Peace of Mind を求めて…

悲しいことがあっても、必ず新しい朝は来るのですよね

宮崎郁子人形展-エゴン・シーレ ぼくは死を愛し、そして生を愛す-

2009-03-22 23:08:50 | アート
天神山文化プラザで開催されている 宮崎郁子人形展-エゴン・シーレ ぼくは死を愛し、そして生を愛す- へ出かけました。

土曜日に行きたかったのに用事で行けず、残念に思っていたら、Y先生とI先生から「とてもよかった!」とメールが入り、これは絶対行かねば!と決意を新たにし、最終日の今日、駆け込みで観てきました。

天神山文化プラザ1階の広い会場に入ると、いきなり、裸体の夫婦、幼い子どものかなり大きな人形が視界にとびこんできました。
宮崎郁子さんのHPにも写真が載っている「家族」という作品です。

たくましい筋肉質の男、ふくよかな女…両膝をたてて座る女の足の間から元気な顔をのぞかせる幼子…その無邪気な幼子の顔に比べ、額にしわを寄せて宙を見つめる男、視点の定まらない無表情の女…

3人のとるポーズもどこか不安定なのですが、表情もまたアンバランスで。。。それでいて、ものすごくインパクトがあり、「こっ、これはいったい何…!!!???」と、最初から度肝を抜かれました。

作品の後ろにも回ってがっしりした男の背中をじっくり眺めてみました。筋肉の動きが繊細に表現してあり、まるで生きているかのよう…

この「家族」を取り囲むようにぐるりと並んだ人形たちは、それぞれ異なったポーズをとっているのですが、普通の人物画に見られるような「座る」「立つ」「横になる」と言ったような単純なものではなく、不自然にさえ感じられる不思議なポーズが多く、眠っているか、起きていても空ろな表情をしています…

「家族」以外の人形はどれもやせていて、顔も細面…

薄暗い会場の中、無表情で静かに死の空気をまとい、佇んでいる甘美な人形たちを眺めていると、だんだん怖くなってきてしまいました…どうしても、強制収容所に送られたユダヤ人たちのやせ衰えた姿、悲しみをたたえた目をイメージしてしまうんですね。
(ヒットラーは、シーレと同じ美術学校を受験して失敗したそうです。。。どんな絵を描いていたんでしょう…?)

一緒に行った娘Sも、ずっと「こわい~」とつぶやいていて、早くこの会場から出たそうにしていました。(笑)
家にこんな人形が置いてあったら、結構びびりますね、きっと!(笑)

そんな中で、私が一番惹かれたのは、正装したシーレの人形です。

神経質そうで、それでいて諦念さえ感じさせるシーレのニヒルなタキシード姿に惹きこまれ、会場におられた宮崎さんに「あの~、写真を撮らせてもらってもいいでしょうか?」とおききすると「あっ、いいですよ~」とのお返事をいただき、さっそく携帯で撮影させていただきました。

う~ん!この怪しい感じがなんともいえず素敵~!!!(笑)

宮崎郁子さんは1995年にシーレの画集を手に取ったことからシーレの絵に魅せられ、人形によるシーレ作品の制作を始められたそうです。

シーレの絵も個性的で魅かれますが、2次元の世界を3次元に広げたことで、シーレの絵を元にしながらも、宮崎さんが解釈された宮崎さん独自の死生観が表現されていたように思いました。

天神山文化プラザのあの広い空間が、宮崎さんの独特の世界で満ちあふれていて素晴らしかったです☆

そして何にも無くなった!

2009-03-15 23:23:29 | 
娘Sが横浜へ引っ越す日が近づいてきました。

ピアノを専攻するので、楽器演奏可能な音大生用のマンションへ入居します。(早い時期に捜したので、格安物件を見つけました!)

