3次元CADを使いこなせ

3次元CADを使った日々の業務と、CSAJ攻略について、3次元CADを活用するためのヒントになればと思います。

業務効率改善 導入事例C社3

2007-01-31 12:13:47 | Weblog
C社は一気通貫を志すが3次元データが下流にうまく渡らない,下流は設計が作成した3次元データをそのまま使用せずに加工して使うが、設計が作成した3次元データを利用するより1から作った方が効率がよい等の問題に直面した。
C社は一気通貫をあきらめて、なんと3次元CADをハイエンドからミッドレンジにしたのである。
今まで使っていた3次元CADよりも修正が容易なミッドレンジが有ったらしいという事と、一気通貫で使えない、設計部門だけで使うのであれば高価なハイエンドは要らないと判断したのだ。
しかし、修正が元のCADに比べて容易だとしても、モデリングのルールが無く無法状態でモデリングしていたため、モデリングした人でなければ修正が容易とは言えなかった。
また、今まで使い慣れ親しんだCADではないし、チーム設計が出来ない等の問題で、再び元のハイエンドCADに戻してしまう。
外部から見ていると、まさしく迷走。
一気通貫は考え方は素晴らしいのだけれど、C社の場合時期尚早であったと思う。また、一気通貫を目指すので有れば、まずPDQ(Product Model Quality)について考えるべきであった。
PDQについては、JAMA(日本自動車工業会)/PAPIA(日本自動車部品工業会)がPDQガイドラインを作成し、JAMA/JAPIA間ではこのガイドラインに沿ってデータの授受を行うよう取り決めている。
自動車メーカーと部品メーカーとの間では早くからCADデータの授受が行われていたが、CADデータ交換時のトラブルによる損失は、最低でも年間約25万件、損失金額は年間約71億円、損失リードタイムは1件あたり約1.5日と、非常に重大な問題となっていた。(JAMA HPより)
そして、この問題を解決するために1998年からPDQ-WG(Product Model Quality - Working Group)を発足させて、5年以上かけてモデルデータの品質問題を解決するための活動を行ってきた。
PDQ-WGではシステムベンダーをも巻き込み、ハイエンドCADだけでなく、SolidWorksなどの一部のミッドレンジCADまでもが調査の対象となり、CAD間におけるSTEPデータでの授受における品質レベルを調査しまとめている。
また、STEPデータの授受における問題となる各状態における推奨値も調査結果より導き出している。
PDQ-WGは2005年まで活動を行い、V4.1まで進んでいる。
しかし、本活動をもってしてもPDQの品質改善における決定的な解決策は無く、モデリングのスキル向上や、CADデータの品質をチェックするPDQツールに頼るといった結果となっている。
自動車メーカによっては高価なPDQツールによりチェックしたデータのみしか受け取らないところもあり、結果的に部品メーカにしわ寄せがきている。
このよに、3次元CADは未知な部分も多く何をするにも費用が掛かるため大手電機メーカといえども、独自に何かをするのではなく、現在の最新状況を調査し問題が解決したものについて導入する方が賢明であると思う。

3次元CADを使った業務効率改善 導入事例 C社2

2007-01-29 00:19:38 | Weblog
C社は早くから3次元CADを用いた設計を行い、一気通貫を目指しCADCAMまでもを設計部門が使用している3次元CADにしたが、うまく設計のデータを活用することが出来なかった。
それは、金型部門は設計が作成した3次元CADデータをそのまま使用しないからだ。
樹脂成形の場合、熱による収縮を考慮する必要があるし、設計が付けなかった抜きテーパーも付けなくてはならない。
C社が使用していたCADは拘束が厳しく、設計が作成したモデルデータはがんじがらめに拘束された状態となっており、一部を変更すると意図しない場所の形状までもが変更していた。
また、設計者によってモデリング方法が異なるため、同じ場所(フィーチャ)を変更しても更新後の形状変更の傾向が異なる。
さらに金型に不向きなCADであったため、金型作成部門からはブーイングの嵐が出始めた。
C社は一気通貫をあきらめて、凄いことをする。
つづく

