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OSTRICH FEATHER BOA

お前の意見は求めん。

キノコホテル実演会<サロン・ド・キノコ~ゲバゲバ大革命>@Voodoo Lounge

2016-10-22 23:55:15 | LIVE

  今月に入ってから行ったことのないライブに行く機会が非常に多いのですが、その先駆けともいえるのが10/2のキノコホテルのライブ。彼女たちはBARKSでビクターからニューアルバム発売みたいな記事を見たのが知ったきっかけで、それまで全く影も形も知りませんでした。で、Voodoo Loungeでライブがあるのもその時に知って、アルバムを一聴してみて、もう独自色満載だったし(流浪ギャンブルが一番はまりました)マリアンヌ様のあのキャラクターや徹底されたコンセプトとルックス。どこにもいないし、真似できない。偏見かもしれませんが世界感に拘るという意味ではビジュアル系とかあの辺りの拘りに通じるものがあると思いました。

 Voodoo Loungeは今年で閉館になるので非常に寂しいです。2010年のどらみどらと去年のモーサム2本でまだ4回しか通ってないライブハウスでしたが、蔦が生い茂ったり木目調のダンスクラブのようなホールの造りになっていてライブハウスの中でもすごく独特なので好きでした。今回のライブは7月に発売されたニューアルバム、「マリアンヌの革命」の発表に伴うもので、きちんと聞き込んできましたが、活動歴が9年目という長いバンドで、過去の曲は全く分からないという状態でした。メガネ男性比率高いなあと。

 暗転と同時に80年代のディスコ風のSEが流れ始め、メンバーが次々に入場。マリアンヌ東雲は客席の合間を塗って登場しました。(余談ですがこの時床に段差があることに気付かずに躓いたけれど誰も気にかけてくれなかった(=気付かなかった)らしく、MCでそのことに憤慨していました)沸き立つフロアに応えるようにアルバムの1曲目の「反逆の季節」の生演奏から開始。
 ルックスに奪われがちですが活動歴が長いだけあってバンドの音が激しく、まとまっていました。「おねだりストレンジ・ラブ」にて本格開始。ニューアルバムの空気感を象徴している1曲で僕に取っては出会いのきっかけの曲から「流浪ギャンブル」へ。この曲は歌詞がマリアンヌの決意表明のような歌で、ニューアルバムで一番好きなのですが、いきなりフルスロットルまで行くかの如く展開で、畳みかけるようにガレージ風の「ばら・ばら」とアップテンポな曲の連打。
 ブレイクを挟んでの「マリリンモンローノーリターン」から「遠雷」「てのひらがえし」「月よ常しえに」とニューアルバムの本髄というべき長尺曲を演奏。ミディアムテンポの曲でしたが、ダレることなく続いていたし集中力も全く途切れませんでした。付け加えると実はずっと注目していたのはベースでした。縁の下で一定のリズムでバンドの音を支えていますが、ギターやドラムに埋もれないほどに主張している音。本当はもっと弾きこなせる筈なのに敢えて一歩下がって支えることに徹している...プレイの中に相当な熟練者だと感じさせる演奏でした。ジュリエッタ霧島。何者なんだ。(と結局ライブが終わって後日色々調べる羽目になりました)
 「てのひらがえし」の前でマリアンヌ嬢はMCやってましたがアルバム買ってない人がいると「なんでいるのよ」と言い、ラジオで福岡に来たのに聞いた人がほとんどいないことを知ると「なんでいるのよ」と怒っていました。
 そのMCからもなんとなく思っていたのですが「革命」という言葉は何処か攻撃性を向けるような印象ですが、これまでに無かった作風だったり、真摯に音楽に向き合って生まれたものをダイレクトに外に向けて解放していくことが彼女にとっての革命なのかなと感じました。凄くセンチメンタルで、繊細で孤独。それがライブで聞いた曲と彼女への感想です。目が凄くキラキラしてたのも印象的です。
 「月よ常しえに」の余韻を残すフェードアウトから一転してアグレッシブなベースプレイのリフレイン。「エロス+独裁」です。冒頭のアップテンポな雰囲気とはまた違った地を這うかのようなダークな雰囲気を纏って「球体関節」「愛はゲバゲバ」「回転レストランの悲劇」と畳み掛けます。ラストは「恋の蟻地獄」「恋はモヤモヤ」「愛と教育」「キノコホテル唱歌」だったと思うんですが、ジュリエッタ霧島があのハスキーボイスでMCで会場が沸き立つのを見るや「なんなのよそのノリは。こんどからアンタ(=ジュリエッタ霧島)喋んなさいよ」と怒っていました。そんな場面もありつつ、マリアンヌ嬢とギターのイザベルケメ鴨川がフロア前まで出てギターソロを寄り添って弾いたり、マリアンヌ嬢もキーボードの上でタイトスカートなのに大股開きで煽りまくるなど、迫真のパフォーマンスを魅せつけて本編が終了しました。

