《今週のニュース 7/23-7/29》
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【政治】
■翁長知事の意見陳述、準備に着手 辺野古・違法確認訴訟
(沖縄タイムス 2016.7.29)
https://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=180649
■ポスト参院選の沖縄~安倍政権の反転攻勢と先鋭化する対立~
(ハフィントン・ポスト/目黒博 2016.7.28)
http://www.huffingtonpost.jp/hiroshi-meguro/okinawa-abe_b_11221872.html
■防衛省が迎撃ミサイルPAC3改修へ、東京五輪に向け能力強化
(Newsweek 2016.7.29)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/07/pac3.php
【経済】
■TPPと共に死にゆく米リーダーシップ
(フィナンシャル・タイムズ/日経 2016.7.29)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO05368840Y6A720C1000000/
■コラム:米民主党大会、TPPが格差問題の象徴に
(ロイター 2016.7.29)
http://jp.reuters.com/article/us-tpp-idJPKCN1080BV
【国際】
■中国、南シナ海問題でフィリピンとの協議再開に向け米に支援要請
(ロイター 2016.7.26)
http://jp.reuters.com/article/southchinasea-ruling-china-wang-yi-kerry-idJPKCN1060AA
■トルコのクーデターは“独裁者”の自作自演だったのか?
(ITmedia 2016.7.28)
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1607/28/news017.html
【社会】
■米軍ヘリパッド建設抗議 高江に150人結集 県選挙区選出の衆参議員そろう
(琉球新報 2016.7.27)
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-324356.html
■国、オスプレイ使用否定 07年アセス「機種変更ない」 北部訓練場着陸帯
(琉球新報2016.7.28)
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-324701.html
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第162回UIチャンネル放送 LIVE鼎談「沖縄の声を国会へ」
ゲスト:伊波洋一氏(参議院議員)
http://live.nicovideo.jp/watch/lv270805014
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8月1日(月)20時からの第162回UIチャンネル放送は、2016年7月10日に行われた参議院選挙にて現職大臣を抑え、見事初当選を果たした伊波洋一参議院議員をゲストにお招きし、鳩山友紀夫×高野孟×伊波洋一鼎談「沖縄の声を国会へ」をお送り致します。
伊波洋一氏プロフィール
1974年5月宜野湾市役所入所
1996年1月同市役所退職
1996年6月沖縄県議会議員1期目当選
2000年6月沖縄県議会議員2期目当選
2003年4月沖縄県議会議員辞職
2003年4月第13代宜野湾市長就任
2007年4月第14代宜野湾市長就任
2010年10月宜野湾市長退職
県議会で文教厚生委員会に所属、県立病院問題や平和祈念資料館問題などで手腕を発揮。
宜野湾市長としては普天間基地問題解決のため、3度の訪米要請行動、国会の安全保障委員会や外務委員会に招かれ訴える。
県内市町村で初めて中学までの入院費無料化を実現する。
番組内では質問を受け付けておりますので、コメント欄またはinfo@eaci.or.jpまでお寄せ下さい。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【3-1】《EACIレポート》
友愛ブックレット第5弾「習近平体制の真相に迫る」が発売開始!
著者:鳩山 友紀夫、徐 静波、岡田 充、村田 忠禧、高野 孟
編集:東アジア共同体研究所
www.amazon.co.jp/dp/4763407805
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
友愛ブックレット第5弾となる「習近平体制の真相に迫る」(花伝社)を発売いたしました。
詳細は以下をご覧ください。
●目次●
第1章 習近平「腐敗撲滅」大作戦の壮絶な闘い
徐静波+鳩山友紀夫+高野孟(15年6月8日放送分)
第2章 悪いことはすべて「中国のせい」にしていいのか?
