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このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。

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地平線

2022年02月14日 | ジョン・フォード

「捜索者」より

 

 「映画の巨人 ジョン・フォード」(2006年)は故ピーター・ボグダノビッチが1971年に撮影したドキュメンタリー映画を、テレビ用に新たな証言等も加えて再編集したものだ。

著名人が大挙登場してフォードに関するとっておきのエピソードを披露するのだが、とりわけ面白かったのが、15歳の映画小僧時代にフォードのオフィスを訪ねたというスティーブン・スピルバーグ監督の回想談だ。

オフィスで待っていると、フォードが騒々しく現れる。

映画監督志望だと話したスピルバーグへ、フォードは言った。

「壁に絵が掛かってるだろ。」

西部の絵だった。

「あの絵に何が見えるか言ってみろ」

「馬に乗った先住民がいます 」

「そうじゃない、地平線(ホライズン)はどこだ? 地平線が見えんか? 」

地平線を指さすと、

「さすな。どこにある? 絵全体を見て地平線は?」

「絵の一番下です」

「よし、次の絵だ」

次の絵の前に立つと

「地平線はどこだ?」

「絵の一番上にあります」

こっちへ来いと言われ、彼の机のそばに行った。

彼は言った。

「つまり地平線の位置を画面の一番下にするか、一番上にする方が真ん中に置くよりずっといい。そうすればいつか良い監督になれるかもしれん 。以上、終わり!」

 

 フォードの作品と地平線については、このドキュメンタリーが製作される以前から批評家たちがさかんに論じていたし、僕を含むフォード映画の愛好家たちも気づいてはいたが、こうしてはっきり証言されたのは初めてだった。

それだけに、(気難しいフォードがこんな大事なことを初対面の子供に話すか?と)かえって眉唾なのだが、フォードの口真似を交えて語るスピルバーグが心底楽しそうで、信じることにしよう。

 

20分15秒から。

 

「怒りの葡萄」

 

「荒野の決闘 いとしのクレメンタイン」

 

ボグダノビッチの「ペーパー・ムーン」

 

 

 

 

コメント (2)
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