 アンコールでは「赤ノ牢獄」のセッション風な演奏から再開されましたが、その名前にちなんでいるのかマリアンヌ様は赤のド派手なドレスで登場されました。アンコールは「真夜中のエンジェル・ベイビー」のカバーでラストは「キノコノトリコ」で終了。

 濃厚な独演会でした。インタビューで仰っていることですが、曲調にしろ展開にしろニューウェーブ調だったりオルタナだったりプログレだったり何処となくポップだったりと、一つのジャンルに括ることが不可能な、衣装、女王様的なMCも相まってどのジャンルにも属していない「キノコホテル」としての世界がありました。非常におそらくアルバム毎にライブの空気感も変わってくるようなバンドじゃないでしょうか。次が見たい..そんな時間でした。


DIR EN GREY TOUR16-17 FROM DEPRESSION TO_[mode of DUM SPIRO SPERO]@京都KBS HALL

2016-10-15 21:39:11 | LIVE

 オフィシャルサイトでこのFROM DEPERESSION TO_のDUM SPIRO SPEROが発表された時、費用がかさむことを理由に遠出をするつもりはありませんでした。ただ、もしこのツアーでDUM SPIRO SPEROを見る機会があるなら、京都だろうとは思っていました。日程的な問題と、もう1つはDSSのアートワークが和洋折衷の仏像だし、あの緑を基調としたアートワークだったりで漠然とあの雰囲気に一番似合う土地といったら京都だと感じてたからです。実を言うと遠征しだしたツアーはこのDSSが最初で、AGE QUOD AGIS、IN SITU、TABULA RASAと鹿児島や神戸にも行ってきた思い入れの強いアルバムです。でもGHOULは大分が台風で行けず、武道館も行けなかったので、消化不良感が残ってはいたんですけど、このアルバムのツアーなんてもうないだろうし仕方ないなんて割り切っていました。だからその時のことを思い出して、改めて考えてみたら、今しか見れないもの、もう一生見ることは無い、聞くこともない曲もあるだろうし、人間いつ死ぬか分からないからと考えが変わっていきました。やっぱDIR EN GREYは僕の中で特別なので。そしてどうせなら2days行こうと思い、京都に行くことになりました。
 大阪のsukekiyoの時はカプセルホテルを利用しましたが自分にはあの環境は無理だなと感じて、いくつか探している内にかなりお得なパックツアーを発見し、DECAYSの時よりもはるかに安い値段で遠距離の京都まで手配をすることができました。京都駅に降りたときのコンコースの高さに感動しました。ああこれがガメラとイリスが戦った場所かなんて思いながら見上げつつ、すぐさま市電に乗り込むとなんと外人が5:5位の割合で埋め尽くしていて流石観光都市と思いつつ、ホテルが近くにある伏見稲荷大社へ行きました。結局山も全部上って一周して帰ってきましたが、山全体を取り囲む鳥居の数には圧巻すると同時に聖域のような、本当に目に見えない何かが住んでいるような、そんな崇高さを感じました。2日目にはチェックアウトした足で三十三間堂と晴明神社に行ってきました。三十三間堂も圧巻でした。伏見稲荷とはまた違った神聖さというか...。そして晴明神社は町の中に普通に溶け込んでいました。「あ、こんなとこか」という感じで、思っていたよりもずっとおしとやかな建物でした。こういった文化や観光名所と近代建築の建物があちらこちらに混在しているのが京都という町で、年がら年中こういう賑わいを見せている土地なんだろうという印象です。まあ僕はやっぱ福岡ですけどね。
 会場のKBSホールも10年位前から知ってますが実際に見てみるとこっちも「あ、こんなとこか」という感じで、かなり築年が古いんだろうと。そこにオフィシャルにも載っていたツアーのイメージスチールが置かれていて、庶民的な放送局と、拘りまくりのバンドのグッズ等等、そのミスマッチ感が新鮮でしたし、入場整列はするものの、スタッフが入り口前で番号を呼び、次々に入場していくという福岡ではあり得ないスタイルで入場規制をしていたのも驚きでした。中に入ってみるとBLUE LIVE広島を大きくしたようなイベントスペース的な造りになっていました。会場のどこからでもステージを見える。音作りも非常にやり易そうでした。
 
