前回出てきたイエントル、原題は「イエントル」なのですが、日本語題名は「
愛のイエントル」。
私は何年も前にユダヤ映画週間で見ました。
重いテーマなのですが、コミカルに描かれていて好感が持てました。
原題は単に人名なのに、日本語では「愛の」という形容詞が加えられています。
原作者の
アイザック・バシュヴィス・シンガーが殆ど知られていない日本で「イエントル」だけでは「寂しい」ということかも知れません。
ここから更に脱線してユダヤの伝統文化の美しい「小物」を思い出しました。
人差し指を伸ばした手の付いている小さな棒です。あらゆる素材の製品があり、装飾のないシンプルなものから宝石をちりばめたものまで多種多様。
ユダヤ教の聖典であるトーラーの巻物を読むときに用います。
トーラー(トーラ、あるいはモーセ五書)の巻物は羊皮紙に手書きされているので、直接触れると汚したりする恐れがあるため、この「指し棒」を使うのです。大きな巻物に多くの行があるため、「指し棒」なしでは読んでいる個所が分からなくなりそうです。
英語の「トーラーポインター」が日本でも使われているようですが、ヘブライ語では「ヤド」で手のことです。アラビア語でも「ヤド」です。
いずれも
セム語派に属し親戚筋の言語なのです。多分アラビア語とヘブライ語で話し合っても、だいたい通じるだろうと思います。
以前にイタリア人とメキシコ人が、イタリア語とスペイン語で普通に会話していたので、ヘブライ語とアラビア語も同様ではないかと思います。
英語ウィキ:
Yad
更に脱線しまして・・・
外国映画が日本で上映されるとき、まるで原題と違うことがあります。
すぐ思いつくのは「
突然炎のごとく」です。
自分では見たことがないのに大好きなのは
オスカー・ウェルナーが登場するためでもあります。
この映画の原題は単に「ジュールとジム」です。
この題名のほうが淡々としていてドラマチックな内容と好対照だと思うのですが、原題のままだと日本では観客動員にマイナスになるかなぁ