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遊里跡の探訪録など。
ブログの日時は、行動日・撮影日に合わせております。

金魚養殖場

2012年01月08日 14時00分00秒 | 風景・街
大和郡山市を地図で見ると、水色で四角く塗られた場所が異様に多いことに気づく。
水田のようにも見えるが、水田は水色に塗らない。正解は金魚の養殖場である。


遠くまでつづく養殖池。池の中に、ところどころ赤く染まっている部分がある。


赤い部分に目をやると、金魚が群れているのが見える。
あまり動かないのは寒いせいだろう。


池の状態は、お世辞にもきれいとはいいがたい。
もともとこういう育て方なのか、あるいは廃業して放置されているのか。


こちらの金魚は、金魚すくいでおなじみのサイズ。

大和郡山 東岡町 ~拾遺編~

2012年01月08日 13時30分00秒 | ◆近畿
東岡町についてもう少し。

伝聞によると、東岡町は、売防法施行後もしばらく同じような商売をつづけていたらしい。
町内に点在する旅館跡が、じつはそういう場所だったのか、いまとなってはわからない。

 
旅館の看板がそのまま残る二軒。
Googleマップにはいまも旅館名が記されているが、どちらも現役の気配は感じられない。


空き地にタイルが残っていた。丸いタイルはめずらしい。


洋風の面格子と和風の出格子の競演。
じっと見ていると、なんだか合成写真のように思えてくる。

 
小型のかまどと細長い煙突。なんの設備だろうか。


おそらく当時の建物ではないと思うが、山路文のタイルが気に入って撮影。


踏切(近鉄橿原線)の向こうに、カフェーのような建物が見える。気になる外観をしている。

 
踏切を渡り、近づいてみると、それは和と洋が合体した不思議な建物だった。
遺構である可能性も否定できないが、自分の直感を信じるなら、おそらく関係あるまい。

大和郡山 東岡町

2012年01月08日 13時00分00秒 | ◆近畿
遊廓→赤線
昭和5年ごろ、業者数21、娼妓数190

 
[左]迫力のある三階建て。明らかに廃墟化しており、玄関はひどいありさま。
[右]格子の奥にこんな趣向が残っていた。すりガラスに薔薇が描かれている。

 
大理石の城を連想させる重々しいデザインが印象的。
和風の三階家を改築してこういう姿になったようで、三階には美しい格子が連なっている。

 
居酒屋として余生を過ごしていたとおぼしき和風建築。一部が三階建てになっている。


奥から正面に向かって、一階、二階、三階、と階数が上がっていく。
正面を立派に見せるという意図はもちろん、採光も考慮に入れて設計されたのだろう。


腰にスクラッチタイルが施されている。カフェー的な風情も感じられるが、確信は持てず。

 
三層楼が軒を並べる。洞泉寺町を含め、大和郡山では三階建てが標準だったようだ。
右の建物は、青い壁、タイル、出格子、組子欄間といった意匠で構成されている。


しゃれた外灯がきれいに形状をとどめている。「吉乃」は屋号だろう。

大和郡山 洞泉寺町

2012年01月08日 12時30分00秒 | ◆近畿
遊廓→赤線
昭和5年ごろ、業者数17、娼妓数150

 
洞泉寺町にたどり着いた時、まず目につくのがこの一軒。
二階を見ると、何かを載せる台座のような謎の張り出しが二つ。これはなんだろう。


かなり奥行きのある物件。軒下に残る照明は、ほかの建物でも同種のものが見られる。
気になるのは三階の櫓のような部分。アングルが厳しく、全体を撮影できなかった。

 
定番の出格子に組子欄間。組子の模様は網代柄をモチーフにしたものだろうか。
見上げると三階建てであることがわかる。最上階まで張られた格子が美しい。