9/16
SE:狂骨の鳴り
1.THE BLOSSOMING BEELZEBUB(Symphonic ver.)
2.DIFFERENT SENSE
3.LOTUS(Symphonic ver.)
4.Behind a vacant image
5.Midwife
6.蜜と唾(Symphonic ver.)
7.DIABOLOS
8.流転の塔
9.「欲巣にDREAMBOX」あるいは成熟の理念と冷たい雨
10.Unraveling
11.獣慾
12.DECAYED CROW

ENCOLE
13.VANITAS
14.新曲
15.詩踏み
16.Un deux
17.激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇

9/17
SE
1.LOTUS(Symphonic ver.)
2.DIFFERENT SENSE
3.AMON(Symphonic ver.)
4.Cause of ficklness
5.Phenomenon
6.滴る朦朧
7.蜜と唾(Symphonic ver.)
8.DIABOLOS
9.THE BLOSSOMING BEELZEBUB(Symphonic ver.)
10.Unraveling
11.流転の塔(Symphonic ver.)
12.暁

ENCOLE
13.VANITAS
14.新曲
15.詩踏み
16.Sustain the untruth
17.激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇

 初日は懐かしの「狂骨の鳴り」でIN SITUとAGE QUAD AGISの映像を合体させて再編集したバージョンになっていて、それだけでも懐かしさがこみ上げてきましたが、ARCHEの時の軍服(上半身裸)と帽子で顔と上半身に包帯を巻き巻きにした京氏が登場した時は衝撃でした。
 予想通りの「THE BLOSSOMING BEELZEBUB」からの開演。しかもシンフォニックバージョン。固定カメラから映し出させる京氏の姿は、90年代ごろのアンダーグラウンドなパンクスのイメージを感じもしましたが、終戦後に傷だらけの体に包帯を巻きつけたようなイメージや、DSSが震災の時の痛みを引きずっているアルバムだから、その時の痛みみたいなものをまた自分に刻み込もうと、背負っているような印象を受けもしました。アルバム通り「DIFFERENT SENSE」へ繋がり、ブレイクを挟んでの「LOTUS」と続いていきますが、「LOTUS」は何度聞いても個人的に名曲ですね。シンフォニックバージョンだと旋律やメロディの美しさが更に際立って聞こえます。確実に当時よりも今の方が声が京氏は出ていてハイトーンな部分も難なく歌い上げていました。ここから「Behind a vacant image」「Midwife」とARCHEの曲が連続して披露されていきますが、2曲の複雑多彩な部分が、DSSというアルバムにも通じているように感じました。
 INWARD SCREAMから当然やるだろうと思っていた「蜜と唾」もシンフォニックバージョンでの演奏。イントロ部分のピアノとストリングスの演奏が悲壮感を煽り、画面に映し出される迫ってくる歌詞も向きがコロコロ変わって迫ってきたりする等変更が加えられていました。懐かしすぎて堪らない。そしてこの後に演奏された「DIABOLOS」。レーザービームも飛び出し、ひたすら人間の業や浅ましさと苦悩する自分自身の姿をステージにさらけ出すかのようなパフォーマンスに、「さあ、人間を辞めろ!!」と絶叫する京氏。この曲がライブの中核的な存在としてグッときました。
 「「欲巣にDREAMBOX」あるいは成熟の理念と冷たい雨」~正直「Unraveling」の選曲は意外でしたが、DSSのアルバムの流れを汲んでるのでセットリストに組み込まれてても違和感は無かったです。「獣慾」「DECAYED CROW」と畳み掛けましたが、この辺りはDSSの中でも激しい曲のオンパレード、AGAのツアーを彷彿とさせる流れで、まさか本編が終わると思いませんでしたね。それ位、もったいぶっているようなセットリストでした。
 アンコールはVANITASでしたが、IN SITUの時に一度聞いたきりだったので純粋に生で聞けたことが嬉しかったです。本当に良い曲やなと思う。その流れをぶった切るように始まった新曲。シャウトメインで次々に構成が切り替わるようなメタル的な感じの曲でしたが未完成の恐らくタイトルすら決まっていない新曲。終わり方もよくわからないまま気が付けば「詩踏み」へ繋がっていました。ラストは、「Un deux」「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」の大合唱で終了。個人的にメンバーもファンも流れについていくのに精いっぱいだったかな?って感じで盛り上がっていたかと思うとそこは正直...な感想でした。京氏も案の定、すぐに帰っちゃったし。

