
3本共、映画館で上映されていた際、とっても観たかったのに見逃していた作品です。
★『檸檬のころ』(監督:岩田 ユキ)

携帯電話は登場せず、女子の制服のスカートは膝小僧が隠れるくらい長い!!
いじめも出てこないし、男女交際(古!)も清らかで初々しさに溢れている☆☆
○十年も昔、自分が高校生だったころを思い出してしまいました。(テヘ!)
秋元(榮倉奈々)と西(石田法嗣)の中学時代の淡い思い出…秋元はレモン味の愛用しているリップクリームで…あとはヒミツ


この微妙な三角関係と、音楽を通じて心を通わせる白田(谷村美月☆演技うまい!)と辻本(林直次郎☆演技ヘタだけど歌うまい!)の恋愛模様が交錯していきます…キラキラとまぶしいくらい5人が輝いていてとても素敵でした


欲を言えば、柄本佑と石田法嗣の配役が逆だった方がよかったかなぁ~?
柄本佑は、さわやか☆っというよりはちょっと怪しい雰囲気があるので、榮倉奈々と並ぶと少し違和感が…
でも、繊細で切ない気持ちをうまく表現している、私の好きな雰囲気が流れている愛おしい作品でした


★『ピアノの森』(監督:小島 正幸)

いくらコツコツ真面目に時間をかけて一生懸命努力しても、「素質」という、生まれつき備わっている、神様が選んだ者にだけ与えた才能には勝てないことがある…
悲しいけれど、それが現実です…
森の中に捨てられたピアノを友とし、貧しいけれど自由奔放に育った自然児カイの弾く、日本のコンクールレベルからはみ出してしまうほど天才的なピアノ演奏を聴き、有名ピアニストの父のもと、言われるまま英才教育を受け、自分もピアニストになることをめざしてひたすら練習に励んできた雨宮はショックを受け、強い劣等感を持つ…
我が家の娘Sも微力ながら、小学1年のときからピアノ、エレクトーンアンサンブル、オリジナル曲等、数々のコンクールに出場したので、才能あふれる出場者たちの素晴らしい演奏をたくさん聞かせてもらってきました…。
そういう、生まれつきの「素質」というものに恵まれている人たちを何人も見てきたので、ショックを受ける雨宮の気持ちがよ~く分かります。(といっても雨宮だって充分実力も才能も素質もある逸材なんですが…)
いったんカイの素質を見抜いてしまうと、いくら阿字野先生に「人と比べる必要はない」「もっと自分のピアノを好きになったほうがいい」…と言われてもちっとも慰めにはならないんだよねぇ。。。
そうそう、映画の中で流れるピアノ演奏…なんだかぶっきらぼうで唐突な弾き方でヘタだなぁ~~と思っていたら、最後のエンドロールでアシュケナージの演奏だったことが判明!!!
アシュケナージを敵に回し



娘Sのときのことをいろいろ思い出し、身につまされる場面も多く(Sはコンクールの前日によく熱を出し、下痢に苦しめられましたっけ…)、またモーツァルトとサリエリのことを思い出したりしながら、惹きこまれた作品でした。
★『善き人のためのソナタ』(監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク)

最後に意外なサプライズが隠されていて救いがあり、後味の良い作品に仕上がっているのですが、観終わった後一番に思ったのは、「ちょっと甘すぎるんじゃないかなぁ~!」という疑念でした。
旧東ドイツで、共産主義体制を保持するための恐ろしい秘密組織「シュタージ」の忠実なしもべとして、(多分)罪のない一般市民に非人道的な尋問を繰り返し、それに何の疑問も持たずに長年生きてきたヴィースラー…
そんな彼が、劇作家ドライマン、その恋人クリスタや友人たちの会話、奏でる音楽を盗聴するうち、彼らの自由な思想や美しい音楽に触れ、あれほど信奉していたシュタージの任務を捨て、彼らのために陰ながら協力さえするようになるのですが…
おそらく数えきれないほど多くの一般市民の生活を監視し、罪のない人々を牢獄へ送り込んできたであろうヴィースラーが、なぜ急にそんなに人間的な感情を取り戻したのかが少し納得できなかったのです…
おそらくシュタージ内部の腐敗を感じ取り、自分が信じてきたものに対する不信感がつのっていたこともあるのでしょうが…
題名にもなっているピアノソナタも、私にとってはそれほど印象深い音楽には聴こえなかったため、ヴィースラーのほほを伝わる涙を見ても、「???…」だったのです…(私の感性が鈍いと言われたらそれまでですが…

ユダヤ人ピアニスト・シュピルマンの回想録をもとに制作された映画『戦場のピアニスト』にはかなりの衝撃と同時に深い感銘を覚えましたが、強制移住や大量殺戮の恐怖を生き延びたシュピルマンを最後に救ったのは、ドイツ軍将校ヴィルム・ホーゼンフェルトでした…
戦後シュピルマンは、ホーゼンフェルト大尉を探し出し、なんとか助けようと尽力したけれど、結局ホーゼンフェルトはソヴィエトの戦犯捕虜収容所で死ぬのです…
ヴィースラーにしろホーゼンフェルトにしろ、1人の人間を救ったからと言って、それまでの大罪がすべて払拭されてしまうわけではない…ヴィースラー自身の心は最後に救われただろうけれど、彼の後ろには、彼によって人生を狂わされてしまった多数の犠牲者がいる…と考えてしまい、この作品の最後に素直に感動できなかった、ちょっとへそ曲がりな私なのでした。