こちらも三階建て。三階建てならではの迫力と、格子の繊細な造りが絶妙なバランス。
手入れのよさも加わって、その眺めは格別だ。


上記の建物の側面。くり抜かれた三連のハートが強烈な存在感を放っている。
いまの感覚で見れば明らかにハートだが、当時はどのようなニュアンスだったのだろうか。

 
[左]相当な規模だが、右奥は住居かもしれない。二重庇が家屋に風格を与えている。
[右]玄関と格子窓。格子の太さが左右でまったく違うのがおもしろい。


上記建物の門上の瓦。珍品ともいえる魚の瓦だが、なんの魚かわからない。
体型的に近いのは鯛、口ひげの特徴を持つのは鯉、産地として有名なのは金魚。
個人的にはこの土地ならではの金魚を推したいところだが、はたして。

貝塚(2)

2012年01月08日 10時30分00秒 | ◆近畿
貝塚探索のつづき。

 
[左]和洋折衷の建物。張り出したうだつ、窓の出っ張り、ささやかな洋瓦が特徴。
[右]奥の入口が相当古そうに見える。元和風建築を洋風に改築したのかもしれない。

 
和のテイストも感じられるカフェー建築。腰がスクラッチタイル張りになっている。
ひし形の飾り窓と不自然な二つの入口が、ただの住宅ではないことを物語っている。


カフェー調の外観に一瞬これはと思ったが、改装にしても新しすぎるような気がする。

 
和風建築の正面をカフェー風に改めたもののようだ。二階には和風の格子がそのまま。
カフェー調の上の部分が、非常に微妙なカーブを描いている。


かなりリフォームされているが、独特のうだつや玄関脇のアールにかつての面影が残る。

 
界隈随一の存在感を放つ現役料亭。建物も立派なら、見越しの松もまた美しい。
歴史を感じさせる景観で、気軽に入れる雰囲気ではないが、いつか入ってみたいものだ。

 
連続するアーチ窓が象徴的なカフェー建築。左のほうには和風の意匠も見て取れる。
入口脇のタイルが鮮やかだが、タイルがこの部分にしか見られないのは不思議だ。

貝塚(1)

2012年01月08日 10時00分00秒 | ◆近畿
遊廓→赤線
昭和5年ごろ、業者数43、娼妓数270


二階の下窓に施された、かぼちゃを模したような彫り抜きがおもしろい。
腰まわりはタイル張り。ひかえめな色あいが、和風のこの建物と調和している。

 
[左]上記物件の側面。中庭は見栄えのよさだけでなく、採光や通風に効果を発揮する。
[右]門の奥に「わかたけ」の屋号が。植物の透かし彫りは、竹の葉とたけのこか。

 
旅館風の建物。玄関脇に看板か照明灯だったとおぼしきポールが残っている。
二階の装飾は謎だが、この装飾によって印象的な建物になっているのは間違いない。

 
等間隔に並ぶ凹凸、突出部に貼られた黒タイル、同じ形状の窓が特色のカフェー建築。
玄関まわりの赤タイルが彩りを添えている。床には色あせた市松模様のタイルが残る。

 
年季を感じさせる和風建築。窓を見ると、奥の桟が凝っているのが確認できる。

 
[左]上記の物件の奥のほう。鉄平石が映える居酒屋風のたたずまい。
[右]とんでもない角度の入口にびっくり。プレートの文字は読み取れなかった。


二階全面を覆う型破りな格子。おもしろいというより、慄然に近いものを感じる。
まるで誰かが脱走するのを恐れているかのようだ。というのは考えすぎだろうか。

末広稲荷神社

2012年01月08日 08時00分00秒 | ◆近畿
新今里公園内にある、今里新地ゆかりの神社。


鳥居の裏側には「今里新地内」と書かれているはずだが、うっかり見逃してしまった。


こぢんまりとした本殿。


玉垣に刻まれている「今里土地株式会社」は、今里新地の土地開発をおこなった会社。
このあたり一帯の土地を所有していた大阪電気軌道株式会社(現在の近鉄)が、
子会社として今里土地株式会社を立ち上げ、新地創設に着手した。