徐静波+鳩山友紀夫+ 高野孟(16年2月15日放送分)
第3章 「南シナ海をめぐる米中確執の深層」
岡田充+高野孟(16年1月18日放送分)
第4章 日中領土問題の起源/公文書が語る不都合な真実
村田忠禧+鳩山友紀夫(15年2月2日放送分)
第5章 米中関係の進展に乗り遅れる?安倍政権
村田忠禧+鳩山友紀夫(15年10月12日放送分)
ご購入はコチラから→
www.amazon.co.jp/dp/4763407805
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【3-2】《EACIレポート/再掲》
7月31日に高野孟氏が登壇「辺野古新基地建設断念を求める全国交流集会」
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7月31日にピースボートなど平和団体がつくる「止めよう!辺野古埋め立て国会包囲実行委員会」の主催で「辺野古新基地建設断念を求める全国交流集会」が都内の連合会館などで開かれます。全体会では東アジア共同体研究所研究員の高野孟氏や、辺野古ゲート前座り込みの中心人物・山城博治さんが発言します。
<以下、主催団体HPより転載>
〈とき〉2016年7月31日(日)10:00~18:00
〈場所〉連合会館・全電通会館ホール
さる3月4日の政府と県の「和解」で、現在、辺野古の現場での工事は中止しています。これは、翁長知事を先頭にした沖縄県民の不屈の闘いと全国での闘いの広がりが安倍政権を追い込んだ結果です。
「和解」により少なくとも、半年から1年は工事は中止します。この期間に、私たち辺野古新基地建設反対の運動を行ってきた人々が、一堂に会して、お互いの連携をより深め、従来を上回る力強い闘いを全国各地で作りあげていきましょう。
同時に、沖縄に基地を押し付けている日本政府と市民の責任を考えながら、今沖縄で怒りに燃え上がっている元海兵隊員による残虐な女性殺害事件に対する闘いに呼応する闘いをいかに作りだすかを考える場としていきましょう。
|分科会| 10:00~12:00(開場 9:30)
●第1分科会 会場:全電通会館会議室
職場・地域からの闘いの報告と交流
●第2分科会 会場:連合会館201会議室
どの故郷にも戦争に使う土砂は一粒もない
~「辺野古土砂搬出反対」全国連絡協議会~
●第3分科会 会場:連合会館401会議室
地方自治 ―私たちの街から沖縄に繋がる―
●第4分科会 会場:連合会館501会議室
環境破壊を許さない!
|全体会| 13:30~18:00(開場13:00)
会場:全電通会館ホール
講 演
●辺野古と地方自治
白藤博行(専修大学教授)
●辺野古をめぐる米国の動向
高野 孟(ジャーナリスト)
●沖縄からの訴え
山城博治(沖縄平和運動センター議長)
●公有水面埋立承認の誤り
桜井国俊(沖縄大学名誉教授)
【主催】「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委員会
連絡先:沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック:090-3910-4140/沖縄意見広告運動:03-6382-6537/ピースボート:03-3363-7561
■辺野古新基地建設断念を求める全国交流集会
http://humanchain.tobiiro.jp/event.html
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【4-1】《研究員コラム》
鳩山友紀夫(東アジア共同体研究所理事長)
「共生社会の実現に向けて」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
私ども東アジア共同体研究所が主宰する世界友愛フォーラム勉強会講師として、日本アビリティーズ協会の伊東弘泰会長をお招きしました。ご自身が障がいを持ち社会から差別を受けながらも、50年前に障がいを持つ人達と健常者との共生社会構築を目的とする会社を興され、また、差別解消の立法にご尽力されたお話を伺いました。その二日前に、残念ながら相模原で多くの障がい者が犠牲となった陰惨な事件が起きてしまいました。
容疑者の思想や行動への批判は当然ですが、それだけでは問題は解決しません。障がいを持つ人々と共生していく社会をどうやって形成していくか、命の尊さとともに、じっくり考えなければならないと思います。
以下、伊藤弘泰会長のコメントをご紹介致します。
相模原市で起きた障害者施設での大量殺人事件。マスコミ報道で知る計画的で凶悪な犯行。何がおきたかさえもわからないまま殺された人たちの無念、ご家族の悲しみ。障害者には死、などという思い、そして行動。許せない。障害者差別解消法の理念とまったく逆のことが起きた。
障害者差別禁止法の制定運動の過程で、私もインターネットで、「障害者に人権は必要ない。街にでてくることなどとんでもない、差別するのが当然だ」、という趣旨の内容で、口汚くののしられた経験がある。世の中には、障害のある人に対して、違和感をもっている人が少なからずいることは確かだが、これは異常である。
アビリティーズの運動を始めた1966年ごろ、東北で座敷牢に閉じ込められていた障害者のことが新聞で報道された。家族に障害がいると村八分にされたり、縁談に差し支える、とまだ言われていた時代であった。
今でも、障害者と話しをするような場面で、最初、緊張しているひとが多い。なぜか? そんな経験があまりなかったからだと思う。日本の社会では、障害のある人たちは、子供の頃から別の世界、限定された状況に置かれてきた。1979年に障害児の全員就学制度が始まった。しかし、殆どの障害児は養護学校に入学させられてきた。今、特別支援学校といわれているが、中身は変わらない。普通学校・普通学級に行けず、近所の子供とは違う場所で学び、触れ合う機会もあまりない。
卒業しても容易に就職できず、多くの人が障害者施設や授産施設、あるいは在宅生活を余儀なくされる。障害のある人とない人が生活の場面で触れ合うことは少ない。障害者は社会参加の機会が少なく、特別な世界におかれてきた。
そういう状況は、わが国の法律、制度によるところが大きい。障害がある人もない人も出会うことができる環境、同じ学校で学べるシステムであったなら、お互いに理解と思いやり、支えあいの心が自然に生まれ、仕組みも出来たと思う。少なくとも今よりはもっと良い状況であったのではないか。法律や制度が逆に差別を生むことになったように思う。報道、そして世間は、容疑者に対する非難、怖れ、彼の思想に対する否定の声があふれているが、それは今回の事件の容疑者を生んだ社会構造と歴史もひとつの大きな要因であると思う。それに気づき、障害のある人もない人も、お互いが認め合い敬愛できる共生社会をつくる努力と行動により、そうした社会の古い根っこの腐った部分を変えていかねばならない。残忍な容疑者の
行為は許されないことはもちろんだが、障害のある人々についての社会の対応を変革しない限り、大なり小なり、同様な問題、犯罪はなくならないと思う。
障害者差別解消法が施行されたが、法がめざす社会への転換は容易ではない。障害があってもなくても、偏見と差別から脱却し、理解しあえる共生社会の実現のために、社会全体を革新していかねばならない。二度とこのような事件が起きないことを祈りつつ、真の共生社会の実現のために努力を続けていかねばならない。
2016年7月29日 NPO日本アビリティーズ協会 会長 伊東弘泰
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【4-2】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「沖縄は朝敵か」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
沖縄は朝敵か?