 そんな消化不良感を残したまま迎えた2日目。SEは当然「狂骨の鳴り」と思っていた予想を裏切って「バイオハザード7」みたいな退廃した映像が流れる「狂骨の鳴り」よりもずっと暗い印象のSEでした。京氏は打って変わって黒いタイの着いたシャツで、Toshiyaはなぜか目の周囲を真っ黒にしていました。
 前日の重苦しい「THE BLOSSOMING BEELZEBUB」と変わって、救いを求めるような「LOTUS」から始まりました。「DIFFERENT SENSE」「AMON」とアルバム収録順に演奏していきましたが、曲調が全く違うこともあって、何か解放していくように、スッとライブの空気の中に入り込めることが出来ました。「Cause of ficklness」の爆発めいた演奏で盛り上がり、そこから「Phenomenon」「滴る朦朧」と曲を重ねるに連れダークな雰囲気を醸し出す流れになり、「蜜と唾」「DIABOLOS」「THE BLOSSOMING BEELZEBUB」とDSSの核心的な楽曲を演奏。聞かせる系の曲が続いているのですが、流れが完璧なうえにその圧倒的な情報量が故にのめり込んでしまい、退屈さとは無縁でした。その世界観を広げていくような演出や表現は、むしろ今の彼らに近い表現方法にも感じました。
 「Unraveling」でライブ感を取り戻したと思いきや、面白かったのはここから何と「流転の塔」のシンフォニックバージョンが演奏されたこと。さらに一気に救いを求めるかの如く「暁」が演奏され終了するという、これまで見たことのない斬新なセットリストで本編が終了しました。
 アンコールは3曲目まで前日と同じでしたが、敢えて同じ曲順にしたような気もしますね。でも前日よりも反応がよく新曲にも観客がしっかり答えていたので、その後の「詩踏み」では京氏が「かかってこい!」と激しく煽り、「Sustain the untruth」ではステージ上を右往左往している等ライブを楽しんでいるように見えました。そのままラストは「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」の大合唱で終了。

 振り返ると、ARCHEとDSSの混同というよりは、DSSという世界をしっかりと表現することに重きが置かれていたと思います。初日は割とこれまでのDSSの流れに準じた形で、完成されたものを呈示したような印象でしたが、逆に新しい挑戦という意味では、2日目の方がその向きが強かったと思います。流転の塔から暁なんて、当時の彼らには斬新すぎてできなかったし、たぶん、その世界に体が入らなかったと思う。シンフォニックバージョンで結構演奏されていたので、今の自分たちがやりたいことを貪欲に詰め込んでいってた気もします。挑むよりも体に染みついたものをどう刺激的に出していくかというところに。
 だからこそ、これ以上DSSの曲をやることがあっても、DSSそのものに焦点を充てる機会もないだろうと思います。DSSに限らず、否が応でもこれから先のツアーの中で、自分たちの歩んできた軌跡を見つめなおしながら、自分たちがそこにはもういないということを実感していくんじゃないでしょうか。おそらくそれは見に来てる側にも言えることで、DEPRESSIONというのは僕はDIR EN GREYの軌跡であり、どう見えるかが分からないからこそ_という言葉で表していると。その道のりを見つめながら、また一つ新しい先の未来を描いていけたらなんて思っています。次は11月、故郷福岡で。
 


