goo blog サービス終了のお知らせ 

Peace of Mind を求めて…

悲しいことがあっても、必ず新しい朝は来るのですよね

『神童』(監督:萩生田宏治)

2007-04-21 23:09:44 | 映画・テレビ

娘2人を連れてシネマクレールへ『神童』を観にいきました。この映画のチラシの2人が凛としていて素敵なので、心に響いてくるストーリー、きっと音楽的にも高水準のものが見られるのではないか…(今年もコンクールに出場するのに全然練習しない怠け者の娘Sの刺激にもなるのではないか…)等々、いろんな期待を膨らませて勇んででかけました。

主人公うた役の成海璃子さん…神童といわれながら、学校では体育の球技は見学、いつも手袋を着用し、手が冷えるからと家ではお皿を洗うことも禁止されている…(母親は娘のピアノにすべてをかけている)…そんな生活に鬱屈した思春期の女の子を可憐な佇まいで演じている…

でも、でも…結論から言うと、私には最後までうたが「神童」には見えなかった。。。(ゴメン!)

ピアノが大好きなのに才能に乏しい音大浪人生ワオ(松山ケンイチ)の最後の音大受験の日、自信を失くしたワオの両手をうたが包み込むように握り力を与え、ワオに生涯最高の名演奏をさせる…あのワオの演奏場面は迫力があって素晴らしかった!!

でも、うたが神童であることを示す大事な演奏場面が後半まで少なくて、うたが普通の女の子にしか見えないのです…実際弾かなくてもいいから、ワオの受験のときの演奏場面のように、迫力ある(吹き替え)場面をもっと入れてほしかった。。。

後半のハプニングも、「のだめカンタービレ」のノリなら許されても、この映画ではありえない展開だろ~!!と首をかしげたくなったし…

そもそも、うたとワオ(松山ケンイチ)がどうして心を通わせるようになっていったのか…そのあたりの描写が少なくて説得力に欠けているし…

う~ん、期待が大きかった分、ちょっと残念!

私にとってはイマイチだったけれど、娘Sは帰り道、「泣けたわ~。なんかメッチャやる気が出てきたわ~」とのたまっていた。(いつも口だけなので、あまり期待していない!)

娘2人から、母親役の手塚理美さんと私が「めっちゃ雰囲気似とる~」とも言われた。(たしかに髪型は似ていた…)
昔はアイドル系だったけど、いろいろ苦労もされて今じゃすっかりお母さん役が板についてきた手塚さん、先日観た『狼少女』でも健気なお母さん役を熱演されていました。似ているということは喜んでいいのかな~?????

最後、何十台もの中古ピアノが眠る倉庫の中で、うたとワオが2人でこの映画のテーマ曲を連弾するシーンは心洗われる美しさでした!(癒し系の透き通るようなメロディーです。娘2人と口ずさみながら帰りました!)

2人が音を共有しながら、心から楽しそうに理解し合う最後のシーン…このシーンの美しさだけですべてが許されるのかもしれません。


 

 


東京スカパラダイスオーケストラ『SMILE』(監督:牧野耕一)

2007-04-01 23:51:56 | 映画・テレビ

2週間ほど前、娘Sが「なあなあ、お母さん、この曲カッコイイと思わん(思わない)~?」と言って、携帯電話に録音した曲を聴かせてくれました。

それはエレクトーンを習っている私の母(74才)が演奏する、東京スカパラダイスオーケストラの名曲「追憶のライラック」でした。母は特にこの曲が好きで弾いているわけでもなかったようですが、今習っている曲なので、娘に聞かせてくれたようです。

それからのSは毎日しつこいくらいこの曲(母が演奏しているものだから、ところどころ間違えているのですが…)を聞くので、家族みんな、いつのまにかこの曲が頭から離れなくなり、好きになってしまいました。東京スカパラダイスオーケストラいいなぁ~ということになり、TSUTAYAでCDを借りてきて、家族で朝晩聞くようになった今日この頃…。

なんとタイムリーなことに、彼らの半年に渡る国内外のツアーを追いかけたドキュメンタリー映画が、昨日からシネマクレールで上映されていることを知り、夕食の後片付けを早々にすませ、いそいそと21時からの最終上映に出かけました。

観客は私を含めて4人(女は私だけ!)。でも、ほんと、ハッピーな映画だったわ~!
フランス、ドイツ、スペイン、スイス、ベルギー、オランダ、ベトナム、そして日本…どこへ行っても歌い、踊り、叫ぶ熱狂的な観客たちと一体となった彼らのライブのカッコよさ!!!
私も、にぎやかな音楽は正直今まで「苦手!」だったのですが、彼らの音楽は(映画全編を通じて彼らのライブ音楽が流れていましたが…)耳に心地よくて、いつまでも聴いていたい!っていう気分でした。

メンバーは全員、日本人離れした(「世界人」とでもいいましょうか!?)ルックスに身のこなし!! 粋で男気があり、日本という狭い枠の中から完全に飛び出して、世界を自分たちの手中に納めている!! どんな外国の街を歩いていても、その景色の中に溶け込んでいて、旅行者という浮いた感じが全くない!(ホラ、日本人が海外旅行に行くと、街の中で浮き上がって目立ってしまうでしょ!)もともとそこに住んでいる人のように、自然にその街になじんでいるのですよ! ほんとに不思議です!

彼らの、サービス精神旺盛で自由奔放なライブも素敵!
さっぱりしているのに、さりげない思いやりでつながっている仲間関係も素敵!
自分たちが演奏を思いっきり楽しみ、その楽しい気持ちが観客をも包み込み、ハッピーにしてしまうことの素晴らしさ! 
…なんて幸せな人たちなんでしょう!!

こんな、日本が世界に誇れるグループのことを、今まで知らなかったなんて…

彼らにも、苦しみ、悲しみ、怒り、メンバー内でのいさかいもきっとあるのだろうけれど、この映画の中ではそれは描かれていません。とにかく最高にハッピーでカッコイイ彼らの心意気を心ゆくまで堪能できる作品に仕上げられています。

いつまでも元気に活躍を続けて欲しいグループですね!


『バッテリー』(監督:滝田洋二郎)

2007-03-21 23:30:32 | 映画・テレビ

今日は朝一番にお墓参りに行った後、娘Tと岡山メルパへ『バッテリー』を観にいきました。

原作は岡山出身のあさのあつこさん、物語の舞台も岡山、撮影も岡山…ということで、どこか知ってる場所でも映るかしら…くらいの軽い気持ちで観にいったのですが、これが予想をはるかに上回る素晴らしい作品で、観終わった後も、すがすがしくてさわやかな余韻が長く残り、もう一度観に行きたい~と手帳とにらめっこしているところです!

