旅の二日目、白樺湖からほど近い御泉水自然園を散策する。この散策については別の文章で紹介する予定だが、この自然園の一角は、天気のせいもあったが、実に美しく整備され、すがすがしい風景が広がっていた。ここは、どこ?と思ってしまうような風景。なんだか写真でしか見たことのないような北欧の風景を思い浮かべてしまう。
ふと感じたこと、空気の香りが全く浜松や東京と違うのだ。なぜか、香りから蘇ったのは自分の行ったことのあるヨーロッパの空気である。スイスだったか、オランダだったか…。どこだか思い出せないのだが、はるか10年以上前の香り、感覚が不思議と蘇ってくる。
香りは記憶と結びついている。ぼくにとって、この御泉水自然園の香りは、懐かしい、もう戻れない素敵な記憶の一片と結びついた。その瞬間、芋づるのようにその時代の良い思い出ばかりが次から次へと脳裏に映し出されていく。至福の扉はいつ、どんな瞬間に現れ、開くのか、誰にもわからないものだ。