Peace of Mind を求めて…

悲しいことがあっても、必ず新しい朝は来るのですよね

読書の秋です

2009-10-29 23:45:39 | 
過ごしやすい穏やかな気候が続き、読書には最適な季節になりました。

仕事や家事の合間に本を読むのは、私にとって至福のときです☆
…といっても夜はすぐに眠くなるし、もともと読むのが遅いので、1冊を読み終わるのにとても時間がかかってしまうのですが…

最近読んだ中で印象に残ったのは…

●『オオカミ少女はいなかった -心理学の神話をめぐる冒険-』(鈴木光太郎著・新曜社)

このタイトルからしてショックでした!!
大学時代、児童学が専門だったので、インドで発見されたアマラとカマラの話は授業でも習った記憶があるし(アーノルド・ゲゼル著「狼にそだてられた子」をみんなで読みました。)、娘Tも学校の教科書に載っていたといいます。人間が成長していく過程で、環境や教育がいかに大切であるかを語る際、引用されることの多いこの話、実は作り物だったらしい…。
 実際は、重い自閉症のため遺棄された子どもたちが森の中で野生児として生き延び、ある時村人たちに生け捕りにされた。たまたま伝道旅行にやって来た牧師が自分の孤児院へ連れ帰り、他の孤児たちと一緒に養育する。イギリスとアメリカの新聞に2人のことを報じる記事が出たため専門家から質問や問い合わせが来るようになり、その圧力で引っ込みがつかなくなった牧師は意識的にオオカミらしさを強調する日記や写真を捏造せざるを得なくなった…というのが本当のようです。
 確かに、アマラとカマラの写真もよく見れば矛盾だらけ!!!8歳と1歳半のはずなのに、重なり合って眠っている写真はどう見ても同年齢だし、3年半の間で別々の日時に撮影されたとする写真が、周りに映っている人物や背景から見て、実は同じ時に撮影されていたり…。
 今日まで信じ続けられて教科書にも載っているなんて…確かに人々の好奇心を刺激する事例ではあったけれど…なんだかちょっと…人間って簡単にだまされてしまうものなんですねぇ。。。
「オオカミ少女」の話以外に、ハンスという天才ウマ(人間のように数やことばを解し、質問に正しく答えることができる)やワトソンのアルバート坊やを被験者とした恐怖条件づけ実験等の分析がなされているのですが、事例も古くてあまり関心が湧かず…やっぱり「オオカミ少女」の話が一番おもしろかったです。

●『ポトスライムの舟』(津村記久子著・講談社)

この本には「ポトスライムの舟」と「十二月の窓辺」の2編が収録されています。
「十二月の窓辺」の方が先に書かれていて、この中で主人公の女性は女性上司から壮絶なパワハラを受け、退職に追い込まれます…。「ポトスライムの舟」は、その後日談という感じで、工場で契約社員として働く主人公が、自分の年収とほぼ同じ163万円の世界一周クルージングを夢見ながら、実際は夢など持ちようも無い、何の保障も無い、生きるだけで精一杯な生活を送る様子が淡々と描かれています。
 水に差しておくだけでどんどん増えていくポトスライム(主人公宅の廊下にコップに差してずらりと並べられている)を「本当にお金がなくなってしまったら食べればいい」と思わせるまでの苦しい現状……現代社会を覆っている貧困の問題を静かに痛切に訴えています…。
 一生懸命真面目に働く人たちが報われる世の中になってほしい…心からそう思いました。

●『僕は人生を巻き戻す』(テリー・マーフィー著、仁木めぐみ訳・文藝春秋)