大阪 今里(2)

2012年01月08日 07時30分00秒 | ◆近畿
さらに今里をうろうろ。


塀のような壁が二階を覆う。撮影時は改築の一種だろうと大して気に留めなかったが、
あらためて写真で見るとかなり異様だ。じっくり観察しなかったのが悔やまれる。


石材の使い方に目を見張った。一階の腰の石材は普通の石のように見える。

 
気になった二軒。二階の軒下の造りがよく似ている。
緑青色は錆びのせいかもしれないが、このふくらみはどういった趣向なのだろう。

 
淡い色彩と薄手の木材が、建物の軽妙なムードを生み出しているようだ。
手前の植え込みはかなり成長している様子。昔は遊客の往来を眺めていたのだろうか。

 
十字路にて、複数の建物を視野に入れながら何度かシャッターを切る。
気のせいか、角地の建物は、昔のまま建て替えられていない確率が高いように思えた。


ふたたび黒タイルの建物。そういえば、カラフルなタイルの建物はまったく見あたらない。
今里全体で統一の意向があったとしたら興味深いが、そのような趣旨はないのだろう。

 
さらに黒タイル。飴色のタイルが存在を主張するも、それ以上に黒タイルが際立っている。

今回は現役の界隈のみを歩いたが、かつての今里は、もっと広範囲に及んでいたようだ。
また訪れる機会があったら、今度はもっと範囲を広げて歩いてみたい。

大阪 今里(1)

2012年01月08日 07時00分00秒 | ◆近畿
花街→二枚鑑札→赤線
昭和4年、業者数10、芸妓数24
昭和30年、業者数100、芸娼妓数300

 
[左]この小さな規模で、引き戸の入口が二つ。欄間の造りが一風変わっている。
[右]よく見ると、窓の内側が扉になっているようだ。構造から推して観音開きだろうか。


黒いタイルが特徴的だと眺めていたら、この後たびたび黒タイルに遭遇することになる。
二階の壁の赤い塗装は、妓楼としてはポピュラーな色づかい。

 
[左]二階にこのような形の出格子というのは、案外めずらしいかもしれない。
[右]玄関の上部。照明の覆いに、四つ割り菱を彷彿とさせる正方形が描かれている。


玄関のつややかな丸太柱、くり抜きの欄干など、往時を偲ばせる面影が随所に残る。
ほかの妓楼ではめったに見ることのない、だいだい色の壁が印象的だ。


角地に残る重厚な物件。先ほど触れていた黒タイルがここで現れる。
リフォームされている一階も、かつては黒タイルが貼られていたのかもしれない。

 
落ち着いたトーンの和風建築。釣鐘窓の意匠がただの住宅ではないことを物語っている。

 
花街を思わせる風流なたたずまい。三味線の調べが聞こえてきそうな雰囲気がただよう。
花街から出発した今里の歴史を考えれば、あながち見当違いともいえないかもしれない。

八幡 橋本 ~拾遺編~

2012年01月07日 16時30分00秒 | ◇京都
もう少し橋本を紹介。

 
ビニールシートに覆われた建物。どうやら一部が崩れてしまったらしい。
横からのぞくと、凝った造りの玄関が。まもなく取り壊されると思うと残念でならない。

 
上の建物の行く末を示すような空き地。地面にはタイルが残っている。
遺構の少ない地域なら、こういう残留物でもうれしくなるが、ここでは寂しさが先に立つ。


大谷川越しに遺構の裏手を望む。すぐ西(写真でいうと左方)には淀川が流れている。
昔は、淀川を舟で渡ってきた遊客が、こちらからも店に上がれるよう整備していたという。

