詩集「2N世代」

詩作品、短編、評論、エッセイ他: Blogタイトルと内容がこの数年異なってきた。タイトルを変えたほうがいいかもしれない。

The Ghost In Your Genes (2006)

2011年12月10日 10時39分49秒 | Bruxelles talks

The Ghost In Your Genes (2006)
BBC Documentary about new research in medical science that is bringing one shocking reality into focus: what you put into your body,what you experience in your life becomes a part of you to the level of your DNA; and it's passed on to the next generation forever more.あなたがどんな人生を送ったかということがあなたの遺伝子に書き込まれ、所謂生物学的な遺伝と無関係な記憶までが、子孫に遺伝するとこの解説で受け止めたのだが、映像を見てみると、それが端的に現れるのは受精後の細胞分裂中に起こりやすいと解釈できる。胎教の状態が赤ちゃんに伝わるということなら、日本では以前から当然のこととされている。また幼児期の体験がその子の遺伝子に書き込まれて次の時代まで伝達されるというのなら、これは幼児環境の問題で以前からいわれていたことである。shocking realityでもなんでもない。新しいと言えば、それが遺伝子に書き込まれて何世代も後の遺伝子にまで伝達されるということだろう。
それより、もっと拡大解釈して、いかに生きたか何を体験したか、その記憶そのものが遺伝子に書き込まれ、次世代に伝わると仮定したほうが、もっと意味のあるshocking realityになるだろう。
フロイトの幼児体験が潜在意識化するということの、遺伝子版だともいえるし、遺伝子で発想すると当然それは遺伝するわけだ。
幼児虐待を受けた子供は、無意識に幼児虐待する親になるという説もある。またこれは俗説であるが、親が離婚した子供は、離婚する確率が高いとも言われている。また子供は親を模倣して育つのであるから、道徳観の欠落した親からは道徳観の欠落した子供が育ちやすい。
顔が似ているとか、肌の色とか、髪の毛の色とか、そういった明らかな遺伝子的伝達のみならず、後天的な体験が記憶として遺伝子に転写される、と捉えると、この映画はこの世の多くのことについて人々に説得力を与える。卑近な例になるが、私は時々覚えたことのない単語を知っていることがある。父や祖父が記憶してくれたものだと思っている。
9・11の映像も出てきたが、東北の震災を思い起こすと、これはある意味恐ろしい説である。見えない被害が実は遺伝子の中で顕在化されていて後世に禍根を残すということであれば、看過することのできないfilmである。遺伝子学は近年最も発達した研究分野であるが、その実態はまだまだ素人には届けられてはいない。