子どものころ、最愛の母親の死を目撃してしまったことから「時が流れるのは進むこと。進んだ先には死が待っている。時を巻き戻さなくては愛する家族が死んでしまう」という強迫観念に囚われてしまった青年エドが、重症の「強迫性障害」から自力で回復していくまでを描いた実話です。
 「強迫性障害」については、何度も何度も手を洗ってしまう…という症例を聞いたことはありましたが、詳しくは知らなかったので、エドの症状の深刻さは想像を絶するものがありました。
 階段を上がったら後ろ向きに降りる…これを繰り返すため、階段を上がるのに何時間もかかる。ものはみな決められた位置に置いておかねばならず、コオロギが脚にくっつけて運んでしまった綿ぼこりでさえも、何時間もかけてもとの位置に戻さなければならない。地下室に閉じこもり、1年以上シャワーも浴びず、ジップロックの袋に便を、ゲータレードの瓶に尿を溜め込み、身体中に床ずれがある…
 こんな絶望的な状況の中、エリート医師マイケルがエドを救おうとやってきます。マイケルは子どものころから問題児で反骨精神旺盛な若者に育ちますが、ベトナム戦争でトラウマを抱えて帰還した後、思うところあって医学部へ入り直します。患者に対する献身的な対応で臨床医としても研究者としても認められた、強迫性障害の専門家でした。しかしそんなマイケルの熱心な治療でさえ、エドの病気は治すことができなかったのです…。自分の力の限界を感じ絶望したマイケルは、哀れに衰えたエドの目の前で泣き崩れます…。
 驚くべきことに、一生治る事はないとさじを投げられたエドが、この時を機に回復へと向かっていくのです。マイケルが自分のために流してくれた涙を見て、彼は突然内面の強さを取り戻すのです。
 その後のエドは、病気を知った上で何もかも受け入れて愛してくれるマヤダという美しい女性と結婚し、2女の父親になり、高級住宅地に自分で建てた新しい家で家族と幸せな生活を送れるまでになるのです…。
………私の場合、いつも、どんなにつらくても、夫の前では絶対に涙を見せてはいけない!!!、よけい夫を追い詰めてしまうから…と思い続けてきたけれど、家族の涙がときには本人の強さを呼び覚ますこともあるのだろうか……??(今度、やってみよう…か…な???)
 とにかく、こんなに重症の精神病でも回復する可能性はあるのだということがわかり、私の心の中にも少しだけ希望をもたらしてくれたのでした。
 

振袖攻撃真っ最中!!!

2009-10-16 22:48:55 | 

横浜の大学に通う娘S♪

思春期真っ盛りの中学時代、反抗的言動で思い切り親を泣かせ、どこかで育て方を間違ってしまったのだろうかと、毎日本気で悩んだものでした…

そんなSもいつのまにやら成長し、いよいよ来年は20歳になります☆
この間まで高校生だったので、まだまだ制服姿のイメージが強いのですが…

我が家に、春ごろから次々と送り届けられる葉書やメール便の数々。。。本当にうんざりするぐらい押し寄せてきて、リサイクルに出しても出しても、ちょっと油断するとすぐに山のようにたまってしまう。。。

そうです!振袖の売り込み攻撃なんですよ~!!!

上戸彩が!スザンヌが!北乃きいが!
茶髪で厚化粧のハーフっぽいお嬢さんたちが!

髪には派手な花をつけ、鮮やかなネイルアートを施し、大きな指輪をつけ、 今時の、花一杯のモダンな振袖姿でにっこり微笑んでいます!

先日なんぞは玄関のドアホンが鳴ったので、娘が帰ってきたのかと思い、無防備に戸を開けたら、振袖のセールスのおじさんが立っていて、慌てて「うっ、うちは結構です~!」とお断りしました。

まったくどうやって我が家に20歳になる娘がいることを調べているんだろうか…と少し訝る気持ちにもなります…

こういうカタログを見ると親御さんたちは、娘の晴れ姿を思い浮かべ、成人式に備えていそいそと振袖の準備をしてやるもんなのでしょうか…??

申し訳ないことに、我が家はこういう華やかなものに全く興味がなく…

まず、私自身が成人式にも行かず、振袖も買わなかったという前例を持ち……

その代わりに親からもらったお金で、友人2人と一緒にヨーロッパ1ヶ月放浪貧乏旅行をしたのでした☆(アン!、ノラ!、楽しかったよね~!!!)まっ、親のスネをかじったことには違いないので、あまり大きな声では言えませんが~ 

体型(ずんぐりむっくり)に強~いコンプレックスがあった私は、どう楽観的に考えても、自分が振袖を着て歩く姿を肯定的にとらえることができなかったっていうのが隠された本当の理由だったりして…

この話をしたら、娘Sはすかさず「私も振袖なんかいらん(いらない)!」「お母さんと同じがいい!」と言っていました…
やっぱり親のスネをかじる気なんでしょうか…???(笑)

夏休みに帰省した際も、いろんな同窓会に飛び回っていたSなので、友人と再会するために成人式に出るっていう発想は、はなからなさそうです。

振袖姿の写真ぐらい記念に残してやった方がいいのかな…?
レンタルだったら安いのかしら…? 