業務効率改善 導入事例C社

2007-01-26 10:07:32 | Weblog
C社は大手電機メーカであり、早くから3次元CADを用いた設計を行っていた。
しかし、3次元CADを使用するにあたり、一つの疑問が浮かび上がる。
視認性に優れた3次元モデルを、わざわざ表現が難しい2次元の紙図面落とし、その紙図面を製造メーカに渡すことは無駄ではないか。最終的に欲しいのは3次元の部品であるのに・・。ということであった。
そこでC社は、設計部門が作成した3次元データを金型まで使用する一気通貫(上流で作成したデータを下流にまで使用する)を目指すことにした。
当時は、まだPDQ(Product Data Quality (データの品質))がそれほど騒がれていなかった時期であったため、3次元データは容易に他の3次元CADに移す事が出来ると思い込んでいた。
しかし、当時の中間フォーマットは貧弱であり、各CADメーカによりモデルデータの考え方が異なり、更にモデリングのルールも無かった。
そのため、3次元データの移行は思ったほど容易ではなかった。
C社は、データがうまく渡らないのは中間フォーマットの性能が悪いことが原因と思い、CADCAMを設計部門で使用している3次元CADに変更する事にした。
金型部門は大変であったに違いない。
3次元CADは、元々得意分野があり、CAEならI-DEAS,金型ならUG,サーフェイスならCATIAと分かれていた。
今ではそれほど違いはないと思うが・・・。
これで、社内の全てのCADが統一された事により一気通貫が出来ると思っていたが、実際はそおうまくいかなかった。
つづく

3次元CADを使った業務効率改善 導入事例 B社4

2007-01-24 00:35:01 | Weblog
B社は3次元CADを開発に導入し、B社の製品の特徴も功を奏しスムーズに設計ツールとして受け入れられた。
しかし、設計ツールとして受け入れられても、業務効率の改善とまではいかない。
そのためB社では3次元データの活用を考えた。
まず行ったのは、コンカレントエンジニアリングである。
後に詳細に述べるが、設計が開発段階でモデリングした3次元データを試作メーカ、金型メーカ、生産議技術部門等にばらまき並列設計を試みた。
しかし、残念な結果となってしまう。理論上非常に有効なようにも思えたのだが・・・。
関連部門や関係会社を巻き込んで無駄な時間を費やしてしまったらしい。
次に、CAEを用いた検証を行うことにした。
CAEツールは3次元CADが数台買うことが出来るぐらい高価なものである。
B社はこの高価なツールを購入したが、導入直後うまく活用できなかった。
もちろん解析を行い結果は出るのだが、その結果が正しいかどうか誰も分からない。
ある程度の解析経験が無ければ、扱えないものであることを知る。
今ではCAEを活用しながら開発は進められるぐらいになったが、CAEは拘束条件を間違うと解析結果が全く合わないため、B社では使いこなすまでに多少の時間を必要とていた。
次に、3次元CADを用いてデザインレビューを行うことにした。
これは、非常に有効であった。今までのレビューは、試作をした後に各関係部門を集め実物を見ながらレビューを行っていたが、3次元データで有れば試作前に行うことが出来るため、試作回数が減る。
また大画面で形状を映し出すため、小さな部品であっても形状が分かりやすい。
B社ではレビューに有効ということで、3次元CADデータを映すことの出来るPCとモニターを備えてた会議室が有り、そこでデザインレビューを行っている。
B社の3次元データの活用で最も有効であったのは、デザインレビューであった。
次回は一気通貫を目指したC社。

3次元CADを使った業務効率改善 導入事例 B社3

2007-01-22 00:27:02 | Weblog
B社は3次元CADを用いて新製品の開発を行ったが、設計者から苦情が・・・。しかしアセンブリし始めた段階から苦情が減っていった。その理由とは