この作品くらい登場人物のキャラクターと役者さんがピッタリ合っている作品はないのではないかと思うくらい、主役の2人を含むすべての俳優さんたちが役にはまりすぎるくらいはまっていて、そのへんのセンスの良さも抜群ですね!(とても中学生には見えない相手チームの選手も登場しますが、まっ、雰囲気出してましたから○)

とにかく主役の2人、原田巧役の林遣都くんと永倉豪役の山田健太くんが、もう~本当に素晴らしいのです!! 林遣都くんはクオーターっぽい日本人離れした涼やかな眼差しに孤独感と繊細さを漂わせ、山田健太くんはさわやかで人懐っこくて、観る人すべてをほっとさせてくれるような明るい笑顔をふりまき…この2人のバッテリーは最高ですよ~ この2人をオーディションで選んだ時点でこの作品は成功を約束されたんじゃないでしょうか…?(2人共映画初出演で滝田監督には相当しごかれたみたいですけれど…)

映画初出演でこれだけ微妙な心の変化を表現し、観客を惹きつけて魅了した2人はすごいです! 2人の才能を引き出した滝田監督の手腕も素晴らしいです!

まだ平成19年は始まって間がないですけれど、今年のいろんな映画の賞レースでこの2人は主演男優賞とか助演男優賞とか新人賞とか総なめにするのではないでしょうか!!??(私の予想!)

映画としての作品自体も素敵だったのですが、いやぁ~私はこの作品で、これほど才能にあふれた、このさわやかな2人に出会えたことが一番うれしい!! この子たち、これからどんどん人気でるよ~きっと! 若い女の子たち、それにオバサンだってほっとかないよ~!! ハンカチ王子どころじゃないよ~!!!

…と巧と豪にメロメロになってしまった私なのでした!(今回は作品の感想は略!


森達也 映画上映会&講演

2007-03-11 23:43:32 | 映画・テレビ

先日『いのちの食べ方』という本を読んで以来、気になっていた著者:森達也さんが、今日は映画監督として岡山に来てくださいました。

岡山に住む20~30代の若者が「岡山に森達也氏を呼ぶ会」を立ち上げ、今日のイベントを企画してくださったらしい…(ありがとう!)
会場(岡山三丁目劇場)は幅広い年齢層のお客でほぼ埋まり、20代の若い観客も多く、活気のある楽しい会になりました。

プログラムは
10:30~『A』  上映 (135分)
13:00~『A2』 上映 (126分)
15:30~森監督講演  (90分)
17:30~『放送禁止歌』 上映 (53分) とても充実したプログラムですよね!

私は朝から出かけ、『A』『A2』を観、森監督の講演まで参加してきました。
会場にBGMとして流れていた「自衛隊に入ろう」「私たちの望むものは」「チューリップのアップリケ」(これを聞くと泣いちゃうよ~!)等の放送禁止歌(?)が胸に響き、最後まで観て帰りたかったのですが、夫に頼んできたとはいえ、やっぱりインフルエンザの娘が気になって…

でも『A』と『A2』を続けて観たら、森監督の世界にどっぷりつかり、講演もとても興味深くてあっという間に時間が過ぎてしまったのですが、会場を出るころには自分の中にあまりに多くのものを一度に詰め込んでしまったので、ヘトヘトになっていました(笑)!

 『A』はオウム真理教の広報担当者・荒木浩に密着取材したドキュメンタリーなのですが、弱冠28歳の、弱々しい、育ちの良いお坊ちゃまタイプの荒木氏が、攻撃的で、無礼なテレビ局の取材陣たちを相手に決して怒らず、しなやかにスルリとすり抜けるように応対していくのです。
 オウムの起こした事件とはずっとタイムリーに接してきましたが、今から思えばその情報はいつも外側から、オウム信者たちを理解不可能な不気味な集団として捉えており、その未知の世界に対する恐怖感を煽り立てるような記事や映像ばかりでした。
 しかし、この作品に登場する信者たちはみんな真摯で穏やかで、つつましく禁欲的な生活を送っているんですね…非常識で攻撃的なテレビ局のクルーの方がよっぽど理不尽な連中に思えてしまいます。(オウムの味方じゃないんですけど…)取材陣の中ではNHKのクルーが一番良識的でしたね。NHKの女性記者の、信者に寄り添うような取材姿勢には心打たれました。(NHKの味方でもないですけど…)

 ひたすら修行に励み、禁欲的な生活をしている信者たちが、なぜあの凶悪な数々の恐ろしい事件を起こした、薄汚い俗物としか思えない麻原をあがめるのか、なぜ教団として正式に社会に対して謝罪をしないのか…このことが一番の疑問点だったのですが、荒木氏は「罪を認めると、オウムを全否定してしまうことになる。それは自分にはできない」というようなことを言葉少なに語っていました。28歳の広報部長には重すぎる責務なのかもしれません…。

 『A』の中で一番衝撃的なシーンはやはり「転び公妨」でしょう!
警察が、どうしても相手を逮捕したい時、その本人の前で自分から率先して転び、「公務執行妨害!」と叫んで逮捕するという方法です。
『A』の中では公安警察の人が信者に道の真ん中で因縁を着け言い合いになり、逃げようとした信者に乗りかかり、そのまま押し倒してしまうのです。頭を打ち付けた信者は起き上がれない状態なのに「公務執行妨害!」と言われてパトカーに押し込まれてしまうのです!

 鴻上尚史さんの『ドン☆キホーテの休日7』(扶桑社)の中でも『A』のこのシーンについて書いておられますが、私もこのシーンにはショックを受けました。 
「えぇ~!!???、こんなことが公然と行われていいの~??」「こりゃ、どうみても警察が悪いだろ~!!」
 でも、もっと衝撃なのは、なぜ警察がこの明らかに不当な逮捕場面の撮影を停めようとしなかったのか、ということでした。
 警察はマスコミを「不当逮捕を見逃す存在として認識していたから、彼らは撮られることを意に介さなかったのだ。」(森監督の『A』撮影日誌より)
…警察にもマスコミにも、オウムのような恐怖集団に対しては、どんな不当なことをしても許される…あいつらは人間として扱う必要はない…という暗黙の了解があったということでしょう…
 あの当時の自分を振り返ると、教団に対する怒りや恐怖から、この考え方に加担していなかったかといわれれば否定はできません…恐ろしいです。

 『A2』では、日本各地で起こったオウム信者の排斥運動を中心に、信者と地域住民、右翼団体、サリンの被害者・河野義行さんたちとの対話が描かれています。

 日本各地の教団道場が地域住民の攻撃の的になり、はちまきをしたデモ集団の「出て行け」シュプレヒコールやヒステリックな住民集会が次々と登場します。数々の手作りのオウム排斥スローガンを掲げた看板も映し出されます。
 …当時はそれ(追い出すこと)が当然だと思っていたし、住民の方々にとっては大真面目で真剣な言動だったのでしょうが、今から映像で観返すと、妙に笑えてしまうのはなぜでしょう…??

 こわ~い右翼の方たちが集団でデモ行進しているのもちょっと微笑ましかったりして…右翼の方たちにも彼ら独自の主張があって、「出て行け~!」ではまた場所を変えて存続し続けるから、「解散せよ」「賠償せよ」「謝罪しろ」とデモで叫んでおられました。一理ありますよね!

