早くも今年2回目のQueblickは去年の7月以来ご無沙汰だったビレッジマンズストアの「TRAP」リリースツアー。
今回は2マン形式での対バンライブ。
MCでも本人が言っていたんですがリリースされたのが去年の12月で、ツアー開始が1月末ということで待ちに待ったライブ。
それはバンド側も、そしてオーディエンス側も同じだった、そんな飢餓感と熱気が会場中に満ちていたように感じました。
【モーモールルギャバン】
ゲストバンドとしての登場でしたがのっけから奇想天外なパフォーマンスで始まりました。僕は「ガラスの30代」という曲しか聞いていなかったし、今回初めてこのバンドを観ました。シシドカフカ、首振りDollsのnaoに続いて3人目のドラムボーカルでした。キーボードにシンセサイザー、エレキギターにドラにドラムセットに何故か高くセッティングされたマイクスタンドと、ステージ上が過密地帯と化していました。keyのユコ~Baのマルガリータと登場しジャムセッション風にスタート。上半身裸でビレッジマンズストアのギイさんと対照的に黒い羽毛の羽織のようなものにアフロのような髪型で入場したゲイリーと。佇まいからしてなんとも言えない存在感。
「MAD MADONNA」「細胞9」「野口、久津川で爆死」という混沌とした楽曲群を披露。初見なのでもはや解読すらできない歌詞を叫びながらとにかく三者三様の立ち振る舞いで音を奏でる3人。如何ともし難い空気とフロアの熱気がQueblickのステージに充満していました。
「ガラスの30代」ではポップな雰囲気にも戻りつつも「パンティー泥棒の唄」という曲ではゲイリーが何度も客に「ぱんてぃーぱんてぃー」と皆言わなかったら次行かない!!と言いながら煽らせまさかのぱんてぃーコールが発生。結果的に僕が生まれて一番この言葉を連呼した日として刻まれることになりました。さらにフロアに何故か降りてきて縦横しながら「俺はぱんてぃーが大好きなんだ...でもぱんてぃーよりも好きなものがある、豚骨ラーメンだ!」と叫びながら演奏に入ったりとそのカオス具合に拍車がかかりまくりのステージ。1曲1曲の中にドラマというかストーリーというか、ステージ上でズボンを抜いでトランクスも脱いで、その下に来ていた赤のブリーフ一枚で演奏するゲイリーと、一筋縄ではいかぬ様々な展開を組み込みながら進んでいく。
ラストはしんみりとした爽やかな雰囲気から始まりつつも最期はやっぱりカオスな展開に至った「サイケな恋人」で終演。
予測がつかない、下手したら置いてけぼり喰らうかもしれない位のステージングでした。
【ビレッジマンズストア】
モーモールルギャバンの如何ともしがたいカオスな熱気に満ちた空気が充満した会場の中ステージに上がったビレッジマンズストア。
あの華やかな赤い衣装で、白い羽を首飾りを纏い登場するとそこは一気によく見たビレッジマンズストアの景色に塗り替えていく。
SE
1.夢の中ではない
2.車上A・RA・SHI
3.トラップ
4.MIZU-BUKKAKE-LONE
5.ユーレイ
6.盗人
7.ビレッジマンズ
8.WENDY
9.ザ・ワールド・イズ・マイン
10.正しい夜明け
11.最後の住人
12.逃げてくあの娘にゃ聴こえない
13.PINK
ENCOLE
14.お試し期間は終わった
15.眠れぬ夜は自分のせい
「名古屋代表ロックンロールバンドビレッジマンズストアですよろしく!!」の何時もの挨拶も交えてギイさんの目の前の状況にワクワクしている、興奮している様子が分かる、そんな煌びやかなステージは、のっけから代表曲「夢の中ではない」でスタート。冒頭から観客を、そして空気を自分達のモノにするような勢いで始まりました。3曲目にして新曲の「トラップ」を早くも投下。今までの彼らの曲にはない掛け合いのコーラス、ハードコアのギグのようなツーバス連打の嵐、そしてマーチ上に変化する中盤と、一曲の中で文字通り様々なトラップが仕掛けられた色んな表情を魅せる変態的な1曲。XXXドロップXXXXXに似ているとの話もあったけど、僕はビレッジがこれまでのライブの中で培ったスキルや力がそのまま凝縮されたように感じて好きかな。しかもゲイリーが「ストラップ」だったのを「トラップ」にしたら?ということで生まれたタイトルであるそう。話を戻すと、そのまま「うちのギターはすげえだろー!!」とフロアにギタリストが下りて弾きまくり、一気に「ユーレイ」まで畳みかけ。ギイさんは笑顔で煽ってはいるけれど、30分のイベントかという位に突っ走るライブは、主催者でありモーモールルギャバンに負けないライブをするんだという姿勢を強く感じました。
「盗人」でじっくり聞かせつつも、MCで「パンティしか浮かばなかった」と思わず笑う場面もありつつ、「ここまでで半分だー!!残り後半戦飛ばしていけるかー!!」の煽りから「ビレッジマンズ」「WENDY」と攻撃再開し、一気にフロアを盛り上げていく。
モーモールルギャバンはその奇想天外で予測不可能な何がおこるか分からないっていうゾクゾク感や緊張感もあったけれど、ビレッジの場合は逆に堂々とストレートに「これが俺たちだ!」とアピールしながらドヤ顔で刀を振り回して暴れていく、そんな威風堂々感がありました。
どちらが良いかというより、お互いが良きライバルであるからこそ、負けたくないという気持ちから全く対照的なステージングそこにあったと思います。
終盤に披露された「正しい夜明け」ではバラードでありながら激しく歌い上げていて、熱気が全く衰えることがない。そこから「最後の住人」へと連なり。この曲は自分が歌い続けて同じ場所にいる中で周りの景色がどんどん変わり、いつのまないか自分が最後の住人になってしまったという寂しさも感じる1曲。でもそこにいるからこそ、逃げずにいたからこそここで俺たちはあんたたちと歌ってるんだぜと逆説的に自分の居場所を確認しているようにも聞こえました。MCでは「TENJIN ONTAQ」に出演が決まったことにも触れ、「たくさんのにわかファンがその日は来るでしょう。でもそこで俺たちとあんたたちで最高なものを作って見せてやりませんかー!!」と叫び、皮肉交じりにさえ感じた「逃げてくあの娘には聴こえない」を演奏。お馴染みの場面では一体となってヘドバンを起こして湧き上がる。ラストは「PINK」で怒涛の如くかけぬけ本編は終了。
アンコールでは別れを惜しむような表情をにじませながらも「お試し期間は終わった」「眠れぬ夜は自分のせい」を演奏し終演。
振り返ってみれば去年のワンマンの頃よりも楽しかったかな。持ち時間1時間の中でオールタイムベストのようなステージだった。
ここまでストレートなロックンロールショーを魅せてくれるバンドはそうそうないと思う。
決して明るいことを歌っている訳じゃないんだけど、とにかく前に前に生きていきたいという熱い気持ちを感じるだよね。
これからも目が離せないです。ありがとう。
逃げてく男になるのか?ならないのか?