B社は3次元CADを導入するまで2次元CADを用いて設計を行っており、設計者は各自のファイルで担当の機構を設計し、各機構部品はレイヤー毎に分けていた。
部品がある程度まとまってきたところで、開発メンバーのモデルデータを1つのファイルに入力し、全体の進捗と、関連部品のつながりを確認していた。
しかし、この会社の製品は部品点数100点程度有るため、全ての部品を表示すると線だらけとなり、設計者であっても1週間モデルファイルを見なければ部品の形状や各部品の位置及び関係が分からなくなるといったことに不便さを感じていた。
また、3面図では空間が把握しづらく無駄なスペースが存在し、商品の小型化への足かせとなっていた。
しかし、3次元CADではこれらの問題が全くない。
視覚的に分かりやすい3次元CADは、この会社の製品開発には非常に魅力的なものであった。
また、この会社の製品は板金部品が多いため曲面が少なくサーフェイスモデリングのノウハウは必要としないかったことも、功を奏していた。
そのため、設計者はモデリングに費やす設計時間増大の問題が有ったとしても、視認性に優れた3次元CADを便利なツールであると思い、複数の部品の配置情報を表示するアセンブリ段階から3次元CADに対する苦情が少なくなってきたのである。
この会社では、3次元CADが受け入れやすい開発環境であったため、この後も3次元CADを導入していき全ての設計を3次元CADに切り替えていった。
次にB社が考えたことは
つづく

業務効率改善 導入事例B社 2

2007-01-19 09:01:02 | Weblog
B社は3次元CADを3台購入し開発機種のみの設計に用いたが、モデリングに時間が掛かる,修正するのに手間が掛かる,更新でエラーとなるなど、2次元CADに比べ設計時間の短縮にならないのではといった問題に直面した。
B社もA社と同様ベンダーに問い合わせてみたが、「ノウハウ的なことはお客様の方で・・」、「コンサルティングによる支援も行っている(費用は○○です。)」という回答であったため、自社で何とかすることにした。
まず、社内講習会を開催しレベルアップを図ろうとするが、社内に講師をするほどのスキルを持った人がいない。
そこで、キーマンとなる人を育てるために、数人をベンダーの講習会に参加させスキルアップを図るが、残念ながらベンダーの講習会はコマンド講習であり受講してもあまり役に立たなかった。
そうこうしているうちに、設計者の間には「3次元CADってこんなもんかー」と、半ばあきらめムードが漂ってきた。
しかし、日を追う毎に3次元CADについて文句を言う設計者は少なくなっていった。
けして、ハイレベルな操作方法を習得した訳ではないし、あきらめきった訳でもない。
この状況は、ある程度の部品をモデリングし、アセンブリし始めた時からである。
つづく

業務効率改善 導入事例B社

2007-01-17 11:21:03 | Weblog
B社の事例について
B社は主にオーディオを設計製造しているメーカで、製品の部品点数は機種にもよるが100点程度であり、板金部品が多い。
この会社では、まず3台の3次元CADを導入し、新機種の開発だけに使用することにした。
A社と違い、新機種には全く新しい機構を設計するB社では流用する部品は少なく、2次元CADで作成した部品に執着する事はなかった。
新機種の設計者は2次元CADでの設計に慣れ親しんでいたが、3次元CADを使用しるにあたり3次元CADを独占している優越感と新しいものに触れている好奇心でどんどんモデリング力を上げていった。
しかし、問題に直面した。3次元CADの操作に慣れても一つの部品を作成するのに必要な時間が明らかに2次元CADの方が早い。
また、モデルを修正する場合履歴を変更し更新する方法が良いとされており、修正に必要な時間が2次元CADの数倍掛かってしまう。下手をすればエラーとなりモデルが無くなってしまう。
これは2次元CADでは無かった事であった。
次回はB社が今後どのようにやっていったかについて
つづく