最初、横浜でピアノをレンタルすることを考えたのですが、業者に見積もりを頼むと、当然のようにグランドピアノの見積もりを送ってきて、毎月2万円以上かかるものばかり…。

確かにグランドピアノとアップライトピアノとではタッチが全然違うので、娘Sもコンクールに出る前などは、私の実家に通ってグランドピアノで練習したりしていましたが、普段は我が家の古~いアップライトピアノ(私が子どものころ使っていたもの)をずっと愛用してきました。アトラスという会社のピアノで鍵盤が象牙で出来ています。(今ではワシントン条約で禁止されてますよね!)色も赤みがかった茶色で、弾いた感じも硬くて重厚なので、このピアノで練習しておくと、他のピアノを弾いたとき、とても軽く感じて手がよく動く!と娘は言っていました。

娘Sもこのピアノに愛着があり、自分はピアニストを目指しているわけではないからこのピアノで十分だと言うので、岡山から神奈川のマンションまで搬送することになりました。

我が家の居間にはヤマハのアビテックス(防音室)があり、その中にこのアトラスピアノが収まっています。

娘が小学校2年生のとき、コンクールに出るため朝からガンガンピアノを鳴らしていたら、隣に住む受験生の娘さんから苦情が出、近所迷惑にならないよう、アビテックスを購入したのです。(展示品だったので格安で購入しました!)

ピアノを搬送するにあたり、まずこのアビテックスを撤去する必要があります。

ヤマハにお願いして、昨日アビテックスを取り払ってもらいました。撤去に費用がかかりましたが、もし売れたらお金が返ってくるとのこと…古い型のものなので、期待はしていませんが…。

最後にアビテックスの写真を撮っておきました。(中で娘Tがヴァイオリンを弾いています)

おじさんが2人がかりで周りの板を取り外していき、「このピアノ重てえの~(重たいなあ)」と言いながらピアノを持ち上げて横へずらし、底面の板も撤去しました。

ピアノを元の位置に戻すとき、おじさんたちが大変だ!と思い、抱っこひものような平たい紐を身体に斜めにかけ、ピアノの足に通して肩でかつごうとしているおじさん達に「手伝います!」と駆け寄り、ピアノに手をかけたら、「あっ、結構です!!」と断られました。(笑)素人は邪魔だったようですね!

アビッテックスを取り払い、ピアノが中から出てきました。(またまたTがヴァイオリン弾いてます!)

木の色が柔らかい茶色なので、我が家の居間にはよくマッチしていて、持っていってしまうのがちょっと惜しいような気もしてきましたが仕方がありません。

そして今日、とうとう運送屋さんがとりに来てくれ、ピアノは運ばれていきました。(トラックに積み込むまでも、また大変な作業でした。重たいものを身体を張って運んでくださる方たち、どうか身体をこわされませんように!)

アビテックスもピアノも無くなり、居間にぽっかりと大きな空間ができました。
今まであったものが急に無くなると、なんだか不思議な感じです。

次は娘Sの引越しです。
我が家にもっと大きな穴がぽっかり空いてしまいそうですが、娘の成長を願って笑顔で送り出してやろうと思います。

卒業式に出席しました!

2009-03-01 23:39:51 | 
3月1日は娘Sの高校の卒業式でした。

10時開式に合わせ、夫と2人9時20分ごろ着いたら、すでに体育館には大勢の保護者が着席し、静かに式の開始を待っていました。日曜日ということもあり、お父さんたちの姿も大勢見られます。

10時になると体育館の2階から、吹奏楽部・管弦楽部で編成されたオーケストラと、合唱部や音楽系の生徒たちによる合唱で、シベリウスの交響詩「フィンランディア」の演奏が始まりました。この曲の荘厳な雰囲気に合唱が加わることで、とてもすがすがしい気持ちになりました☆

式典はお決まりの国歌斉唱(起立しない人はいなかったようです…)→卒業証書授与→校長式辞→岡山県教育委員会祝辞→来賓祝辞→在校生代表送辞→卒業生代表答辞→蛍の光斉唱→校歌斉唱→閉式の辞 と進んでいったのですが、なんといっても心打たれたのは「卒業生代表答辞」でした。

きりっとしてかわいらしい、代表の女子生徒による答辞は、3年団の先生たちがどんなに自分たちを励まし、悩んでいるとき声をかけてくれ、いつも優しく見守ってくれたか…そのことでどれだけ助けられ、救われたか…

そして、学校に行けばみんなに会える!楽しいことがある!と思うことでつらいことも乗り越えられた!と、大好きな仲間たちにあてたあふれる思い…それは卒業生の(おそらく)全員が強く感じていたであろう共通の思いを、感極まって涙声で代弁しながら、一生懸命伝えてくれました。(娘たちはここでみんなそろって号泣していたらしい!!)