 
裏手から見た時、特に目を引くのがこちら。丸窓、ステンドグラス、二階の手すりが特徴。
こちら側を客に見られることを充分に意識したデザインといえる。

 
[左]橋げたの跡。
[右]対岸からの様子。かつてはこの位置から淀川を望むことができたのかもしれない。


新築の家の庭先に古そうな灯籠を発見。往時は川べりを照らしていたのだろうか。
よく見ると、この支柱は伸縮式のようだ。それほど年代物ではないような気がしてきた。


現役のレトロな銭湯、橋本湯。
何枚か写真を撮っていたら、ご主人とおぼしき方に声をかけられた。
現在放映中の『のど黒飴』のコマーシャルのロケに、橋本湯が使われているそうだ。
ネットでも視聴できるとうかがい、帰宅後さっそくチェックすると、おおっ、まさしく橋本湯。
いい映像を見ることができ、ご主人に感謝。

八幡 橋本(2)

2012年01月07日 15時30分00秒 | ◇京都
ひきつづき橋本を歩く。幸い、雨はあがっている。


ほぼ茶系統ながら華やかな雰囲気をまとう建物。一階と二階の欄間の対比が印象深い。
植え込みの後ろには隠れた出格子が。こういう太い格子は橋本で多数見られた。

 
[左]この間口でこの奥行き。正面から見ただけではわからない懐の深さに驚かされる。
[右]新旧の防火設備が並ぶ。防火水槽には「榮樓」の屋号。末長く残っていてほしい。

 
一階壁面のタイルが見事だが、これは近年新しく貼られた可能性もあるか。
床の亀甲タイルは往年のものだろう。不規則に散らばめられた色タイルがアクセントに。


スタイリッシュな窓がずらりと並んだ二階。まるで鏡台が連なっているように見える。

 
[左]擬宝珠の高欄、彫刻欄間、鮮やかなタイル。この小規模で懲り方が半端ではない。
[右]軒天井に市松模様を仕込む徹底ぶり。一の字つなぎの格子なんてはじめて見た。

 
[左]いろいろなタイルが用いられている。とりわけ床の独特な模様が印象に残った。
[右]格子とタイルがカーブを描く。こういうきれいなカーブは技術的に相当難しいという。

 
かなり改修されているものの、丸太を並べた装飾は昔のままと思われる。
手前のへこみをのぞくと色鮮やかなタイルが。それにしても、このへこみはなんだろうか。

八幡 橋本(1)

2012年01月07日 14時30分00秒 | ◇京都
遊廓(芸娼混在)→赤線
大正元年、業者数16、娼妓数31、芸妓数22
昭和4年、業者数27、娼妓数60
昭和30年、業者数75、娼妓数262

橋本駅に到着したあたりから、ぽつぽつと小雨が降りはじめた。
カメラをかばいつつ、軒をお借りしつつ探索をおこなう。

 
[左]太い出格子とその下の山路文が目を引く。玄関の豆タイルの装飾も見逃せない。
[右]欄間の桟の組み方がおもしろい。中央には屋号が埋め込まれている。


入口を左右に配した典型的な店構え。よく見ると、妻側にも使われていない入口がある。
腰のタイル、玄関の欄間、二階の欄干など、外装にも多くの工夫が見られる。

 
入口が近い位置に並ぶ。右側の入口は直接二階へ通じているのだろうか。
欄間に施された鯉の透かし彫りは見事の一語。

 
現役らしい多津美旅館。橋本では数少ない洋風建築。ステンドグラスが美しい。
旅館内に、男女が踊る大型のステンドグラスがあることで知られる。いつか見てみたい。


黒い壁が重厚な和風建築。銀行の地図記号を思わせるくり抜き窓がユニークだ。


タイル張りが目を引く玄関まわり。住人がいないのか、庇が傾いているのが心配。

 
[左]格子と赤壁が特色の和風建築。くすんだ赤壁も、往時はもっと華美だったことだろう。
[右]雷文のような連続文様。この手の建物で雷文はめずらしい気がする。