 信者を監視するために監視テントを建て、見張りを続けていた住民たちが、いつのまにか信者と仲良くなり、理解しあい、最後には双方が協力してテントを撤去するという、マスコミでは絶対に流されない情景も映し出されました。監視テントが地域住民の交流の場になっていて、信者が出て行くのを名残惜しそうにみんなで見送っているのです。
 信者を1人の人間として捉える視点は、最近読んだ村上春樹の『約束された場所で』の中でも貫かれていて、相手を知るという行為で理解が深まれば、無知や恐怖感から生まれる憎悪のようなものは消えていくのだと思います…

 ただ、松本サリン事件の被害者・河野義行さんのところへ教団の村岡代表と幹部らが面会に行ったときの彼らの態度には腹が立った!。言葉に尽くせない苦しみを被った河野さんに対して、きちんと謝罪しに行ったのかと思えば、河野さんの面前でヘラヘラと笑いながら雑談する代表ら…!
 「笑いながら話すことじゃないだろー!!」「何するつもりで来たんだよー!!」
 「ちゃんと謝罪文ぐらい用意してこいよー!!」
と怒りが込み上げましたよ。まったく!!

 森監督の講演は、「あるある大辞典」の番組捏造の話から始まり、オウム事件後、不安と恐怖を抱えた国民が、安心したいために外に敵を作ろうとすること(北朝鮮・オウム等、恐怖を煽る番組を作ると視聴率が上がるのだそうです)、映像と音がファシズムを誕生させたこと等、とても興味深いものでした。
 国民全体が、視点が画一的な、わかりやすく白黒ハッキリしたものを求めるようになってきていることは過去の歴史を振り返ると危険な感じがします。
 
 でも今日の催しに20~30代と思われる若者が大勢参加していたことが救いですね… 
講演の後の質疑応答も、若者たちがどんどん手を挙げ、肩肘はらない天然~っていう拍子抜けするような質問が多かったのですが、結構楽しく聞けました。

 休憩時間に森監督のサイン会があって、私は2番目に勇んで並んでいたのに、実際目の前に監督が現れると、何もしゃべれず、「とてもよかったです…」と言うだけで精一杯でした。(小学生の作文かよ~!!) でもとても充実した1日だったのでした!

 


最近観たDVD

2007-02-18 23:26:31 | 映画・テレビ
★『13階段』(監督:長澤雅彦)

反町隆史さんが感情を抑えて実直で寡黙な服役囚を演じていて、いつもと違った雰囲気で新鮮でした!

誤って人を殺し服役中の三上純一(反町隆史)は、仮釈放中に、刑務主任の南郷(山崎努)と一緒に、ある死刑囚の冤罪を晴らすための調査に携わることになる…殺人を犯した自分がこんな仕事を請け負う資格があるのかと苦悩しながら…

また南郷も仕事とはいえ、死刑執行という殺人を犯したことで罪の意識を抱え込んでいる…(死刑執行の状況がリアルに再現されていて衝撃でした!…死刑囚を演じた宮迫博之さん、「蛇いちご」の演技もよかったけれど、ここでも観客に深い印象を残す名演でした!)

調査を進めていくうちに、意外な事実が次々と明らかになっていき…
一気に推理とサスペンスの世界に引き込まれていきます…

でも小説を読んでいない私は、正直???の部分も多かったのが事実です。
なぜ、調査の依頼人は真犯人を捜し出そうとしたのか…?これが一番大きな疑問でした。私が何か見逃したり、聞き逃したりしたのかもしれませんが…
最後に無理やり話を救いのある方向へ持っていこうとするのも、ちょっと安易すぎたかな?…

長澤監督の作品は『青空のゆくえ』と『ココニイルコト』が大好きですが、この作品のような推理ものも撮られていたのですね!次回作も期待してます!

★『好きだ、』(監督:石川寛)
 石川監督の作品は何年か前に『tokyo.sora』を観ました。東京の空の下で暮らす6人の女の子たちを本当に自然な雰囲気の中で撮影したドキュメンタリーのような、演技をしているというより、風景の中に自然と溶け込んで存在しているような、そんな不思議な映画でした。(実際この映画には脚本がなかったらしい…)
 女の子たち(ピュアな輝きを秘めた素敵な女優さんばかりでした)をきれいに撮ろう!という意図は全く感じなくて、照明が暗かったり、遠かったりで良く見えなかったりするのだけれど、なぜかその映像に魅かれ、いつもは買わないFILM BOOK(1,314円)を購入して、作品の余韻に浸ったのを思い出しました。

 『好きだ、』にも『tokyo.sora』のときに感じた不思議な雰囲気が漂っていました。

17歳のユウ(宮あおい)とヨースケ(瑛太)…放課後川辺で自作曲を下手なギターで爪弾くヨースケ、そのそばにはいつもユウの姿があった…
2人の繊細で切ない感情表現が胸に迫ります。言葉を交わさない2人がうつむき、お互い見つめあうこともなく、何かを言いかけては沈黙し、ただただ時間が過ぎてゆく…
並んで立つ2人の肩がちょっとだけ触れ合いそうで触れ合わない…
微妙な距離を保ったままの微妙な間…

そしてついに意を決してユウがヨースケへの思いを行動に移したのに…
なのに…なのに…黙って立ち去っていくヨースケ…

受け止めてもらえなかったユウの思いに心が痛くなったシーンでした…

この作品の中で素敵な女優さんに出会いました。
ユウの姉役の小山田サユリさん!…ピュアで儚くて、ガラス細工のように繊細で壊れやすい…透き通るような白さ…美しいです!!

そして不幸な事件が起き…
ユウのヨースケへの最後の言葉…「(曲が)全部できたら聞かせてね」…

そのまま17年が過ぎてしまいます。

34歳になったユウ(永作博美)とヨースケ(西島秀俊)…音楽関係の仕事に就いていたヨースケは、あるオーディションで偶然ユウに再会する。

少ないセリフ…ささやくように、つぶやくように話す2人…
暗い照明の中で、2人の過ぎ去った17年間が静かにつながろうとするけれど…もどかしい思い…
17年の空白を埋めることは2人にとってたやすくはない…

しかし、ここで予想外の事件が!!
17年前に交わした約束を思い出し、ユウのもとへと急ぐヨースケだったのに!!
どうなるの?えっこれで悲しい終わりがくるんじゃないよね??
それじゃ、あんまりだよね!? 違うよね!?
思わず胸がドキドキ…

でも…よかったよ~!! この事件がきっかけで、ユウはやっとヨースケへの思いを言葉に出せるのです!!

「好きよ」でも「好きなの」でもない、ぶっきらぼうな一言が…
ヨースケも今度ははっきりとユウの思いを受け止めるのです…!!

