Peace of Mind を求めて…

悲しいことがあっても、必ず新しい朝は来るのですよね

演劇工舎「ゆめ」公演 「蠅取り紙」

2009-09-20 23:48:10 | 演劇・ダンス

天神山文化プラザへ、演劇工舎「ゆめ」公演 「蠅取り紙-山田家の5人兄妹-」を観にいきました。

この劇団については何も知らなかったのですが、たまたまどこかで手にした公演のチラシに「原作:飯島早苗・鈴木裕美」と書かれているのを見つけ、とてもなつかしい気持ちになり、出かけてみることにしました☆

飯島早苗さん、鈴木裕美さんが活躍されていた「自転車キンクリート」という劇団の芝居を、東京で生活していたころ、何度か観にいきました(「蠅取り紙」は観ていない)。
…たしか日本女子大学出身者が中心の劇団で、初めのころは女性だけで演じておられたのが、だんだんと男優の方も交えた作品作りをされるようになったと記憶しています。(もう20年以上昔のことです……)

脚本がしっかりしているから、岡山の素人劇団が演じても、まぁ~それなりに楽しめるんじゃないかなぁ~と、あんまり期待せずに出かけたのですが…(劇団の方たち、ごめんなさい!)

これが、期待をはるかに超えたすばらしく上質の作品に仕上がっていて、2時間40分の長いお芝居だったのですが、最後までとても楽しく拝見させてもらいました☆

山田家の5人兄妹
…婿養子にいってしまった長男、行かず後家の高校教師で、33歳になっても母親に弁当を作ってもらっている長女、雑誌のライターで同業者と同棲している次女、不倫相手と結婚した三女、芝居にのめりこみ、親のすねをかじり続ける26歳の次男…

両親がハワイ旅行に出かけるというので、見送りのため長男・次女・三女が実家に戻り、久しぶりに5人が顔を合わせます。三女の夫も加って、宴会が始まります…

トイレに行く順番を決めるのも一騒動、姉たちに命令される末っ子の次男、三女に対する姉たちのやっかみ…5人兄妹の力関係、各々に対する微妙で複雑な胸中が会話の中に巧みに盛り込まれていて…ううむ、その気持ち、わかるわかる!、そうそう、そうだよね~!と脚本のうまさに感じ入ることしきり…役者さんたちも、役になりきっていてうまいんです!

全員が寝静まった深夜、ハワイにいる父から、母親が盲腸で入院したとの電話があり、一同慌てるのですが、盲腸で死ぬことはないだろうと考え、とりあえず父からの次の連絡を待つことにし、全員眠りにつきます…

ところが翌朝、眠りこけた兄妹たちを起こしに来たのは、なんと!ハワイの病院で麻酔が醒めずに眠ったままの母親だったのです…。

母親は、子ども達のことが心配で、幽霊?になって家まで帰ってきたのではないか???。。。そう考えた兄妹たちは、一番心配をかけているのはおまえだ!おまえだ!!…と口々に相手を糾弾し始めるのです!!!

この場面は、今まで口に出せずに各々兄妹が心に留めていた不満が一気に爆発し、壮絶なバトルが繰り広げられ、観ている方もとても緊張しました!

三女の夫が中国で実際に起きた同じような事件について話したことから、とにかく母親の魂?には、おいしいものを食べさせ、兄妹みんな大丈夫と安心してもらい、気持ちよくハワイの肉体の元へ帰ってもらおう…ということになり、兄妹たちは今度は母親のために一生懸命力を合わせることになります…

母親を囲んでトランプのダウトをしながら語り合ううち、兄妹たちは素直な気持ちになり、母親に対し、今までの身勝手な自分を詫び、これからどう生きていくのか前向きに語り始めます……「蠅取り紙」にまつわる兄妹のエピソードも笑えるんだけど、ほろりとさせられました。。。

5人の子どもたちを育ててきた母親の人生は、決してつまらないものではない…
他の人の5倍は楽しんだと言える人生であってほしい…
子どもたちはやっと、母親がどれだけ自分たちにとって大切な存在であったかに気づきます…

三女の夫が、離婚した元妻の死を受け入れられず、出るはずのない元妻へ電話をかけ続ける様は、このストーリーの中で少し異様で浮いている感じもしましたが、そこにいるのが当然と思っていた人を失うこと…そんな喪失感を描いていたのでしょうか…

舞台美術もすばらしく、いかにも日本の典型的中流家庭!といった空間を作り出していたし、(たった2日間の公演だけで撤収してしまうのは惜しい!)、芝居の前後に流れていたリコーダーとパンフルート?のアフリカっぽい音楽等、センスが良かったと思います。

観終わった後も気持ちの良い余韻が残り、今日は家族のためにちょっと手をかけて夕食を作ろうかな…なんて殊勝なことを思いながら帰宅しました☆


青年団第55回公演 「火宅か修羅か」 

2008-09-18 23:02:32 | 演劇・ダンス
平田オリザさんが主宰する青年団の公演「火宅か修羅か」を観てきました。

平田さん演出のお芝居を観るのは、8年前にゆるびの舎で上演された「月の岬」以来です。

今回の公演に先立ち、9月10日に西川アイプラザで、「いま社会が演劇に求めていること」~平田オリザが語る芸術立国論~と題する平田オリザさんの特別講演があり、それにも参加させていただいたのですが、平田さんの信念に基づいた提言一つ一つに共感し、楽しいお話にしばしば笑わされながらも、地方在住者にとっては切実な問題点を鋭く指摘され、なんとかしなければ…という思いにかられて帰宅したのでした。

今回、青年団としての作品を観るのは初めてだったので、いろいろとびっくりしたことがありました。

まず、開場時間になりホールに入ると、舞台(旅館の待合室のセット)には既に役者さんが座っていて、観客がそろう前からお芝居が目の前で始まっていて…

開演時間になると、緞帳が上がったり、開演ブザーが鳴ったり…などという無粋な合図なしに、そのまま自然にすぅ~っとお芝居に入っていきました。

そして、出てきた役者さんが、いきなり観客に背を向けて椅子に座ったのにもびっくり!!

そしてそして、役者さんたちがみんな、ふつ~に日常生活で雑談しているように、ふつうの声でしゃべるんですね!観客に聞こえるように、大きな声ではきはきとセリフをしゃべってはくれないんですね!

だから必然的に観客は息を殺し、身動きひとつせず、舞台の役者さんたちの声に耳をすますことになります。そうした静かな空間では、唾をのみこむ音も、空腹のお腹がキュルキュル~と鳴るのもまる聞こえで恥ずかしいので、お腹にぐっと力を入れて鳴らないように頑張りました!(笑)

舞台では、作家の父親と3人の娘+父親の再婚相手グループと、高校のボート部OB・OGたちの同窓会グループの2つのグループが登場し、それぞれのグループが同時に会話をするので、会話が混線するのです!!最初はどっちを聞いたらいいんだろう!…と困惑したのですが、混線してよく聞こえないようでいて、結構大事な部分がちゃんと聞こえてくるんですね!このへんは、緻密に計算された演出なんでしょうか…?

