
機動戦士ガンダムOOの劇場版「劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-
」に時間がないにも関わらず無理やり行ってきた。
夏休みまでに行こう行こうと思っていたのに勉強やらバイトやらその他もろもろで...
ひと月近く経って無理やり行くことにした。
ネタばれ注意!
19年ぶりのガンダム新作というよりはどちらかというと「OO」っていう一つの世界観の中で考えた方がしっくりくるんじゃないかな。昔からのファンでは反対もあったみたいやけど、ガンダムシリーズで異星人とのファーストコンタクトっていうのは今までなかったし、「来るべき対話」を今まで主軸に置いていたからこそ違和感なくやれたんだろう。ガンダムでやってしまったのが作者じゃないけど「OO」っぽいよね。公開前からガンダムフェスタやCDなんかにキーワードを乗せたり、いろんなところで情報を公開しつつベールをかぶせるというやり方が功を奏したんだと思う。あとは結局敵が地球外生命体っていうのも、良くも悪くも注目を集めたのは間違いないと思う。
映画の内容については上記のとおり「ファーストコンタクト」もので、無人の木星探査船を発見するってところから地球と宇宙で起こる異変を描き出しています。それにかかわってくソレスタルビーイング。「異種との対話」がテーマなだけにTVシリーズよりも余計分かりやすい展開になってたんじゃないでしょうか。人間同士の争いはTVシリーズでひとつ完結しているし、お互いに敵対していた勢力も今回は相手がELSなので共通の敵なので共闘するしかないわけで。もしも人間同士の争いだったら「W」のエンドレスワルツみたいになってしまうから...。
グラハムの心境の変化を語る場面や、刹那に想いを寄せるようになるフェルト、自分にもできる事があると宇宙に上がる沙慈、戦闘中に浸食されたパイロットを助ける事に対してのハレルヤの「偽善だな」に「誰も死なさない、それでも善だ!」と答えるアレルヤなど変化している部分も多くあったと思います。
あと戦闘シーンはすごかったですね。ELSの変幻自在な動きやサバーニャのビット、ハルートのマルートモードでの動きやグラハム隊の攻撃フォーメーション、ELSの中心部、ELSが花になる時、クアンタのトランザムなど見せ場もあったし描写は素晴らしかったと思います。
ただこの物語では大きく分けて三度の対話をELSを行うんですが、最終的に話が膨らみすぎてそれを時間の中におさめきれなかったような印象を受けます。持っていくだけ持って行って回収しきれなかった感が...かなり扱いがぞんざいな登場人物も少なくなく...映画なので仕方がないですが最終的にELSとの対話だけに全部が持ってかれて、もう少し登場人物の描きが欲しかったのが正直なところです。
・なぜカティとコーラサワーだけ地球軍側で描写が多いのか?
・リジェネの意識体はどうなった?
・デカルトシャーマンは出る意味結局あったのか?
・ラファエルガンダムの退場(=ティエリアの自爆)は早いしあっさりしすぎないか?
・ミーナカーマインは何故ビリーが好きなのか?
・ミーナカーマインは結局なぜ出演したのか?
・なぜコーラは死なないのか?
・グラハムとアンドレーはXXXしなくても...
・刹那は50年対話していたのか?というかクアンタでいきなり行って大丈夫だったのか?
・50年後の他のみんなは?CSは?
最終的に刹那はELSとの戦闘を「対話」つまり分かりあうことによって終結させます。それが「OO」のテーマと合致しているように思いました。元々勝てるわけのない見込みの中で戦って危機的状況の中で逆転して人類バンザーイなハリウッド映画と違って、戦力差だけでいうならガンダムも含めほとんどが大破し負けているんですよね。勝つ負けるなのではなく向き合い、分かりあう事で終わらせるというのが「OO」であり、「争うのではなく、話し合う事、解り合う事が大事」という1st、2ndと伝えてきたものが、此処でも形を変えて繰り返されているんだと思いました。ただあくまであれはアニメなので、現実がそういう風になるかは分かりませんが...伝えたかった事はずっと変わらないものだったんだと思う。だからティエリアに対してミレイナが「どんな姿だったとしても大好きです!」と告白したり、最後ELS化したイノベイタ―刹那が盲目の老女となったマリナに再会した後、「貴方が正しかった...やっと理解り合えた」とセリフが出たんですね。きっと。
マリナはイノベイタ―にはならずに人間として生き、刹那はELSとの対話の為に旅立っていってまったく変わらない容姿のまま帰還しました。それは、お互いにそれだけの時間や代償、失ってしまうものがあるほどに簡単なことではないというのをメタファーしているのかもしれません。
最後ダブルオークアンタが花になる描写も、きっと...。
ただこれはガンダムOOという世界の中だからの話。世界はこんなに単純ではないと思う。OOの世界がみんなが一つになっていると短絡的に言ってる訳ではないですが、永久に人間同士でさえ分かり合うのは、ずっと無理なんじゃないかと思ってるので...でもそれ言ってたら物語が進まないから仕方ないんですけどね。何度も予告を見てきたせいか、おおこういう展開なのか!!っていう予測を裏切るものはなかった。範囲内というか。
対話といっても、人間同士の争いや価値観の相違といった現実的な問題と、何処から来たのか分からない異星人とのやり取りを同じ括りの中で捉えるのはどうなんですかね....
戦争をテーマに描いてきたドラマが最後でSFにシフトしたのは、面白くもあり、所詮フィクションの物語という印象も無きにしも非ず。