ダーレン・ラブは不思議な歌手だ。
人一倍の実力を持ちながら、フィル・スペクターの人気凋落とともに長く不遇な年月を過ごすことになってしまう。
一時は音楽業界から離れたり、ロニー・スペクターやマーサ・リーヴスなどと一緒に場末感漂う懐メロ番組で歌ったりしていたのが、「リーサル・ウエポン」シリーズ(1987年~)に役を得て、さらには「ホーム・アローン2」(1992年)の主題歌「オール・アローン・オン・クリスマス」が大ヒットし、今では毎年クリスマスの時期になると必ずテレビに招かれて「クリスマス(ベイビー・プリーズ・カム・ホーム)」を熱唱している。
彼女の大ファンが業界にたくさんいて、敬意とともに支援の手を差し伸べ続けた結果だろう。
(スピルバーグは「グレムリン」(1984年)のメインタイトル・バックにこの「クリスマス」を使っている。)
下の映像は、2010年2月に行なわれたソロコンサートのエンディング部分。
途中、2分20秒過ぎからの、観客と、大編成のバック・ミュージシャンたち、そして歌うことへの感謝の気持ちを体現したポージングは、何回観ても胸を打たれる。
「クリスマス(ベイビー・プリーズ・カム・ホーム)」は、アルバム「ア・クリスマス・ギフト・フォー・ユー・フロム・フィル・スペクター」中で唯一のオリジナル曲。レコードだとB面5曲目にあたる。