別々の会話をしていたはずの赤の他人同志の、作家の三女とボート部OBの男性が、2人きりになったとき、ふと言葉を交わす場面がとても美しく、胸の奥がじ~んとして涙が出そうになりました。

三女は、交通事故で自分をかばって亡くなった母親の死をひきずっているし、ボート部OBの男性は、ボートの転覆事故で、一緒にのっていた友人が亡くなり、自分だけが生き残ったことを今でもふっきれずにいるのです…

明るくしっかりものの次女が、長女や三女のいないところで、父親の背中に顔を押し付けて泣いていた…

三女が父親の再婚相手に「おかあさん!」と呼びかけてみたら、再婚相手の女性は怒ったような顔をして、じっと海を見つめたまま黙り込んでいた…

どこにでもいそうな普通の人々の普通の日常生活を、淡々と描いていると思っていたのですが、そんな普通の人々の心の中に、実はとても重い現実が静かにひっそりと潜んでいる…ということが暗示されていて…しんと気持ちが引き締まるような気がしました。

大きな声で叫んだり、わめいたり、泣いたり、けんかしたり、抱き合ったり…そんな劇的な場面は一切なく、ただひたすら静かで穏やかで、舞台となった旅館の外できっと聞こえていたであろう潮騒の音を、ずっと耳の奥で聴き続けていたような、そんな静謐な美しい舞台でした。

香月ダンスファミリースペシャルダンスライブ2008

2008-09-14 23:01:07 | 演劇・ダンス

娘Tが保育園時代からのお友達(3人姉妹)が出演するダンスの発表会を観に、Tと一緒に岡山市民文化ホールへ出かけました。

去年もチケットをいただいて、西川アイプラザへ観にいったのですが、予想以上に素敵な舞台だったので、今回も楽しみにして出かけました。

香月章伽(こうづきあきか)先生のダンス教室に通う生徒さんたちの発表会なのですが、発表会という言葉の響きからイメージする、なんとなく学芸会的な、身内だけが喜ぶ(他人から見るとお世辞にも上手いとは言えない!)おさらい会のようなものではなく、最初から最後まで、上質のエンターティメントを堪能させてもらいました!!

一部は、大人も小学生の子どもも混ざって大勢でかっこいいジャズダンス「ダンスビギニング」で幕を開け、センスのいい衣装と振り付けでしょっぱなからワクワク

続いて入り替わり立ち替わりダンサー達が登場し、早いテンポで次々と作品が演じられていきます。
そのたびに、衣装や振り付けの斬新さに目を見張らされ、舞台に目は釘付けです!!

一部の最後は平井優子さんという方が振り付けをされた「西ハバライロ」という作品でした。ものすごく繊細で、切なくて、どこかなつかしいような、昔を思い出すような…美しく洗練された作品で、とっても感動しました!!!

最初、照明を落とした静かな舞台に子ども達が2人ずつ並んで出てきて、次々と横たわっていきます…その横たわった子ども達の両足をひっぱって移動させ、また子ども達が出てきて…
1人ずつ椅子を持って出てきて、椅子の上に上がったり下りたり…
大人たちが真ん中で踊る周りを、子ども達が四つんばいになってぐるぐる回ったり…

う~む!うまく言葉で表現できないのですが、とにかく「すごい!!」と感じさせる斬新さ、表現のユニークさに胸がドキドキしました!!

振り付けをされた平井優子さんは、フランスに留学してコンテンポラリーダンスを学び、ダムタイプにも参加されておられるとか…
 
そういえば、20年くらい前、ロンドンに住んでいたころ Dumb type theatre の公演を観た記憶があります。どんな舞台だったのか今ではもう思い出せないのですが…

「西ハバライロ」は、「ダムタイプ」とか昔観た「パパタラフマラ」とか…洗練されたコンテンポラリーアート(っていうのかな?)の舞台をイメージさせる、とても印象的な作品でした☆

二部は、プロのタップダンサーの方たちを迎え、タップダンスの魅力満載の舞台が続き、三部は「パワフルダンス」と題し、アップテンポのはじけるようなジャズダンスで楽しませてくれ…

最後の「BOLERO」(ラヴェル作曲)では、黒のパンツスーツでビシッと決めた12人の男装の麗人たちが、かっこよくてかっこよくて!!! 曲が盛り上がり、ダンスも最高潮で終わったとき、「ブラボー」って叫びたいくらいでした!!!

でも…でも…会場は最後までちっとも盛り上がらず…
拍手も少なくてすぐに鳴り止み、そそくさと立ち上がる観客のみなさん!

もっ、もったいないじゃないか~!!!!!

出演している子どもを観に来たお父さん・お母さん、お孫さんを観に来たおじいちゃん、おばあちゃん…ほとんどの観客が身内で占められていたようで、自分の子ども(孫)を見るだけで満足だったのかもしれないけれど…

これだけのバラエティに富んだ作品を創り、プロの助っ人を呼んで来て新しい試みにチャレンジし、舞台をまとめ上げた香月先生はとても有能な方だと思いました!
(群舞の中でも香月先生はひときわ目立ってカッコよかったです!!)

保育園のときのお友達(3人姉妹)のダンスも見事で、Tも3人の頑張っている姿に相当刺激を受けたようでした!

舞台終了後、ハデハデメイクのまま顔を見せてくれた3人姉妹に「おばちゃん感動したわ~!!!次も絶対観に来るからね~!!!」と挨拶して帰ったのでした☆


MONO第35回公演『なるべく派手な服を着る』

2008-02-24 23:03:12 | 演劇・ダンス

劇団MONOの第35回公演『なるべく派手な服を着る』を観に、友人Kと一緒に大阪のHEP HALLまで行って来た。

昨年3月に岡山で観た『地獄でございます』がとてもおもしろかったので、今回の公演のチケットも昨年12月からネットで購入して楽しみにしていた。

今朝は目覚めると外が雪景色 ちょっと心配だったけれどKと一緒に9時過ぎの在来線で出発した。
公演は15時からだったが、ここのところ元気が出なかった私はKにゆっくり話を聞いてもらいたかったこともあり、新幹線を使わず、時間のかかる在来線に乗り込んだ。

窓の外はまるで雪国のような銀世界☆…粉雪の舞う美しい情景☆…

ところが相生で乗り継ごうと思っていた電車が、雪の影響で大幅に遅れているとの車内放送があり、結局大事をとって新幹線に乗り換えた!

