このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
日頃親しくしている小規模多機能ホームカムパネルラのN管理者から、実地指導にかかる各種書類の整理を依頼された私は快く引き受け、ホームへと向かった。
Nさんはなにごとも慎重に進める、穏やかな性格の女性だった。
テーブルをはさんで向き合い、どのように仕分けてほしいのか大まかに聞き取って、すぐに作業にかかった。
少ししてふと顔を上げると、N管理者の手が止まっている。
そればかりか、大きな目は涙で潤んでいた。
どうしたの、と尋ねると、彼女は話し始めた。
古い契約書やケアプランなど、どの書類を見ても、退職された上司の優しい面影が思い出されてとても寂しくなる。
特にこの事務室には自戒のメモ書きがあちこちに残っているし、参考文献を開くとやはりメモや付箋があって、あの方も迷ってこのページを読んだのかな、その時部下だった私は何もお役に立たなかったな、と申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
この管理者の席に座って仕事をしながら思うのは、そのドアから上司が現れて、以前のようにNさん大丈夫?と声を掛けて下さらないかな、ということばかりなの。
私は言った、そういう時は、その方がまだNPO法人なごやかのどこかの事業所にいらっしゃると思いましょうよ。いなくなった、ではなく、どこかにいらして、私たちをこれまでと同様に気にかけて下さっている、と。
「できるかしら?」
Nさんは顔を上げ、涙をぬぐった。