繊細で、切なくて、優しくて…この作品、『好きだ、』!!(てへ☆)




『海でのはなし』(監督:大宮エリー)

2007-02-02 00:08:23 | 映画・テレビ
今日は2月1日=映画感謝デーですね!入場料が1000円になる日です☆

夕食後、家族の許可を得て、20時45分からの映画を観にシネマクレールへ…

宮あおい+西島秀俊という素敵な組み合わせ!それ以外、何も予備知識を持たずに出かけました。

近年女優として目ざましい活躍を続けているあおいちゃん!それに、繊細で澄んだ雰囲気をかもし出す西島秀俊さん、否が応でも期待が高まります!

しか~し!…最初の30分が過ぎたころから。。。「う~む、ちょっと…。。。」

せっかく2人が繊細な会話をしているのに、スピッツの歌う曲が大音響でかぶさり、会話がよく聞き取れません!それに、その場面にふさわしいとはとても思えない選曲ですよ~!

この監督はよほどスピッツの曲がお好きなんだろうな~とは思いましたが(この後も何度も同じように場違いな感じで曲が流れます…)、スピッツの曲に全く興味の無い(すんません!)私にとってはまさに「ごーもん」でした~

せっかく魅力的な俳優さん2人を使っているのに全然生かしきれてなくて…もったいないですねぇ…ストーリーも中途半端だったし。。。

明日はTSUTAYAで借りている『好きだ、』(これもあおいちゃんと西島さんが出演してるので…)を観るぞ~!!と少々欲求不満に陥ってしまった今日の私です。

『めぐみ』(監督:クリス・シェリダン、パティ・キム)

2007-01-14 23:46:24 | 映画・テレビ
今日は朝早くから子ども会の廃品回収で駆け回り、廃品回収後は3月のお別れ遠足の打ち合わせ会議…それから娘Tのプールの迎え、昼食の支度…と続き、気がついたらもう2時近くになっていました。

昨日も1日出勤したので、雑用ばかりで休日が終わってしまうのがなんだか空しくて、頑張って映画を観にいくことにしました。

アメリカのジャーナリスト夫妻が監督した映画『めぐみ』…


私の中でこの映画はどうしても観にいかなくちゃいけないという気持ちがずっとあって、いつ行こうかと毎日、シネマクレールのタイムスケジュール表とにらめっこしていました。娘にもみせておきたいと思い、一緒に行こうと誘ってみたけれど、2人共用事があって結局、私1人で出かけました。

館内は50代を超えていると思われる年配の方ばかりで、私が最年少(たぶん?…)って感じでした。もっと若い人たちにも大勢観て欲しい作品だったのですが…。

作品はエスニックな太鼓の響きにのり、横田めぐみさんが拉致された事件を関係者の証言によって進めていきます…。日本人にとって、ここ数年に起きた北朝鮮との拉致問題の展開は、記憶に新しいので格別目新しい内容ではなかったけれど、ひとつ、私にとってとても衝撃的だったのは、めぐみさんの歌う美しい声を聴いたことでした…!!小学校の卒業式でめぐみさんの所属していた合唱団がシューマンの「流浪の民」を歌うのですが、その中のソロのパートをめぐみさんが歌っていたのです!…それは、のびやかで情感にあふれた、とても小学生とは思えない心揺すられる美しい歌声でした!…今まで写真でしか見たことの無かっためぐみさんが、確かにそこに実在していたのだという事実を、改めて認識させられた思いでした。

子どもを抱いた、若かりし頃の横田夫妻の柔らかな笑顔がとても美しい…
でも、めぐみさんを救い出すまでは死ねない!と世界を股にかけ、信念を貫いて行動する現在の横田夫妻の面持ちはもっと美しく気高い!

最後に、めぐみさんの遺骨鑑定の結果については問題点が指摘されていることがテロップで流れていました。日本では帝京大の鑑定結果(遺骨はニセモノ)が大々的に新聞・テレビで流されましたが、世界の専門家の間では、鑑定すること自体が不可能だというのです。なぜかこの問題点については、ニセモノ報道ほど一般に知らされなかったような気がします。(確か「アエラ」に掲載されていた記事は読んだ覚えがあるのですが…)このへんは、何か政治的なことがからんでいるのでしょうか…?

映画ではジェンキンスさん、その娘さんたちの日本への帰国についても触れられていませんでした。これも政治的なからみがあったのか、ただ単に時間的な区切りからだったのか…

それにしても、めぐみさんが拉致されてから30年、拉致が判明してからも長らくこの問題を日本政府が取り上げなかったことに愕然とします…「娘を返せー!息子を返せー!!バカヤロー!!!」と私も一緒に政府に向かって叫びたくなりましたよ!!街頭で署名運動、ビラ配りをする夫妻に対する道行く人々の反応もとても冷たく、見ていてこちらがつらくなるくらいでした…(現在は人々の認識が変化してきているとは思うのですが…)

この映画は大泣きするような映画ではなく、観終わった後「自分はこれからどうすればいいのか…」「今、自分に何ができるのだろうか…」と深く考えさせられる作品でした。(私にはこの作品の内容、この作品を観て考えたことを家族や友人に伝えていくことしかできない…たぶん)

帰宅して家族の顔を見てなぜかホッとし、あたり前のように家族が一緒に暮らすことのできる幸せを感謝したくなりました…。

『明日へのチケット』(監督:エルマンノ・オルミ,アッバス・キアロスタミ,ケン・ローチ)

2007-01-07 23:23:35 | 映画・テレビ
今日は朝から吹雪でした!
あったかい岡山では雪が降るなんて1年に1度か2度のことなので、ひょえ~すごいぞ~っとうれしいような困ったような…出勤日じゃなくてよかった!…っていうのが正直な感想かな?(交通網が完全にマヒしますからね、自分の車のタイヤにチェーンもつけたことない私ですから…)

そんな中、用心しいしいノロノロ運転で、シネマクレールまで「明日へのチケット」を観に行きました。

エルマンノ・オルミ、アッバス・キアロスタミ、ケン・ローチの3人の監督がローマへ向かう列車内を舞台に、それぞれのストーリーをつなげていく形で1つの作品を仕上げています。
 
 第1話…孫が生き甲斐の老教授が、顧問を務める企業の美しい女性秘書に心惹かれ、列車で一緒になったインド人の少女の後姿に、ピアノを弾くロングヘアーの初恋の少女の面影を重ね合わせる…年老いてもう忘れ去っていたであろう「ときめき」を呼び覚まされ、とまどい、たゆたう思い…
 その一方で、席に座れず立ったままの、幼い子どもを連れたアルバニア人難民家族が、いかにも冷酷無比!といった風貌の軍人にやっかいもの扱いされていて…
 勇気を振り絞って老教授が示した善意を、固唾を呑んで見守っている乗客たちの目は温かい…冷酷と思われた軍人さえも、カーテンに顔を隠すことで老教授の行動を黙認している…