時間的には短くなったけれど、Kに、話を洗いざらい全部きいてもらい、たしなめられたり、共感されたり、別の考え方を示唆されたり…

おかげで、新しい気持ちで家族と向き合ってみよう!という殊勝な気持ちになれたよ!!☆

いつもながらKには感謝

MONOの芝居もおもしろかった!!前回と同じくリズム感のあるセリフ回し、絶妙な「間」。。。MONOのメンバー5人に加え、女性3人・男性1人の客演を迎え、交錯した微妙な人間関係が描かれていた。 

6人兄弟の上4人が4つ子、6番目は養子…という兄弟の話だが、5番目の五男はその名前はおろか、存在さえも忘れられてしまうほど影が薄い…

それで「なるべく派手な服を着」ているのだが(赤いジャンパーと黄緑のズボン…だったっけ…?)、兄弟からも恋人からも全く省みられない…

今回の芝居のタイトルにもなっているし、真っ赤なジャンパーを着て舞台ではひときわ(色彩的に)目立だっているのに、全体を通してこの「派手な服」に関するセリフがただの一つもないのだ!!…(普通だったら「おまえ今日は派手な色のジャンパー着てるな~」くらいのセリフがあってもよさそうなものだけど…)

「派手な服」に対するコメントが一切なされない…ということでよりいっそう五男坊の存在感の無さが際立ってきて、ちょっとかわいそうな気持ちになってしまったくらい。。。

6人兄弟の位置関係が、病床の父親の告白によりひっくり返り、今まで仲のよかった兄弟、その妻たちの間に亀裂が生じてくる…

前回同様、テンポの良いセリフの応酬、センスのいいギャグにフフッと笑わされながらも、しだいに、とても深刻に冷静に五男坊を通して自分自身を見つめざるをえなくなる…

ただ笑わせてくれるだけの芝居ではなく、そんな、しんと冷えた空気も一瞬流れてくる舞台だった。

だから、最後になぜ五男以外の兄弟たちが五男の存在に対し、急に言及するようになったのか、なぜ急に恋人が優しい言葉をかけるに至ったのか…

最後の場面(希望のもてるシーンではあったけれど)がちょっと唐突すぎたような気もした…

見終わった後、どこか物悲しい気分にさせられたのは五男坊の立場を自分に置き換えてしまったからかな…?


プルーラル・シアター・プロジェクト 『王女A』

2008-01-12 23:14:27 | 演劇・ダンス

演劇ユニット水密塔が演じる『王女A』を観てきました。


この作品は、「岡山のNPO法人アートファームと静岡の(財)静岡県舞台芸術センターとが共同製作により、平成19年度から3年間、1年に1本の演劇作品を創作し、両都市で連続上演する」という、プルーラル・シアター・プロジェクトの初年度作品だそうです。


作・演出は松田正隆さん…この方の作品を観るのは、7年くらい前に上演された『月の岬』、昨年4月に月の舞台で上演された『パライゾノート』に次いで3度目です。


『パライゾノート』がかなり難解な作品だったので、今日はどうだろうか…と一抹の不安はあったのですが……やっぱり予想通り難解でした~!!


松田氏は、この脚本を書くきっかけを「皇太子の娘愛子(王女A)が皇族が嫌になって失踪してしまい、彼女を追いかけていく侍女たちの放浪の物語をつくろうと思ったことだった」とチラシに書かれています。


これだけを読むと、ちょっと笑えて、喜劇にもなりそうな気がするのですが、実際は侍女たちは「捜しているうちに目的さえも見失い、狂気の集団のようになり、発語する日本語さえも覚束なくなる」のです。


終演後のアフタートークで松田氏は、「日本語がわからない人にもわかってもらえる舞台を作りたかった」というようなことをおっしゃっていましたが、たしかに日本語で上演されているのもかかわらず、そこで話されている言葉は「異郷のことば」に聞こえ、ストーリーらしいストーリーもないまま侍女たちと兵士が狂い、破綻していき、先のない暗闇の中を漂白していく有様を演じる役者さんたちのことばの嵐にはすさまじいものがありました。


松田氏の脚本は、通常のもののように、登場人物名の下にその人物がしゃべる台詞が書かれている…といった様式ではなく、長編詩のように言葉が書き連ねてあるものだったそうです。


そのため、役者さんたちは、まずその途切れなく書き連ねられた脚本のどこをだれがしゃべるか…を決めることから取り組んだそうです。


本当に難解で、ときに猥雑で、凡人の私にはなかなか理解しにくい作品でしたが、何かを模索し続けている新しい演劇の方向を見せてもらった気がしました。

 


ズンチャチャ・ダンスパフォーマンス『だいく』『しらとり』

2007-12-10 00:28:45 | 演劇・ダンス

西川アイプラザ開館15周年記念行事として(財)岡山市スポーツ・文化振興財団が主催する、ズンチャチャと踊ろう ズンチャチャ・ダンスパフォーマンスVol.1『だいく』とズンチャチャの新作『しらとり』を観てきました。

ズンチャチャは、代表の須原由光さんを中心に、「一生青春ダンシング少年少女」と銘打った個性豊かなメンバーが揃ったダンスグループです☆

ズンチャチャとの出会いは、2006年1月に西川アイプラザで公演した『こたつみかん』でした!!

あまりにユニークで楽しくて、ギャグで笑わせてくれるかと思えば、非常に繊細で美しいコンテンポラリーダンス(?)で魅せてくれ…観客を楽しませようという全体に流れるセンスの良さが大好きになりました!

2006年4月には倉敷市芸文館での『情熱劇場』に出演したズンチャチャの舞台も観にいきました。このときは、コンドルズの近藤良平さんのワークショップ参加者として出演されていましたね。

そして、待ちに待った今回のズンチャチャ公演です!!
タイトルが長すぎてなんだかわかりにくいのですが、要するに、『だいく』は一般公募で集まったワークショップ参加者18名が、ズンチャチャと一緒に創り上げた舞台なのです!

…そしてそして、この舞台に私の高校からの親友Kが出演しました!!!

何を隠そう、Kにズンチャチャのワークショップに出ろと薦めたのはこの私です!
友人Kのずば抜けたダンス・演技の才能を、大好きなズンチャチャと組み合わせたら、きっとカッコイイに違いないと、自分にはとてもできない夢をKに託したのでした☆


自分の存在意義をちょうど模索していたKは、ズンチャチャに興味を持ってくれ、私の期待に応えて9月からの練習に参加してくれ、途中悩んだこともあったようですが、忙しい中練習に通い続け、ついに公演の日を迎えたのでした。

13時30分開場に備え13時すぎに着いたら、ロビーにはすでに大勢の人たちが!…受付でKへの差し入れ(マスカットのワインとおつまみのナッツ!…Kにはこれが一番!)を預けました。

会場と同時に入場し、前から2列目の真ん中に座りました。(ワクワク!)


しょっぱな、暗闇の中からいきなり客席中央に登場し、華麗な?美声をとどろかすKに度肝を抜かれました~! ややっ、でも裸足の足首に肌色のテーピングが…大丈夫かK~!! ちょっと心配になったけれど、支障なさそうに元気に飛び回っているのでひとまず安心☆


今回もいろいろユニークなアイデアが詰まった楽しいパフォーマンスがいっぱいです!!
黒のスカートに白いシャツの出演者たちが、第九の音楽に合わせてはねる!、かけ抜ける!、回る!…入れ替わり立ち代り登場して息もつかせぬ見事な群舞が続きます!!
 ラジオ体操風・第九体操(第九のドイツ語歌詞に合わせて振り付けてあり、その珍妙な動きが笑えます☆)、エアロビクス風第九(いかにもエアロ!という感じのインストラクターの動きに、これも笑えた!)
ねずみの指人形を使って、漫才風ズンチャチャ紹介コントもご愛嬌☆☆
バレエの動きが美しい可憐な少女たちの、ちょっと恥ずかし気な演技も可愛らしい☆☆
最後に全員が静かに歩きながら、2人ずつ抱擁し合うシーンは、神々しい宗教的な美しさがあって思わずウルッとなりそうでした。とにかく流れるような群舞が実に見事でした!!


