「社会福祉法人千優会の井浦でございます。
はじめに、今年度は別法人ではありますが、昨年6月のけせもい地域包括支援センター公募に続き、再度このような機会を賜りましたことに、心より感謝申し上げます。
今回の応募の動機につきましては、当法人が医療法人北海道会様から今年度末にかめしまハートフルケアセンターを事業譲渡されることによるものです。
この案件につきましては、市内事業者がためらって長引く間に、亀島地域の主たる介護サービスがほぼ失われかねないことからお引き受けいたしましたが、その継続と、30名以上の介護職員の雇用の維持という重い役割を担うことにもなりました。
その中で、当地域包括支援センターにつきましても、現在業務に当たっている有資格職員たちから引き続き同職にとどまり、地元に貢献したいのでぜひ応募・受託して欲しいと強く懇願されています。
当法人、当職としましては、職員たちのこの思いに応え、また当法人の持つ事業運営ノウハウも活用して、今あるセンターをさらに長く継続できる体制に強化することで、当該地域住民の不安解消に努める所存です。なにとぞお聞き届けください。
それでは、限られた時間内での説明ですので、駆け足になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。(後略)」 (2023年1月)
こんな夢を見た。
NPO法人なごやかの施設で訪問理容が原因のクラスターが発生し、陽性となった職員の代わりに法人内から応援職員を募ることになった。
事務長に電話でせかされた私は、いったん切るが少しだけ待ってくれるよう話すと、各事業所へ電話をかけ始めた。
最初はやまねこデイサービスだった。
これこれこういうわけで、厳しい話なのだけれど、応援職員を出してくれないか。
「わかりました。私が行きます。」
いやいやナオコ管理者、そういう話ではなくて、だいたいきみはあまり体が丈夫なほうではないし、お子さんも小さいから、ホラ、そちらの頼りになる介護主任にお願いしてくれるといい。
わざと荒っぽく電話を切った。
次はなめとこデイサービスにかけた。
「わかりました、さっそく私ともう一人で準備ができ次第、施設へ向かいます。」
いやいや高梨管理者、そちらは定員40名、職員25名の大所帯で、それをまとめるきみが抜けたら大変だ。いったんクラスター施設に入ったら、最後に発症した陽性者の療養期間が終わり、さらにクールダウンの期間は自分の事業所に出入りできなくなるのだからね。
表情が緩んでくるのを無理矢理こわばらせながら電話を切った。
最後は小規模多機能ホーム虔十にかけた。
「理事長、私に電話をいただいたということは、私にその任務を遂行しろということですね?」
いやいや浦上管理者、そんな、特殊任務、エスピオナージュ(諜報活動)じゃないから!
大笑いしながら私は目を覚ました。
私は泣いていた。うれし泣きだった。
井浦理事長様
おつかれさまです。
本日はウォームケアの丹野CM様からご紹介の利用者様がお試し利用でした。
お礼のお電話を入れると、管理者様よりそのお試しされた方を今訪問したところ、正式に利用希望されているのでよろしくお願いします、と話されました。
これから月2回程度、ご利用いただける運びになりました。
先週は他のデイサービスをお試しされ、そちらは新しい事業所なので、どうなるか心配しました。
理事長が一期一会という言葉を話されていたのを思い出し、帰り際におみやげとして日々のレクで作っているリースと、本日のデイでのご様子の写真をカードにして差し上げました。
せっかくの出会い、なにかできないかと考えて動けて、良かったです。本当にありがとうございました。
今後ともご指導よろしくお願いいたします。
やまねこデイサービス 須々木菜穂子
菜穂子管理者様
おつかれさまです。
報告ありがとうございます。
お土産を手渡してそれが実ったのはとても嬉しいことですね。
普段は引っ込み思案でも、ここぞと言う時に距離をぎゅっとつめてくる、それが相手にパルゼーション(心のときめき)を引き起こし、もう一度会いたい、行ってみたい、と思わせます。