INORAN TOUR2016-Thank you- @福岡DRUM Be-1

2016-10-10 01:05:26 | LIVE

 バックドロップシンデレラの翌日はINORANの1年ぶりとなるワンマンライブを見にDRUM Be-1へ。最近思うのがこのブログはもはや福岡地方公演について執筆しているアマチュアのライター的性質のものになっているのではないかということです。まあ、それはどうでも良いんですけど、とにかくINORANです。
正直むちゃくちゃ毎回リピートして聞くという音楽でも無いんですけど、それでもこの方のライブに行きたくなるのは、あの場所でしか味わえない何かがあるからなんです。僕の中ではそれは感動であり、愛みたなものだと思っています。後ロックのライブで音楽そのものを聞き込んで堪能するなんてライブはINORAN位だから。毎回ぼっちで行くんですけど、年齢層の高い方々も結構いて会場の中にはホーム感が溢れていました。

1.Thank you
2.Get feeling
3.might never see,might never reach
4.Awaking Myself
5.Let It Out
6.Because of you
7.Tell me
8.some way
9.Wherever I go
10.Come Away With Me
~楽器隊Session~
11.Beautiful Now
12.One Big Blue
13.Rightaway
14.grace and glory
15.Get Laid
16.All We Are

 Beautiful Nowの延長線上、また旅を回りたいという思いで作られた「Thank you」。そういう意味では今回のツアーはBeaitiful Now Again 2とも呼べるし、雰囲気的にはBeautiful Nowの頃のライブにも通じる空気を感じました。アルバムとして完成度で行くと前作はじっくりと作り込んでいったと思うんですが、今回のアルバムはインスト曲も結構入っているし、完成度とかいうより今の自分に純粋に向き合ってその中から生み落とされたものを形にしていったような印象がありました。Beautiful Nowをリリースして後ライブで重ねていった中で生まれた想いをThank youという言葉と共に歌にして返したかった、そんな前アルバムへのアンサー的な...兄弟作みたいなイメージを。
 ライブそのものは前回以上にアグレッシブだったし、金髪にしていることにも通じる様に、INORANのテンションが高かったし、一つ一つの楽曲の浸透力みたいなものがこれまでで一番激しかったです。体全体を使って揺さぶるシンプルながら序盤の「Thank you」から広がりを見せるバンドサウンド、村田さんにしろUZOにしろRYOさんにしろ各々のプレイスタイルが確立されてて演奏が凄く安定してました。「might never see,might never reach」では一転してスリリングに躍動させつつ、「Awaking Myself」の上へ向かっていく解放感、「Let It Out」では轟音を生み出し、「Because of you」ではコーラス部分での声の小ささに「福岡元気ないなー!!」等と話す場面も。結構、歓声は凄かったと思うけど、まだまだ物足りない位すごいものを求めていました。以前は「Home」が担っていたインストルメンタルのパートで演奏された「Come Away With Me」でさえも、奏でる音の一つ一つに感情を注入しているような姿が伝わってきました。
前日の熊本がソールドでかつ内容的にもあまりに感動して号泣してしまったとの話があったので、客席に期待してしまう部分が強く出てきてるのかなと。もっともっと盛り上がりたい、もっと一つになりたい、もっと良いライブがしたい、そんな内側から溢れる思いを実際強く伝えていました。俺、こんなにINORANがストレートに言う人だと思ってなくて、正直感動したし、カッコいいなこの人って思いました。
 楽器隊セッションでは村田さんが「俺を無事に東京に帰らせてくれ!!」みたいな熱いMCをかましていたのを覚えています。そこからの「Beautiful Now」を経て「One Big Blue」「Rightaway」「grace and glory」「Get Laid」まで途切れることなく畳み掛け。バンドの音も安定感の中に攻撃性が剥き出しに迫ってくる荒々しさが付加されていて凄かったです。INORANも「ようやく福岡らしくなってきたな!」との言葉。「Get Laid」では男と女で歌わせる部分があったのですが、2:8位の割合で男が少なかったのですが、それでも「男すごく胸に響いた!人数が少なくても負けてないってことが証明されたな!!」と言ってくれました。
 「Get Laid」の後余りの盛り上がりのためか最前線から一人スタッフによって運び出される女性がいる場面もありました。どうも脱水なのか眩暈なのかそういった状態になってしまっていたようです。この間も特に動じることなく「みんな仲間だから」と言って演奏を始めようとせず、女性が無事にステージ後方で落ち着くまで見守っていました。そしてほかの客席の皆さんにも水を配るという気配りまでしていました。うん、カッコいい。
 最後の最期は前回同様「All We Are」の一体感の中、前回来たときにも感じた音の洪水に包み込まれたような極上の時間の中、終演を迎えました。