休憩後はズンチャチャの2年ぶりの新作『しらとり』です。

『こたつみかん』のときもそうでしたが、出だしに舞台奥のスクリーンに映されるアニメが素晴らしいのです!!
ズンチャチャメンバーの方が描いたらしいアニメが、いかにもズンチャチャ☆っていう動きでくるくる動いていくさまも楽しいし、粘土を使った動物たちのクレイアニメもうまいわ~!!映し出される映像と舞台上のダンスとの競演も見事でした!!

青春とは!!…という大げさなテーマで、森田健作が出てきたり、青い三角定規の「太陽がくれた季節」、山本リンダの「どうにもとまらない」を歌って踊る場面はちょっと中だるみしたかな…??個人的趣味からいえば、なくてもよかったような気もします…(40代以上にはうけたかもしれないけれど、若者にはわからなかったかも??)


床に仰向けに横たわり、静かな音楽に合わせて手と足を動かし、白鳥の動きを表現したシーンは悲しいくらい美しかったし、白鳥と黒鳥をイメージした2人の踊りも、ため息が出るくらい素敵で哀切でした…白鳥は死の直前に最も美しい声で鳴くといわれていますが、そんなことを思い出しながら観ていました…


そして一番圧倒されたのは、ズンチャチャメンバー田中淳子さんのソロです!


余分な肉が全くない(!)鍛え抜かれた身体にベージュのぴったりしたコスチュームを身につけ、アクロバット的身体の柔らかさでオリンピック選手もまっさお!
客席右前方でヒッピー姿の加藤順子さんがOHC(?)上に、即興で絵の具を使って線画を描き、それを舞台背面の白い壁に大きく映し出していくのですが、その色とりどりの線画の前で田中淳子さんが踊るのです!田中さんのベージュの身体に線画が描かれていくかのようで、わ~☆このアイデアは秀逸だわ~☆と感心してしまいましたよ☆


群舞で使われた「バードランド」は私も大好きな曲だったので、観ていて楽しくて楽しくて、一緒に踊りたくなったくらい(笑)!!!
最後は『だいく』の出演者たちも再度登場し(Kも出てきたよ!)、「バードランド」をカッコよく踊ってくれた!(Kはきっと出演者の中で最年長だったかも?? でもカッコイイメンバーたちの中にしっかり溶け込んで全然見劣りしなかった!!さすがだよ~!!)

笑えて、一緒に踊りたくなって、胸がキューっとなって、しんみりして、アイデアに感心させられて…

いろんな楽しみがいっぱい詰まった極上のエンターテインメントでした!!!


劇団・銀仮面団 『満里亜の災難』

2007-12-02 23:55:57 | 演劇・ダンス

第2回中四国演劇フェスティバルin岡山・参加作品=劇団銀仮面団『満里亜の災難』を観てきました。


最初、今回の作品はコメディー?? と思わせる場面もあったのですが、物語が展開するにつれ、不可思議な登場人物一人ひとりが背負い込んでいる、底知れぬ暗闇のような重苦しい背景が垣間見え始め、しだいに現実なのかフィクションなのか、その境界線さえも判断できなくなってきました…


満里亜の本当の父親は、あの「神」といわれた松本智津夫???
満里亜の養母(ラーメン屋のおかみさん)は、あの日本映画のマドンナだった原 節子???
満里亜の養父(ラーメン屋のおやじさん)は、マッカーサー???
満里亜の祖父は、731部隊の隊長・石井四郎???
満里亜のボーイフレンドは、満州で関東軍が虐殺した中国人の恨みを一身に背負って生まれてきた???


錯綜する会話の中から??を紐解こうと、いろいろ考えてみたのですが。。。???


銀仮面団の作品を今まで3本観せていただいて、今ごろになってやっと1つわかったことは、代表の藤澤さん(多分、劇団中ただ1人の戦争体験者)の先の太平洋戦争における日本の戦争責任(ひいては、最大のタブーとされる昭和天皇の戦争責任問題)に対する強いこだわりです…

かなりの問題発言が飛び交ってましたからね!!!(結構危なかった!)

戦後生まれの若い団員の皆さんが、藤澤さんの持ち続けるその強いこだわりを理解し、共感し、引き継いでいこうとし、一緒に取り組んでいる…そのことにちょっと感銘を受けましたよ! いつも作品に1本筋がピシッと通っている印象を受けたのは、これだったんだなぁと今ごろ気がつきました。


これからの若い世代の観客に、藤澤さんのこういう思いがどれだけ受け入れられていくのか分かりませんが、一演劇ファンとしては、これからもどんどん新しい作品に挑戦していってほしいです!


 


ダンスと演劇を観た日

2007-08-04 23:43:22 | 演劇・ダンス
娘Tのヴァイオリンのレッスンの帰り、保育園仲間・MさんちのKちゃん、Nちゃんが出演するダンスの発表会に行きました。

14時開演で、会場に着いたのは15時だったのですが、休憩をはさみ、Kちゃん達が出演するのは15時からの第3部だったので、ちょうどいいタイミング!
前方の桟敷席に陣取って、しっかり応援しました。

作品はジャズダンス、ヒップホップ(?)、クラシックバレエ…と様々で、出演者の年令は「ダンスファミリー」ということもあって、3歳くらいの可愛らしい男の子から、かなりお年を召しておられると思われる女性まで、様々でした。

皆さん、楽しんで踊っておられるのが伝わってきて、その複雑な動きに感心したり(どうやって覚えるの~??)、子ども達が可愛くて微笑ましかったり…

お揃いの衣装もかっこよくて素敵で、Kちゃん、Mちゃんにピッタリでした~!
一生懸命頑張っている姿を見るとこちらも元気をもらえ、とてもすがすがしい気持ちになります。発表会に誘ってくれてありがとう☆☆

夜は、劇団「銀仮面団」の公演『8月のエンジェル』を観にいきました。

つかこうへいの原作を脚色した作品で、ヒロシマの悲劇は、朝鮮人として差別され、さげすまれた生い立ちをバネにし、頭脳明晰な「日本軍人」としてのし上がってきた犬子恨一郎と、過去に恨一郎の肉親をも惨殺し、刺客として生きるしかない宿命を背負う一族に生まれ育った美少女百合子との、痛切な愛の証として引き起こされた…という解釈の「愛のドラマ」でした…。

原作は膨大なため短縮して上演されていたようで、最後になぜ恨一郎が「エンジェル」のボタンを押すことになったのか…そのあたりの心象の高まりが、私には少し理解しづらかったのですが、個性的で力のある役者さんたちの熱演に目は釘付けで、愛し合う1組の男女の愛の嵐が一気に駆け抜けていった…そんな力強い舞台でした。こちらからもパワーをもらって帰りました。ありがとうございました☆☆


三谷幸喜さん ごめんなさい!!