沖縄県の全選挙区で自民・公明の議員がいなくなった。現役の沖縄担当大臣が大差で負けた。多少は安倍政権は遠慮するかと思ったら、選挙終了数時間後(朝6時)にやんばるの高江に機動隊を派遣した。狙いはオスプレイ用のヘリパッド(直径75m)をあと4基(現在は2基)造るためだ。将来は辺野古新基地と連動しながら100機のオスプレイの飛行を想定しているようだ。
今まで使っていた22基のヘリコプター用のヘリパッドは不要になった。これらを返却するので基地面積は減る、という理屈だ。日本政府はそこだけを強調している。
昔のヘリパッドを取材したことがある。ジャングルの中に着陸用のパッドが敷かれていた。見上げると森が迫り、ヘリコプターが降りる空間として意外に狭い。パッドの周りに銃弾が散乱している。手に取ってみると泥にまみれた古いものばかりだった。ベトナム戦争に向かう兵士たちが訓練していたのだろう。
これらは全て不要になった。だから止む無く基地返還の要求に応じたふりをして、痛くもかゆくもない土地を返却する。アメリカにとっては全てが交渉ごとだ。
日本政府はさらに上を行く。地元の意見などは全く無視。防衛省は自らの省益のために情報操作をしている。海兵隊に配備されているオスプレイは実戦には使えない。機体は銃弾を防ぐ構造になっていない。そもそも垂直に飛び上がり水平飛行に移る機能が不安定。だから事故が多い。欠陥機なのだ。
「米空軍はCV-22オスプレイを特殊部隊用に持っています。空軍は、2013年12月に南スーダン内戦で、反政府ゲリラ占領地域に残された米国人の救出に、オスプレイを飛ばしました。ところが南スーダン反政府ゲリラの手持ち機関銃AK-47に撃たれ、弾丸が機体を貫通し、米兵が重傷を負い、救出作戦を中断して逃げました。空軍はこの事件の後、オスプレイ機体の脆弱性に懲りて、機内に鉄板を内貼りする装甲強化を施しました。海兵隊オスプレイの役割は、地上戦闘部隊兵員を運ぶことであり、輸送兵員数を減らすことになるため、海兵隊はこの改造をしていません。つまり沖縄にいるオスプレイは、弾丸が飛び交う戦場には行けないのです。」(「それってどうなの?沖縄の基地の話。」―沖縄米軍基地問題検証プロジェクト)
鉄板を貼れば重量が増す、その分、乗員は減らさざるをえない。だから海兵隊では乗員の安全よりは輸送効率を重んじる、ということだ。オスプレイが尖閣諸島に飛んで行って中国から日本を守ってくれるというデマを信じている人がいるようだが、機関銃で撃ち抜かれるようでは出動は無理。そもそも中国がわざわざ無人島に上陸して紛争を起こす可能性はない。万が一そうなっても米国は知らんぷりを決め込む。今の内から外交交渉を進め、隣国とはもめないようにするしかないのだ。
日本政府は一機200億円以上のオスプレイを100機購入予定だ。2兆円以上の取引は日米の軍事産業をうるおす。仲介料ならびにリベートが一部の商社に、政治家に入る。
やんばるの自然や高江の住民約140人の生活など知ったことか、これが政府の本音だ。
「青い目が見た大琉球」シリーズの準備のため、幕末の動きを勉強中だ。
「妖寧邪悪の薩長」という言葉が出て来た。
作家の早乙女貢氏は「薩長土肥はおのれの悪事を隠し、黒を白とするためには、会津藩が存在していることが邪魔だった。そのために、是々非々を論じられる前に、叩き潰してしまいたかったのだ。」(「エッセイで楽しむ 日本の歴史」下 文春文庫)