 シンプルながら純粋な想いを包み隠さず音に乗せた音楽のように、INORAN自身も凄く何かから開放されているように感じました。だから凄く客席とのコミュニケーションを取ることが楽しそうだし、何時も笑って話してくれる。やっぱりあそこでしか味わえない感動があるなって感じたことは良かったんですけど、INORANの中で今回の福岡公演は消化不良気味だったかもしれないので、次何年先か分かりませんけどまた福岡でライブがある時には元気ないじゃんって言われないようにもっと気持ちを素直にぶつけていきたい、そんなライブでした。


バックドロップシンデレラ "ワンマンでウンザウンザを踊る~初福岡ワンマンやってみよう公演~" @福岡Queblick

2016-10-08 15:41:37 | LIVE

 8月のギターウルフのライブから約1か月後、9/10にQueblickでのバックドロップシンデレラのワンマンに行ってきました。
このライブは正式には『バックドロップシンデレラ2ndライブDVD「渋谷でウンザウンザを踊った」レコ発ワンマンツアー 「ワンマンでウンザウンザを踊る〜初福岡ワンマンやってみよう公演〜」』といういささか長ったらしいタイトルであります。ファミマで発見した時に文字が物凄く小さく印刷されたいたので二度見したのを覚えています。そんなところがこのバンドっぽいなと思った次第です。3月にはONTAQで、6月にも対バンでBe-1に来ていたようですが、前者は仕事と重なり、後者は対バンの相手が全くライブに行きたい面子ではなかったので見送りました。当日も実は朝から夕方まで仕事だったんですけど、打ち上げという名の半ば業務に付き合わされそうだったのを断固拒否してそのまま会場へ行ってきました。
彼らのライブは1月に打首獄門同好会のWリリースパーティを見た後以来で、以前と同じ会場だったけれど、タイトルに掲げられている通り10年のキャリアで初めての福岡でのワンマンがこの日だったという貴重なものです。少し会場の中がただの盛り上がりではなく緊張感に満ちているような気がしたのは、きっとお客さんも初っていうところでどうなるか分からない焦燥感や期待感の表れだったのかなと。