2007-07-18 01:27:09 | 演劇・ダンス

高校2年の娘Sは普通科音楽系に在籍し、毎日音楽中心の生活を送っているのですが、この音楽系クラスの2年生は毎年9月の文化祭でミュージカルを上演するのが恒例になっています。

最近では先輩方が「オズの魔法使い」や「天使にラブソングを」などを上演したらしいのですが、今年はなんと三谷幸喜さんのミュージカル「オケピ!」をやることになりました!

何を隠そう、「オケピ!」を推薦したのはこの私です!
Sから「なぁ~なぁ~おかあさ~ん! 何を演ればいいと思う~?」と相談されたとき、すかさず「そりゃぁ~『オケピ!』じゃろ~!!」と、実際観てもいないのに確信を持ってキッパリ言い切った私なのでした!
…三谷さんがエッセイの中で「オケピ!」の裏話をいろいろ書いておられるのを読んで、おもしろそ~!とずっと思っていたし、いろんな楽器奏者の集まりである娘のクラスで上演するのにピッタリの内容だと思ったのです。

その後Sはインターネットで「オケピ!」のストーリーや劇評を調べ資料を集め、クラスのみんなに「オケピ!」のことを紹介して回って「オケピ!」ブームを巻き起こし、ついにクラス全員の賛成を得たのでした。

それから娘たちは「オケピ!」の戯曲を図書館から借りてきて回し読みし、高校で買ってもらったDVDをみんなで鑑賞し、配役を決め、役割分担をし…着々と準備を進めているようです。

娘Sは、お調子者のギター奏者の役(舞台では川平慈英さんが演じた)と、楽譜を書く役になりました。(可笑しな振り付けで歌う場面があり、こんな変な踊りはSにしかできないとみんなから推薦されたらしい…

休日はテレビの前にでんと座卓を置いて座り込み、右側には小学校のときクリスマスプレゼントとして買ってやった木琴を置き、DVDを少しずつ観てはリモコンで停止させ、何度も巻き戻し、木琴で音を確かめながら楽譜に書きとめています。(この姿は結構笑えます!)楽譜が市販されていないので、全部自分たちで楽譜を書かなければならないのです。

9月初旬の文化祭まであまり時間がないので、夏休みもずっと集まって練習するらしい…でもユーモアたっぷりで、1人1人の登場人物を、その担当楽器の個性と合わせて絶妙に描いたこの愛すべき作品をクラスみんなが大好きで、練習も大いに盛り上がっているらしく、(みんな、恥を捨ててやろう!と燃えているらしい!)娘は練習が楽しくて楽しくてしかたがない様子です。

でもね…実はね…三谷幸喜さんには本当に申し訳ないと思っているのです。。。。。

三谷さんはこの戯曲を出版することについて、戯曲のあとがきで次のように書かれています。
「僕のホンはあくまで上演を前提に書いているのであって、俳優さんが台詞を口にして初めて面白さが分かるようになっているんです。」
「戯曲が活字で残るのって好きじゃないんですよね」
…「オケピ!」が白水社主催の戯曲賞を受賞したため、白水社の熱意にほだされて出版の運びとなったようなのですが、本当は戯曲を出版したくはなかったらしいのです…


その上、この作品の上演についても
「よそで、僕の知らないところで、僕の知らない人たちによってこの作品が上演されるのを、僕は決して希望しません。ましてや、僕が一生懸命書いたホンが知らないところで勝手にアレンジされ、自分らのやりやすい形に書き直されて上演されるなんて、考えただけでも、憂鬱になります。」


この文章を戯曲のあとがきで見つけたとき、私は罪悪感に苛まれたのでした!

三谷さんが気の合ったステキなキャストの方々、素晴らしいスタッフの皆さんのために一生懸命書き下ろした作品だから、公演が終わればもうホンの役目はおしまい、その後、自分の関わらないところで上演してほしくない…この真摯な願いはひしひしと私の胸に響いたのでした…

本物の舞台は3時間以上の長丁場です…娘たちはそんなに時間を取れず、1時間程度にまとめなければならないので、必然的に脚本も省略しまくり!!…(わぁ~三谷さんの一番嫌がることをしているのですね~!!


三谷さん、本当に本当にごめんなさい!!!


岡山の片田舎の高校生たちが、素晴らしいミュージカルに出会って感動し、自分たちの目標とし、未熟な能力を最大限に結集し、青春をかけて1つの舞台を創り上げようと日夜頑張っています。


どうかどうかお腹立ちとは思いますが、見逃してやってください!!!
おねがいしま~す!!! 

 


維新派 『n o s t a l g i a』

2007-07-09 00:12:52 | 演劇・ダンス
今日は楽しみにしていた劇団・維新派の芝居を観に、娘Tと2人で大阪城ホール西倉庫内特設劇場 ウルトラマーケットまで出かけました。

田舎者2人、大阪の人ごみに流されながら大阪城公園駅までたどり着くと、目の前の公園の敷地内では屋台が立ち並び、本格的なバンドミュージシャンたちが何組も大音響でライブをやっています。今日は大阪城ホールでEXILEのコンサートもあるらしく、派手な大型トラックが4、5台停まっていて、それらしいファンの人たちがたくさん集まっていて…

EXILE一色の公園内をてくてくと、こっちでいいのかなぁ~と心配しながら歩いていくと、地味だけどかわいらしいクジラの入口を発見!
     
この石垣の中が今回の特設劇場!。倉庫の中に舞台と客席が組み立ててあり、階段状の客席に腰掛けると、舞台に映し出されている不思議な映像にまず目を奪われました…吊り下げられたランプ(?)の列が儚い光を放ちながら揺れているモノトーンの映像は、物悲しいような静謐さがあり、流れてくる音(ピノキオのようにクジラのおなかの中に閉じ込められたらこんな音が聞こえてくるのかな~と想像してしまった音。。)を聴きながら、これから始まろうとする舞台に胸がワクワク!!

ノアの箱舟を思わせる移民船に乗ってブラジルへ移り住む日本人移民たち…
いつもながら、内橋和久さんの変則的なリズムに合わせての集団の動き! なんと形容していいのか難しい、複雑な動きの連続…(単純な私はいつも、あれだけの複雑な動きを2時間分覚える役者さんたちはすごいなぁ~と感心してしまいます!)