政府は再び沖縄県相手に裁判を起こし、一方では機動隊を派遣して新基地反対派の動きを叩き潰す。
日本政府の沖縄に対する仕打ちは、弾圧と言ってよい。下級武士の反乱に対する、百姓一揆に対する、異論を唱える者に対する容赦ない攻撃、しかも「他藩の兵隊」と「傭兵」とを使った不正義の攻撃に見える。機動隊の車両は東京、千葉などの関東プレートが目立つ。
「警備」はALSOCだ。よってたかって他府県連合で沖縄を潰そうとしている。
平和を唱える沖縄は、現代の会津藩なのか。
諫争(かんそう)
という言葉は手もとの小型辞書4冊にはなかった。強くいさめる、封建的な主従関係に服するのではなく、かえって主君をいさめ、行動を糺(ただ)すことを意味する。
かつては「君、君たらずとも、臣、臣たらざるべからず」として一方的に従者に対して忠誠が要求されていた。
つまり殿さまはバカでも家来は家来らしくしなければいけない。
しかし従者にとって、藩以外に行き場所がなければ、殿さまを変えるしかない。窮鼠猫を噛む、追い詰められたネズミは猫に立ち向かう。鼠に例えては失礼だが、辺野古、高江の闘いを思う。平和的な手段で殿さまを諫(いさ)めている。それを弾圧するしか能がない殿さまはやがて自壊するだろう。いや倒さねばならぬ。
かつて薩長の下級武士と一部公卿たちは京都や江戸の町で放火、殺人、リンチを繰り返した。天皇まで毒殺したという説も有力だ。そして政権を握った。まさしく「妖寧邪悪の薩長」だ。安倍首相の先祖がそうだ。勝てば官軍!
幕末の長州藩は4国の軍隊を相手に戦い、完敗した。それに懲りて開国へと舵を切るのだが、異国の軍隊を自らの領土に招き入れることはしなかった。今はどうだ。長州藩の末裔である安倍首相は、米国の軍隊を永遠に日本に置き続けることを選んでいるのではないか。しかも長州にではなく、はるか離れた南の島・沖縄に過重な負担を負わせている。これは「開国」派でも「攘夷」派でもない。単なる卑劣な売国奴だ。
―以上は「忠誠と反逆」(丸山眞男 筑摩書房)を読みながら考えた―
国防軍よりは友愛リーグを
日本政府の意思は、新しい米大統領が決まる前に既成事実を作っておこう、ということらしい。オスプレイ100機の販売先と駐機場を確保しましたよ、と報告するつもりだろうか。そもそもヘリパッドを6基造る話が出たのは、1995年の少女暴行事件の後、なんとか基地を減らしたい、という流れからではなかったか。その時は地元住民に対してオスプレイの話などなし。つまりだまし打ちで進んでいる。
2016年4月に起きた米軍属の女性暴行殺人は、それよりひどい事件なのだが、事後対策で派遣された防衛省職員の警備対象は米軍人・軍属にではなく新基地反対の市民に向けられている。
殺された女性の家は、以前辺野古基地建設賛成を決めた名護市長の本家だそうだ。それでも海兵隊の新基地を造り、また被害者を身内から出したいのか、という声も聞いた。
香港でさえ、99年で中国に戻った。嘉手納基地が日本に戻る気配はなし。日本政府が米軍に差し出し、永遠にお使い下さいと約束した土地なのだろうか。
そんなことを考えていると、日本は決して独立していない、と確信できる。70年以上も外国の軍隊に、手も足も出せず居座られている国があるか。
ではどうする?米軍を追い出したとして、その後は?