先生方や仲間に対する感謝の辞の後は、両親に対する思いを語ってくれました。

いつも自分たちのことを一番大切に思ってくれ、世話をしてくれているのに素直になれず、思うようにいかないことがあると、八つ当たりしたり反抗したりして…ごめんなさい…これから一生懸命頑張って一回りも二回りも成長していくので、どうぞ見守っていてください…というような内容でした。(ここで、周りにいた大勢のお母さんたち、お父さんたちがそろってハンカチで目をぬぐっていました!! 私もウルウルしてしまいました!)

みんなで校歌を歌い、在校生が「草原の別れ」という美しい歌を歌ってくれた後、オーケストラによるエルガーの「威風堂々」の演奏に見送られ、卒業生が退場していきました。男の子も女の子も、泣きながら手を繋いだり、肩を組んだりしていて…本当にみんな、この学校が好きだったんだな~と見ている方も、あったかい気持ちになったのでした。(娘Sも号泣しながら仲良しのNちゃんと肩を組んで退場していきました!)

閉式後、3年団の先生方が一列に並び、挨拶をしてくださいました。
そのとき学年主任の先生が話してくださった言葉がまた、ぐっときました!

センター入試が終わって一息ついたある日のこと、1人の男子生徒が職員室にやってきてこんな話をしたそうです。

「先生、うちのお母さんは本当にすごいと思う。僕のことや妹のことやお父さんのことで、うちはほんとに大変なことばっかりなのに、お母さんはいっつもにこにこしとるんじゃ」と…

それを聞いて学年主任の先生は、心の中で
「お父さんも結構大変なんだけどな~」と思われたらしいのですが(笑)
「それなら、その気持ちをお母さんに伝えてあげた方がいいよ」と言うと
その男の子は「それが言えんのんじゃ~(言えないんです)」と言ったそうです。

それを隣で聞いていた別の先生が
「大丈夫大丈夫!僕もなかなか言えんかったけど、40歳になったら言えるようになったわ。だから大丈夫じゃ」と言われたそうです。

学年主任の先生は最後に「今は親に対する感謝の気持ちがなかなか素直に表現できない年頃なので、いろいろと腹が立つこともあるでしょうが、あと20年待ってやってください。」と言ってくださいました。

答辞を聞いて泣いていたお父さん、お母さん達の姿…それから学年主任の先生のこのお話を聞いて、私はものすごく心を慰められたのです。

あ~! 子どもと心が通じ合わなくて苦しみ、悩んできたのは私だけじゃないんだな~!!と…

今でも、どれだけ私がしんどい思いをしていても、自分のことしか考えずに行動するSの態度には腹の立つことばかり!!!…でも仕方ありません!あと20年待ってやることにしましょう!(笑)

式の後は、中庭で音楽系3年生最後の中庭コンサートが開かれました。
学年団の先生方も一緒に歌ったり、踊ったり、コントをしてくれたり…
娘Sも、クラスメートたちと一緒に受験の合間を縫って練習に励んできた成果を見せてくれました。(ギャグ満載でした!)

最後は、「来たれ!卒業生たち!!」ブオ~!!(ほら貝の音!)の合図で卒業生たちがどっと中庭に押し寄せ、校歌を大合唱した後、学年主任の先生に豪華な花束をプレゼントし、胴上げしてコンサートは無事終了しました。


3年間、大好きな学校で、大好きな先生方と、大好きな仲間たちに囲まれて過ごすことができた娘は本当に幸せでした☆
家族にもたくさんの楽しい思い出を残してくれました。ありがとう!!!!!