今回は舞台奥がスクリーンになって映像が流れていて、舞台効果を高めています!
舞台上での集団の動きそのままが、バックの映像(砂浜で撮影された)で流れたり、「El dorado」のシーンで、岩場を次から次へと登っていく人の群れの映像と舞台上での人の流れ…それにかぶさるアフリカンドラムを思わせる土着的な激しいリズム!!何やら恐ろしい幻想を見ているような、ドキドキするシーンでした。

その他印象的な美しいシーンもたくさんあったのですが(風にはためくたくさんの旗とか…)、今回いつもと違うぞ!?、維新派の新しい一面??…と感じたことがあります。

それは男女の愛を描いていたことです。

今までの維新派は(といっても維新派のファンになってまだ日が浅いのですが)容姿端麗な女性も、それなりの女性も(失礼!)み~んな白いシャツに半ズボンの戦前の男子小学生のような格好をして舞台を駆け回っていて、「おんな」を意識させることのない演出だったのに、今回は日本人少年ノイチ、移民の少女アンの恋愛を描く過程で、2人のキスシーン、抱擁するシーン等が繰り返しでてきました…。真っ赤なワンピースに真っ赤なハイヒールの「おんな」そのもののアンを見ているうち、劇団四季のミュージカルでも観に来ているような錯覚に陥ったくらいです…。
 
白いシャツに半ズボンの少年たちのシーンでも、2人組で前後に並んだ後ろの少年が前の少年にギューッと抱きついて静かに佇むシーンがあって、なんだか胸がジーンとしてしまったのでした…

今までの「中性」的な演出から、これからは「性」を意識した演出も加わっていくのでしょうか??

それからなんといっても今回の「みもの」は3メートルはあろうかという<彼>の登場です!! 最初、巨大な影として映し出されていた<彼>が唐突にひょっこりと舞台に現れたときは、娘Tと顔を見合わせて「出た~!!」と思わず笑ってしまいました。

<彼>が何を意味しているのかはよくわからなかったのですが、どことなくユーモラスなその存在感だけでなんだか楽しくなりますよね!(いったいあの中はどうなってるのかな? 1人で動かしてるのかな? 2人で肩車してるのかな? わぁ~お辞儀なんかして大丈夫~??…といろいろ詮索したり心配したり…)

<彼>の特大山高帽をすっぽりかぶって登場した少年と<彼>との2人っきりのシーン…台の上にのぼり<彼>に帽子をかぶせてあげ、<彼>の足に抱きつく少年…美しくて素敵でした!

「<彼>と旅をする20世紀三部作 ♯1」と副題にあるので、今後<彼>の活躍が期待できそう! また会いたいな☆

劇団『維新派』を観に奈良へ…

2007-04-30 23:42:54 | 演劇・ダンス
今日は劇団『維新派』の野外公演を観に娘Tと2人で奈良の平城遷都祭に出かけました。

朝7時過ぎの新幹線で新大阪へ→東海道本線に乗り換えて大阪→大和路快速で奈良へ…奈良駅西口からシャトルバスに15分ほど乗って10時過ぎには世界文化遺産「平城宮跡」へ到着!

甲子園球場が30個も入る広大な草原に朱雀門、平城宮跡資料館、東院庭園などがあるのですが、そのだだっ広い会場が4つのエリアに分かれていて、食べ物の屋台が並んでいたり、手作り工作教室が開かれていたり、天平衣装を着て写真を撮る企画があったり、大道芸のお兄さんが芸を披露していたり…
 会場内では専用の通貨しか使えないことになっているのでまず入口のところで「せんと」に両替!100せんと紙幣は朱雀門の描かれたおもちゃのお金っぽいのですが、500せんと硬貨「和同開珎」!は重みがあって本格的です!両替は面倒くさいけれど、こういうのも遊び心があって結構おもしろい。。。
  
わざわざ奈良までやって来たのは、劇団『維新派』がこの会場内にある第二次大極殿基壇で公演するとHPで知ったからです。
維新派を初めて観たのは2002年夏に開催された犬島アーツフェスティバルで上演された『カンカラ』でした。何ヶ月も前から集団で犬島に移り住み、地元の人々と生活を共にしながら野外劇場を構築し、芝居の稽古をし、衣装を作り…そんな舞台を創り上げる維新派のパワーに驚嘆して以来ずっと注目しています。
会場までの道のりで出遭う人々、周りの風景、潮の香り…それらすべてが維新派の芝居の一部であり、月も星もすべてが芝居の演出であるかのような…そんな非日常の時空間を体験させてもらい、今でも忘れられない思い出です。(家族そろって2回観にいきました!)…カンカラの後、「ノクターン」「ナツノトビラ」と観にいきましたが、どちらも劇場内での上演だったので、今回の野外公演は見逃すわけにはいきません!!
 真夏のような炎天下のもと、11時と14時の2回の公演を観ました。
       
 白塗りのメイクに小学生のような白いシャツにズボンの役者さんたちが、バリ島のケチャを思わせる発声とリズムに合わせて集団で動く様を観ていると、不思議な世界に連れ込まれます…私がいつもイメージするのは、太平洋戦争中空襲で亡くなってしまった小学生たちが、黄泉の国でかくれんぼをしたり、おにごっこをしたりして無邪気に遊んでいる…というもので、切ないような郷愁にかられるのです…
内橋和久さんの創る5拍子、7拍子といった変拍子の、ベースが響き渡る電子音楽も私たちを異空間へと誘い込みます…
平城宮跡の広大な空間の中で、真っ青な空と新緑の山々をすべて自分たちのものにし、走り、跳び、力いっぱい動き回った役者さんたち!! すがすがしくて、どこかなつかしい…余韻の残る舞台でした。
 1回目の公演の後、「あ~来てよかった~!素晴らしいわ~!」と喜んでいたら、舞台下で維新派の演出家・松本雄吉さんとお話されていたスマートで色白の若い女性が突然舞台の上に上がられ、司会者から紹介されました。なんと、映画監督の河瀬直美さんです!そうです!奈良といえば河瀬直美監督の出身地だよな~と来る途中の新幹線でふと思い出したりしていたのですが、本物の監督を目の前で拝見できるとは思ってもいなかったのでビックリし、ものすごくうれしくなりました。

2歳くらいのお子さん(男の子)を抱っこされ、ベビーカーを押す芸術家風の素敵なだんな様とご一緒でした。

ここへ来られたのは、新作『殯の森』(第60回カンヌ映画祭正式招待決定!)のサポーターを募集するためで、食べ物のブースが立ち並ぶ中、監督の新作を応援するためのブースも設置されていました。一口2000円出資することで、映画『殯の森』のパンフレットに名前が掲載され、特別試写会に無料招待され、実際に撮影された映画の35mmポジフィルムを「ひとコマ」プレゼントされるというものです。奈良で開催される試写会には行けそうにないけれど、監督の作品が大好きなので、娘と私で2口参加させてもらいました。(河瀬監督の作品は『につつまれて』『萌の朱雀』『火垂』『沙羅双樹』を観ましたが、どれも瑞々しい感性に溢れていて大好きでした。)
ブースの中で河瀬監督とお会いし、岡山から維新派を観に来たこと(監督も18歳のころから維新派を観ているそうです)、監督のファンです~!とお話させてもらいました。(へへへ、やった~!!