米大統領候補トランプ氏の話を突き詰めるとこうなる。
「自分の国の防衛はどうぞ自分達で、それがいやならもっとお金を払いなさい、金がなければ米軍基地は引き揚げます。日本は国防軍でも作って適当によろしく。」
論理的には武器をじゃんじゃん買い揃え、兵隊を増やして国を守る。あるいは軍事強化とはおさらばし、民間の交流を大量に進め、戦争など出来ない体制を作る。
どちらかしかない。昔、加藤周一が言っていた言葉を思い出した。
NOT WAR BUT LOVEの訳は、「交戦よりは交接を」とするべきだ。
マリア・テレジアのハプスブルク家の家訓がそうだ。他国との戦争よりは政略結婚。
特に中国・韓国との交流を図ることが最も重要。
学術的交流としては、「キャンパス・アジア」として博士課程の大学生の交流・滞在が既に鳩山政権の時から始まっている。
恫喝訴訟から恐喝行動へ
以前、このメモで書いたスラップ訴訟をもう一度ご紹介する。」
SLAPP訴訟はStrategic Lawsuit Against Public Participation の
略で、市民参加を排除するための戦略的訴訟。恫喝訴訟とか嫌がらせ訴訟とか呼ばれている。その第一弾が高江の住民に対して行われた。
2008年12月、工事に反対している地元住民に対して分厚い封筒(約5センチの厚さ)が送られてきた。
「チョー適当な証拠だったんですよ。示された写真は私ではなく別人で、私は次男が産まれる直前だったので、座り込みの現場に行っていないんですよ。」―森岡尚子さん。
安次嶺現達さんと妻の雪音さんは、森の中でカフェ「山甕」を開いていた。何度か訪れたことがある。森の中をずっと降りて行くと、こんな所に人が住んでいるのかと思うような空間があった。谷間に建てられた素朴なカフェだった。当時の様子は、沖縄・高江 やんばるで生きる 写真集(森住卓―高文館)の表紙を飾っている。幼い子供を抱いた妻、Vサインを出して笑っている子供たち、見守る夫。自然の森をバックに平和な家族が写っている。しかしここはヘリパッドからわずか400m。
夫婦二人も、驚いたことに当時8歳になったばかりの長女も訴えられた。長女は一度も座り込みテントに行ったことがなかった。
(以上は上記「やんばるで生きる」より)
オスプレイが飛ぶようになって子供たちは眠れず転校を余儀なくされた。
カフェは閉鎖されたまま。
ベトナム戦争時、米軍は、この森の中に解放戦線の村に似せた村を作り、標的とした。
いまは米軍に代わり、日本(軍!?)が住民たちを強制的に追い出しにかかっている。
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「共生社会の実現に向けて」
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■トルコのクーデターは“独裁者”の自作自演だったのか?
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2003年4月沖縄県議会議員辞職
2003年4月第13代宜野湾市長就任
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2010年10月宜野湾市長退職
県議会で文教厚生委員会に所属、県立病院問題や平和祈念資料館問題などで手腕を発揮。
宜野湾市長としては普天間基地問題解決のため、3度の訪米要請行動、国会の安全保障委員会や外務委員会に招かれ訴える。
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●目次●
第1章 習近平「腐敗撲滅」大作戦の壮絶な闘い
徐静波+鳩山友紀夫+高野孟(15年6月8日放送分)
第2章 悪いことはすべて「中国のせい」にしていいのか?
徐静波+鳩山友紀夫+ 高野孟(16年2月15日放送分)
第3章 「南シナ海をめぐる米中確執の深層」
岡田充+高野孟(16年1月18日放送分)
第4章 日中領土問題の起源/公文書が語る不都合な真実
村田忠禧+鳩山友紀夫(15年2月2日放送分)
第5章 米中関係の進展に乗り遅れる?安倍政権
村田忠禧+鳩山友紀夫(15年10月12日放送分)
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【3-2】《EACIレポート/再掲》
7月31日に高野孟氏が登壇「辺野古新基地建設断念を求める全国交流集会」
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7月31日にピースボートなど平和団体がつくる「止めよう!辺野古埋め立て国会包囲実行委員会」の主催で「辺野古新基地建設断念を求める全国交流集会」が都内の連合会館などで開かれます。全体会では東アジア共同体研究所研究員の高野孟氏や、辺野古ゲート前座り込みの中心人物・山城博治さんが発言します。
<以下、主催団体HPより転載>
〈とき〉2016年7月31日(日)10:00~18:00
〈場所〉連合会館・全電通会館ホール
さる3月4日の政府と県の「和解」で、現在、辺野古の現場での工事は中止しています。これは、翁長知事を先頭にした沖縄県民の不屈の闘いと全国での闘いの広がりが安倍政権を追い込んだ結果です。
「和解」により少なくとも、半年から1年は工事は中止します。この期間に、私たち辺野古新基地建設反対の運動を行ってきた人々が、一堂に会して、お互いの連携をより深め、従来を上回る力強い闘いを全国各地で作りあげていきましょう。
同時に、沖縄に基地を押し付けている日本政府と市民の責任を考えながら、今沖縄で怒りに燃え上がっている元海兵隊員による残虐な女性殺害事件に対する闘いに呼応する闘いをいかに作りだすかを考える場としていきましょう。
|分科会| 10:00~12:00(開場 9:30)
●第1分科会 会場:全電通会館会議室
職場・地域からの闘いの報告と交流
●第2分科会 会場:連合会館201会議室
どの故郷にも戦争に使う土砂は一粒もない
~「辺野古土砂搬出反対」全国連絡協議会~
●第3分科会 会場:連合会館401会議室
地方自治 ―私たちの街から沖縄に繋がる―
●第4分科会 会場:連合会館501会議室
環境破壊を許さない!