自分のことは棚にあげ、ちょっとだけ気にはなるのですが…
娘Sがやりたいように、娘の判断にまかせようと思います。


早く読みたい!『性悪猫』(やまだ紫・著)

2009-10-10 23:09:13 | 
『性悪猫』のことを知ったのは、佐野洋子さん(『100万回死んだ猫』の作者)の豪快痛快なエッセイ『ふつうがえらい』を読んだときでした。

このエッセイの中で佐野さんは『性悪猫』を絶賛していて、やまだ紫という人についても「人が暮らすという事をちゃんとして来ている人で、女の人のいちばん大切なことを決して捨てられない人だ」と書かれていました。

佐野さんの文章があまりに素敵だったこともあり、やまだ紫さんってどんな人なんだろう…?「性悪猫」って一体どんな作品なんだろう…??読んでみたいな~!と興味を持つようになりました。

その後、本屋(古本屋も)やインターネットで探してみたけれど、『性悪猫』はおろか他のやまだ紫作品も含めてどれもこれも絶版になっていてどこにも無く、幻の作品と化しているではないか……なんでだよ~!!!

そんなとき、購読している「ダ・ヴィンチ」のバックナンバーを読んでいて、やまだ紫さんの対談記事が出ているのを見つけました。現在京都精華大学マンガ学部の教授で、DVの夫と離婚した後、17歳年下の今のパートナーと結婚された話が載っていました。(なんか素敵だな~☆)色白でおかっぱの、少女の面影を残した方でした。

……それからしばらくして…
新聞でやまだ紫さんが亡くなったという記事を見つけました。(2009年5月5日)腎臓摘出後、闘病生活を送られていたけれど、脳内出血で亡くなられたとのことでした…

写真ではそんなふうには全然見えず、柔らかい笑顔が素敵だったのに…大変な病気と闘っておられたんだな…

やまださんのことがまた気になってきました…どうしたらこの方の作品を読むことができるのだろう…なにかいい方法はないのかな…

ここで思いついたのが図書館でした☆☆(遅い??)

岡山市立幸町図書館の検索機で調べてみたら、中央図書館にやまださんの作品『しんきらり』が見つかりました。やった~!!!やっと見つけたぞ~!!!さっそく予約をして取り寄せてもらいました☆

最初の「淋しいシンデレラ」からグッと胸にくるものがありました。。。
その後の作品も1つ1つが、どれもスッ、スゴイ!!!!!!!この作品の中に描かれていること…この切なさ、空しさ、一抹の淋しさ、静かな怒り、小さな喜び、ささやかな幸せ…これらは、いつかどこかで自分も経験したことばかり!!…この気持ち、自分にもあった!!!うんうん、ものすごくよくわかる!!!

毎晩仕事で遅く、「お茶」「灰皿」「爪きり」「おかわり」!!…と、当然のように妻に要求し、家事や子育ては女の仕事と思い込んでいる夫(妻以外の女性とラブホテルへ行ったり、バンコクへ研修旅行と称して買春に行こうとする!)と2人の娘さんとの日常…(これは多分、実話の部分も多いのではないかな?)が、細い線でスッキリと描かれているのですが、どの作品も気品に満ちていて、凛としていて………きっとやまださんはこういう1本筋の通った品のある生き方をされてきた方だったに違いない!!!

壊れそうな家庭を、子どもたちのために懸命につなぎとめようとしていたやまださんの気持ちを考えると、ものすごく切なくて。。。それは、夫(前夫)から愛されなくなった、その理由がわからず、まだ1歳だった娘Sを、張り裂けそうな胸に抱きしめて涙をこぼしていた20年近く前の自分の姿とだぶってしまったからでもあります…

そして…
やまだ紫さんのことを検索していて、パートナーである白取千夏雄さんのブログにたどり着きました。この中で、なんと「性悪猫」が復刊されるとの記事が!!!!!
10月22日に発売されるようなのです!!!☆☆☆

幻の「性悪猫」をついに手にすることができそうです!!!うれしい☆☆☆

…そして…白取千夏雄さんのブログを少し拝見したのですが…
どの記事にもやまだ紫さん(本名は三津子さん)への想い、やまださんの作品に対する尊敬とそれを守っていこうとする強い意志があふれていて…本当にお互いを大切に思っておられた素敵なご夫婦だったんだな~と感じます。。。
やまだ紫さんの人柄、最初の結婚生活でどれだけ苦労されてきたのか…(それは、「しんきらり」で描かれていた何倍も過酷なものだったようです…)それについても詳しく書かれています。

特に三津子さんが亡くなられた前後(4月、5月)の記事は悲痛な叫びに満ちていて痛々しく、読めば読むほど悲しみが押し寄せてきます…

そして……
白取さん自身も白血病で、余命1年と宣告されているだなんて…
神様!あんまりじゃないですか!!!ひどすぎませんか!!!!!…と叫びたくなります…

「性悪猫」の復刊の陰には、白取さんの執念があったのでしょう…

「性悪猫」の発売日まであと2週間足らず…期待に胸を膨らませ、でも心静かに待ちたいと思っています…☆