 第2話…とにかくこのオバサンの傲慢で厚顔無恥な言動はすさまじいです!またその顔をアップで撮る監督のいじわるさ!…自分の切符は2等席なのに、堂々と空いていた1等席に居座り、その席の正規の切符を持った紳士がやって来ても、ここは自分の席だ!と屁理屈をわめきたてて譲らず、とうとう車掌に個室を用意させてしまうのです!兵役義務の一環でこの、将軍の未亡人のお供をしている青年も、下僕のように扱われることに耐え切れず、堪忍袋の緒が切れて、オバサンを置いて列車内で姿をくらましてしまいます。
 目的地に到着しても姿を現さない青年、重い荷物と共にホームに取り残されるオバサンの心細そうな顔…自業自得とはいえ、ちょっと気の毒なような…いやいや、こういうオバサンは結構図太く、たくましく生き抜いていくのです!多分心配は無用でしょう!
 それにしても、イタリア人男性って女性に優しいですね~!自分の1等席をオバサンにとられそうになった紳士2人組と青年との会話で「あの年になると女性は手に負えないな」「あんな風にしたのは男に責任があるな」「女性は若くても大変ですよ」…っていうやりとりがあります。(正確な文言は忘れましたが、そういう内容の会話でした)あれだけ屁理屈を並べ立てられたら、怒りの言葉の一つや二つオバサンに浴びせかけてもいいようなものを、「男の責任」みたいに言って流してくれるイタリア男性陣の懐の広さにちょっとほれぼれしてしまいました。

 第3話…スコットランドからやって来たセルティックサポーターの若者3人組とアルバニア人家族とがからむ話。
 スコットランド訛りのきつい英語で下品な言葉(英会話学校じゃ絶対使うなと言われる)を連発する下層階級の、脳天気で単純で間抜けな3人組! 自分の嫌いな具が入った残り物のサンドイッチをアルバニア人家族に差し出すところなんぞ、ヘタをすれば偽善的で鼻につく行動なのだが、この、あまりにも田舎者で、悪意の無い若者たちを見ていると、なぜか憎めない。
 3人組の1人のキップが失くなり、所持金もない…という絶体絶命のピンチに陥ったときの、3人の掛け合い漫才のような強烈な汚い英語の応酬は、なんとも秀逸でしたね!(笑えました!)そしてアッと驚く意外な結末へと登りつめていきます!
 道義的にみればちょっと…全面的に諸手を挙げて賛成とはいかないのでしょうけど、まっ、この情に厚いおとぼけ3人組の心意気に免じて許しちゃいましょうか~!
 列車内の様々な人種、国籍、言語が混ざり合った、あの独特の雰囲気もどこかなつかしい…(イタリア訛りの英語はわかりやすいね!)…20代のころ、「地球の歩き方」(またの名を「地球の迷い方」)片手に、1等車両乗り放題のユーレイルパスでヨーロッパの国境を越えながら貧乏旅行したっけなぁ~!列車内の子ども達に折り紙で折った鶴をあげて仲良くなったり(常套手段!)、知り合いになったフランス人のお宅に招かれたり…そんな昔の記憶を呼び覚ましてくれた作品でもありました。
 映画が終わってとてもすがすがしい気持ちで外に出たら、外はすっかり晴れてお日様が出ていました

冬休みに観たDVD

2007-01-06 23:52:02 | 映画・テレビ
大掃除や家族の食事の世話をしている間に冬休みも終わってしまいました。
1日中、苦虫を噛み潰したような顔をしてうつむいている夫と対峙していると、こちらにもかなり伝染してきて、暗~い気持ちになってくるので、癒し系…と思われるDVDを借りてきて3本ほど観ました。

★『アイ・マイ・ミー・マイン』(監督:渡辺賢一)
  主演の思いつめた表情の女の子…どこかで観たよな~どこだったかなぁ~とずっと考えていてやっと途中で思い出しました。大好きな映画「青空のゆくえ」で主人公の男の子の男女の枠を超えた親友役(男勝りで、オレとオマエの仲じゃねぇか~!ってひざげりする女の子!)で出ていた悠城早矢ちゃんだ~!全然タイプの違う役柄だけど、本当はこんなに繊細で可愛らしい役も似合う女の子だったんですね☆…「火垂」「血と骨」では体当たりの演技で魅せてくれた中村優子さんが、可笑しな劇団で女優を目指す姉役で出ているのも意外でおもしろかった!…私も1度でいいから、思いっきり腹が立つ相手に「ブタヤロー!!」って発してみたい!(問題発言m(_ _)m )

★『A DAY IN THE LIFE』(監督:浅野晋康)

以前付き合っていた彼女がエイズで死んだ!…突然降りかかってきた恐怖、虚脱感、希望の持てない人生…。公共広告機構の「カレシの元カノの元カレを知っていますか?(だったっけ?)」っていう新聞広告を思い出しましたよ! それでも気のいい友人達とガソリンスタンドで働きながら生活し、素敵な彼女とも出会う…最後はちょっと安易すぎるんじゃあないか~??…と思ったけれどね!
 主役の斉藤陽一郎さん、この人もどこかで観たよな~と考えていて、あっ思い出した!「ユリイカ」で宮崎あおいちゃんの従兄役で出ていたっけ!
『アイ・マイ・ミー・マイン』も『A DAY IN THE LIFE』も山形国際ムービーフェスティバルに出品された作品らしい…こういうインディーズ(自主制作)映画って新鮮な気持ちになれて、私はとてもとても好きです

★『ニライカナイからの手紙』(監督:熊澤尚人)

沖縄の竹富島の美しい景色と心優しい島の人たち…その空気の中にすっきりとなじんで情感豊かな演技を見せてくれる蒼井優ちゃん!相変わらずうまい!
…寡黙で、ときには厳しい言動もあるけれど、じっと何かに耐えながら孫娘を見守っているおじい、平良進さん(「ちゅらさん」のおばあ、平良とみさんのだんな様だ~!)…心魅かれる役者さんたちと現地の素人の方々との演技の落差がちょっと気になりながら、微笑ましくもある…
 風希(優ちゃん)に思いを寄せる幼なじみの男の子役、金井勇太くんもよかった!「おれはいつだって風希の味方だからな!」って言葉、素敵だった!そんなふうに言い切ってくれる、心の支えになってくれる人が私にもいてくれたらなぁ。。。
 南果歩さん演じる母親が朗読する手紙と、優ちゃんが読んでいる(映し出される)その手紙の文面が微妙に違っている…最後、母親が娘にあてて手紙を書いているシーン(感動が最高潮に達する場面なのですが)の描写がちょっと長くてしつこい…(もっとサラッと流しても充分じんわりときたと思う)等々気になるところもあったのですが、良質の癒し系作品でした!