|全体会| 13:30~18:00(開場13:00)
会場:全電通会館ホール
講 演
●辺野古と地方自治
白藤博行(専修大学教授)
●辺野古をめぐる米国の動向
高野 孟(ジャーナリスト)
●沖縄からの訴え
山城博治(沖縄平和運動センター議長)
●公有水面埋立承認の誤り
桜井国俊(沖縄大学名誉教授)
【主催】「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委員会
連絡先:沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック:090-3910-4140/沖縄意見広告運動:03-6382-6537/ピースボート:03-3363-7561
■辺野古新基地建設断念を求める全国交流集会
http://humanchain.tobiiro.jp/event.html
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【4-1】《研究員コラム》
鳩山友紀夫(東アジア共同体研究所理事長)
「共生社会の実現に向けて」
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私ども東アジア共同体研究所が主宰する世界友愛フォーラム勉強会講師として、日本アビリティーズ協会の伊東弘泰会長をお招きしました。ご自身が障がいを持ち社会から差別を受けながらも、50年前に障がいを持つ人達と健常者との共生社会構築を目的とする会社を興され、また、差別解消の立法にご尽力されたお話を伺いました。その二日前に、残念ながら相模原で多くの障がい者が犠牲となった陰惨な事件が起きてしまいました。
容疑者の思想や行動への批判は当然ですが、それだけでは問題は解決しません。障がいを持つ人々と共生していく社会をどうやって形成していくか、命の尊さとともに、じっくり考えなければならないと思います。
以下、伊藤弘泰会長のコメントをご紹介致します。
相模原市で起きた障害者施設での大量殺人事件。マスコミ報道で知る計画的で凶悪な犯行。何がおきたかさえもわからないまま殺された人たちの無念、ご家族の悲しみ。障害者には死、などという思い、そして行動。許せない。障害者差別解消法の理念とまったく逆のことが起きた。
障害者差別禁止法の制定運動の過程で、私もインターネットで、「障害者に人権は必要ない。街にでてくることなどとんでもない、差別するのが当然だ」、という趣旨の内容で、口汚くののしられた経験がある。世の中には、障害のある人に対して、違和感をもっている人が少なからずいることは確かだが、これは異常である。
アビリティーズの運動を始めた1966年ごろ、東北で座敷牢に閉じ込められていた障害者のことが新聞で報道された。家族に障害がいると村八分にされたり、縁談に差し支える、とまだ言われていた時代であった。
今でも、障害者と話しをするような場面で、最初、緊張しているひとが多い。なぜか? そんな経験があまりなかったからだと思う。日本の社会では、障害のある人たちは、子供の頃から別の世界、限定された状況に置かれてきた。1979年に障害児の全員就学制度が始まった。しかし、殆どの障害児は養護学校に入学させられてきた。今、特別支援学校といわれているが、中身は変わらない。普通学校・普通学級に行けず、近所の子供とは違う場所で学び、触れ合う機会もあまりない。
卒業しても容易に就職できず、多くの人が障害者施設や授産施設、あるいは在宅生活を余儀なくされる。障害のある人とない人が生活の場面で触れ合うことは少ない。障害者は社会参加の機会が少なく、特別な世界におかれてきた。
そういう状況は、わが国の法律、制度によるところが大きい。障害がある人もない人も出会うことができる環境、同じ学校で学べるシステムであったなら、お互いに理解と思いやり、支えあいの心が自然に生まれ、仕組みも出来たと思う。少なくとも今よりはもっと良い状況であったのではないか。法律や制度が逆に差別を生むことになったように思う。報道、そして世間は、容疑者に対する非難、怖れ、彼の思想に対する否定の声があふれているが、それは今回の事件の容疑者を生んだ社会構造と歴史もひとつの大きな要因であると思う。それに気づき、障害のある人もない人も、お互いが認め合い敬愛できる共生社会をつくる努力と行動により、そうした社会の古い根っこの腐った部分を変えていかねばならない。残忍な容疑者の
行為は許されないことはもちろんだが、障害のある人々についての社会の対応を変革しない限り、大なり小なり、同様な問題、犯罪はなくならないと思う。
障害者差別解消法が施行されたが、法がめざす社会への転換は容易ではない。障害があってもなくても、偏見と差別から脱却し、理解しあえる共生社会の実現のために、社会全体を革新していかねばならない。二度とこのような事件が起きないことを祈りつつ、真の共生社会の実現のために努力を続けていかねばならない。
2016年7月29日 NPO日本アビリティーズ協会 会長 伊東弘泰
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【4-2】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「沖縄は朝敵か」
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沖縄は朝敵か?