維新派も観たし、憧れの河瀬監督にもお会いできたし、満足度100パーセントの奈良への旅でした

『パライゾノート』(マレビトの会公演)と「出石芸術百貨街07」

2007-04-29 23:53:34 | 演劇・ダンス

今日は友人Kに誘われて、「月の舞台」へ演劇を観にいった。

「月の舞台」は、旭川西岸に建てられた介護付老人ホームの5階に併設された空間で、能舞台を移築、再生したものらしい…

おりしも「月の舞台」近くの出石町では「出石芸術百貨街07」が開催されており、至る所に手作りのアート作品が飾られ、野外コンサートが開かれ、カフェやワークショップがにぎわっている…戦前からの趣のある古い建物をゆっくり眺めることもでき、いつも車で通り過ぎている出石町が、こんなに風情のある街だったことに感嘆し、再発見するきっかけになった。

ほとんど初夏の日差しの中、てくてくと老人ホームまで歩き、入口でスリッパにはきかえてエレベーターで5階の会場へ…
一見ホテルかと思われる小奇麗な造りだが、舞台は和室で、会場の片側に木の長イスが段を組んで並べられており、30~40人ほどの観客で満席状態だ。
 ホームに入居のお年寄りも介護士さんに付き添われ、車椅子のまま客席についておられる。

14時ピッタリに芝居が始まった。
背中にこぶのある男(ごまのはえ)と気味の悪い赤ん坊の人形を抱いた女(筒井加寿子)… 芝居の始まりと同時に、舞台は異様な雰囲気に包まれた。

背中のこぶから声が聞こえてくるという男…病気の母親に飲ませる牛乳代を得るため、妹である赤ん坊を売ろうとする女…しかし赤ん坊は売れず、代わりに死に装束用の白いレースの服を貰い受けてくる…ストーリーらしい会話はこのあたりで消滅し、後は2人の理解不可能な、暗闇に迷い込んだような、唐突で、ときに醜悪なシーンが次から次へと展開される…

録音されたテープに合わせてしゃべったり、ずらせてしゃべったり、エサをねだる池の鯉のように口をプカプカ開けたり閉めたり…
2人の鍛えられた、無駄のない動き、…倒れる、ころがる、打ちのめす!
女のぶっきらぼうで力強く、張り詰めた声に、男の身悶えるような、つきまとうような声が答える…

久しぶりにこういうアングラ劇(って言うのかな?)を観たけれど、この役者さん2人の熱演には本当に圧倒された!
暗い井戸の底に引きずりこまれたような、逃げようとしてもどんどん追いかけてこられるような…妖しくて、奇奇怪怪で、それでいて惹きつけられる…恐ろしい舞台だった!
でも、老人ホームのお年寄りが鑑賞するにはちょっと強烈だったんじゃないかな!?
女がどんどん服を脱いでいって下着1枚になるシーンもあり、オイオイどこまで脱ぐんだよ~!!と心配になったり… 

この作品を書いた松田正隆さんの『月の岬』という芝居を7年前に岡山で観た。
演出が平田オリザさんで、静謐で美しく、芝居の解釈を観客の感性に委ねるような作品だった記憶があるが、その作品と今回の作品とは随分変わってきたように感じた。

終演後に演出家・出演者とのアフタートークもあったのだが、会場の暑さと芝居の興奮で息苦しくなり、外の空気を吸いに出た。

帰り道、友人Kと「すごいもん観ちゃったねぇ~!」とひとしきり感想を述べ合い、気分転換にカフェ「アルタミラ」でお茶を飲んだ。

アルタミラで、安井祥二監督の映画『海より上 屋上より下』のポスターを貼ってもらえないかとお願いしたら、ここでは貼れないと言われたが、姉妹店の『シュリ』に貼ってもらえることになった。ポスターを持ってきた甲斐があったよん!ありがとうございます!

 


演劇ユニット 水蜜塔 第3回公演 『Voices』

2007-03-24 23:46:45 | 演劇・ダンス

今週末も天神山文化プラザ土曜劇場に行ってきました。
演劇ユニット水蜜塔第3回公演『Voices』…

演劇ユニット水蜜塔は、「地域において舞台芸術の本格的な人材養成をめざして2001年に創設された岡山舞台芸術ゼミナールの修了生らによって、2003年9月に結成された」そうです。

水蜜塔の旗揚げ公演『ただようように』(2004年7月)も観ましたが、岡山の第一線の演劇関係者が中心となって取り組んでいるらしく、今回も質の高い舞台を見せてもらいました。(『ただようように』は、先日観た劇団MONOの役者:水沼健さんが演出をしてくださっていたのですね!)

開演前、客席には波の音が小さく流れていたのですが、よせては返す…この途切れることのない静かなさざ波が、最後まで心の中で繰り返し響き続ける…そんな余韻のあるお芝居でした。

バッハの「主よ、人の望みの喜びよ」がピアノで奏でられ、薄暗い舞台前面中央には毛布にくるまり、マッチの灯りを見つめる3人の女性…。最初の場面から宗教的で神聖な雰囲気に包まれています…

ギリシア神話「オイディプス王」(父を殺し自分の母親と結婚したオイディプス王の数奇な運命を描いたギリシア悲劇の一つですね)をモチーフにしたという、森谷めぐみさん作のこの物語は、パンフレットにも書かれていたように「一篇の詩のようなもの」であり、何が現実で何が空想の世界なのか、どこまでが現代社会でどこまでが古代ギリシアの物語なのか…
 
船底で眠り続ける、暴君だった船長…
漂流する船から脱出するためにカヌーを彫り続ける盲目の弟…
影絵芝居を心の糧とする姉…

「あらゆる善意は地獄へ続いている」…
目の見えない弟、心の目が見えない姉…

老夫婦の息子スミオは姉弟の近親相姦によって生まれた…?そして殺された…?
もやしスープを作る老婆、そして「ラーマソフト」…?

時間も空間もその境目が曖昧で、心の底に物悲しさと祈りを引き起こす、感覚的で儚い言葉の流れに静かに身を任せ、舞台を見つめていました…

衣装もギリシア神話を思わせる、神々しい美しさがありました。
長身、長髪で白いレースの衣装に身を包んだ姉が、後ろ向きで舞台前に座り、身体を少し斜めにして、手にした薄い木片のカモメを照明の中に浮かび上がらせるシーンは、何ともいえぬ物悲しい美しさがありました…

最後に演出の風早孝将さんもおっしゃっていましたが、東京でも大阪でもなく、この地元岡山で、これからも着実に、才能ある人材を育成し、質の高い舞台を創り上げてほしいですね! 

期待しています!


劇団MONO 『地獄でございます』

2007-03-04 23:50:40 | 演劇・ダンス

今日は友人Kと昼前からバスに乗ってでかけ、県庁通りの「トラットリア ミズオチ」でランチを食べました。

おいしいお料理に合わせて白ワインも頼み、ちょっと酔っ払って陽気になった私たち、お日様ポカポカの中、ピンク色の顔をして天神山文化プラザまでにぎやかに歩いていきました。昼間っから酔っ払うなんて私としては初めてのことだったかも…

今日2人で観たお芝居は劇団MONOの『地獄でございます』!

京都を拠点に活躍されている、立命館大学出身の男性5人で結成された劇団で、代表の土田英生さんが作・演出し、役者としても出演されています。すでに人気を確立している劇団のようなのですが、岡山では初公演なので、私も観るのは初めてです。

天神山文化プラザへはちょくちょく来ていますが、こんなに満席になっているのは初めて見ました。いろんな年齢層の方がおられてロビーは活気に溢れています!
人気劇団を観に県外からも来られているのでしょうか…?