『間宮兄弟』と『タイヨウのうた』

2006-12-17 23:57:50 | 映画・テレビ

先週観た映画(DVD)2本です。

★『間宮兄弟』(監督:森田芳光)
 30歳を過ぎても2人仲良く穏やかに暮らす兄弟を、佐々木蔵之介とドランクドラゴンの塚城武雄がなんとも楽しそうに演じている。小学生のまま大人になったような2人の純な演技はかわいくもあったけれど、商店街で「ジャンケンポン!」や2人枕を並べてのお昼ね等々…ちょっとひいてしまう場面も… ほのぼのとした癒し系の作品ではありました。

森田監督、また「刑法第三十九条」のような作品を撮ってくれないかな~!「模倣犯」はちょと中居くんに遠慮してましたもんね…

★『タイヨウのうた』(監督:小泉徳宏)    ネタバレあり!  純粋に感動しました!!
XP(色素性乾皮症)という難病(太陽光を浴びると皮膚ガンを発症する)を抱え、昼夜逆転した生活を送る女の子、薫をシンガーソングライターのYUIさんが映画初出演で演じているのですが、はかなげでピュアな容姿と、まっすぐで正統な声がこの映画にピッタリで、まさにハマリ役でした!!YUIさんの魅力満載の映画ですね!

毎朝、自分の部屋の窓から1人の高校生の男の子、孝治(塚本高史)の様子をじっと見つめている薫…サーフィンが大好きな孝治は仲間と一緒に毎朝始業前、海へと向かうのだ…(バス停を動かすエピソードがとてもかわいいし、笑える)

薫の唯一の女友達が、高校での孝治の様子をビデオに写してきて一緒に観るシーンも楽しい。(薫は学校へ通ったことがない…という心痛む現実も含まれているのだけれど…)ここで描かれている孝治は、屈託が無く、物事を深く考えることもない軽薄な高校生で、まさに「バカで下品」な男の子!

そんな孝治と薫が夜の街を初めてデートする場面はとても印象深い。ギターを抱え、ネオンの下で歌う薫のシンガーソングライターとしての才能を目の当たりにした孝治…薫に魅かれていく孝治の表情が初々しい!

薫の病気のことを認識してからの孝治は、「バカで下品」とは対極に位置する一途な男の子に変貌する。(塚本高史さんもだんだん演技が魅力的になっていきます…)薫の歌をCDにする費用を貯めるため、宝物のサーフィンボードを売り、アルバイトに没頭し…男友達と無邪気にじゃれ合っていた孝治が、真摯でひたむきなまなざしで薫に寄り添い、ときには冗談を言って心を通わせる…

しかし、そんな幸せなひとときも長くは続かない… ギターを奏でる薫の指が、無情にも動かなくなってくる… 「私の声、聞こえてる?」「ギターは弾けなくなっても、私、歌うから!」…薫が孝治になげかける痛切な声の響き…やりきれない無念さで胸がいっぱいになるシーンです。

そしてついにレコーディング! 力を振り絞って、ちょっと苦しそうな表情で歌う薫の録音終了時の穏やかな笑顔…

病気が進行し、車いすに乗るようになった薫が、サーフィンをする孝治と過ごす海辺のシーンも秀逸でした!… あんなにいやがっていた、宇宙服のような紫外線防御服を着た薫…(背中に熱を逃がすためのファンが3つもついていて、若い女の子がこんな服を着ていること自体、痛々しくてつらい…)

海辺で波と戯れる、幸せそうな家族を横目で見た父親(岸谷五朗さん)が、娘に対する不憫さに耐えきれず、投げやりになって、「もう、めんどくさいから脱いじゃおうか、脱いじゃえ!!」と思わず口に出してしまう!

それに対して毅然と答える薫の言葉が胸を打ちます!
「いやだよ。そんなことしたら死んじゃうじゃん」
「私、死ぬまで生きるって決めたんだよ」
「生きて生きて生きまくるんだから!」

そしてサーフィンをする孝治のところまで、不自由になった足をひきずりながら歩いていくのです… 「あっ!」とよろめいて倒れそうになる薫を見て、必死でかけより受けとめようとかがみ込んだ孝治に
「な~んちゃって! ひっかかった!」 と、おちょくる薫…

このへんの切ない描写はものすごくうまいな~と感動してしまいました!今、この記事を書きながらも、この場面を思い出し、YUIさんのちょっとぶっきらぼうな声が耳によみがえってきて涙がこぼれてしまいます…

悲しい結末を迎えることになるのですが、薫の残したCDがラジオから流れてくるラストは救いがあり、前向きな気持ちを呼び起こし、すがすがしい余韻に浸ることができました…

 素敵な映画でした!


岡山映像祭 2006

2006-12-02 23:56:08 | 映画・テレビ
岡山市デジタルミュージアムで開催されている「岡山映像祭 2006」に行って来ました。

今日は娘Tのレッスンがあったのですが、どうしても映像祭に行きたくて、代わりに母に行ってもらいました。(お母さん、ありがとう!)

12月2、3日の2日間開催されていて、今日の上映作品は12作品!
5分に満たない短い作品から2時間近い大作までデジタルなものからアナログなものまでいろんなジャンルの作品が上映されています。

今日は12作品中10作品を鑑賞しました。以下、心に残った作品です。
★『キチガイの一日』(監督:山本明子)38分
 精神病と共に生きる吉沢毅さんの日常を追ったドキュメンタリータッチの作品。自分の病気のことをこれだけ理解して語れるのはすごい!…自作の歌をギターで弾き語りしたり、冗談をとばしたり…病気を受け入れて泰然と生きている…
 でも心の病をもつ夫の姿とどうしても重なってしまい、まだ受け入れる境地にまで至っていない私には少しつらかった…

★『ウミヒトデゴース戸 ビデオクリップ集』(監督:井出豊)6分30秒
 小学校6年生くらいのかわいらしい女の子が歌う姿を、スナップ写真でも撮るように優しいまなざしで追っている。ホントにこの女の子かわいいわ~

★『浮き雲の記録』(監督:河村雄大)3分37秒
 様々な場所でカメラを設置し、長時間撮影した雲の動きを早送りしている。ものすごいスピードで雲がいろんな形や模様を作りながら流れていく映像は圧巻でした!

★『メトロノームのある日常』(監督:福井泉)4分45秒
 廃校になった小学校のようなところで、メトロノームに合せてトロンボーンを演奏する若い女性(ステキ!)、その印象的なメロディーとメトロノームのカチッカチッという規則的な音が最初から最後まで流れ、どこかなつかしいちょっと田舎の風景が写真集でもめくるように次から次に現れ…その風景の中に溶け込んだメトロノームが鳴り続ける…品のいいセンスの良さが感じられ、好きになった作品。

★『討ち入りだヨ!全員集合』(監督:小川亮輔)9分
 ドリフターズを意識したコント風忠臣蔵ですね!やくざの世界を舞台にしていてギャグもおもしろいし、大石内蔵助のボケぶりには笑いました!役者さんたちもうまかった!