 開演時刻を少しすぎた頃SEもなく普通に入場した楽器隊。アンプを鳴らした後にペリーさんの「およげたいやきくん」の引き語り前説から開始。このバンドはこの始まり方が一般的なようですね。そのままでんでけさんが入場後、いきなりダイブをかましながら「歌わなきゃジャクソン」で演奏スタート。「さらば青春のパンク」「台湾フォーチュン」など、ライブDVDに収録されている楽曲を中心に、自分が全く知らない初期の曲も組み込まれつつ展開していきました。対バンだと客席をかっさらっていくので必殺曲のオンパレードもアリですけど、ワンマンの場合はもっと自分たちの世界をふんだんに魅せていきたいだろうし、見たいですよね。でんでけさんは地元が長崎ということもあり、九州でワンマンできることが嬉しいらしく終始笑顔でピョコピョコ跳ねまくっていました。ただペリーさん曰く「でんでけは長崎の佐世保が地元だけど友達がいなくて一度もライブができていない」とのことでした。と言っても本人は「ここにいる皆が友達になってくれるよね!」と意に介していませんでした。あとワンマンすることになったのが、「ONTAQの演奏会場を半分入れれていたら、キューブリックの会場でワンマンの箱を抑えておく」というライブハウスの会社の社長からの提案を、実現するはずがないと思い「良いですよ」と適当に答えてしまったところ、蓋を開けてみると半分以上埋まってしまい、その日の内に今日のワンマンを抑えられてしまったとかなんとか、そんなMCが前半は多かったです。多いっていうのも、バンドもお客さんも初ワンマンということで、お互い緊張し過ぎていた部分があったように感じたんですよね、序盤の空気感が。自分がそうだったからってだけかもしれないけど(笑)盛り上がってない訳じゃないんだけど、以前見たときのような剥き出しで迫ってくる予測できない危うさみたいなものが薄かった気がして。ペリーさんって風情はあんなですけど、凄く繊細な人なんじゃないかと僕は勝手に思っているので...だから、序盤7曲目くらいだったかな?初期の曲でコーラスする部分があったんですけど、あまりに観客が歌わなさすぎて思わずペリーさんが演奏をいったん中断して、「これまで福岡でやってこなかった俺たちが悪い!」などと仕切りなおすなど、東名阪ではあり得ないだろうなっていう場面もありました。
それでも中盤のバラードのような曲から「市長復活」「よのっしーがやってくる」と曲順が進むにつれ、だんだんとバンドの雰囲気が高まってきて、「後半戦いくぞー!!」の煽りからの「夕暮れにウンザウンザを踊る」「COOLです」「亡霊とウンザウンザを踊る」「激情とウンザウンザを踊る」の怒涛の畳み掛けでやっと本髄が発揮されたようなライブの展開になっていきました。客席がヘドバンやらモッシュやらと荒々しくなっていくにつれ、メンバーのパフォーマンスも躍動していきます。「だんご3兄弟」ではサークルピットが発生し、「池袋とウンザウンザを踊る」ではあの小さなライブハウスの中にウォールオブデスが発生しもうフロアがぐちゃぐちゃになっていき、そのバーストな状態のまま終盤まで突き進んでいきました。どこのラウドパークなのかと。そう、一見コミカルなサウンドや言葉並びで軽快な印象を与えられつつライブではもう何でもありなのがこのバンドのライブ。だから自分は好きなんだと。でんでけさんは天井のパイプに逆上がりするなど盛り上がりを奇怪なパフォーマンスで表す場面も飛び出しながら、最後は「月明りウンザウンザを踊る」の大合唱で締めくくられました。ちなみに終始前から2列目くらいにいたんですけど、何故か挙げてた拳をでんでけさんが握り返してくれました。

アンコールでは「ベルリントロンボーン」でスタートし、「池袋のマニア化を防がNIGHT」ではまたまたモッシュが発生しまくる荒れた展開を食らわして終了。それでも鳴りやまないダブルアンコールで登場してくれたメンバーは最後の最期に「俺がやってくる」を演奏し終了しました。

 福岡でのワンマン、多分もう、ああいう景色やノリは味わえないと感じるくらいの独特な時間でした。このバンドは単純に演奏するだけでなくて、見た目以上に自分たちの個の部分、唯一無二さにこだわっているので、そういうカリスマ性な部分が僕は好きです。メンバーは翌日には北海道に立つというとんでもないスケジュールをこなしていったようです。振り返ると後で発表された「BESTです」の収録曲と結構被っていたこともあって、BESTですツアーの前哨戦で、かつ現時点でのBESTなバックドロップシンデレラを堪能することができたのではないかと今振り返ってみて思います。11/27にまた同じ会場でライブしてくれるとのなので、またどうバンドが変化しているのか、を楽しみに待っていたいと思います。
でんでけさん、友達連れてこれるといいですね...