沖縄県の全選挙区で自民・公明の議員がいなくなった。現役の沖縄担当大臣が大差で負けた。多少は安倍政権は遠慮するかと思ったら、選挙終了数時間後(朝6時)にやんばるの高江に機動隊を派遣した。狙いはオスプレイ用のヘリパッド(直径75m)をあと4基(現在は2基)造るためだ。将来は辺野古新基地と連動しながら100機のオスプレイの飛行を想定しているようだ。
今まで使っていた22基のヘリコプター用のヘリパッドは不要になった。これらを返却するので基地面積は減る、という理屈だ。日本政府はそこだけを強調している。
昔のヘリパッドを取材したことがある。ジャングルの中に着陸用のパッドが敷かれていた。見上げると森が迫り、ヘリコプターが降りる空間として意外に狭い。パッドの周りに銃弾が散乱している。手に取ってみると泥にまみれた古いものばかりだった。ベトナム戦争に向かう兵士たちが訓練していたのだろう。
これらは全て不要になった。だから止む無く基地返還の要求に応じたふりをして、痛くもかゆくもない土地を返却する。アメリカにとっては全てが交渉ごとだ。
日本政府はさらに上を行く。地元の意見などは全く無視。防衛省は自らの省益のために情報操作をしている。海兵隊に配備されているオスプレイは実戦には使えない。機体は銃弾を防ぐ構造になっていない。そもそも垂直に飛び上がり水平飛行に移る機能が不安定。だから事故が多い。欠陥機なのだ。
「米空軍はCV-22オスプレイを特殊部隊用に持っています。空軍は、2013年12月に南スーダン内戦で、反政府ゲリラ占領地域に残された米国人の救出に、オスプレイを飛ばしました。ところが南スーダン反政府ゲリラの手持ち機関銃AK-47に撃たれ、弾丸が機体を貫通し、米兵が重傷を負い、救出作戦を中断して逃げました。空軍はこの事件の後、オスプレイ機体の脆弱性に懲りて、機内に鉄板を内貼りする装甲強化を施しました。海兵隊オスプレイの役割は、地上戦闘部隊兵員を運ぶことであり、輸送兵員数を減らすことになるため、海兵隊はこの改造をしていません。つまり沖縄にいるオスプレイは、弾丸が飛び交う戦場には行けないのです。」(「それってどうなの?沖縄の基地の話。」―沖縄米軍基地問題検証プロジェクト)
鉄板を貼れば重量が増す、その分、乗員は減らさざるをえない。だから海兵隊では乗員の安全よりは輸送効率を重んじる、ということだ。オスプレイが尖閣諸島に飛んで行って中国から日本を守ってくれるというデマを信じている人がいるようだが、機関銃で撃ち抜かれるようでは出動は無理。そもそも中国がわざわざ無人島に上陸して紛争を起こす可能性はない。万が一そうなっても米国は知らんぷりを決め込む。今の内から外交交渉を進め、隣国とはもめないようにするしかないのだ。
日本政府は一機200億円以上のオスプレイを100機購入予定だ。2兆円以上の取引は日米の軍事産業をうるおす。仲介料ならびにリベートが一部の商社に、政治家に入る。
やんばるの自然や高江の住民約140人の生活など知ったことか、これが政府の本音だ。
「青い目が見た大琉球」シリーズの準備のため、幕末の動きを勉強中だ。
「妖寧邪悪の薩長」という言葉が出て来た。
作家の早乙女貢氏は「薩長土肥はおのれの悪事を隠し、黒を白とするためには、会津藩が存在していることが邪魔だった。そのために、是々非々を論じられる前に、叩き潰してしまいたかったのだ。」(「エッセイで楽しむ 日本の歴史」下 文春文庫)
政府は再び沖縄県相手に裁判を起こし、一方では機動隊を派遣して新基地反対派の動きを叩き潰す。
日本政府の沖縄に対する仕打ちは、弾圧と言ってよい。下級武士の反乱に対する、百姓一揆に対する、異論を唱える者に対する容赦ない攻撃、しかも「他藩の兵隊」と「傭兵」とを使った不正義の攻撃に見える。機動隊の車両は東京、千葉などの関東プレートが目立つ。
「警備」はALSOCだ。よってたかって他府県連合で沖縄を潰そうとしている。
平和を唱える沖縄は、現代の会津藩なのか。
諫争(かんそう)
という言葉は手もとの小型辞書4冊にはなかった。強くいさめる、封建的な主従関係に服するのではなく、かえって主君をいさめ、行動を糺(ただ)すことを意味する。
かつては「君、君たらずとも、臣、臣たらざるべからず」として一方的に従者に対して忠誠が要求されていた。
つまり殿さまはバカでも家来は家来らしくしなければいけない。
しかし従者にとって、藩以外に行き場所がなければ、殿さまを変えるしかない。窮鼠猫を噛む、追い詰められたネズミは猫に立ち向かう。鼠に例えては失礼だが、辺野古、高江の闘いを思う。平和的な手段で殿さまを諫(いさ)めている。それを弾圧するしか能がない殿さまはやがて自壊するだろう。いや倒さねばならぬ。
かつて薩長の下級武士と一部公卿たちは京都や江戸の町で放火、殺人、リンチを繰り返した。天皇まで毒殺したという説も有力だ。そして政権を握った。まさしく「妖寧邪悪の薩長」だ。安倍首相の先祖がそうだ。勝てば官軍!