例えば、当職のような初老の男性が一人でショーウインドウの中の品物をじっとのぞいている、これはなにかのっぴきならない状況で探し物をしているわけで、それに声を掛けないマヌカン、店員さんは愚鈍だな、と内心いつも思います。
その気づきですよね。
思えばきみの元上司も、ひとの心を掴む天賦の才を持った方でした。
まずはおめでとうございました。
井浦
(アルフレッド・ヒチコックの言う)〝パルゼーション”
「裏窓」1955年より。
私たちデイサービスの職員は、利用者様の朝夕の送迎の際に家族様と接することも多い。
その短いひとときの間に挨拶を交わし、連絡ノートでは伝えきれない申し送りや、時には家族様から相談事を受けることもある。
今朝は家族様の体の悩みごとというか愚痴だった。
加齢のせいか乾燥した肌がどうにもむずがゆく、無意識のうちに強く掻いてあちこち掻きこわしてしまった。
しかたなく皮膚科を受診すると、ステロイド系の軟膏を出されたのだが、医師のアドバイスはたったひと言、「綿のものを着なさい」だったのよ、そう言われてもねえ、と彼女は笑った。
このエピソードを、打ち合わせのついでにNPO法人なごやか理事長に話したところ、予想以上に面白がられた。
「確かに、女性は入り口からまずストッキングの問題があるから、綿100%のものをと言われても難しいかもしれないね。
かく言う僕は、子供のころから病気とまではいかないものの肌がとても弱くて、自分で洋服を買うようになった十代半ばからは、化学繊維のものをほとんど身に着けていないんだ。
セーターやカーディガンは一枚も持っていない。化繊が入っていなくても、首や手首がチクチクして。
今も、下着は上下コットンで、シャツもそう。スーツはウール100%に裏地はキュプラだ。キュプラは綿素材だから安心。ちなみにレーヨンはパルプが原料だよ。
マフラーはシックな柄が入ったシルク。信じられないだろうけど、意外と安価だし、薄い割に暖かいんだ。
唯一の例外は、靴下だ。こればかりは、綿だけ、ウールだけだと(改良が進んではいるものの)強度不足から靴の中で動いたりして具合が悪い。それでやむを得ず、化繊入りのものを履いている。
ともあれ、こんな風に男性なら、ずぼらな僕ですらも、綿、毛、絹、麻、革など混ざりものなしだけを着るのことができるのだがね。しかも、大した出費なしで。
それにしても、そのドクターのアドバイスは僕のこれまでの歩みを肯定されたようで、すごく嬉しいな。教えてくれてありがとう!」
シャツ
スーツ。「ベンベルグ」は旭化成の登録商標。
ステンカラーコート
チェスターコート
ニットシャツ
「来春、当法人で事業譲受する介護施設の所長さんと定期的に打ち合わせの機会を持っている。複数の事業所が入った大規模施設だけに、不測の事態が起こらないよう準備に念を入れたいという相手の意向による。
僕はというと、もちろん準備はするけれど、なるようにしかならないからあとは出たとこ勝負で、必ず起きるアクシデントをいかにスマートに処理するか、そちらに注力したいほうだ。
口幅ったい言い方だが、どこかでそんな自分の能力と胆力を信じているのかもしれない。
A法人からB法人へ事業所が移管される場合、A法人はいったん事業所の廃止届を出し、その翌日の日付でB法人が事業所の新規指定申請を出す。
これを事業所の数だけ行なう。
かつて僕が起業したころ、この介護サービス業界は新規参入する会社と退出(廃業等)する会社がほぼ同数だと言われていた。さすがに今は落ち着いているのだろうが。
そんなカオスな時期であればこの移管作業もたびたび起こったであろうが、それでも、なかなかじかに体験するものでもない。
たまたま僕は初めに起業したNPO法人から、そのあと新設した社会福祉法人へ事業所をいくつか移管した経験が何度かあった。
事業所とともに当法人へ移る、相手方の所長さんにとっての初仕事が、その移管作業になる。
未体験なことを心配する彼へ、僕は声を掛けた。
これまで作成した廃止届や新規指定申請書類一式をデータで渡すので、これを参考に書いてみるといい。なんならスタート時のシフト表さえ所定の書式で渡してくれれば、あとは全部僕が書くよ。
相手の目が大きく見開かれた。『それでは私の存在意義がなくなりますから!』」