★『EACH TIME』(監督:小川亮輔)6分
 上の作品と同じ監督作品とは思えないくらい趣の異なる作品…廃校になる小学校で開かれる同窓会に1日遅れでやってきた青年…そこへ同じように現れる若い女性…でも2人はお互いの姿を認識しないでいる…幻想的なシーンに心惹かれました。

★『秋桜』(監督:安井祥二)43分
 娘が安井監督の映画にエキストラ出演したことを以前書きましたが、その安井監督が大学の卒業制作で撮った作品です。一体どんな作品を撮られているのか楽しみにしてきました…
 ガラス職人の和俊と看護婦の恭子…和俊がプロポーズしようと心に決めたその日、恭子は交通事故で帰らぬ人となる…抜け殻のようになってしまった和俊の前に恭子の友人と名乗る女性・奈緒が現れ、和俊をある秘密の場所へと連れ出そうとする…恭子の心臓を移植された奈緒を通して、恭子が和俊に見せたかったものは……
 もう涙ボロボロです!! お互いを大切に思うみずみずしい優しさにあふれていて、大泣きしてしまいましたよ~!役者さんたちも素人っぽく、へたをすれば恥ずかしくて見ていられない作品になったかもしれないのに、その素人っぽさが逆に純粋で美しい!!こんなに心を動かされたのは、やっぱり安井監督の力ですね!

『秋桜』の後に現在制作中の『海より上 屋上より下』のCMも上映されました。あーあのときの場面だー!わ~みんな映ってる~!(娘も一瞬だけ映りました!)バックに流れる音楽も素敵だわ~♪と感動して眺めました!

上映後に挨拶をされた安井監督と休憩時間にお話したのですが、開口一番「よかったですよ~」と言ったとたん、感動の続きで涙がこぼれてきてしまい、安井監督を動揺させてしまいました!(スンマセン!)

突然のおばさんの涙に気が動転した(?)安井監督、なんと控え室からさっき映したCMのDVDを持ってきてプレゼントしてくれましたよ~!うれし~ありがとう~!!
『海より上 屋上より下』は来年の5月3・4・5・6日に天神山文化プラザで上映されます!
みんな~観にいこうね~!!!

『トゥルー・ストーリー』(監督:アボルファズル・ジャリリ)

2006-11-25 23:31:35 | 映画・テレビ

先日観たジャリリ監督の『ぼくは歩いてゆく』が結構よかったので、同じ監督の撮った『トゥルー・ストーリー』を借りてきた。ネタバレあり~!

「時計の息子」という新作を撮ろうと、主演の少年をあちこち捜し回っている監督とスタッフ…そんなある日、ジャリリ監督は立ち寄ったパン屋で主役にピッタリの少年を見つけ、スカウトする。

しかし、その15歳の少年サマドは6歳のとき、一緒に遊んでいた友達に油をかけられた上に火をつけられ、足に大やけどを負っており、癌の疑いもあるとわかる。このままでは命にかかわると宣告され、迷った末、監督は新作の撮影を中止してサマドの治療に専念し、その過程を撮影していくことを決意する。

サマドと彼を取り巻く人々との一つ一つのシーンが印象的だ…

盲目のシンセサイザー奏者の奏でるもの悲しい音色を聴きながら、涙をぬぐうサマド…
このイラン独特の(?)、西洋音楽からすれば不協和音とも称されそうな悲哀のこもった旋律は、彼に今までの過酷な人生(学校へも通えず、ひどい火傷でひきつり、骨の変形した足の痛みに耐えながら、生きるためにこれまで11種類もの職を転々としている…)を思い出させたのではないか…そして演奏している盲目の青年の心の内奥を思い、こちらも感無量になる…

真っ黒なチャドルに身を包み、悲しげで諦念の混じったうつろな目をカメラに向けるサマドの母親…早くに夫を亡くし、子ども達に十分な保護を与えてやれないつらさ、サマドの足を治療してやることができなかった無念さのこもったまなざし…。

サマドの初恋(?)の場面がとても微笑ましい…
ある日監督に、同い年の一人の女の子を映画に出演させてほしいと頼み込むサマド
TVに出演したサマドを見て話しかけてきて、仲良くなったらしい。
つれてきていいよと許可をもらい、照れながら少女を迎えに行くサマド
それまで、思い詰めた表情しか見られなかったサマドが初めて子どもらしい笑顔を見せる!!…少女と話した後、うきうきして思わず飛び跳ねてうれしさを表現するサマド(あのぉ~足は~…??)

手術の撮影をいったんは承諾したが、医師会の手前、自己宣伝ととられるのを気にして拒否しようとする医師…監督の熱意のこもった説得により、顔は映さないと約束し、手術に立ち会うことを承諾する。

手術の日、レポーター(?)の女性が「彼らが(サマドのために)一生懸命なのは、彼(サマド)のため?それとも映画のため?」…と核心をついた質問をするのだが、母親は「足が治るのならどちらでもいい」「感謝している」…ということを言葉少なに語る。その母親が、息子の手術が成功したと聞いたとき、初めて微かな控えめな笑みを浮かべる…

実際の手術の場面も撮影されている。火傷でただれた足が映る…皮膚を切開している場面が映る…そしてまたも、唐突なラスト!!

サマドが元気になったことが告げられるが、それでおしまいでよいのか…と観客は監督から鋭い問いを突きつけられる!

ジャリリ監督、新しい分野の映画(ドキュメンタリーとフィクションの境目を最大限曖昧にした?)を開拓したと言えるのではないだろうか…


『ぼくは歩いてゆく』(監督:アボルファズル・ジャリリ)

2006-11-12 23:50:33 | 映画・テレビ

久しぶりにイラン映画を観た。

今までに観たイラン映画といえば、マジット・マジディ監督の「運動靴と赤い金魚」「太陽は、ぼくの瞳」「少女の髪どめ」、アッバス・キアロスタミ監督の「友だちのうちはどこ?」…それから昔々ロンドンに住んでいたころに観た「The Runner」という作品!!この「The Runner」にはものすごく感動して続けて3回観に行った記憶がある。

私の観たイラン映画はどれも子どもが主人公で、貧しくてもたくましく、一生懸命に生きている姿が胸を打つ作品ばかり…実際にはもっといろんな種類のイラン映画があるのだろうけれど…

昨日観た「ぼくは歩いてゆく」も、やはり9才の少年がたくましく生き抜いていく話だ。日本で9才といえば「男の子」と普通言ってしまうけれど、この映画の主人公ファルハードは9才にしてもうりっぱな青年の趣がある。麻薬中毒で無職の両親に代わり、働いて稼がなければならないのだから、いつも何かを思いつめているような真剣な目をしていて、笑顔など全く見られない。

登場人物は、少年だけでなく両親、近所の人々までもが自分自身を演じており、時折監督自身が出演者にインタビューする場面が挿入され、ドキュメンタリーかと思わされる。

親の不手際で戸籍がなく、身分証を持たないファルハードは学校にもいけず、仕事にもなかなかつけない。日本では戸籍とか身分証といったものをこれほどまでに意識して日々生活してはいないように思うが、イランではこの身分証が非常に重要で、就職には身分証が絶対的な価値を持っているし、身分証で「アフガン人ではない」ということを証明しなければ雇ってもらえない…これって「アフガン人」は絶対雇わないという差別…「少女の髪どめ」では、イランにいるアフガン難民の過酷な現実が描かれていたのを思い出した…