ガムランっぽい音楽が流れ、うらぶれたサウナかと思わせる舞台に、全裸(?)の男性客5人が、見えそうでビミョーに見えない(笑)高さの柵に守られ行ったりきたり…

5人の会話が交差していくうちに、ここはサウナではなくて実は地獄の入口なのではっ!ということがだんだんと明らかになっていきます…

5人の中での被害者と加害者という立場が、会話を重ねていくうちに、実は被害者と思われていた人物が別の人物の加害者であったり、家族思いの善良な人物かと思っていたら実は家庭では横暴であったり…このへんの5人の会話が本当に絶妙でした!
活字にしたら、言葉自体はそれほどおもしろいものではないかもしれないのですが、5人の会話のビミョーな間(ま)や、声の抑揚や、突っ込みのタイミングなどがものすごくうまくて、客席は終始笑いに包まれていました。私も何度も声を出して笑ってしまいました。

舞台が暗転すると、トラの皮のパンツをはいた鬼が5人!
地獄への案内人であるこの鬼たちは、それぞれが担当する、地獄へ送られる人間とそっくりの姿格好になるらしい…
鬼たちは、彼らを無理やりに地獄へ突き落とすのではなく、自分の罪を認めた上で自主的に地獄へ入るよう仕向けるのが仕事らしい…

地獄へ送られる人間と鬼とを1人2役で演じているのですが、全く性格の違う2役を瞬時に演じ分けていて、その早変わりの妙にも拍手です!

鬼たちのたくらみに気付いた5人が、なんとか一致団結して絶対に仲間割れしなよう仲良く頑張ろうとするのですが…

5人の最後の様子は、鬼たちの後日談として語られる中で想像するしかありませんでしたが、仲良くスクラム組んでいた5人(1人は早くに脱落)が、どういういきさつで崩れていったのか、もう少し観たかったなぁ~。。。そこだけ場面展開が急だったような気がします…

でも、終始、センスの良い笑いに溢れていて、これからどんどん人気が急上昇する劇団!という予感がしました。

この公演のチラシ(写真参照!)はおどろおどろしくて、ちょっと…って思っていたのですが、観終わってからよく見ると、5人の人間の絵は役者さんとそっくりに描かれていることがわかって、なんだか愛着が湧いてきました(笑)!

今日のお芝居を観ていて、もう解散してしまったけれど、大好きだった「カクスコ」という劇団を思い出しました。(男6人のゆる~い会話と舞台で歌うアカペラが元気をくれる劇団でした!)

芝居のおもしろさにまた、はまってしまいそうです!


中四国演劇フェスティバルin岡山

2007-02-04 23:33:45 | 演劇・ダンス

岡山県天神山文化プラザでまたユニークな企画が始まりました。

「中四国演劇フェスティバルin岡山」!…地元岡山の3劇団に公募の3劇団、これに鳥取・香川・高知・京都の4劇団が参加して公演が繰り広げられます。

さらに、地域演劇をテーマにした講演やシンポジウム、戯曲と演出のためのワークショップなどのプログラムが2・3月に目白押しです。

今日は昼食を急いですませ、13時からの第1回公演を観にでかけました。

朝日カルチャーセンターから生まれた女性ばかりの劇団「ママチャリーズ・エンジェル」が演じる『雨やどり』(作・演出:藤澤陽一)と岡山の「銀仮面団」が演じる『父と暮らせば』(作:井上ひさし)の2本立て…

『雨やどり』は、場末のスナックを舞台に、高校の仲良し4人組だった女性たちがコンクリートで囲まれたささやかな空間での平凡な生活を壊されることへの不安から、4人組の中の1人をスケープゴートにし…

出演者の方々は、結構うまい人、素人っぽい人…混ざり合っておられましたが、年齢構成にちょっと無理があったかな~という気もしました。シュールな脚本は結構おもしろかったですよ…

休憩後、井上ひさし作の『父と暮らせば』が始まりました。

宮沢りえちゃんと原田芳雄さんの出演した映画を観ていたので、耳に心地よい広島弁のセリフを思い出しながら、藤澤陽一さんと未来さんの息の合った掛け合いを楽しんでいました…

ところが、ここで大変な事態が起きてしまいました!

父親役の藤澤さんが調子を崩してしまい(?)、舞台の途中で突然「すみません!最初からやり直させてください!」と言ったかと思うと、舞台の袖にもどってしまい、幕が下りてしまったのです!

舞台袖からセリフを教える女の人の声が聞こえてきて、なんだろう、ヘンだな、これも演出なのかな…?と思っていたのですが…

藤澤さんが出てこられ、土下座し、体調不良のため、別の役者さんが代わりに演じることを説明されました…

しばらく準備の時間をとった後、伊織さんという役者さんに交替し、最初からお芝居が始まりました。突然のできごとに、役者さんたちもさぞかし気が動転したことでしょうが、伊織さん、未来さんのコンビで順調に滑り出しました…

父親役としては、年齢的な落ち着きとかもあり、やはり藤澤さんの演技の方が味があったとは思いましたが、伊織さんも、(宮沢りえに勝るとも劣らない)儚さを湛えた素晴らしい演技を見せてくれた未来さんを助け、頑張っておられましたね~

未来さんが、原爆で亡くなった親友の話をする場面、瓦礫の下敷きになった父親を見捨てて逃げざるをえなかった自分を責める場面…やはり涙ボロボロになりました なかなかの熱演で客席も感動に包まれていたと思います…

舞台は希望を感じさせる場面で終わり、良いお芝居だったな~と感慨にふけっていたら、下りた幕が再び上がり、出演者が全員舞台に並んで立ち、「本当にすみませんでした!今日の公演は払い戻しさせていただきます!」と謝られるではありませんか!こらえ切れずに泣いている役者さんもいます!

えっえっ…そんな、払い戻しなんて…充分素晴らしい舞台でしたよ!
こんなに感動をもらったし…何も不満はありませんよ~!

役者さんたちの悲愴な表情がなんだか気の毒で、アンケート用紙に「素晴らしいお芝居でした」「これからも頑張ってください」…等記入し、もちろんお金は受け取らずに帰りました。(だれも受け取ってなかったと思います)

いろんなハプニングが起きること…これもお芝居ならではのことですよね!

東京在住の20代のころは、小劇場が大好きで、いろんな劇団の公演を観て回りました。早稲田の大隈講堂裏に建てられた特設テントで鴻上尚史さん率いる「第三舞台」のお芝居も観たっけ…この「第三舞台」の役者さんで、オートバイ事故で亡くなってしまった岩谷真哉さん(大ファンだったのよ~)が、自分の役者紹介文に「たかが芝居 されど芝居」と書いていたのを、劇場の出口で悲痛な面持ちで立ちすくんで送り出しをしている役者さんたちを見ていて思い出しました…

ほんとにいい舞台を創っておられましたよ~!!
元気出してくださいよ~!!

もらい泣きしそうになりながら天神山文化プラザを後にしました…