幕末の長州藩は4国の軍隊を相手に戦い、完敗した。それに懲りて開国へと舵を切るのだが、異国の軍隊を自らの領土に招き入れることはしなかった。今はどうだ。長州藩の末裔である安倍首相は、米国の軍隊を永遠に日本に置き続けることを選んでいるのではないか。しかも長州にではなく、はるか離れた南の島・沖縄に過重な負担を負わせている。これは「開国」派でも「攘夷」派でもない。単なる卑劣な売国奴だ。
―以上は「忠誠と反逆」(丸山眞男 筑摩書房)を読みながら考えた―
国防軍よりは友愛リーグを
日本政府の意思は、新しい米大統領が決まる前に既成事実を作っておこう、ということらしい。オスプレイ100機の販売先と駐機場を確保しましたよ、と報告するつもりだろうか。そもそもヘリパッドを6基造る話が出たのは、1995年の少女暴行事件の後、なんとか基地を減らしたい、という流れからではなかったか。その時は地元住民に対してオスプレイの話などなし。つまりだまし打ちで進んでいる。
2016年4月に起きた米軍属の女性暴行殺人は、それよりひどい事件なのだが、事後対策で派遣された防衛省職員の警備対象は米軍人・軍属にではなく新基地反対の市民に向けられている。
殺された女性の家は、以前辺野古基地建設賛成を決めた名護市長の本家だそうだ。それでも海兵隊の新基地を造り、また被害者を身内から出したいのか、という声も聞いた。
香港でさえ、99年で中国に戻った。嘉手納基地が日本に戻る気配はなし。日本政府が米軍に差し出し、永遠にお使い下さいと約束した土地なのだろうか。
そんなことを考えていると、日本は決して独立していない、と確信できる。70年以上も外国の軍隊に、手も足も出せず居座られている国があるか。
ではどうする?米軍を追い出したとして、その後は?
米大統領候補トランプ氏の話を突き詰めるとこうなる。
「自分の国の防衛はどうぞ自分達で、それがいやならもっとお金を払いなさい、金がなければ米軍基地は引き揚げます。日本は国防軍でも作って適当によろしく。」
論理的には武器をじゃんじゃん買い揃え、兵隊を増やして国を守る。あるいは軍事強化とはおさらばし、民間の交流を大量に進め、戦争など出来ない体制を作る。
どちらかしかない。昔、加藤周一が言っていた言葉を思い出した。
NOT WAR BUT LOVEの訳は、「交戦よりは交接を」とするべきだ。
マリア・テレジアのハプスブルク家の家訓がそうだ。他国との戦争よりは政略結婚。
特に中国・韓国との交流を図ることが最も重要。
学術的交流としては、「キャンパス・アジア」として博士課程の大学生の交流・滞在が既に鳩山政権の時から始まっている。
恫喝訴訟から恐喝行動へ
以前、このメモで書いたスラップ訴訟をもう一度ご紹介する。」
SLAPP訴訟はStrategic Lawsuit Against Public Participation の
略で、市民参加を排除するための戦略的訴訟。恫喝訴訟とか嫌がらせ訴訟とか呼ばれている。その第一弾が高江の住民に対して行われた。
2008年12月、工事に反対している地元住民に対して分厚い封筒(約5センチの厚さ)が送られてきた。
「チョー適当な証拠だったんですよ。示された写真は私ではなく別人で、私は次男が産まれる直前だったので、座り込みの現場に行っていないんですよ。」―森岡尚子さん。
安次嶺現達さんと妻の雪音さんは、森の中でカフェ「山甕」を開いていた。何度か訪れたことがある。森の中をずっと降りて行くと、こんな所に人が住んでいるのかと思うような空間があった。谷間に建てられた素朴なカフェだった。当時の様子は、沖縄・高江 やんばるで生きる 写真集(森住卓―高文館)の表紙を飾っている。幼い子供を抱いた妻、Vサインを出して笑っている子供たち、見守る夫。自然の森をバックに平和な家族が写っている。しかしここはヘリパッドからわずか400m。
夫婦二人も、驚いたことに当時8歳になったばかりの長女も訴えられた。長女は一度も座り込みテントに行ったことがなかった。
(以上は上記「やんばるで生きる」より)
オスプレイが飛ぶようになって子供たちは眠れず転校を余儀なくされた。
カフェは閉鎖されたまま。
ベトナム戦争時、米軍は、この森の中に解放戦線の村に似せた村を作り、標的とした。
いまは米軍に代わり、日本(軍!?)が住民たちを強制的に追い出しにかかっている。
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