就職に必要だからとタイプライターを借りてきて息子が懸命に勉強していたのに、麻薬代欲しさにタイプライターを売り飛ばしてしまう父親…禁断症状に苦しんでいる父親のために麻薬を買いにいかせる母親…また、幼なじみの14才の女の子は、貧しさから学校をやめさせられ、仕事先のボスと結婚させられてしまう…

子どもを保護すべき親たちが親としての責任も義務も果たしていない!
そればかりか子ども達の前向きな向上心さえも打ち砕いてしまう!!…タイプライターを売り飛ばされて泣きじゃくるファルハード…嫌だと言っているのに無理矢理麻薬を買いにいかされるその後ろ姿に胸がしくしく痛む…

でも両親をうらんだり、自分の身の上を嘆いたりする言動は一切無く、ただひたすらにもくもくと早足で何かを求めて歩いていくファルハード…

ラストシーンも唐突で救いのない終わり方だ…あとは観客の皆さんでどうするか考えて くださいよってな感じで終わってしまうのだ…

主人公の少年はこの映画出演がきっかけとなって戸籍と身分証を手に入れ、学校に通えるようになり、両親も麻薬更生施設を出て社会復帰を果たしたらしい…

それだけでも救いではあるが、世界中のファルハードと同じような境遇の子ども達に幸せが訪れるよう願わずにはいられない。

 


『サヨナラCOLOR』(監督:竹中直人)

2006-11-08 00:26:41 | 映画・テレビ

久しぶりに原田知世ちゃんの姿を見ることができました。

「時をかける少女」で初々しさ全開だった知世ちゃんも、もうすぐ39才…でも相変わらず可憐で清潔なイメージが健在で…素敵に年齢を重ねていて、終始いいなぁ~きれいだなぁ~…とうっとりしながら観てました。ペタンコ靴にソックスはいてサマになる39才は知世ちゃんだけでしょう☆…

(私のカラオケの18番はず~っと長い間ユーミンが作曲して知世ちゃんが歌っていた「時をかける少女」でした!)

「時をかける少女」以降は「早春物語」「満月」くらいしか観ていません。(「紙屋悦子の青春」も見逃してしまった!)…あんなに素敵なのに出演作品にはあまり恵まれていなかったような気がします…(私が観ていないだけかな??)

ヒロイン未知子(原田知世)を高校時代からずっと思い続けている医師・正平役の竹中直人さん…
いつもながらとても濃い演技です。残念ながら私は竹中直人さんのあの必要以上にテンションの高い演技が苦手です。「シコふんじゃった」も「Shall we ダンス?」も「ウォーターボーイズ」も「のだめカンタービレ」も…竹中直人さんが出てくると、その場面だけが異様に浮き上がってしまうような気がしてちょっとひいてしまいます。(「無能な人」「東京日和」は趣の違う映画でよかったような気がするけど…)

でもそれだからこそ、あのしつこさがあったから、子宮ガンに侵され、恋人にも裏切られ、何か一途に信じられるものを求めていた未知子の心に深く入り込めたのでしょうか…?

 中島みゆき(外科医)、内田光良(同僚の医師)の演技はなかなかおもしろかったし、映画のところどころにコラージュのようにちりばめられた、入院患者たちのさりげないシーン…(今時の音楽に疎い私なので、名前はサッパリわからなかったのですが、いろんなミュージシャンの人たちが出演されてたらしい…)気持ちよく好感が持てましたね!

それにしても、原田知世ちゃんのさわやかな姿に再会し、改めていいなぁ~と思ったのに…「紙屋悦子の青春」を見逃したのが本当に惜しまれます~!!

昔の出演作を借りてきて観てみよう~っと

 


『かもめ食堂』(監督:荻上直子)

2006-10-28 01:56:57 | 映画・テレビ

心地よくて癒される素敵な映画でした…

フィンランドに、おにぎりやしょうが焼きやシャケの塩焼きを出す食堂???…なんとなく違和感があるのだけれど、映画を観始めると小林聡美さんの凛とした、いさぎよい佇まいに惹きつけられ、うんうん、フィンランドにこんな不思議な空間が存在していてもいいよなぁ~という気持ちになりました。

「フィンランド」といえば、アキ・カウリスマキ監督の映画くらいしか思いつかない私ですが、(「過去のない男」のマルッキィ・ペルトラさんが怪しげな元コーヒー店主役で出演していましたよ~!!…おにぎりをみんなで食べて店を出た後、服にくっついていたご飯粒をつまんで口にいれるシーンが微笑ましかった!)…映画の中に出てくるイス、テーブル、キッチンツール、照明器具…どれもシンプルでステキ!…もたいまさこさんがフィンランドのお店で買ってきた洋服の原色絵柄の生地のおしゃれなこと!!…あんなに地味~に見えたまさこさんがとってもキュートで明るく魅力的な女性に変身してました!

映画の中では「かもめ食堂」に来るお客さんたちに小林聡美さんが何度も何度もお水やコーヒーやシナモンロールをサーブするシーンがあるのだけれど、その身のこなしがなんとも美しく完璧なんですね!…おにぎりを握る手つきやシャケやお肉を焼く箸さばきも…フィンランド語の発音までもとても美しい!!!

夫である三谷幸喜氏は奥さんである小林聡美さんのことを努力家で潔癖主義と評しています。奥さんと海外旅行に出かけると、英語が達者で度胸も愛嬌もあって外国人と堂々と渡り合える奥さんの陰でいつも萎縮し、ブルーな気持ちになって帰って来るのだとエッセーに書いておられ、笑ってしまいました。さもありなん!

両親の介護に20年を費やし、その両親の死でやっと足かせがとれた…とフィンランドへやって来たまさこさん…(お父さんのオムツを替えていたときにテレビで見たフィンランドのエアーギター大会がきっかけらしい…)悩みを抱えているフィンランドのおばさんのぐちを黙ってきいてあげ、そっと寄り添い、共感してあげる姿にジーン…ときました。「まさこさん、フィンランド語できるんですか?」という問いに「いいえぇ~」と答えるところも笑えました!

映画の中で印象的な言葉がいくつも出てきました…

「(コーヒーは)自分で入れるより人に入れてもらう方がおいしいんだよ」…

「やりたいことができていいですね」
「やりたくないことをやらないだけよ」…

「人はみんな変わっていくものだから」
「いい感じに変わっていきたいですね」
「だいじょうぶ…たぶん…」

3人の女優さん(小林聡美さん・もたいまさこさん・片桐はいりさん)ホントにいいですね~!!

心がいつのまにかほんわかしてきて…

「かもめ食堂」いつの日か私も行ってみたい!!!