3次元CADを使った業務効率改善 導入事例 A社

2007-01-15 11:05:30 | Weblog
A社は○億円もかけて3次元CADを導入したが設計者からは使いづらいと敬遠されたため、A社独自のマニュアルをベンダーの協力の下1年以上掛けて作製した。
しかし、出来上がったものはページ数ばかり多く内容が薄い。
この取組は、成功したかのように活動報告されたようだが、マニュアルは使われていないようだ。
次に、行ったのはスキル認定試験である。設計者のモチベーションを上げるのが狙いと思われる。
A社の認定試験は、「個々の部品が図面を見て設計できるレベル」の設問であり、年1回開催し、昨年で3回目となっていた。
しかし、3回目となると受験生の数が減ってきており、ここにきて新たに何かしなくてはならないといった問題が出始めているが、着実にCADユーザの数を増やしている。
これらの取組により、ようやく半分程度、それも新機種からの定着となっているそうだ。
ここまで頑張ってきたA社だが、A社製品の特徴と、長年同じ方法で製品を開発し続け、開発環境を変えられなかった(単なる3次元CADを2次元CADの置き換え程度)ことで、残念ながらこの会社は○億円を費やしたが3次元CADの導入効果は無い。
A社が今後やるべきことは、3次元CADを設計部門だけが使うのではなく、製造に関わる全ての部門に3次元データを活用する取り組みを行うことが必要があり、そうしなくては3次元CADを用いた開発の効率改善は望めない。

次回はB社の導入事例


3次元CADを使った業務効率改善 導入事例

2007-01-13 00:14:06 | Weblog
・導入事例 A社  A社の取り組み

A社は○億円もかけて3次元CADを導入したが設計者からは敬遠され、使ってくれない。
そこで、A社はまずモデリングの講習会を開催し、設計者のスキルアップを図ることにした。
講習会は順調に進んだが、多少のモデリング力を身につけても2次元CADに比べるとどうしても効率は劣っており、一部の設計部門では2次元CADに戻る動きまで出始めていた。
これでは3次元CADが浸透しないばかりか、投資が無駄になる。
3次元CADのモデリングが浸透における課題となっていると考えたA社は、A社製品に最も有効なモデリング方法についてまとめたA社独自の操作マニュアルを作成することにした。
しかし、A社にはマニュアルを作成するほどのスキルを持った人がいなかった。
そこで、ベンダーの社員をコンサルティングとして1年間駐在させ、独自製品のマニュアルを完成させた。(恐ろしい金額になったことは言うまでもない)
そのマニアルを見させていただいたが、カッターパートとアドパートを分けて作成し最終段階でアドパートからカッターパートをカットする方法を1つの製品についてこと細かく載せていた。
この方法であれば変更等が有った場合、関係ない履歴に影響が無いため更新が早くエラーも少なくなる。当時ではこのモデリング方法が良いとされていた。
完成したマニュアルは電子データ化されていたが、プリントアウトするとキングファイルが必要なほど膨大なものに仕上がっていた。
果たしてこれでうまくいくのか。
次回は、A社の私が下した結論です。

3次元CADを使った業務効率改善 導入事例

2007-01-11 07:18:59 | Weblog
導入事例 A社

3次元CADを導入したが、2次元CADを使用していたときに比べ逆に設計の業務効率が悪くなった。といったケースについて。
3次元CADの使用方法に問題あると思われる。
最近ではもう無いが、何の根拠もないのに「3次元CADを導入して業務効率改善出来た」という記事が多く出たことがあった。
この時に、多くの金持ち企業が3次元CADを導入した。私の知っているA社もその一つだ。
A社はベンダーの話を鵜呑みにし、なんと○十ライセンスも購入している。そして全ての設計部門に3次元CADを導入させた。
しかし、残念ながら現在でも設計部門の約半分程度しか定着していない。その理由の1つにA社が製造販売している製品にある。
A社の製品は部品点数で10点程度の自動車用の部品であり、数十年間同じ製品を造り続けている。
その製品は自動車が新規開発されてもほとんど変わらないため、2次元図面を多少変更し、シリーズ化する程度で事足りていた。
また、鋳型製品であったため曲面が多く、当時の3次元CADでは難しいモデリングとなっていた。
ここに、3次元CADが導入されても設計者にとっては魅力薄であった。
しかし、○億円を投入したからには使って欲しいし、投資効果も出したい。
次回はA社の取組について